ERP

ERPのシェアからみる最新トレンド

世界のERPベンダーの中で、常にトップシェア争いをしているのがMicrosoft、SAP、Oracleの3社です。SAPとOracelは1990年代後半のERP流行の中心であり、今なお大企業を中心に活用されています。Microsoftは2016年11月に新しいクラウドERP「Dynamics 365」を発表し、大手ERPベンダーとしては初のERPとCRM統合を実現しています。

今回は、これら3つのERPベンダーの、市場シェアを確認しつつERPの最新トレンドについて紹介していきます。

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各ERPベンダーの特徴を紹介

Microsoft

Microsoftは従来、Dynamics AXというERPと、Dynamics CRMというCRMを提供してきました。2016年11月に、これらのシステムを統合し、かつブラッシュアップした、Dynamics 365の提供を開始しています。

Dynamics 365は統合されたシステム環境としてはもちろん、特定のアプリケーションを個別に導入することも可能です。このため環境やニーズに合わせて、独自のERP環境を構築することができます。

Microsoft Dizappynamics 365概要」の詳細情報はこちらをご覧ください!

SAP

大規模ERPとして、長年トップ社を持つERPベンダーです。主力製品であるSAP ERPは、長年機能追加やアップグレードがされ現在のシステムが構築されています。今では、インメモリプラットフォームであるSAP HANAを基盤としては、SAP S/4HANA も提供されています。

Oracle

SAP同様に大規模ERPとして高い者を持つERPベンダーです。主力製品であるOracle E-Business Suiteは、2017年1月に最新版となるR12がリリースされています。

製造業における、各ERPベンダーのシェア率は?

それでは、製造業における各ERPベンダーのシェア率を確認していきます。

≪製造業/業種全体のERPベンダーシェア≫

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※青→製造業のERPベンダーシェア、オレンジ→業種全体のERPシェア

上記のデータでは、製造業と業種全体では、ERPベンダーの市場シェアが異なります。業種全体ではほとんど横並びなのに対し、製造業ではMicrosoftが約3倍差で他を圧倒しています。

製造業では他業界に比べ、Microsoft Officeを導入・利用しているケースが圧倒的に多く、故に同じMicrosoft製品が使いやすいといった背景があります。

ちなみに、業界を問わずERP市場全体のシェアとしては次の通りです。

≪2017年ERP市場シェア≫

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各ERPベンダーのプロジェクトコストと、投資回収の期間は?

ERPを導入する上で最も重要視するのが、導入にかかるプロジェクトコストと、投資回収にかかる期間ではないかと思います。プロジェクトコストは低いだけいいですし、投資回収の期間は短いほどいいでしょう。ただし、コストだけでは自社にフィットするERPを、一概には判断できないので注意してください。

まずは、各ERPベンダーの平均プロジェクトコストについて見てみましょう。

≪ERP導入にかかるプロジェクトコストの平均≫

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※黄色→プランニングコスト(百万ドル)、ピンク→実際にかかったコスト(百万ドル)

各ERPベンダーの中で、平均して最もプロジェクトコストが低いのはMicrosoftです。Oracleが最もプロジェクトコストのかかるERPベンダーで、SAPはプランニングコストは低いものの、実際にかかるプロジェクトコストはMicrosoftよりも高くなります。

次に、投資回収までにかかる期間について見てみましょう。投資回収の期間が短いほど、費用対効果の高いERP製品だと言えます。

≪各ERPベンダーの投資回収期間≫

図4.png

※青→1年以内、オレンジ→1年~3年以内、グレー→3年以上

上記のデータから、投資回収期間が最も短いのはMicrosoftです。SAPとOracleでは、導入企業の半数以上が投資回収までに3年以上の期間を有しています。ビジネススピードが重要視されている現代ビジネスでは、投資回収期間が短いMicrosoftがベストだと言えます。

データからは読み取れない、最適なERPベンダーの選び方とは

ここまでERPベンダーの市場シェア、導入にかかるプロジェクトコスト、さらに投資回収期間を紹介しました。これらのデータから、Microsoftの優位性が目立ちます。しかし、ERPベンダー選定では、データでは読み取れない部分にも着目しなければなりません。

例えばシステムの「使いやすさ」がその一つです。ERPを実際に導入してみて、従業員にとって使いやすいシステムかどうかは、データからは読み取れません。トライアルやデモを利用したり、あるいは実際に導入してみて初めて実感するものです。

この他、機能要件が自社にフィットするかどうかなど、様々な要素を総合評価した上で、導入すべきERPを選定する必要があります。ですので、今回紹介したデータは、あくまで参考として頭に入れておいていただければと思います。

入念な要件定義で自社に最適なERP導入を

大切なことは、市場シェアの高いERP製品を導入することではなく、あくまで自社に最適なERP製品を導入することです。そのために、要件定義は入念に行っていただきたいと思います。特に海外進出に際しERPを導入する際は、海外拠点にも適用可能なERP製品を選ばなければならないなど、日本企業へのERP導入とはまた違った課題があります。

海外進出の際は、Microsoft Dynamics 365など海外拠点にもフィットするクラウドERPの導入がおすすめです。本社では2層ERPとして導入することで、海外拠点とのスムーズな情報共有が行えます。

加えて、大企業や中小企業など規模によって最適なERPが異なるので、社内環境を十分に整理した上で、最適なERP製品を定義していきましょう。

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