業務効率化

業務プロセスの可視化で進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)

DXを進める際に取り組むべき課題として、業務プロセスの可視化が挙げられます。属人化などにより、従来は業務のブラックボックス化なども発生しがちでした。これを可視化すれば、既存の業務プロセスに潜んだ問題を明らかにし、効率化や標準化がしやすくなります。本記事では、業務プロセスの可視化の方法や、それに役立つツールを紹介します。

業務プロセスの可視化で進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)

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DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、簡単に言えば、デジタル技術を活用したビジネスプロセスの変革を意味します。DXはしばしば単なるIT化(デジタル化)と混同されますが、両者は異なった概念です。

IT化とは、単にこれまで手作業で行っていた業務をPCなどによる作業に置き換えることです。たとえば、「これまで手書きで作成していた店内のポップをPCで作成するようにした」という事例はIT化に相当します。この場合、ポップの見栄えは多少良くなったにしても、業務そのものの性質やその効果が抜本的に変革したとまでは言えません。

しかし、デジタルデータとして活用できる利点を活かして、お店のSNSアカウントを作り、そこにポップを投稿し、宣伝を行うようにしたらどうでしょう。店内にポップを貼り付けたり、自ら配ったりするのとは、宣伝活動を含めた顧客との関わり方の質はまったく異なることになります。宣伝と併せてLINEでの予約受付等もできるようにすれば、今までになかった顧客層の新規開拓もできるかもしれません。そうなれば、これは既に立派なDXです。

このように、DXとは、単に手作業をデジタルに置き換えるだけでなく、それを基に自社の業務プロセスに変革をもたらし、従来の手法では難しかった何らかの目的を達成することを意味するのです。

DXの目的(DXによって何を達成したいのか)

IT化が業務をデジタルに置き換えること自体を目的にした取り組みだとしたら、DXの場合は、IT化を手段にして、何らかのポジティブな変化を生み出すことを目的にしています。そのため、DXを進める際には、あらかじめ明確な目標を設定することが必要です。以下では、DXの目的を明確化する重要性や、DXの目的をどのように設定したらよいのかについて解説します。

DXの目的を明確化する重要性

先述したように、DXとはIT化による業務の変革を意味し、実施する際にはそれによって何を変革させたいのかを明確にすることが必要です。たとえば、DXによって期待される主な効果としては、コスト削減や業務効率化、生産性の向上といったものが挙げられます。

自社の現状を見つめ直して、DXによってどのようなことを達成したいのかを明確にすることで、DXの対象となる業務や、そこで活用するICT技術の種類等も大きく変わってきます。逆に言えば、この目的の部分が曖昧なままでいると、既存の手作業を単にデジタルに置き換えただけというIT化に留まってしまいます。その目的が組織全体のビジネスモデルの変革等を伴うものであれば、そこでは企業のトップである経営者のDXに対する理解や協力が非常に重要になってくるでしょう。

DXを進めている他社事例を参考にしてみる

目的設定が大事とはいっても、最初のうちは何をDXの目的にしたらよいのかということ自体、手探りの場合も多いでしょう。そうした際には、DXによって業務の変革に成功した企業の事例を参考にしてみることをおすすめします。

たとえば、タクシー会社の日本交通株式会社は、AIによる配車予測システムを開発・導入することで、DXを実現しました。このAIシステムは交通機関の状況や気象情報、時間等の膨大なデータを基にタクシーの需要予測を行うというものです。このシステムにより、日本交通は適切な配車が可能になり、タクシー稼働率の向上に成功しました。

また、自動車部品等を扱っている世界的企業のボッシュは、業務全体の可視化を実行し、業務プロセスにおける非効率性の改善と手戻りの減少を実現し、さらには自動化できる業務の割り出しまでを達成しています。

DXの第1歩目は業務プロセスの可視化

DXを実現するためには、まず業務プロセスの可視化(見える化)を行うことが重要です。というのも、現状の業務プロセスをその細部に至るまで明らかにすることで、自社のどこでボトルネックが生じているのか把握し、変革を起こすべきポイント(DXの目的)も見えてくるからです。つまり、業務プロセスの可視化は、DXのためのファーストステップと言えるでしょう。そこで続いては、業務プロセスの可視化に取り組む方法を解説します。

業務プロセスの可視化に取り組む方法

業務プロセスを可視化する方法としては、第一に既存の業務の洗い出しが挙げられます。たとえば、ある業務に関して、誰が、いつ、どこで、どうやって、どのくらいの頻度や時間・コストをかけて業務を行っているのかなど、業務に関係するあらゆる情報を書きだしていくのです。

こうした可視化作業を通して、異なる部署間で重複する作業を無駄に行っていたことが判明したり、作業と作業の合間に無駄な待ち時間が発生していることを明らかにできたりします。あるいは、業務量が特定の部署・担当者に偏っていることや、特定の担当者でないと処理できないような仕事(業務の属人化)が発生していることが発覚するかもしれません。

こうした課題を解決し、業務プロセスに可視性をもたらすためには、業務フローのマニュアル化や、属人性の排除による標準化が重要になります。業務プロセスの可視化を行うには、対象業務の監督者はもちろん、実際の作業に携わる現場従業員の協力が重要です。また、次項で紹介するように、ITツールを活用するという手段もあります。

業務プロセスの可視化に役立つツール

ITツールの中には、業務プロセスの可視化に役立つツールも存在します。たとえば、PCの操作ログを記録収集する可視化ツールを活用すれば、従業員がPC作業においてどのようなソフトを利用することが多いかが把握できます。ソフトの種類ごとに使用時間を可視化したり、タイピングの回数まで数値で示したりすることが可能です。こうした情報は従業員の業務量や業務効率の把握のほか、IT資産の管理やセキュリティ対策にも役立ちます。

業務プロセスの可視化に役立つ具体的な製品としては、たとえばMicrosoft Plannerが挙げられます。Microsoft Plannerはコラボレーション型のタスク管理ソフトで、チームのメンバーがいまどのような仕事を抱えているのかを直感的に把握できるようにします。Microsoft PlannerをMicrosoft Teamsと連携させれば、仕事の進行状況をグラフなどによって可視化することも可能です。このようにタスク管理ツールを用いてチームメンバーの仕事状況を確認できるようにすると、テレワーク環境であっても、適切なマネジメントやサポートが可能になります。

また、Microsoft Workplace Analyticsは、Microsoft 365に蓄積されたメタデータを収集・分析し、各従業員の業務内容や勤務時間の使い方などを可視化できるツールです。先述したように、業務の可視化に当たっては現場作業員の協力が非常に重要ですが、現実には通常の業務で多忙な従業員を長々と調査に協力させ、煩わせてしまうことは難しい部分があります。その点、Microsoft Workplace Analyticsの収集・分析機能は、現場の従業員がシステムやエクセルなどにわざわざ入力しなくても、自動で情報を処理してくれるので、負担なく業務プロセスの可視化を進めることが可能になります。

まとめ

DXの実施には目的の明確化が不可欠ですが、そのためにはまず業務プロセスを可視化することが必要になります。Microsoft社は、Microsoft PlannerやMicrosoft Workplace Analyticsをはじめ、業務の可視化に役立つツールを提供しています。DXに取り組む際はぜひご活用ください。

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