セキュリティ

プロジェクト管理の代表的なメソッドと管理体制

社内でプロジェクトを任された責任者は、メンバーに業務を割り振るだけでは目標に到達することは難しいです。では具体的にはどうすればいいのでしょう。
この記事では、プロジェクトを成功させるためのプロジェクト管理の代表的な手法や考え方、チームの管理体制や運用の注意点などを紹介します。

プロジェクト管理の代表的なメソッドと管理体制

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PMBOKとは

プロジェクトとは、ある目標や目的を達成するために行われる計画の事を指します。事業内容や規模などによって様々ですが、大抵の場合は決められた一定数のメンバーでプロジェクトを遂行していきます。周りのメンバーの進捗状況の把握や業務の負荷の偏りをなくすための人員再配置、またコストやスケジュールの管理など、規模が大きくなれば管理が困難になってきます。そのような場面で用いられるものがPMBOKやCCPMといったプロジェクト管理手法です。

PMBOKとは

PMBOKとは「Project Management Body Of Knowledge」の略称で、プロジェクト管理の知識を体系的にまとめたものです。米国のプロジェクトマネジメント協会PMI(Project Management Institute)が1996年に初版を発表してから約4年に1度の間隔で改訂されており、2021年には第7版が発行されています。実際にこの手法を取り入れている企業は世界各国に多く存在し、現在では「プロジェクト管理の世界標準」とされています。

QはQuality(品質)、CはCost(費用)、DはDelivery(納期)を表し、プロジェクト管理での達成すべき3要素と呼ばれています。PMBOKが登場する前はQCDの目標を定め、それに向けてプロジェクトをコントロールしていくといった手法が成されていました。しかしこの手法ではプロセスまでは管理できず、結果的にQCDを達成することは難しいです。そこで、プロジェクトをプロセスから管理するという考え方、またそのための知識をまとめたものがPMBOKです。

PMBOKの骨組み

PMBOKではQCDを達成させるためのコンセプトとしてプロジェクトの開始から完了までを「5つのプロセス」に分けています。

  1.  立ち上げプロセス:
    プロジェクトを発足する前に目標・目的・予算・正解を定義し、利害関係者を特定し、認可を得るというプロセスです。
  2.  計画プロセス:
    立ち上げプロセスにて定義した目的、目標をもとに作業計画を作成するプロセスです。具体的に計画を立て、作業の一連の流れを決定します。
  3.  実行プロセス:
    立案した計画に基づいて人員の調達や割り振りを調整し、実際にプロジェクトを実行するプロセスです。5つのプロセスの中で最もリソースを消費するもので、その結果によっては計画の練り直しや目標の再設定を行うこともあります。
  4.  監視・コントロールプロセス:
    実際にプロジェクトを進めている最中に、作業と計画との齟齬が生じていないかを検討するプロセスです。齟齬が確認された際は調整します。
  5.  終結プロセス:
    これまでの各プロセスが無事完了したことを確認し、プロジェクト全体を正式に終結させるプロセスです。また次回以降のプロジェクトに今回のプロジェクトで得られた情報や結果を活用しやすいように整理し、保管します。

これらのプロセスにそれぞれ10種類の知識エリアが適用されます。しかしすべてのプロセスに必要なものもあれば一部のプロセスのみ必要なものもあります。

  1.  統合管理:
    プロジェクト全体を進めていくために他の9つの知識エリアを統合するエリアです。
  2.  コスト管理:
    プロジェクトでかかる費用を算出し、予算内で収めるエリアです。予算を超過しないようにコントロールしながらプロジェクトを進めていきます。
  3.  スケジュール管理:
    プロジェクトを進めていくためのスケジュール管理を行うエリアです。時間あたりの効率を高めるために調整します。
  4.  リスク管理:
    プロジェクトを進めていく上で起こりうるリスクを管理するエリアです。リスクを把握し、最小限に抑えます。
  5.  調達管理:
    プロジェクトに必要なリソースの調達を管理するエリアです。到達先の選定や契約などの管理も含まれます。
  6.  スコープ管理:
    プロジェクトのスコープ(範囲)を明確に定め、目標を達成するために必要な成果物とタスクを定義するエリアです。10種類のエリアの中で最も目標達成率を高める部分となります。
  7.  コミュニケーション管理:
    利害関係者(ステークホルダー)との最適なコミュニケーションを行うためのエリアです。単に情報を伝達するだけではなく関係者の理解を得られるところまでを管理します。
  8.  資源管理:
    プロジェクトのための人材や物資を調達・管理し、その編成や配分を管理するエリアです。
  9.  品質管理:
    プロジェクトの結果や成果物の品質を管理するエリアです。プロジェクトの品質とはクライアントが求めている通りであることを言います。
  10.  ステークホルダー管理:
    利害関係者に必要な情報を共有、管理するエリアです。

さらに各プロセスの各知識エリアに3つのパートがあると考えます。

  1.  入力「何をもとに」
  2.  ツールと技法「どのようにして」
  3.  出力「どのような結果を出すのか」

を示したものです。

PMBOKの限界

ここまでPMBOKを説明してきましたがこれはあくまでプロジェクト管理の考え方や基礎知識が記載されているのみです。PMBOKからヒントを得るという活用法は効果的ですが、具体的な内容、方法はないため実際にプロジェクト管理をするとなると別途ツールを用意する必要があります。また単体のプロジェクト管理の考え方となっているため、プロジェクトの同時進行には向いていません。

プロジェクト管理の代表的なメソッド

では、実際にプロジェクトを管理する際に必要なメソッドについていくつか紹介します。

WBS(Work Breakdown Structure)

タスクを細分化し、全体を把握できるよう一覧表にしてまとめたものです。WBSには細分化したタスクに担当者、開始日と終了日を記載します。WBSのメリットは

  • 全体像を把握できる
  • タスクの抜けを見つけやすい
  • 全体の工数見積もりが行いやすい

といった点があります。しかし、プロジェクトを進めていく時間軸の記載がないため進捗状況の確認という点では、次に紹介するガントチャートの方が優れています。

ガントチャート

ガントチャートとは、縦軸にタスクや担当者を、横時に日時を設定してスケジュールの流れと全体像を管理するものです。WBSに比べ、全体の作業工程、スケジュール、進捗状況が視覚的に把握できるため多くの企業で運用されています。

PERT

PART(図)とは、各工程を矢印でつないで全体の流れを把握し、その工程にかかる日数を表したものです。先述のガントチャートとの相違点は表現方法です。PARTは別名アローダイヤグラムともいわれ、工程の関連性が可視化できます。それによりプロジェクト内で重点を置くタスクがどこなのかを把握できます。それに対しガントチャートは棒グラフで表現するため、工程のつながりが分かりにくくなっています。

CCPM

CCPMとは各タスクの納期を圧縮し、バッファの期間を設けるプロジェクト手法です。本来、各タスクには一定のバッファが含まれています。しかしこのようなプロジェクト管理だと早くタスクが終了してもバッファをあるだけ消費してしまいがちです。そこでCCPMでは各タスクのバッファを考慮せず、バッファをプロジェクト全体で共有し、消費します。

プロジェクトの管理体制と役割分担

では実際にプロジェクトを遂行するメンバー構成についての考え方を説明していきます。

プロジェクトの管理体制

一つのプロジェクトチームの人員構成は基本的にPM(プロジェクトマネージャー)とPL(プロジェクトリーダー)、そしてプロジェクトメンバーで構成されます。任命されたPM、PLはこのプロジェクトに参加するメンバーを選出し、それぞれの役割を決定します。メンバーが多くなるにつれ、細かい役割分担を定義しておいたほうがプロジェクト成功に繋がります。

PMとPLの違い

PMはその名の通り、プロジェクトの計画をたてて管理し、実際の進捗状況のチェックやスケジュールの調整などを行います。またクライアントとのやり取りやその内容をメンバーに説明します。さらにプロジェクト全体の責任者でもあります。PLはPMが構築した計画に従いチームを指揮し、実行します。直接メンバーとのやり取りを行うため、コミュニケーション能力が求められるポジションといえます。

役割分担の重要性

PMやPLは確かに責任が大きい役割です。しかしプロジェクトメンバーにも任されている役割があります。役割を分担する時にはその重要性も同時に説明しておきましょう。そして他メンバーの役割を明瞭化しておくことをおすすめします。それにより自身の責任を理解し作業することができます。実際に分担する際には先述のようにWBSなどを用いてタスクを細分化しておくとわかりやすいでしょう。

まとめ

プロジェクト管理における代表的な考え方や手法、管理体制などを説明しましたが実際にはこれだけではなく他にも存在します。AsanaやMicrosoft Projectなどの代表的な管理ツールを使用し、自身の環境に合った手法でプロジェクト管理を運用しましょう。

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