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銀行のDXとは?金融業界でDXを成功させる秘訣や事例を解説

銀行のDXとは?金融業界でDXを成功させる秘訣や事例を解説

近年、国内ではさまざまな産業でデジタル技術の戦略的導入が重要課題となっており、金融業界でもクラウドコンピューティングやAI技術などの活用が求められています。このような背景のなかで注目を集めているのが銀行DXです。本記事では金融業界におけるDXの概要や具体的な取り組み事例、推進時の注意点などについて解説します。

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銀行におけるDXとは?

2022年はロシアのウクライナ侵攻や32年ぶりの記録的な円安、世界的なインフレ、各国中央銀行の金融引き締めなどの影響により、世界経済は未曽有の混乱に陥る事態となりました。こうした2022年の市場動向を踏まえ、2023年の金融業界ではこれまで以上に経営基盤の抜本的な変革が求められています。このような社会的背景から、国内の金融業界で喫緊の経営課題となっているのが「DX」の実現です。

DX=デジタルによってビジネスを変革させること

DXは「Digital Transformation」の略称で、デジタル技術の活用によってもたらされる変革を意味する概念です。単なる業務プロセスのIT化やデジタル活用とは異なり、最先端のデジタル技術を全社戦略に基づいて活用し、ビジネスモデルや経営体制そのものの構造を変革する一連の取り組みを指します。なお、Transformationの「T」を「X」と略すのは、英語圏で「Trans」や「Cross」を「X」の一文字で表記する習慣があるためです。

DXは当時ウメオ大学の教授だったエリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した概念であり、本来は人々の生活や社会構造の全体的な変革を意味する概念でした。しかし近年では「最先端テクノロジーの戦略的活用による経営改革」といった意味合いで語られる傾向にあります。そして国内のさまざまな事業領域でDXの実現が急務とされる理由のひとつは、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」です。

経済産業省は「DXレポート」のなかでレガシーシステムがイノベーションを妨げる要因となっており、現状のままでは2025年以降に最大で12兆円規模の経済的損失が生じ得ると指摘しました。とくに金融業界は老朽化したITシステムへの依存傾向が強いため、レガシーシステムのモダナイゼーションが求められています。それによって業務プロセスの合理化を図るとともに、新しい顧客体験価値の創出を通じて市場の競争優位性を確保することがDXの本質的な目的です。

銀行でDXを行うメリット

金融業界の事業領域でDXを推進するメリットのひとつは、デジタルバンク化やオンライン決済の推進です。それによってスマートフォンでの残高照会や振込、即時決済などが可能となり、サービス品質の総合的な向上やペーパーレス化による経費削減が期待できます。デジタル技術を用いた先進的なソリューションを生み出せれば、過疎化が進む地方でも都心部と同様のサービス品質を担保できる可能性が高まり、多様化する顧客ニーズに柔軟に対応できる点もメリットのひとつです。

また、近年はメガバンクでもセキュリティインシデントが相次いでいるため、高度なセキュリティ体制の構築が求められています。レガシー化しているITシステムを刷新できれば、ゼロトラストモデルに基づく最新のセキュリティポリシーを設計可能です。さらに先進的なソリューションの導入によって業務プロセスが効率化され、より少ない人的資源で従来と同等以上の生産性を確保できるため、少子高齢化による人材不足や就業者の高齢化といった課題の解消にもつながります。

銀行DXの事例3選

ここでは金融業界における銀行DXの推進事例を3つ紹介します。

チャットボットによる顧客対応の効率化

銀行DXの推進に欠かせないソリューションのひとつが、機械学習や自然言語処理などを活用したチャットボットです。現代は市場の成熟化に伴って金融商品も多様化・複雑化しており、カスタマーサポートの業務負荷が増大していく傾向にあります。チャットボットは顧客からの問い合わせに24時間365日対応できるのはもちろん、ある程度のトラブルであれば自動的に処理できます。メガバンクや大手地銀ではすでに導入が進んでおり、今後はチャットボットでの問い合わせ対応がスタンダードになっていくと予測されます。

スマホアプリによる金融サービスの提供

銀行DXの中核を担うのが金融サービスの非対面化です。入出金明細の照会や振込手続き、資産管理、カードローンの借入・返済など、各種金融サービスをスマホアプリ上で提供できれば、顧客側は来店の手間がなくなり、銀行側は対面業務の負荷や人件費などを削減できます。とくに紙の通帳は時代遅れとなりつつあり、紙通帳利用手数料を徴収する銀行も少なくありません。金融サービスをスマホアプリ化できれば、これまでにない顧客体験価値の提供によって新規の顧客層を取り込める可能性も高まります。

デジタルバンクとの連携で幅広いターゲットへのアプローチ

銀行の三大業務は預金・融資・為替であり、これらの金融サービスをデジタル化し、先進的な顧客体験価値を提供することが銀行DXの目的のひとつです。とある銀行グループはデジタルバンクを設立し、そちらで非対面の金融サービスを提供しつつ、従来の銀行で対面業務を担うという経営体制を構築しています。対面・非対面が融合されたハイブリッドな金融サービスの創出により、幅広い層の見込み客や顧客へのアプローチが可能となりました。

また、金融DXにおける重要課題のひとつは、高度なセキュリティを担保しつつ、ニューノーマル時代に即したテレワーク環境を構築することです。本事例の銀行グループはMicrosoft 365を中心にクラウドマイグレーションを進め、ゼロトラストモデルに基づくセキュリティ要件を確保しながら、多様な働き方に対応できるテレワーク環境を構築しました。その際は小さな段階に分割して進めるアジャイル型でプロジェクトを推進し、わずか8ヵ月で堅牢なセキュリティを誇るデジタルワークプレイスを構築しています。

銀行でDXを行う際の注意点

DXを推進する際は老朽化している既存のITインフラを大幅に刷新する必要があり、相応の投資リスクを伴う点に注意しなくてはなりません。国内企業は世界的に見ても保守的で、伝統を重んじる日本人の国民性も相まって、基本的に変化を好まない組織が多い傾向にあります。そのため、大規模な構造改革になるほど経営層の承認を得るのが困難となるでしょう。

また、新規ソリューションを導入する際は既存のITシステムやアプリケーションとの連携性・互換性も考慮しなくてはなりません。既存のITシステムがブラックボックス化している場合、マイグレーションの際にファイルの破損やデータの消失といったリスクを伴います。そのため、金融業界におけるDXを推進する際はIT分野に特化したDX人材の登用が不可欠です。

Microsoft 365でスムーズなDX実現を!

先述したように、銀行DXを実現するためにはシステム環境のモダナイゼーションが不可欠です。しかし、銀行のシステムは巨大なうえに、高い安定性が求められるため一気に変革できるものではありません。そのため、段階的にIT インフラの刷新を行うことになります。そこでファーストステップとしておすすめしたいのがMicrosoft 365の導入です。まずは組織のコラボレーション基盤をクラウド化し、物理的なITインフラの保守・運用といった業務負荷を軽減できれば、空いたリソースをDXの推進やコア業務に集中できます。

また、Microsoft 365の導入により、ゼロトラストモデルに基づくネットワーク環境を整備できるため、セキュリティとアジリティに優れるコラボレーション基盤の構築が可能です。レガシーシステムを抱えている銀行では、ネットワーク障害やセキュリティインシデントによって多大な損失を被る可能性があります。クラウドベースのセキュアなコラボレーション基盤の構築を目指すのであれば、Microsoft 365の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

事業領域におけるDXは、デジタル技術の活用による経営改革を意味します。金融業界では老朽化したITインフラを運用している組織が多く、システム環境のモダナイゼーションが必要です。先進的なITインフラを構築できればセキュリティの高度化と業務プロセスの合理化につながるとともに、デジタルバンクやオンライン決済といった新しい顧客体験価値を提供できる可能性が高まります。ただしITインフラの刷新は相応のリスクが伴うため、計画的かつ段階的な実践が必要です。まずはMicrosoft 365のようなクラウドサービスを活用し、コラボレーション基盤のクラウド化から取り組んでみてください。

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