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BPMSとは? BPMとの違い・BPMNとの関係と効果的なツール

BPMSとは? BPMとの違い・BPMNとの関係と効果的なツール

「BPMS」とは、ビジネスプロセスの設計・実行・管理をサポートするITツールです。BPMSに関する基礎知識を理解しておくことで、ツール導入の判断材料を得られるでしょう。本記事では、BPMSの他、「BPM」の概要や違い、「BPMN」との関係、導入のメリットやデメリット、導入後に失敗しないためのコツを解説します。お読みいただければ自社でBPMSを導入すべき理由に納得し、安心してBPMSを導入できるようになります。

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BPMSとは?わかりやすく解説

「BPMS」の基礎知識を理解するためには、「BPM」や「BPMN」などの関連用語も、併せて知ることが必要です。まずは、BPM・BPMS・BPMNそれぞれの概要と相違点を解説します。

BPMSとは

BPMSとは、BPMの実行を支援する情報システムです。既存のビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化、またはモデル化してボトルネックを特定し、その問題を改善した新しいビジネスプロセスを、設計・実行・管理するために活用されます。したがって、ユーザー企業は自社のビジネスプロセスの仕組みにおける、効率的な見直しと改善が可能です。また、該当の業務に取り組んでいる従業員の進捗状況の把握など、リアルタイムでのタスク管理もこなせます。

BPMSは、これまで手作業で行われていた、業務の自動化を実現するためのソリューションです。その結果、ユーザー企業は従業員の負担を減らしつつ、より迅速でミスの少ない業務遂行の実現に期待が持てます。

こうした数々の機能に加え、KPIの設定や測定の機能も含まれているので、PDCAサイクルを回しつつ、ビジネスプロセスの改善にも非常に役立つでしょう。

BPM(ビジネスプロセス管理)との違い

BPMとは、「Business Process Management」の頭文字をつなげた略称です。簡単にいえば、自社の事業活動に付随する一連のプロセスを管理し、継続的に改善していく活動です。BPMにおいては、目的であるプロセスの最適化を達成するために、自社のビジネスプロセスの可視化・モデル化・分析・評価・監視・改善など、さまざまな取り組みを行います。

こうした一連の取り組みを、すべて手作業で行うことになれば、膨大な手間と時間がかかるので、しばしばテクノロジーの力を借ります。その際、BPMの支援に特化したツールとして、活用されるものがBPMSです。

BPMNとの関係

次に押さえておきたい点は、「Business Process Model and Notation」の略称である、BPMNとの関係です。「Notation」とは、日本語で「表記」を意味することから、BPMNは「ビジネスプロセスのモデリング表記法」と訳せます。要するに、アイコンや記号などを使って、ビジネスプロセスをわかりやすく、視覚的にモデル化する手法です。

BPMNを活用することで、複雑なビジネスプロセスも簡単に構造を理解しやすい形に可視化できます。BPMNは、既存のビジネスプロセスを可視化・分析するために活用されることはもちろん、新しいビジネスプロセスを設計する際にも有効です。BPMSには、このBPMNの手法に基づいて、ビジネスプロセスをモデリングする機能が搭載されています。

BPMSが重要視される理由・背景

BPMSが重要視される理由・背景

BPMSが重要視されている背景として以下があります。

  • DXが進んでいる
  • 生産人口の減少

日本国内に留まらず、世界各国でDXが進んでいることが、BPMSが注目を集める理由の1つです。各企業は業界内での地位を上げるために競争力を高める必要があります。競争力を高める方法の1つが業務のDXです。BPMSの導入はDXの推進に貢献できます。

また日本国内で生産人口が減り続けていることも要因です。少子高齢化の影響で生産人口が減り、各企業で人材の獲得競争が行われています。獲得競争に力を入れることも重要ですが、既存の社員でいかに効率よく業務を回せるかも重要です。BPMSを導入し、業務プロセスを見直すことで、生産人口の減少に対応しようとする企業が増えています。

BPMSのメリット

BPMSを導入することにより、企業は以下のようなさまざまなメリットを得られます。

  • ボトルネックを発見しやすくなる
  • 業務品質の向上が見込める
  • 業務の属人化を防げる
  • 組織内の連携性を高める

例えば、BPMSはビジネスプロセスを可視化できるため、そこに潜むボトルネックを発見しやすくなります。設計したビジネスプロセスが、効果的に機能するかどうかをシミュレーションしたり、KPIを管理した新しいビジネスプロセスが、狙い通りに機能しているかどうかを確認したりする検証も可能です。BPMSのこうした機能は、自社のビジネスにおける市場の動向や顧客のニーズへの、柔軟かつ迅速な適応をサポートします。

また、BPMSにおいて業務を自動化することで、業務品質の向上が見込めます。人間が作業を行うと、担当者による業務品質のばらつきやケアレスミスなどのヒューマンエラーなど、トラブルが発生しがちです。その点、タスクを自動化すればこのような問題が解消されるだけではなく、従業員の業務負担が減るので、より複雑で付加価値の高い業務に集中できるようになるかもしれません。さらに業務の処理は従来よりも少ない人員で済むため、人件費などのコスト削減にも期待が高まります。

その他には業務の属人化を防げることがメリットです。BPMSを導入すると、各業務の取り組みの様子を可視化できます。その際に特定の業務を実施する社員が固定されているケースが見られるでしょう。こういったケースでは業務が属人化しているため、企業として望ましい業務体制ではありません。BPMSで可視化をすることで、業務が属人化していること自体に気がつけるため、対策を取れるようになります。

組織内の連携性を高められることもBPMSを導入することのメリットです。特に部署ごとの業務の偏り解消や、シナジーがある業務でのノウハウ共有で組織内の連携性を高められます。BPMSでリソースやノウハウを可視化することで、組織内の連携強化を実現可能です。

これらの結果、企業はビジネスパフォーマンスを効果的に改善し、生産性の向上に拍車がかかるでしょう。

BPMSのデメリット

BPMSのデメリット

BPMSの導入には以下のデメリットも存在します。

  • 導入作業や、使い慣れるまでに時間がかかる
  • 導入後も改善に向けて定期的に見直しをする必要がある

BPMSは導入自体の作業や、導入後に効果が出るまでに時間がかかります。まずBPMSはさまざまなサービスがあるので、選定に時間がかかるでしょう。また社員がBPMSに使い慣れるまでにも時間がかかります。導入後、すぐに効果を発揮するサービスではないことは理解しておきましょう。

またBPMSは導入したら終わり、というサービスではありません。導入し、業務の見直しをするところがスタートです。また1度業務の見直しをしたあとも、定期的に見直しをしていくことで、ようやく効果が出てきます。

BPMSの導入がおすすめの組織・企業の例

BPMSの導入がおすすめの組織・企業の例

結論から述べると、BPMSの導入は大半の企業におすすめできます。

どんな企業であってもBPMは必要な取り組みです。前提として課題がない企業は存在しません。客観的に課題を把握できるBPMSは、BPMを実施するために有効なソリューションです。

逆にBPMSの導入が不要な企業はリソースが少ない企業です。社員やツールなどのリソースが少なく、いつでも把握、可視化ができるような企業であればBPMSを導入せずとも業務プロセスを改善できるでしょう。

多くの企業で導入を検討する価値があります。

BPMSの活用方法

BPMSの活用方法

BPMSの活用方法は以下の流れで進めることが一般的です。

  1. 業務プロセスの整理
  2. 実行
  3. 分析
  4. 改善

1.業務プロセスの整理

BPMSを導入したら、まずは業務プロセスの整理をしましょう。

課題を抱えていると感じる業務を中心に、業務プロセスを可視化してください。そうすることで、何が問題で何を改善すべきなのかが見えてきます。逆に考えると、業務プロセスを整理しなければBPMSを使っても改善ポイントが見えにくく、せっかくの導入が無駄になってしまいます。

業務プロセスの整理とBPMSによる業務状況の把握によって、課題が見えてくるでしょう。

2.実行

次に、見えてきた課題に対して、アプローチを実施します。

課題ごとに最適なアプローチは異なります。例えば以下のような方法が考えられます。

  • 特定の部署に業務が集中しすぎている
    →同様のスキルや人材をアサインできる部署に業務を分散させる
  • 部署内で1つの業務を数カ月間ずっと同じ人が担当している
    →属人化を防ぐため2人で担当させる

課題が見えてきたら、アプローチを検討しましょう。複数のアプローチが考えられるケースでは、まず最適だと思うものを採用し、効果がなければ別のアプローチを試します。BPMSで把握した課題に対する解決策を、着実に実行に移しましょう。

3.分析

さらに、実行したアプローチによって課題がどの程度解消されたのか、効果を測定します。

例として特定部署に業務が集中しすぎているケースを考えてみましょう。解決のアプローチとして、同様のスキルや人材をアサインできる部署に業務を分散させることにしました。この場合、業務を分散させる前後で各部署の業務時間を計測します。計測結果によって、効果があったのか、なかったのか判断が可能です。

分析に必要となる指標は、アプローチによって異なります。正しく分析できるよう、どういった指標で計測をするのか十分に検討してください。指標をBPMSが提案してくれる場合もあるでしょう。

4.改善

分析結果によって、次の取り組みを決めるのが、改善のフェーズです。

分析した結果、効果が現れていれば、より効果を出すためにはどうすればいいのか、また他の業務にもアプローチを活かせないのか検討してください。
逆に、効果が思わしくない場合には、指標の見直しやアプローチそのものの見直しを実施しましょう。

この1~4のプロセスを定期的に繰り返すことで、BPMSによる業務プロセスの効率化が実現します。

BMPS導入を失敗しないためのポイント

続いては、BPMSの導入を失敗しないためのコツを解説します。

目的を見失わないようにする

BPMSの導入を成功させるには、そもそも自社にとって、「BPMの成功」とは何を意味するのか、目的を明確にしなければなりません。BPMSの機能は多岐にわたりますが、なおさら導入の目的を明確化しておかないと、施策の方向性が散漫になってしまいます。また、慣れ親しんだビジネスプロセスが変更されると、従業員の協力も得にくくなるでしょう。それゆえ、BPMを成功させるには、自社の戦略的な目的を設定することが必要です。

目的を決める際には、まずは自社の課題や懸念点を洗い出し、緊急性や期待される改善効果の大きさなどに応じて、優先順位をつけていきましょう。その後、改善したい内容から逆算して、具体的な改善策を検討します。その際には、BPMSのモデリング機能やシミュレーション機能の活用がおすすめです。

現場担当者もメンバーに加える

現場の担当者をBPMプロジェクトに加えることも重要です。BPMでは、BPMSをはじめとしたIT活用がカギですが、実際の現場を知らないシステム担当者やベンダーに依存して、一方的にビジネスプロセスを変更することは失敗のもとです。

変更されたビジネスプロセスやツールを実際に使うのは、あくまで現場の担当者であるため、彼ら自身が業務改善の必要性や有効性を理解していなければ、いつの間にか元の木阿弥になってしまうおそれもあります。それゆえ、BPMプロジェクトのメンバーには現場からも人材を募り、ユーザー目線を意識した改善への配慮が欠かせません。

PDCAを回しながら実行と改善と繰り返す

BPMSはPDCAサイクルを回しながら、業務プロセスの改善を継続していきましょう。

BPMSは導入をしたら業務が自動的に改善されるサービスではありません。業務プロセスやリソース状況の可視化や、プロセス改善の提案はしてくれますが、改善の取り組みは社員が実行する必要があります。そしてその実行にどれだけの効果があったのかを測定し、新たな改善策を見出すことでPDCAサイクルが回ります。

BPMSは業務を丸投げして自動化するツールではありません。BPMSは導入後に協力して業務改善を進めるパートナーとして考えておきましょう。

おすすめのBPMツール「Power Automate」

BPMSを導入するなら、Microsoft社が提供するツール「Microsoft Power Automate」がおすすめです。Power Automateには、エンドツーエンドでビジネスプロセスをモデリングする機能や、ボトルネックを自動的に分析して改善を提案する機能など、BPMを効果的に進めるための機能が数多く搭載されています。

Microsoft Power Automateは、誰もが使いやすい直感的なインターフェースが特徴で、使いこなせば現場主導による業務の自動化も可能です。多種多様なアプリと連携できる、拡張性の高さも魅力的なポイントです。Microsoft Power Automateを活用すれば、自社の自動化・効率化が促進されるでしょう。

Power Automateで業務を自動化し、業務を任せている時間を使って、新たな業務に取り組みましょう。リソースを集中させるべき業務に社員をアサインすることで、自社のより高い競争力を生み出すことにつながります。Power Automateで自社の競争力向上を実現させましょう。

まとめ

BPMSは、ビジネスプロセス管理(BPM)の効率的な実施を可能にするITツールです。BPMSを活用することで、ビジネスプロセスをモデリングし、ボトルネックを迅速に発見したり、業務を自動化したりするなど、自社のパフォーマンスを効果的に高められます。

BPMSは導入したら効果が出るのではなく、その後どのように業務改善を進めていくのかが重要です。業務改善のサイクルを回し続けて、常によりよい業務プロセスを探っていきましょう。

BPMに取り組む際には、導入を検討してみてください。

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