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ERPをグローバル展開するときの基本

海外子会社を含めたグローバルな連結経営を実現するために、クラウドERPが注目されています。ERP(Enterprise Resource Planning)とは、財務会計システムや生産管理システムといった基幹系システムを統合したIT製品であり、クラウドERPとはそれをクラウドサービスとして提供するサービス形態です。

クラウドERPを利用することで、物理インフラの構築無しに海外子会社と連結可能な業務システム基盤を構築することができます。ただし、クラウドERPを利用するだけで海外子会社との経営最適化を図れるわけではありません。

そこで本稿では、ERPをグローバル展開するときに知っておきたい基本についてご紹介します。

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ERPをグローバル展開する際の基本ポイント

基本1.マスタ管理効率化に向けてコードを統一する

ERPのグローバル展開において最初に押さえる基本ポイントは、本社と海外子会社とでコードを統一することです。コードが統一されていない場合、海外子会社からデータを収集した時に、本社で使用可能にするためのコード変換が必要になります。コード変換を行わないと正確な数値を把握できません。ERPをグローバル展開する以前に、グループ全体で同一コードを管理できるようにするのが最も合理的だと言えます。

基本2.連結決算における計上ルールを統一する

海外子会社の財務情報を含めた連結決算では、グループ全体で計上ルールを統一することがとても大切です。売上や原価について発生主義を採用するか、現実主義を採用するかによってその結果は大きく異なります。そのため、売上計上や原価計算のルールや、収集する各種実績データが統一されたルールで算出されなければ、グローバル全体の経営最適化を図れるような会計は行えません。ERPをグローバル展開する意義の中には、会計業務の大幅な効率化があるため、必ず計上ルールを統一しましょう。

もっと見る:原価計算って何?その目的と種類について

基本3.経営指標及びレポートを統一する

海外子会社経営において、本社人材が駐在する場合は人材の定期的なローテーションが発生します。しかし、そのたびに経営指標やレポートの変更が生じてしまうと、前任者から引き継ぐたびに情報伝達に問題が起き、経営効率が下がります。一方、グループ全体で統一された経営指標やレポートがあると、新しいマネージャーが海外子会社に赴任した際も、現地の経営状況を素早く把握できます。さらに、赴任したマネージャーと現地スタッフによる言語の壁をある程度取り払うツールにもなるため、意思疎通が図りやすくなります。

基本4.経営データをタイムリーに収集する

ERPをグローバル展開する理由として「タイムリーな経営データ取得」が挙げられます。一般的に、国内本社が海外子会社の経営情報を取得するには1~3ヵ月程度の時間を有するため、鮮度の落ちたデータを見つめながら経営戦略がを立てていくことになります。また、海外子会社からの情報が遅くなるほどグループ全体の経営戦略を立てるのが遅くなってしまうため、劇的に変化するビジネスへの柔軟性は失われるでしょう。そのため、グローバル規模で統一されたERPを導入し、同じデータベースで全てのデータを管理することが理想です。

基本5.2層型ERPを検討する

2層型ERPとは、大規模なERPを構築している本社と海外子会社とで経営情報の共有を行うため、クラウドERPを活用して海外子会社にフィットするIT基盤を整えることを意味します。本社で稼働しているものと同じ規模のERPを構築することはコスト的のも時間的にも不可能という場合が多々あります。そのため、多くの海外子会社では現地個別化されたIT基盤が構築されています。しかしそれでは、海外子会社と本社とで情報共有が難しくなるため、経営情報をタイムリーに取得するのはほぼ不可能です。そこで、本社で稼働しているコアERPにクラウドERPを連結した上で、海外子会社に同じクラウドERPを導入します。そうすることで、より少ない手間とコストで共通のIT基盤を作り、かつ海外子会社の事業規模にもフィットしたERPを構築できます。

海外子会社に採用するクラウドERPの選び方とは?

すでにERPを構築している本社が海外子会社にERPを導入する場合、前述した2層型ERPの展開もおすすめです。また、本社を含め海外子会社でも初めてERPを導入するという場合も、クラウドERPを利用すると比較的簡単に共有基盤を構築できます。ここで注意していただきたいのは、本社と海外子会社とではビジネスギャップも多いため、海外子会社に合ったグローバル対応のクラウドERPを採用する必要があることです。そこで、海外子会社に採用するクラウドERPの選び方のポイントについてご紹介します。

ポイント1. 多言語・多通貨に対応した海外製クラウドERPを

クラウドERPには海外製と国内製のものがあり、多くの海外製は多言語・多通貨に対応しているのが特徴です。国内製クラウドERPにも多言語に対応しているものはありますが、英語・中国語など限られた言語にしか対応していないものが多いでしょう。一方、海外製クラウドERPは数十の言語と100種以上の通貨に対応しているものもあるため、海外子会社との情報共有に最適です。

ポイント2. ビジネスに合わせた柔軟性を持っている

本社と海外子会社とではビジネスギャップがあるため、それぞれのビジネスに合わせたアプリケーションをカスタマイズできるクラウドERPが理想です。それぞれのビジネス要件を満たしつつ、情報共有基盤として課長できればグローバルビジネスもより推進されます。

ポイント3. 独自のカスタマイズが可能で自社に最適化できる

クラウドERPはパッケージ型のERPに比べて、カスタマイズが難しいというのが特徴がある場合もあります。しかし中には、クラウドERPでも独自の開発プラットフォームを提供することで、カスタマイズが可能な製品もあります。そうしたクラウドERPを採用すると、カスタマイズによって独自のビジネスプロセスを構築できるため、自社に適切な環境を構築することが可能になります。

ポイント4. セキュリティ面で信頼できる

クラウドERPを採用することで懸念すべきなのはやはりセキュリティです。閉じられたネットワークの中ではなく、インターネットというオープンな環境でシステムを利用することになるため、クラウドERPを採用する際はベンダーのセキュリティ面が信頼できることが絶対的な条件になります。特にベンダーが保有するデータセンターのセキュリティについてしっかりと把握しておくことが大切です。

ポイント5. グローバルサポートが充実している

海外子会社にERPを展開した場合、本社がERPに関する窓口になってしまうと業務効率が下がり、グローバル展開の負担が大きくなってしまいます。そのため、グローバル規模でサポートを提供しているベンダーのクラウドERPが理想であり、本社も海外子会社もベンダーサポートを最大限に受けられることが大切です。 

いかがでしょうか?ERPのグローバル展開の際は、本稿でご紹介した基本ポイントと、クラウドERPの選び方のポイントを参考に、最適な形でグローバル展開を押し進めていきましょう。

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