AI、機械学習

人工知能と機械学習の関係性と違いについて

人工知能(AI:Artificial Intelligence)」は、ここ数年で我々にとって身近なものとなりました。一般人からしたら映画の中で語られることの多かったAIも、今では至るところで目にすることができますし、知らず知らずのうちに利用されているものとなっています。

同時に、「機械学習(ML:Machine Learning)」や「深層学習(DL:Deep Learning)」といった言葉も頻出します。コンピュータ分野に係わる言葉であることは分かっても、その違いや意味までは理解し切れていない方も多いでしょう。

そこで本記事では、人工知能と機械学習の関係性と違いを、可能な限り専門用語を省いて分かりやすく解説します。

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AIの効果的な活用方法とは? 製造業の未来を支えるテクノロジー

「人口知能>機械学習>深層学習」の関係性

結論から言います。人工知能とは人間の知能や行動を模したコンピュータを人工的に作る、あるいは特定の分野に極めてすぐれたコンピュータを作る研究分野です。そして機械学習と深層学習は、人工知能という大きな枠組みの中に存在する、研究分野や技術の一種ということです。図として表すと、次のようになります。

人口知能>機械学習>深層学習

ここで、人工知能についてもう少し詳しく説明しておきます。人工知能研究の第一人者とされているジョン・マッカーシーは、人工知能について説明するウェブページの「What is AI?」にて、次のように説明しています。

It is the science and engineering of making intelligent machines, especially intelligent computer programs. It is related to the similar task of using computers to understand human intelligence, but AI does not have to confine itself to methods that are biologically observable.

 

知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術です。人の知能を理解するためにコンピュータを使うことと関係がありますが、自然界の生物が行っている知的手段だけに研究対象を限定することはありません。

 

10年前に人工知能という言葉を聞けば、本田技研が開発に取り組んだ人型ロボットのASIMOや、大ブームとなったペット型ロボaiboなどをイメージする方が多いでしょう。しかし今では、人工知能に対する印象は大きく変わり、誰もが直感的に特定の処理に特化したコンピュータプログラムであることを理解しています。

機械学習とは何なのか?

人工知能の研究分野である機械学習とは果たして何なのか?

まず、「機械」という単語はコンピュータを表しているのではなく「反復的に処理を実行すること」を表しています。ロボットのように淡々と作業を行うことを「機械的に繰り返す」と表現するのと同じです。そして「学習」とは、人間のように物事を学習するのとは違い、どちらかというと「探求」に近い意味を持ちます。

探求というのは突き詰めて考えれば、目の前にある事象をパターンごとに分けて情報を処理することです。例えば、人間が迷路を解く際は指やペン、目視によって道筋を辿り、行き止まりを避けてゴールを目指します。一方、コンピュータは「分かれ道があったら?」、「右へ曲がったら?」、「行き止まりだったら?」、といった具合にパターン分けを行い、この単純作業を延々と繰り返して正解となる答えを導きます。

この探求を機械的に繰り返し、コンピュータの知能を向上させる研究分野が機械学習というわけです。

教師あり学習、教師なし学習、強化学習

前述した機械学習には3つの学習パターンがあります。それが「教師あり学習」、「教師なし学習」、そして「強化学習」です。それぞれの特徴を解説します。

教師あり学習

この学習方法は、正解となる膨大なデータを学習することで、新しいデータの予測や識別にも対応できるものです。まずは、正解が分かっているデータ(タグ付きのデータ)を大量に読み込ませた上で、コンピュータ自身にそのデータのルールやパターンを学習させます。

例えば犬の画像データを大量に読み込む際に、各画像データに「これは犬だ」という正解を付けます。コンピュータは正解が付けられたデータから犬の特徴を繰り返し学習し、次第に正解が付けられていない犬の画像データを読み取った際に、それが犬だと判断できるようになります。

教師なし学習

一方、教師なし学習では、コンピュータに読み込ませる大量のデータに正解を付けません。このため、犬の画像データを読み込んでも、いつになってもこれは犬だとは判断できないわけです。しかし、コンピュータは読み込んだデータの構造や特徴を自ら分析します。

分析した上でグループ分けやデータの簡略化を行うことで、特定のルールに従ったクラスタリング(集団分け)が行えます。具体的な活用例としては、過去の膨大なデータから将来の事象を予測する際などに使われます。

強化学習

強化学習では一風変わり、コンピュータが取る行動の戦略を強化する仕組みを採り入れながら、コンピュータを賢くさせる学習方法です。一連の行動を取った結果ごとに報酬を設定して、その報酬が最大化することを目的にコンピュータが試行錯誤を繰り返し、学習することで判断の精度を上げてきます。

例えばオセロのコンピューターゲームにおいて、CPUプレイヤーは強化学習を繰り返してオセロの勝ち方を学びます。

深層学習への発展

人工知能が現在の地位を築くに至った最大の理由が深層学習です。2012年、人工知能が、自ら学習することで猫を「猫だ」と認識したニュースをきっかけに、人工知能の可能性が大きく広がり、現在までに深層学習を使った人工知能が多く開発されています。

深層学習とは機械学習(特に強化学習の側面から)発展した研究分野であり、人間の脳により近いかたちで学習するコンピュータを開発します。これを可能にしたのが、「ニューラル・ネットワーク」です。これは、人間の脳神経細胞であるニューロンを模倣して作られています。人間の脳内ニューロンは電気信号として情報を伝達し、その際にニューロン同士を接続するシナプスの繋がりの強さにより、情報の伝わりやすさが異なります。ニューラル・ネットワークは、この情報伝達プロセスにおける「重み」を機械的な方法で模倣したものです。

ニューラル・ネットワークは「入力層」「隠れ層」「出力層」にて情報の表現を行うものの、それだけでは単純な情報処理しかできません。そこで、情報の複雑さにも対応できるように層を限りなく増やしたものをディープ・ニューラル・ネットワークと呼び、深層学習は層を増やして複雑さに対応したからこそ、分析精度が飛躍的に向上しました。

これからの人工知能動向に注目!

現在、人工知能は製造や医療の現場など至るところで散見されるようになっています。人工知能はビジネスの価値を高め、生活の利便性を向上してくれる存在です。これからも、人工知能の動向に注目し、その活用方法について模索していきましょう。

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