事例に学ぶ!SAP on Azureの導入・移行におけるポイント

事例に学ぶ!SAP on Azureの導入・移行におけるポイント

近年、企業の根幹を支えるERPシステムのクラウド化が進んでいます。とくに、2027年にメインストリームサポートが終了する「SAP」を現在利用している企業は、クラウドへの移行が急務です。そこで本記事では、Azure上でSAPを運用するクラウドサービス「SAP on Azure」の、導入・移行におけるポイントを解説します。

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そもそもAzureとは

「Azure」とは、Microsoftが提供するクラウドサービスのことで、正式名称は「Microsoft Azure」といいます。初期費用不要の従量課金制で、ITインフラやITプラットフォームを利用できるソリューションです。

Azureは汎用性に優れるサービスであり、あらゆる事業に応用可能な機能を複数備えています。例えば、ファイル共有サービスの「Azure Storage」や、システムの開発・運用を効率化する「Azure DevOps」、シングルサインオンを実現する「Azure AD」、専門知識不要で利用可能な人工知能「Azure AI」などが挙げられます。

またAzureは、「IaaS」「PaaS」という2種類の形態をもつサービスです。IaaS(Infrastructure as a Service)は、ファイルを保存するサーバーやストレージ、CPUやメモリといったITインフラをクラウド上で利用できるサービスを指します。一方PaaS(Platform as a Service)は、ITインフラに加えてミドルウェアやOSなど、プラットフォーム一式をクラウド上で提供するサービスです。

IaaSは汎用用途を対象としたサービスであり、PaaSはシステム開発領域を対象としたサービスと言えます。また、IaaSはコントロール可能な範囲が広い一方、PaaSよりも運用・保守における負荷が大きいのが特徴です。対するPaaSは、デベロッパーが開発したアプリケーションを素早くデプロイ可能ですが、設定の細かなチューニングは不得手としています。

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SAPをAzureに移行する意味

SAP社提供の「SAP」は、基幹系情報を管理するERPシステムとして高いシェアを誇ります。しかし、SAPは2027年にメインストリームサポートが終了すると発表されているため、多くの企業においてERPシステムの移行や再構築が急務とされています。

このような背景から増加傾向にあるのが、ERPシステムのクラウド化です。オンプレミス環境は、取り扱うデータ量に比例して運用・管理コストが増大します。一方、クラウド環境は、容量増加に伴うサーバー機器の増設や保守業務などが不要であり、利用プランを変更するだけで完結します。

そこでおすすめしたいのが「SAP on Azure」です。SAP on Azureとは、MicrosoftのAzure環境にSAP社のERPシステムを構築するクラウドプラットフォームです。両社は長きに渡りパートナーシップを築き、製品開発の連携を図ってきました。そのためSAP on Azureは、MicrosoftとSAP社の経験・実績に基づいて開発された、高い信頼性を誇るソリューションと言えるのです。

SAPをAzureに移行することで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。「運用効率の向上」「コスト削減」「セキュリティの強化」です。

Azure環境にSAPを構築することで、Microsoftのさまざまなサービスとの連携が可能になり、ERPシステムの運用効率が向上します。また、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行することで、サーバー機器の運用・保守におけるコスト削減も見込めます。

さらにAzureは、国際的な情報セキュリティ基準を満たしているため、堅牢なセキュリティ管理のもとでERPシステムの運用が可能です。

事例に学ぶ!SAP on Azureの導入・移行におけるポイント

SAPは、企業の基幹情報を管理する重要なシステムです。従って、SAPをクラウドへと移行する際にミスやトラブルがあってはなりません。ここからは、SAP on Azureを実際に導入した企業の事例をもとに、SAPをAzureへと移行する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

協力事業者・パートナーを確保する

SAP on Azureの導入や移行時においてまず重要となるのが、協力事業者やパートナーの確保です。Microsoftのサポートを得るのも大切なポイントと言えます。

例えば、日本を代表する音響メーカー「オーディオテクニカ」は、ITソリューションの開発・導入に携わるコベルコシステム株式会社のサポートを得て、SAP on Azureの導入に成功した企業です。

オーディオテクニカではかねてより、日本市場だけでなく世界市場へと目を向けた事業展開を計画していました。グローバルな事業展開を成功させるためには、各拠点における情報の一元管理が欠かせません。

そこで同社は、基幹情報を一元管理するERPシステムにSAP on Azureを選択します。そして基幹システムを統一化することで、断絶していた情報を統合し、業務の効率化とコスト削減を実現しました。

Azureを選ぶ理由を明確化する

事業戦略を構築する際に重要となるのが、問題を抽象的に処理するのではなく具体化することです。「自社がSAP on Azureを導入する理由」を、あらかじめ明確に把握しておくことで、運用効率の最大化につながります。

大手アニメ制作会社「東映アニメーション」は、株式会社電通国際情報サービス(ISID)の協力のもと、14年間オンプレミス環境で運用してきたERPシステムをクラウド化しました。その理由は事業継続性の向上です。

東映アニメーションのERPシステムは安定的に稼働していました。しかし、オンプレミス環境には業務の属人化や、故障時にシステム停止を招くなどのリスクが潜んでいます。アニメ制作会社である同社にとって、システム停止は業務停止へ直結してしまうでしょう。そこでSAP on Azureを導入し、ERPをクラウド化することで、事業継続性を脅かすリスクを排除したのです。

体制を整える

ERPシステムは会計・人事・生産・物流・販売など、企業の基幹情報を管理する重要なシステムです。従って、導入・移行時における失敗は許されません。万が一、データ移行時にトラブルが発生した場合、基幹情報の破損や消去につながる恐れがあります。

システム開発を請け負った業者が新システムへのデータ移行に失敗し、訴訟問題にまで発展した事例もあります。そのため、万一の事態に備えたサポート体制の構築が必要です。

グローバルにビジネスを展開する総合商社「三井物産」は、SAP on Azureの導入時にMicrosoftによるサポート体制を構築し、システムを移行しました。トラブル発生時に迅速な対処ができるよう、Microsoftの担当者がリモート待機していたのです。

こうした事例にならい、SAP on Azureの導入やデータ移行は、必ずMicrosoftのサポート体制を整えてから実行に移りましょう。

テストを実施する

SAP on Azureを導入する際は、データの移行テストが不可欠です。データ移行テストは大きく分けて、以下の3つのフェーズに分類されます。

  • 第1段階:システム単体で正常に作動するかを確認します。
  • 第2段階:結合テストです。AzureとSAPの各機能の連携性や、データの受け渡しに問題がないかを認します。
  • 第3段階:実際の運用環境に近い形での総合テストです。さまざまな既存システムを並行稼動させ、SAPとAzureがそれぞれ正常に稼働・連携するかを確認します。

前述した三井物産では、ERPシステムの導入前に社内環境で移行テストを実施しています。システム開発企業である三井情報株式会社(MKI)のサポートを得て、実際の運用環境を再現し、各種調査やチューニングを実施しました。さまざまな検証を行い、業務利用における問題がないことを確認したのちにシステムを構築したのです。

まとめ

オンプレミス環境でSAPを運用してきた企業にとって、ERPシステムをクラウド環境へと移行するのは簡単ではありません。「SAP on Azure」を利用することで、ERPシステムの円滑なクラウド移行が実現します。SAPのクラウド移行を検討している企業は、SAP on Azureの導入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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