経営/グローバル

【イベントレポート】ASEAN CONFERENCE 2018

日本にとってもアジア経済圏がより重要性を増す中、2018年にはASEANにおける関税が撤廃され、ヒト・モノ・カネの流れに変化が起き、さまざまな産業において一層注目を集めています。そのような背景のもと、日本マイクロソフトでは、7月10日に開催された東洋経済新報社主催のイベント「ASEAN CONFERENCE 2018」に協賛し、他の協賛社とともにセッションを行いました。

Microsoft Dynamics 365概要

「リアルタイム経営管理」のポイント

ASEAN経済の最新動向や、実際のASEANでの事業進出の事例が発表される中、「ASEAN × リアルタイム経営管理の阻害要因と解決策」と題し、ASEANに進出する日本企業に対して、システムの観点から提言をおこないました。

セッションはパネルディスカッション形式で行われ、株式会社日立ソリューションズの池田健太郎氏がファシリテータとなり、日本マイクロソフト株式会社 Dynamics ビジネスアプリケーション統括本部の田村元氏、Hitachi Solutions (Thailand) Ltd. の出木晶氏がテーマに沿って話をする形式でお行われました。

リアルタイム経営管理というテーマに対して、まず田村氏が口火を切りました。「これまで多くの企業で経営ダッシュボードのようなしくみに取り組んできましたが、従来は技術的な制約もあり、実現できた例は少なかったのが現実です。しかしいまは世界中の向上における生産状況をリアルタイムに見ることが現実になってきて、期待値も高まっています」と、あるファブレス企業の例を挙げながら説明しました。

続いて、それを実現するために必要なものとしてまず挙げられたのは、基盤の重要性です。かつては様々なデータが物理的に分散していたため、データを定期的に送付したり、間に人の作業が介在するなどしてリアルタイムな可視化は難しかったのです。

しかし、いまはクラウドの基盤があり、「つねに誰からでも手の届く範囲にデータを置くことができます。しかし、それ故にセキュリティやガバナンス上のリスクがより大きくなってしまっている側面もあります」と田村氏は警鐘を鳴らします。

「リアルタイム経営管理にクラウドが果たす役割は大きいですが、同時にクラウドであればなんでもいいということではありません。適切なアクセス管理やセキュリティコントロールが可能であるという条件を満たして初めて成り立つのです」と田村氏は続けました。

また、出木氏より、経営管理という視点では単に現時点の状況を可視化できるだけではなく、将来の予測や意思決定を支援するような仕組みが不可欠であるという提言があり、単なる基盤としてのクラウドではなく、AIなどを組み合わせた付加価値を求める意見も出されました。

【イベントレポート】ASEAN CONFERENCE 2018日本マイクロソフト株式会社 田村 元氏

ASEAN固有の取組み

次に、今回のイベントのテーマであるASEANでの事業展開という視点で意見が交わされました。ASEAN固有の事情としては、人件費が低く、システムにコストをかけるより人海戦術で行ったほうがコストメリットがあることや、国ごとに言語が異なり全員が外国語である英語でのコミュニケーションを行うことによる損失などが挙げられました。

ここでも田村氏は次のような現状を語ります。「人海戦術のほうがコストが安いというポイントについては、より企業としてグローバルでの最適化という視点を忘れないような助言を行っています。ASEANだけの事情で言えばそうかもしれませんが、ASEANだけで事業展開をしている企業はないはずです」。さらに言語に関しても「各自が外国語である英語を使うことによって、結果的に共有される情報量が減ってしまいます。しかし、システムによる翻訳機能によって、各自は母国語で詳細な情報を共有することが可能になり、情報のロスをなくすことができるのです」。

また言語という意味では、日本企業と現地の従業員の理解を共通化する言語の不足も課題に挙げられました。単語としては理解できていても、異なる意味で受け取っていたり、定義や範囲が異なるということは頻繁に発生します。日本企業は歴史もあり、独自のノウハウによって培われた技術があるが故の問題でもあります。

この点に関し出木氏からは「システム自体を共通言語にしてしまうことも解決策の一つです」とし、「たとえば日本語の稟議を、そのままシステム上に『RINGI』と実装することで共通語とすることができました」という事例を紹介されました。

また、ASEANに限らず海外との違いとして、田村氏は、たとえば製造業におけるIoTの活用はまだまだ実証実験の域を出ていないケースが多いとし、「海外ではIoTのデータはすべての経営データと統合されることを前提に初めから取り組まれています。取り組み自体も日本企業はまだチェレンジしなければいけない部分があるでしょう」と述べました。

リアルタイム経営管理を実現する基盤

最後に、リアルタイム経営を実現するためにマイクロソフトが提供するプラットフォームについて田村氏より紹介がありました。「リアルタイム経営管理に必要なデータはトランザクションデータにとどまりません」と前置きしたうえで、「リアルタイム経営を実現するには、メールなどを含めたコミュニケーションの記録や、IoTやソーシャルネットワークによって生成される大量のデータを統合できることが重要な要件になってきます。そのためにマイクロソフトではAzureという共通のプラット―フォームの上に、トランザクションデータを扱うDynamics 365、コミュニケーションを扱うOffice 365、そしてAzure上で利用できるAIやIoTのプラットフォームを共通の基盤として提供しています。冒頭に述べた、クラウドに必要なセキュリティやガバナンスの機能ももちろんそろっています」と、基盤としての価値を再度確認して、パネルディスカッションを締めくくりました。

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