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SSCってなに?メリットやデメリット、構築に向いている組織を解説

グループ企業が共通して抱えている経理業務などを一箇所に集約した「SSC(シェアードサービスセンター)」は、DX推進や業務効率化に適した施策として注目を集めています。各企業でDX推進が急がれる今、SSCの構築を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、SSCを活用するメリットやデメリット、構築に向いている組織について分かりやすく解説します。

SSCってなに?メリットやデメリット、構築に向いている組織を解説

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SSCとは

SSCとは「シェアードサービスセンター」の略称で、経理業務をはじめとしたグループ企業が共通して処理している業務を、一箇所に集約した組織のことです。

一般的に、お互いがグループ企業であるA社、B社、C社が存在する場合、それぞれの会社に経理担当者を置いて経理業務を処理します。しかし、グループ企業であることから実態としてはそれぞれの業務がまったく同じ内容であることも多く、このような場合にSSCに業務を集約することで、各社に個別の経理担当者を配置する必要がなくなり、リソースの削減と業務効率化をはかれる可能性が高くなります。

BPOとの違い

SSCと似た言葉に「BPO」がありますが、SSCとBPOは異なる意味合いを持っています。前述のとおりSSCは「シェアードサービスセンター」の略称で、グループ企業の共通業務を一箇所に集約する取り組みのことです。SSCにおいて業務を担当するのはグループ企業に所属する従業員で、外部の専門業者ではありません。

一方、BPOは「ビジネスプロセスアウトソーシング」の略称であり、企業の業務プロセスの一部分について、専門知識やスキルを有した外部業者に委託する取り組みです。BPOによって自社の経理業務を専門業者に委託する場合、自社の従業員は削減したリソースをほかの業務に活用するケースが多いといえます。

SSCの活用が広まっている理由

近年、日本国内においてもDX推進が企業にとっての重要課題となっており、各社が積極的にDXへの高い意識を持って取り組んでいくように求められています。このDX推進の一環として、SSCの活用が注目されています。

グローバル企業やグループ企業では、拠点が増えるほど経理担当者の人数も増えていくのが一般的です。経理データは拠点ごとに個別に管理され、企業やグループ全体のデータをひと目で把握できない状態にある企業も少なくないでしょう。SSCを活用すると、企業やグループ全体の経理データを一箇所に集約できるため、経理業務の業務効率化を実現しやすくなります。

SSCを構築するメリット

SSCの活用が広く注目されつつありますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、SSCを構築する3つのメリットをご紹介します。

コストを削減しやすくなる

前述のとおり、SSCを構築することによって、従来は複数グループで処理していた経理業務を一箇所に集約できます。これにより、経理担当者を各グループに配置する必要がなくなるため、グループ全体のコスト削減につながります。

また、他社が開発した経理用システムなどを業務のために導入している場合は、経理担当者の総数が減少することにより契約ライセンス数の削減につながり、月額利用料などのランニングコストを圧縮できる可能性もあります。

内部統制を強化できる

経理業務を処理している経理担当者が複数拠点にまたがっていると、一部の拠点で改善要望が上がったとしても全社に浸透させるのは難しく、個々の経理担当者が不便を感じながら業務を続けなければならない状況に置かれる可能性が高くなります。このような状況では上層部が従業員の声を聞き入れられず、従業員満足度が低下したり業務効率が低下したりする恐れがあります。

これまで複数拠点でバラバラに処理されていた経理業務をSSCに集約することで、風通しのよい企業風土の醸成につながり、内部統制を強化できるというメリットが期待できます。

サービス品質の改善につながる

同様の業務に従事する担当者が多ければ多いほど、スキルにばらつきが生じる可能性は高まります。大人数の担当者に対してスキルの平準化をはかるための労力は大きく、教育のためのコストも増加しやすくなるでしょう。

専門知識を持った人材をSSC構築によって一箇所に集約できれば、業務効率の向上をはかれるだけでなく、サービス品質の改善にもつながります。

SSCを構築するデメリット

SSCの構築にはさまざまなメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、SSCを構築するデメリットを解説します。

業務プロセスが見直されないとコスト削減効果が低い

SSCを新たに構築する際は、バラバラのルールを持った各グループの拠点からSSCに人材を集めて運用体制を整備します。そのため、運用開始前に業務プロセスを見直し、SSCとしての新たなルール整備を行わなければ、運用開始後の業務に支障をきたす恐れがあります。

SSCの構築には高いコスト削減効果が期待できる一方で、新たなルールを周知徹底しなければ期待していた成果が上がらない可能性がある点には注意が必要です。

担当者のモチベーション低下につながりやすい

SSCを構築するにあたって、担当者は他拠点への異動を余儀なくされる場合があるため、モチベーション低下につながりやすいというデメリットがあります。

遠方に設立されるSSCへの異動であれば、転勤を伴う可能性もあるでしょう。事前にSSCを構築する理由や意義、異動によってどのような活躍を期待しているのかを丁寧に説明し、従業員からの理解を得ることが大切です。一方的な異動勧告はパフォーマンスを著しく下げたり、企業に対する信頼を低下させたりするリスクがあります。

システム更改や管理コストがかかる

SSC構築のためにシステム更改を行う場合は、システム構築や改修のためのコストがかかります。SSCの構築は、コスト削減効果が期待できるものの、システムにかかるコストが上回ればかえって企業の成長を妨げる要因になる可能性もあります。

初期コストのほかにも、継続的に維持・管理するためのランニングコストが発生するため、あらかじめどの程度のコストがかかるのかを試算し、費用対効果を十分に検証しておくことが大切です。

SSCの構築が向いているケース

SSCのメリットやデメリットについて解説してきましたが、実際にSSC構築に向いているのはどのような組織なのでしょうか。ここでは、SSCの構築に向いている具体的な4つのケースをご紹介します。

業務プロセスが標準化されておらずコスト効率が悪い

企業やグループ全体で業務プロセスが標準化されておらず、各拠点の担当者が各々の基準で業務を行っているなど、効率が悪化している場合はSSCの構築が効果的です。SSCの構築によって業務を一箇所に集約し、新たな業務プロセスを策定して標準化することで効率の改善をはかれます。

経理の専門知識を持った人材が乏しい

経理の専門知識を持った人材が乏しく、拠点によって経理の知識が心もとない人材を担当者として配置しているような場合には、SSCを構築することで業務効率が大きく向上する可能性が高いでしょう。専門知識を持った人材だけを起用することでヒューマンエラーが起こるリスクも下げられるため、自社の信頼維持にもつながります。

税制改正への対応力が低いと感じている

拠点が複数にまたがり、定期的に改正される税制への対応力が低いと感じている場合は、SSCを構築して集中的に対応すると対応しやすくなります。拠点が多ければ多いほど税制改正への周知・徹底に手間と時間がかかりますが、専門知識を持った人材がSSCで対応すれば、グループ全体の工数を大幅に削減できるだけでなく、税制改正に対してスピーディーに適応可能です。

業務効率向上が課題になっている

業務効率向上が課題になっていると感じる場合も、SSCの構築が有効です。各拠点の担当者が各々処理していた経理業務をSSCでまとめて処理することにより、処理時間を短縮できるだけでなく、全社的な数値の把握が容易になって上層部が経営判断を行いやすくなります。これにより、他部門の業務効率向上も期待できます。

まとめ

SSC(シェアードサービスセンター)の構築により、企業の業務効率向上やDX推進の実現に近づく可能性が高まります。コスト削減や効率の改善も期待できるため、自社の課題解決の一環としてSSCの構築は効果的な選択肢のひとつです。

とはいえ、SSCの構築には向き不向きがあります。メリットとデメリットの双方を理解したうえで、今回ご紹介したSSCに向いているケースも参考にしながら、十分に検討したうえで導入を判断することをおすすめします。

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