経営/グローバル

中小企業こそ無駄をなくし業務改善を!その手法 ECRS(イクルス)とは?

企業規模が小さいほど業務改善は成功しやすいとされています。その理由が「組織全体の業務を見渡しつつ改善に取り組みやすいから」です。極端な話、個人事業主の業務改善はほぼ100%成功します。経営者自身がすべての業務を行っているので、業務内容や流れ、影響範囲のすべてを把握しており、かつ複数の人材が関わっていないため変更を容易に行えるからです。

中小企業の中には「業務改善は難しいもの」と考えている経営者が多いようですが、そう悲観的になることはありません。「中小企業ほど業務改善に成功しやすいんだ」と考え、もっと積極的に取り組むことが大切です。ただし、だからといって簡単なものではありません。本稿では中小企業の業務改善に大切なポイントとその手法ECRS(イクルス)についてご紹介します。

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中小企業の業務改善で一番大切なこと

まず最初にとある中小企業の事例をご紹介しましょう。この会社では営業/エンジニア/運用といった各部署のリーダーが定例会議を実施し、毎回業務改善について討論したにもかかわらずなかなか業務改善が実現しませんでした。しかし、たった1つの行動で業務改善が劇的に進んだそうです。その行動とは「営業/エンジニア/運用各部署から1名を選出し、隣同士のデスクで仕事をさせた」というものです。

それによって、営業は商談の際にエンジニアが必要とする説明が如何にできていなかったかを痛感し、エンジニアは運用のことをまったく考慮していなかったことに気づきました。

この事例から言えることは、業務改善に係る人材1人1人が業務全体を理解することで業務改善のスタートラインに立てるということです。これこそが中小企業の業務改善にとって一番大切なことであり、大企業にはない中小企業の強みだと言えます。

業務改善の進め方

業務改善のプロセスを分類すると、大きく5つに分けることができます。

①改善要求

②実施確認

③問題定義

④解決策立案

⑤解決策実行

業務改善では正しいプロセスで推進することが大切なので、まずは各プロセスの内容について理解していきましょう。

業務改善プロセス

プロセス

作業No.

作業内容

概要

改善要求

1

改善要求

現場から業務改善を始めるきっかけになる要求(アイディア)が提案される。

実施確認

1

実施確認

業務改善を本当に実施してもよいものかを確認し、どこから取り組むのかを明確にする。

2

実施必要性調査

業務改善実施を判断した後に、論拠が事実であるかどうかを調査する。

3

コンセプト設定

業務改善の目的や方向性などのコンセプトを決定し、業務改善によって何を得たいのか、どこに着したいのかを具体的に定義する。

問題定義

1

ヒアリング&実測

業務改善の理想と、現実の業務にどれくらいのギャップがあるのかを現場へのヒアリングや実測をもとに評価する。

2

問題定義

評価の結果、それらのギャップはどこに原因があるかなどの問題を掘り下げて定義する。

解決策立案

1

条件確認

業務改善に取り組むにあたり目標/予算/期限/メンバー等を事前に確認し、業務改善に投じることができるリソースを確認する。

2

優先順位付け

実施改善策決定

上記条件によって実施できる業務改善は変化するため、実施できる範囲で優先的に取り組むべき改善を決め、実施可能な改善策を決定していく。

解決策実行

1

利害関係者への調整および管理責任者指名

実施する業務改善内容が具体的に決定したらメンバーへの調整を行い、業務改善責任者とそれぞれの役割を任命する。

2

パイロット運転

業務改善を大きく実行するためにごく一部のところでパイロット運転(スモールスタート)を実施し、問題点を吸い上げて新しい改善策を立てる。

3

改善策実施

最終的な業務改善策を目的のところで実施する。

4

PDCAサイクル

業務改善本番を評価し、問題点があれば期限内で改めて改善を繰り返していく。

業務改善に向けたECRS(イクルス)の取り組み

上記の業務改善プロセスの中で常に意識していただきたいことが「ECRS(イクルス)」です。これは「Eliminate(無くす)」「Combine(まとめる)」「Rearrange(組み替える)」「Simplify(簡単にする)」4つの言葉の頭文字を取ったもので、それぞれが業務改善を実施する上で大切なフレームワークになっています。つまり「無くす/まとめる/組み替える/簡単にする」の順で業務改善について考えることで、効率良く高い改善効果が得られるというわけです。

①Eliminate(無くす)

日常的に実行している業務の中には「本当に必要かどうか判断に困る」といった業務が多数存在しています。たとえば管理者や役員が本当に目を通しているかどうかも怪しい資料の作成。こうした不要な業務を無くすことで高い改善効果が得られますし、無くすことは業務改善において最も少ない労力で高い効果が得られる施策です。

②Combine(まとめる)

無くすことができない業務に関してはまとめることを検討してみます。たとえば毎週実施している定例会議は、会議自体を無くすことはできなくてもそれ以外の会議内容を定例会議にまとめることは可能ですね。同じメンバーばかり集まっているのならば、会議室に集める時間なども考慮すると会議回数はできる限り少ない方が生産性がアップします。会議の出欠確認を取る回数も少なくなるので、会議にかかる時間とコストを大幅に削減できます。このように業務を可能な範囲でまとめることで、不要な業務を無くすことと同じくらい高い改善効果が得られます。

③Rearrange(組み替える)

業務を実行する順序や作業手順は、作業マニュアルが存在しなくても大方決まっているものです。だだし、その順序や作業手順が本当に最適かどうかは誰にも分りません。その場合、業務プロセスの順序や作業手順を組み替えることで業務効率がアップするというケースがあります。たとえばルート営業の場合、訪問ごとにルートを変更することで効率良く時間を使うことができたり、システムへのデータ入力手順を変えるだけで入力作業が1回で済んだり、組み替えられるポイントを色々とあると思うので業務改善施策の1つとして盛り込むとよいでしょう。

④Simplify(簡単にする)

組み替えることも難しいというのであれば、最終的には業務を簡単にすることを検討します。業務内容やチェック手順などを簡単にすることができれば、少ないながらも業務改善に貢献し、それが積もれば大きな業務改善を実現できます。たとえば頻繁に発生する資料作成業務に関してはテンプレートをいくつも用意して都度適切なものを選べるようにしたり、業務の一部を専門会社にアウトソーシングしたりするというのも1つの手段です。業務改善のためにITツールを取り入れることでも生産性を大幅に向上できます。業務を簡単にするためには時に投資も必要ですが、その投資以上の効果が得られるように正しく計画/運用すれば、イノベーションが起こるほどの業務改善を実現することも可能です。もっとも、投資費用とパフォーマンスのバランスを考慮して最適な取り組みを選ぶことが一番大切です。

いかがでしょうか?業務改善は難しく考えるのではなく、このようにシンプルに考えることでより成功しやすくなります。また、部門間の連携や業務効率化を行うために最近では中小企業においてもクラウドERPの導入が進んでいます。

本稿の内容を参考に、ぜひ業務改善に取り組んでみてください。

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