仮想デスクトップ

リモートワークで想定される課題と解決策

新型コロナウイルス感染症や働き方改革の影響を受けて注目度が高まったリモートワーク。この働き方には、コスト削減や人材確保などのメリットがある一方で、解決すべき課題もあります。ここでは、リモートワークの導入を検討している人事担当者や管理職の方に向けて、想定される課題や解決策を紹介します。

リモートワークで想定される課題と解決策
Azure Virtual Desktop(AVD)とWindows365の違いを徹底解説!

新型コロナウイルス感染対策で注目「リモートワーク」の今後は?

場所にとらわれず時間を有効活用できるリモートワークは、新型コロナウイルス感染症による影響でさらに注目を集めました。マイボスコム株式会社の調査によると、雇用型の勤務先で働く人のうち6割弱が、新型コロナウイルスによって勤務先の制度やルールに変化があったと回答しました。中でも在宅勤務やテレワーク制度に変化があった、と答えた人は3割を超えています。

リモートワークを経験した人が感じたメリットとしては、「通勤ストレスの減少」「時間を有効活用できる」「自分のペースで仕事ができる」などが挙げられました。しかしその一方で、「オン・オフの切り替えや気分転換が難しい」「モチベーション維持が難しい」「コミュニケーションが取りにくい」といったデメリットも明らかになっています。

また、リモートワークという働き方に関しては、半数以上が肯定的な意見を示しています。少子高齢化や人手不足、防災・環境対策、地域振興などさまざまな効果も期待されているため、今後も働き方のひとつとして浸透していくことが予想されます。

「リモートワーク」において企業が抱える5つの課題と解決策

リモートワークを導入する企業が増えている一方で、問題点も浮き彫りになってきました。ここでは、リモートワークを進める上で企業が抱える5つの課題とその解決策について解説します。

課題1.情報セキュリティ上のリスク

通常、オフィス内のパソコンはファイアウォール(Firewall)やIPS(Intrusion Prevention System)などによって情報が守られています。また、IDカードやフラッパーゲートなどの物理的な防壁、上司や同僚の存在による意識も情報漏洩の防止に影響を与えているでしょう。

しかし、リモートワークではオフィス内とは違うセキュリティ環境の中で、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの情報通信機器を使って仕事をしなければなりません。社外アクセスのセキュリティ対策がされていない場合、パスワードの流出や不正アクセスなどのリスクが高まります。また、暗号化されていない公共のWi-Fiを利用する場合、通信内容だけでなく端末内のあらゆる情報が筒抜けになる可能性が考えられます。さらに、カフェや図書館、コワーキングスペースに端末を持ち出す場合は、置き忘れや盗難といったリスクもあるでしょう。

情報セキュリティリスクの解決策

テレワークを導入する場合、まず社内のセキュリティポリシーを見直す必要があります。そして、それを元に情報漏洩のリスクを回避する方法を実行しましょう。たとえば、企業側が高度なセキュリティソフトをインストールしたパソコンやタブレットなどを社員に配布するという方法が挙げられます。在宅で仕事をする場合は、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network)などを活用することで、セキュリティを強化できます。

ただし、これらの環境整備には相応のコストがかかるため、導入が難しい場合もあるでしょう。その際は、社員自身が指定のセキュリティソフトをインストールできるようにフォローすることが必要です。

課題2.コミュニケーションの希薄化

2つ目の課題点として、社員同士のコミュニケーションが希薄化する可能性が挙げられます。パソコンやスマートフォンなどの端末があれば、最低限の報告・連絡・相談は可能です。しかし、さまざまなツールを駆使して連絡を取り合っても、同僚が働いている姿を見たり周囲の人にちょっとした相談をしたりする機会は失われるでしょう。また、メールを送っても返信が遅れて業務効率が下がってしまうケースもあります。同じ空間で働いていた人たちがお互いに離れると、どうしてもコミュニケーションが希薄化しやすく、それが生産性やモチベーションの低下、ストレスの増大につながる可能性があります。

さらに、管理職であれば「部下は今何をしているのだろうか?」「仕事量は適切なのか?」「他の部署との連絡はできているのか?」と、進捗状況が十分に把握できず不安を感じることもあるでしょう。

コミュニケーションの希薄化の解決策

コミュニケーションの希薄化を解決するためには、Web会議システムやオンラインチャット、情報共有ツールなどを有効活用することが大切です。Web会議システムを使えば、インターネットを通じて複数人での会話ができ、業務相談や進捗状況の確認をスムーズに行えます。お互いの顔を見ながらコミュニケーションが取れるため、精神的な安心感も得られるでしょう。

またオンラインチャットは、メールよりもスムーズかつ気軽に文章を送り合うことが可能です。グループチャットやファイル共有もできるため、お互いの状況を把握しやすいでしょう。ファイル共有については、オンラインで社内資料やデータの共有ができるツールが役立ちます。

課題3.人材育成の機会減少

リモートワークの場合、Web会議システムやオンラインチャットなどのコミュニケーションツールを活用しても、細かい指導までするのは困難です。特に入社して間もない社員に対しては、目の届かないリモート環境では教育が不十分になりがちです。

オフィスで働く場合は、先輩の言動を見る、あるいは何気ないコミュニケーションから自然と情報共有やナレッジ共有ができるものです。しかし、リモートワークの場合、こうした教育も文面や音声を通して1から伝えなければなりません。また、各自がどのような手順で仕事をしているかが見えづらいため、業務方法を統一できなかったり非効率な方法のまま誰にも気付かれなかったりする危険性も考えられます。

人材育成の機会減少の解説策

人材育成の機会を確保する方法としては、まず、eラーニングや動画配信サービスを活用した教育方法が挙げられます。これらの方法は時間や場所を問わず個人のペースに合わせて学習ができます。ただし、これだけではインプットが中心になってしまうため、実践教育として十分とは言えません。

アウトプット学習を取り入れるには、Web会議システムを使ったオンライン研修を行うと良いでしょう。eラーニングや動画配信サービスとは異なり、同時双方向の議論やチャットができるため、実践的なスキルの習得につながります。また、「1on1ミーティング」と呼ばれる個人面談型の育成手法を導入する企業も増えています。この方法は、管理職と社員の信頼関係を向上し、社員の成長を促すとともに、管理職のマネジメント力向上の効果も期待されています。

課題4.人事評価が困難

株式会社あしたのチームの調査によると、部下の人事評価をする管理職のうち7割以上が「オフィス出社時と比べて評価が難しい」と感じていることが明らかになりました。その理由としては、「勤務態度が見えない」「成果につながる行動を細かく把握しづらい」「勤務時間を正確に把握しづらい」などが挙げられています。

オフィスであれば部下の仕事姿を自然に目にすることができますが、リモートワークでは成果以外を把握しにくくなります。評価材料が減ってしまえば、これまでと同じ評価をすることは難しくなるでしょう。

また、人によって「成果だけを評価する」「Web会議やチャットでの発言も考慮する」など評価基準がバラバラになってしまう可能性もあります。評価基準が不明瞭なままだと社員の不満やストレス、生産性の低下につながるため、リモートワークの大きな課題のひとつです。

リモートワークにおける人事評価の解決策

リモートワークを導入するときは、新しい働き方に適した評価制度を整える必要があります。前述したように、リモートワークでは勤務態度の把握が困難なので成果や実績を元に評価する傾向が強くなります。しかし中には、出社回数やオンラインでのやりとりを評価に含める人もいるため、不平等な評価になりがちです。そのため、何を評価材料とするのか、どんな方法で評価をするのかを統一させることが必要です。

そして、評価項目や方法を統一するためには、「目標管理制度」の導入が適しています。目標管理制度とは、社員1人1人が目標を設定し、その達成度によって評価をする仕組みです。上司と部下が相談しながら目標を定め、上司が部下の取り組みをサポートするのが一般的です。この制度では、事前に決めた内容に対して評価を行うため、リモートワークでも適正な人事評価が可能です。

課題5.社員の勤怠管理

場所にとらわれず時間を有効活用できるリモートワークですが、上司が把握できないまま、実は長時間労働をしていたというケースもあります。というのも、リモートワークは仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、コミュニケーションの希薄化によってやり直しが発生するケースがあるからです。また、成果や実績が重視されやすくなるため、それがプレッシャーとなり働きすぎてしまう人もいるでしょう。

反対に、経営者や管理職の監視がないことを理由に集中力が低下し、仕事をしているふりをしたり嘘の申告をしたりするケースも考えられます。

リモートワークにおける勤怠管理の解決策

リモートワークにおける勤怠管理をするには、電話やメールで始業・終業を連絡するだけでは不十分でしょう。そのため、社員の始業・終業だけでなく作業状況の確認もできる管理ツールの活用が必要です。また、チームがどのように動いているのか、誰と誰が会話しているのかを確認できるバーチャルオフィスを導入する企業も増えています。ただしカメラやGPSで常に社員を監視するのは人権問題に関わるので、行き過ぎた管理にならないように注意が必要です。

また、「変形労働時間制」や「フレックスタイム制」など、新しい勤務形態を取り入れることも勤怠管理の向上につながります。

まとめ

新型コロナウイルスや働き方改革の影響で注目が高まったリモートワークには、情報セキュリティリスクやコミュニケーション、人材育成、人事評価、勤怠管理などの課題が想定されます。導入する際は、ここで紹介した解決法を参考に社内整備を進めてみてはいかがでしょうか。

  • fb-button
  • line-button
  • linkedin-button

無料メルマガ

RELATED SITES

関連サイト

CONTACT

サイト掲載の
お問い合わせ

TOP