小売業

スーパーアプリとは何か? 企業で展開した場合のメリットも紹介

1つのアプリで決済やショッピング、ゲームや音楽など多数の機能を利用できる「スーパーアプリ」は、手軽で利便性が高いため、最近業界で注目されています。本記事ではネイティブアプリとの違いやスーパーアプリを構成するミニアプリについて触れつつ、企業にとっての導入のメリットなどをご紹介します。

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スーパーアプリとは?

スーパーアプリとは、普段利用するさまざまなアプリの機能を統合したプラットフォームのことを指します。複数の機能の窓口となることでECサービスや決済、ソーシャルメディア、音楽など多彩なアプリ機能へアクセスが可能とします。その利便性の高さから、今IT業界で注目を集めています。

スーパーアプリは中国の「WeChat(ウィーチャット)」を皮切りに、現在では東アジアや東南アジアでの普及が進んでいます。そのほかにも「Alipay(アリペイ)」、インドネシアの「Gojek(ゴジェック)」などがスーパーアプリに挙げられます。

日本での利用率が高い「LINE(ライン)」や「PayPay(ペイペイ)」などもスーパーアプリとされ、決済やショッピングのほか、クーポン配布など多彩な機能を備えています。

既存のネイティブアプリとの違い

ネイティブアプリのみでスーパーアプリと同じ機能を賄おうと思えば、各機能を備えたアプリを1つずつ端末にインストールする必要があります。多数のアプリをインストールするには手間がかかるだけでなく、デバイスのストレージ容量も必要になります。デバイスのOSによっては、インストールできるアプリが限定されることもあるでしょう。また、ネイティブアプリでは、その都度ユーザー情報や支払い方法の登録を行わねばなりません。

一方、スーパーアプリはユーザー情報などの登録も一度で済むため、ユーザーのストレスを軽減できます。また、たった1つのアプリをダウンロードするだけで、決済やソーシャルメディア、ショッピングやクーポン、ゲームから音楽などさまざまな場面で利用できる使い勝手の良さも特徴です。

スーパーアプリはなぜ注目されている?

サービスや機能に魅力を感じても、ユーザー情報登録などの手続きが面倒でダウンロードをためらったり、せっかくダウンロードしてもほとんど使わずに放置したりすることは、ネイティブアプリではよくあります。

スーパーアプリの場合は、ダウンロードや情報登録の手間が省け、利便性も高くなるため、ユーザーエクスペリエンスの向上が期待できます。また、1つのアプリの中にあらゆるサービスや機能が集まっているため、稼働率も高まるうえ、ダウンロードしたもののほとんど使わないという事態も、ネイティブアプリより少なくできるでしょう。

スーパーアプリを構成する「ミニアプリ」とは?

ミニアプリとは、スーパーアプリを構成しプラットフォームとして成立させる、各機能を担うためのアプリを指します。スーパーアプリはこれらのミニアプリにアクセスすることにより、総合的なサービスを提供します。

例えば「LINE」の場合、「LINE Pay」や「LINE MUSIC」などがミニアプリです。ミニアプリは、個々にダウンロードを行う必要もなく、ワンクリックですぐ開け、利用できます。登録情報も連携しているため、アプリごとにIDやパスワードなどを使用する必要もありません。
多数のユーザーを抱えるプラットフォームを活用して、スーパーアプリ内のミニアプリで新たなサービスを展開する企業も増えています。参入する利点も多いことから、今後もその傾向は加速していくでしょう。

企業がスーパーアプリ内でサービス展開するメリット

企業がスーパーアプリを活用したサービスを行うと、さまざまなメリットを享受できます。

1. 幅広いユーザーへのアピール・囲い込みができる

ミニアプリはネイティブアプリのようにダウンロードなどの手間がかからないことから、利用へのハードルが低いため、安定的にユーザーを獲得できます。また、一つのアプリにさまざまな機能やサービスが集約されることから、一度ダウンロードすると、利用頻度が低くなったからといって、端末から削除される可能性も低いです。

さらに、利用の動機がアプリ内の音楽サービスだったとしても、普段からアプリを利用してゲームやショッピングをしているユーザーなら、同じようなサービスを展開していることを知り、試しに利用するといったこともあるでしょう。このように、本来の顧客層とはまったく違うユーザーを他サービスに誘導できるのも強みと言えます。

2. コストを抑えてサービス展開ができる

さまざまな機能を要するスーパーアプリですが、実は既存のネイティブアプリより、開発やサービス展開のコストを抑えられます。

日本で主に使用されるOSにはiOSとAndroidがありますが、ネイティブアプリの場合は両方での展開を期待するならそれぞれに対応するアプリを作らなければなりません。けれども、ミニアプリならOS別にアプリを作成する必要もなく、同じ仕様のアプリを1つ作成するだけで済みます。また、ミニアプリをスーパーアプリに取りこみたい場合などでも、スーパーアプリのフレームワークを利用することで開発にかかる時間も短縮可能です。

スーパーアプリ内で新たなサービスを開始する場合では、ネイティブアプリほど大々的な広告を打つ必要もないため、公開時の広告費用も抑えられます。

3. 多種多様な事業拡大ができる

スーパーアプリでは、新事業や事業拡大がしやすいのもメリットの1つです。
ネイティブアプリでは、多種多様なサービスを扱う場合、分野やニーズごとにアプリを開発する必要があり、相当な手間とコストがかかります。一方、スーパーアプリではミニアプリをプラスすればよいだけなので、スピード感のある事業拡大を行えます。

また、新規事業というと大がかりなイメージがありますが、既存のサービスから派生する形で新たなサービスを展開したり、事業を拡大したりできるのもスーパーアプリならではです。すでに固定ユーザーがついているため、新たなサービスに誘導しやすいのもメリットでしょう。

加速が期待されるスーパーアプリの今後

日本でのアプリ市場は、まだまだApp StoreやGoogle Playなどのアプリケーションストアが中心となっており、中国や東南アジアに比べ、スーパーアプリの普及は発展途上です。しかし若年層を中心にモバイルファーストが定着してきた昨今、簡単に利用でき、デバイスの容量を逼迫しないスーパーアプリは、ますます需要が高まると考えられます。

日本でも「LINE」や「PayPay」など一部の企業ではミニアプリを積極的に導入し、スーパーアプリ化が進められています。今後、WeChatやAlipayほどの規模まで発展させられれば、日本のスーパーアプリ市場を牽引していく存在となるでしょう。日本独自のスーパーアプリ市場が成熟すれば、欧米のネイティブアプリプラットフォームとの差別化が図れ、ユーザーの囲い込みも可能です。

また、リモートや非接触コミュニケーションが重視される昨今の現状も、スーパーアプリには追い風と言えます。使い勝手がよく、モバイル社会の現代にフィットしたスーパーアプリは、これからますます需要が高まっていくでしょう。めざましい成長が期待されるスーパーアプリの動向から、今後も目が離せません。

まとめ

スーパーアプリはユーザーの囲い込みや事業拡大のしやすさなど、企業にとって多くのメリットがあります。また、開発コストが既存のネイティブアプリより抑えられるので、参入のハードルも高くありません。今後新規事業や事業拡大を予定しているなら、事業戦略の一環として、スーパーアプリへの参入を検討するのもおすすめです。

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