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マスターデータ管理のメリットと進め方

皆さんは、自社で抱えるデータ量がどのように推移しているかご存知でしょうか?企業ごとのデータ量を調べることは難しいのですが、総務省の調査によって日本のビッグデータ流通量に関する情報が公開されています。

総務省によれば、2014年度のビッグデータ流通量は14.5エクサバイト。ギガバイトに変換すると、1エクサバイトが10億ギガバイトなので、14.5エクサバイトは145億ギガバイトというあまりに巨大なデータ量となります。

1人あたり500GBのデータ量を持っているとすると、2,900万人分のデータです。ちなみに世界最大級のデータセンターを持つGoogleでも、保有しているストレージは10エクサバイトなので、日本の年間ビッグデータ流通量はGoogleでもカバーできません。

2005年のビッグデータ流通量1.6エクサバイトであり、9年間で約9.3倍にも拡大しています。日本全体のビッグデータ流通量が拡大しているということは、一企業が保有しているデータ量もそれに比例して増加していると、単純に考えることができます。

実際にITエンジニアに従事している方々は、年々データ量が増加していることを、肌で感じているのではないでしょうか。

こうした中、企業における重要度が増しているのが“マスターデータ管理”です。簡単に言えば、企業のあちこちに点在するデータを一元管理して、効率良く正しいシステム運用を行っていきましょうということになります。

今回はこのマスターデータ管理について、そしてメリットと進め方を紹介していきます。

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そもそも“マスターデータ”とは

マスターデータと聞いて、瞬時に明確な答えが思い浮かぶ方は少ないと思います。特に非エンジニアの方は、曖昧に理解している場合が多いようです。

マスターデータとは日本語で「基礎データ」や「基本データ」といった意味があります。単刀直入に言えば、システムを動かす上で不可欠なデータのことです。マスターデータがなければシステムは正常稼働しませんし、間違った情報が横行したりします。

例えば、とある勤怠管理システムで出退勤を行うとき、画面に社員番号を入力し、出退勤ボタンを押します。Aさんが自分の社員番号を入力すれば、当然ながらAさんの出退勤が行えます。では、システムはなぜ社員番号を入力するだけで、Aさんだと判断できるのでしょうかそれはAさんの社員番号に紐づけて、Aさんの氏名・所属部署が”マスターデータ”として登録されているからです。

もしもこのマスターデータが間違っていた場合、Aさんの社員番号を入力したにも関わらず、Bさんの出退勤を行ったことになってしまうなどの問題が発生します。

これはあくまで一例です。マスターデータには社員情報、顧客情報、製品情報、資産情報など様々な種類があります。しかし、いずれのマスターデータも、正しく管理されていなければシステムが稼働しなかったり、間違った情報が横行してしまうという点は変わりません。

なぜマスターデータ管理が重要なのか

先ほどの例はごくシンプルなものなので「そんなミスは起こらない」と思う方も多いかもしれません。あるいは、万が一同じようなミスが発生しても、すぐに修正すればいいだけという考えもあるでしょう。

では次のような例はどうでしょう。

営業部のAさんは4月から製造部に異動。各部署のシステムではAさんが異動したため、そのデータを反映しなければならない。Aさんの異動先である製造部では、問題なくデータを反映している。しかし人事部では、データを反映したものの、入力したデータが間違っていてAさんは経理部に異動したことになっている。営業部にいたってはAさんの異動をデータとして反映しておらず、営業部に在籍したままになっている。

いかがでしょうか上記の例は、先ほどの勤怠管理システムの例よりもずっと複雑です。異なる部署、異なるシステムが絡むことで、マスターデータはここまで整合の取れていないものになってしまいます。

マスターデータの種類はそう多くありません。しかし、それを管理するシステムや人は多岐にわたります。だからこそマスターデータを正しく管理し、常に整合の取れたデータ環境を整えなくてはなりません。

マスターデータ管理の基本は“一元管理”

具体的にどういった形でマスターデータ管理を行っていくかというと、その基本となるのがデータの“一元管理”です。マスターデータは同じ種類、同じ性質のものが複数のシステムに点在しています。こうした環境そのものが、間違った管理になってしまっている原因です。

従ってマスターデータを一元管理することが、マスターデータ管理を実現するための第一歩となります。分断化されたシステムに依存しない形でマスターデータを一元管理できれば、各システムのマスターデータは常に整合の取れたものになります。

一元管理したデータは各システムでリアルタイムに反映できるとなお良いでしょう。各部署は信頼のあるデータを参照にしつつ、業務効率をアップさせることができます。

MDMを導入するか、ERPを導入するか

ITソリューションを活用したマスターデータ管理を実現する方法は2つあります。1つはMDM(Master Data Management)を導入する方法、もう1つはERP(Enterprise Resource Plannnig)を導入する方法です。

MDMとはマスタデータ管理に特化したITソリューションで、既存システム環境にプラスして導入することで、マスターデータ管理を実現します。基本はマスターデータ管理用のデータベースを各システムと連携し、各システムのマスターデータ部分のみ共有・反映することで、整合の取れたマスターデータ管理環境を整えます。

一方ERPは、統合基幹業務システムといって複数の業務システムを統合して提供するITソリューションです。既存のシステム環境からERPに刷新することで、最初から連携の取れたシステム群を導入することができます。あるいは、既存システムと共存させる形でERPを構築することも可能です。

ERPでは各システムが最初から連携しているので、新たなデータベースと構築することなく、整合の取れたマスターデータ管理環境を手にすることができます。業務システムとは別のデータベースがない分、運用負荷を軽減できるというメリットもあります。

MDMを導入するか、ERPを導入するか、あるいは独自に新たなデータベースを開発するかというのは、やはり既存環境によって決めるのが定石です。どの構築方法の方がメリットが高いということは一概には言えないので、自社の現状をしっかりと見つめた上で決めていきましょう。

まとめ

今後はIoTの普及によって、さらにビッグデータ流通量は増加していくでしょう。それに伴い、マスターデータ管理の重要度も高まっていきます。まだマスターデータ管理環境が整っていないという企業では、これを機にMDMやERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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