クラウド移行(インフラ・DB)

クラウド移行をする際の3つの注意点を解説

システムのクラウド移行にはメリットが多いものの、自社の環境やポリシーによっては、必ずしも有効な選択肢とは限りません。実際、クラウドのメリットを十分に活かせず、移行後に後悔するケースも多いようです。そこで本記事では、システムのクラウド移行に際して、事前に確認しておくべき注意点について解説します。

クラウド移行をする際の3つの注意点を解説

クラウド移行 まるわかりガイド

オンプレミスとクラウドの違い

オンプレミスとクラウドには大きな違いがあります。クラウド移行のメリットや注意点について触れる前に、まずは両者の違いをおさらいしておきましょう。

導入までのスピード

システムの導入期間に関していえば、オンプレミスに比べクラウドのほうがはるかに早く済ませられます。オンプレミスでシステムを導入する場合、サーバー構築に必要なハードウェアやネットワークの選定・調達に時間を要します。サーバーの構築も自社で行わなくてはならないため、システム導入までに数ヶ月かかることもあります。

対してクラウドは、契約した段階ですでにサーバーやネットワークなどのインフラ環境が構築済です。契約作業を済ませたあと、管理画面にログインするだけで、すぐに必要なインフラ環境の利用を始められます。そのため、システム導入にほとんど時間がかからず、数日~数週間で済むケースも少なくありません。

カスタマイズ性

カスタマイズ性について比較すると、こちらはオンプレミスに軍配が上がります。オンプレミスでは、予算の許す範囲内で自社独自のカスタマイズが可能です。ネットワークやハードウェア、ソフトウェアまで自社の要件に合わせて種類を選定できます。

一方、クラウドもある程度はカスタマイズが可能なものの、あくまで事業者がサービス提供する範囲までです。オンプレミスと比べて、どうしても選択肢が限られる点は否定できません。

ただし、カスタマイズ性においてもスピード面ではクラウドが有利です。オンプレミスの場合、スペックを増強したり、当初の予定から変更したりするのに時間がかかります。というのも、ハードウェアの選定・調達などから必要となるためです。その点、クラウドなら管理画面から契約内容を変更するだけで、すぐにカスタマイズが完了します。

また、オンプレミスに比べカスタマイズの自由度が劣るとはいえ、近年では顧客のニーズに合わせる形で、拡張性を高めたクラウドサービスが増えてきています。よって、利用するサービスにもよりますが、必ずしも自社のニーズをクラウドで満たせないわけではありません。

災害や障害への対処

災害・障害への対処に関しては、クラウドのほうがスピーディかつ適切に行われるケースが多いようです。仮に災害や障害でシステムが停止した場合、オンプレミスだと自社で復旧作業を行わなくてはなりません。担当者がすぐに復旧作業に取り掛かれるとも限らず、復旧まで時間を要するケースも間々あります。

一方、クラウドでは一般的に事業者側が対応し、速やかに復旧作業を開始してくれます。復旧作業が行われている間も、ユーザーは管理画面などから状況を確認できます。こうした点から、クラウドのほうが比較的早く復旧が可能です。

さらに、災害発生時になるべくシステムを継続するための事前対策も、クラウドのほうが充実しているケースがほとんどです。たとえば、クラウドであれば多くの場合、地震や水害などの災害に強い耐性があるデータセンターで運営されています。

また、遠隔地のデータセンターにハードウェアを分散しているため、災害に見舞われてもサービス継続が可能なケースも少なくありません。クラウドと同レベルの環境をオンプレミスで用意することは不可能ではありませんが、やはり多大なコストがかかるため困難といえます。

クラウドへ移行するメリット

オンプレミスからクラウドへの移行には、コスト面でも運営面でもさまざまなメリットがあります。オンプレミスでシステムを構築する場合、ハードウェアやネットワークの調達からまとまったコストがかかります。一方、クラウドに関しては大抵の場合、初期費用は無料です。

またランニングコストに関しても、クラウドは多くの場合、使った分だけ支払う従量課金制にて提供されるため、無駄なコストが発生しません。サーバー運用に必要な電気代・人件費も月額料金に含まれており、オンプレミスのようにそれらコストの高騰に頭を抱える心配も無用です。

次に運用面ですが、クラウドに移行すれば、サーバー機器やネットワークなどインフラ環境のメンテナンスをすべて事業者に任せられます。それらを自社ですべて対応していたときと比較すれば、管理者の負担が大幅に軽減されるでしょう。

最後にセキュティ面に関していうと、自社のみで利用するオンプレミスと比べ、クラウドは不特定多数で利用するため一抹の不安が残ります。ですが、クラウドがセキュリティ的に必ずしもオンプレミスに劣るというわけでもありません。近年のクラウドサービスはセキュリティが向上傾向にあり、最新セキュリティ技術を何重にも施したデータセンターで運用されているものもあります。オンプレミスも独自のセキュリティ体制を築けるメリットがあるとはいえ、同等のセキュリティ対策を講じるのは難しいでしょう。

クラウドへ移行する際の注意点

クラウド移行にはメリットが多い反面、いくつか注意点もあります。移行後に思うようにメリットを活かせず、後悔するケースも少なくありません。以下では、クラウド移行における注意点を3つご紹介します。

コスト削減につながるのか

コストメリットを重視してクラウドへ移行したものの、思うようにコストを削減できないといった事例は少なくありません。クラウドへ移行する際は、自社環境でどの程度のコスト削減を実現できるか、あらかじめ試算しておく必要があります。利用状況によっては、期待するほどのコスト削減が見込めないこともあるためです。

先述したように、クラウドは多くの場合で従量課金制を採用しています。そのため、利用状況によっては従量料金がかさんで、オンプレミスよりコストがかかってしまうこともあるのです。

特にクラウドでは、データ通信量に対して課金が適用されることもあり、それが原因でランニングコストが高騰する例もあります。無論、すべてのクラウドでデータ通信量に応じた課金が発生するわけではありませんが、移行後に後悔することがないよう、事前に十分な試算を行うようにしましょう。

通信回線に容量が適切か

クラウドには一般的にインターネット回線経由でアクセスします。そのため、通信回線がひっ迫して、クラウド上のシステムにおける処理速度が遅くなり、作業の遅滞を招いたり、従業員のストレスとなったりするおそれもあります。

たとえば、始業時間の直後に大量のメールを送受信したり、端末ごとのデータ同期が発生したりする企業は多いでしょう。通信回線の容量(帯域)が不足すると、これらの処理に長い時間がかかってしまいます。

クラウドへ移行する際は、通信回線の帯域を十分に確保できるかどうか、あらかじめ確認することが大切です。クラウドサービスの中には、インターネット回線ではなく通信用に専用回線プランを用意している場合もあります。利用状況によっては、そういったプランを選ぶのも手です。

セキュリティへの対策

繰り返すようにクラウドへは、インターネット経由でアクセスする場合が大半です。そのため、セキュリティポリシー上の観点から、社内の機密情報をクラウド上に保存できないという企業も存在します。

オンプレミスと同程度のセキュリティ体制のもとにクラウドを利用したい場合は、万全の対策を講じる必要があります。たとえば昨今では、クラウドに対してインターネットVPNやインターネットを経由しない閉域網を使えるサービスもあります。

また、機密情報はオンプレミスのストレージに保存し、クラウド上のシステムと連携させることも可能です。このように、オンプレミスとインターネット上のクラウドを併用する構成を「ハイブリッドクラウド」と呼びます。自社のセキュリティポリシーによっては、このハイブリッドクラウドを選択するのもよいでしょう。

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まとめ

システムをクラウド移行しても、必ずしもコストを削減できるとは限りません。事前にコスト試算を行い、自社環境におけるコストをチェックしておくことが大切です。その点「Microsoft Azure」なら、オンプレミスで利用中のライセンスを適用できる場合など、コスト面でのメリットがあるため、移行先としてもおすすめです。

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