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DX時代に必要なデジタルフィードバックループとは?特徴など解説

昨今では「DX」という言葉が一般的に知られるようになりましたが、実際にDXを実現できている日本企業がどれだけ存在するかといえば、まだまだ少ないのが実情です。そこで本記事では、マイクロソフト社が提唱するDXを加速させるフレームワーク「デジタルフィードバックループ」の概要と、そのメリットを解説します。

DX時代に必要なデジタルフィードバックループとは?特徴など解説

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デジタルフィードバックループとは?

「デジタルフィードバックループ」とは、マイクロソフト社が提唱するDXを効果的に推進するためのフレームワークです。

そもそも「フィードバックループ」とは、ある行動の結果やその情報を利用して、その後の行動をさらに調整・改善していくプロセスを継続的に繰り返すことです。たとえば、一般によく知られている「PDCAサイクル」も、このフィードバックループの一種と捉えられます。

転じてデジタルフィードバックループとは、デジタル技術を利用して、このプロセスを支援することを意味します。デジタル技術のスピードとリーチを活用して、フィードバック・データを収集・活用することで、迅速かつ効果的なフィードバックループを実施することが可能です。

マイクロソフト社が提唱するデジタルフィードバックループの具体的な手法としては、「Microsoft Azure」や「Dynamics 365」、あるいは「Power BI」「PowerApps」「Microsoft Flow」の3サービスを組み合わせた「Microsoft Power Platform」など、マイクロソフト社の各クラウド型ソリューションを活用して進めます。これらのツール内に蓄積された情報や機能を相互に連携させることで、「人」「顧客」「業務」「製品」の4領域からデータを収集・分析・活用し、その結果をさらに各領域に還元していくのが基本的な仕組みです。

デジタルフィードバックループによるデータ活用のメリット

デジタルフィードバックループによるデータ活用のメリットとしては、一体どのようなものが挙げられるでしょうか。以下では、その主だった効果について解説していきます。

データを経営判断に落とし込める

デジタルフィードバックループのメリットとしては、まずデータを経営判断に落とし込めることが挙げられます。デジタルフィードバックループによって、企業内に散在していた情報は組織内を有機的に流れ、経営に役立つ情報も従来よりも多く可視化できます。また、それらデータをもとに下された経営判断やその効果も、さらにループの中に還元されるので、経営の方向性が正しいかどうか常にチェックしながら事業を進められます。

定量的なマーケティング戦略立案ができる

デジタルフィードバックループは、定量的なマーケティング戦略の立案にも役立ちます。たとえば、データ分析ツールのPower BI、アプリケーション開発ツールのPowerApps、データ連係ツールのMicrosoft Flowをそれぞれ連携させれば、その日の気候など諸要素を組み入れた売上予測を行ったり、新商品が計画通りに顧客から評価を得ているか分析したりすることが可能です。サービスやマーケティングの効果測定と、その反映を繰り返し行っていくことで、マーケティング効果の向上が期待できます。

精度の高いデータドリブン経営が可能になる

デジタルフィードバックループは、精度の高いデータドリブン経営を可能にします。有機的かつ継続的にデータを連携・分析・活用していくデジタルフィードバックループは、まさにデータドリブン経営の原動力となるものです。「人」「顧客」「業務」「製品」の4領域から多様な情報を収集するデジタルフィードバックループを導入することで、自社の現状把握と将来予測を客観的に行いながら経営が可能になります。

売上増加が期待できる

上記の各メリットは、最終的に売上の増加に結実することが期待できます。さまざまなデータに基づいたマーケティングの実施は、顧客の獲得や維持に寄与します。また、AIなどを活用した高精度の将来予測は、自社のリソースをどこに割けば一番効率的かを教えてくれます。これらは、いずれも企業利益を最大化するために役立つものです。さらに、この結果を各領域にフィードバックしていくことで継続的な成長が見込めます。

DX推進をデジタルフィードバックループが支える理由とは?

冒頭で述べた通り、デジタルフィードバックループはDXを加速させるフレームワークとして、マイクロソフト社が提唱したものです。そこで続いては、デジタルフィードバックループがなぜDXを可能にするのか、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」の内容も踏まえつつ解説します。

DXレポートによる代表的な課題

日本社会にDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が浸透する大きなきっかけとなったのが、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」です。本レポートでは、日本の企業社会に蔓延するICT環境の遅れがIT部門に過大な技術的負担を呼び、その経済損失は2025年以降、年間12兆円にもなることが警鐘されています。これが、レポートの副題にも示されている「2025年の崖」の意味するところです。

では、DXレポートが危険視する「日本企業のICT環境の遅れ」とは、具体的に何を指すのでしょうか。その根底にあるのは、多くの日本企業が老朽化したオンプレミスのシステム、いわゆる「レガシーシステム」を使い続けていることです。日本企業のシステムは、その組織構造を反映して、多くの場合で縦割り構造になっており、部門ごとにサイロ化されてしまっています。

そして、このサイロ化により一貫性のない開発が繰り返し行われ、システムが過度に複雑になり、もはやシステムがブラックボックス化していることが多いのです。これによって、システムの全貌を把握することが難しくなり、当時のシステム担当者が高齢化していることも相まって、システムの維持費や運用難度が高くなっています。これはセキュリティリスクを増大させることにつながります。

また、先述したようにシステムが部門ごとに個別最適化されていることが多く、全社横断的なデータ活用がしづらいことも問題です。たとえばマーケティング部門や営業部門、開発部門のあいだで情報の連携がうまく取れていなければ、顧客ニーズを的確に捉えた製品・サービスの提供は難しくなってしまうでしょう。

このようにDXレポートは、老朽化したシステムやデータ活用の遅れが、ビジネスにさまざまな支障をきたしかねないことを指摘しています。

デジタルフィードバックループの価値

では、DXレポートが投げかけるさまざまな課題を、デジタルフィードバックループを導入することで、一体どのように解決できるでしょうか。

まず、DXを加速するために実施すべきことは、データを全社横断的に活用できる体制の整備です。そのためには、レガシーシステム内のデータをクラウドへ移行することが一番の近道といえます。そして、ここで強みを発揮するのが、マイクロソフト社の提供するさまざまなクラウドソリューションです。

たとえばDynamics 365では、業務アプリケーションを代表するERPCRMが、クラウド上で1つに統合されています。これをPower Platformと連携させることで、ERP/CRMを補完するさまざまなアプリケーションの開発や、ワークフローの自動化、あるいはBIによるデータ分析も可能になります。

こうしたシステム間の連携は、DXレポートが指摘していたサイロ化の問題の解決につながります。もちろん、このシステム連携の中には、WordやExcelといった身近なビジネスツールが含まれるクラウド統合ソリューション「Microsoft 365」も組み入れられます。
 
また、クラウドプラットフォームのAzureを活用することで、自社内のデータを集約できます。Azureの強固なセキュリティによってデータは安全に守られ、またAIを用いた高度なデータ分析も可能になります。

つまり、マイクロソフト社の各クラウドソリューションを高度に連携させることで、DXレポートが指摘しているシステムのサイロ化やデータの分断、セキュリティリスクなどを排除できるのです。デジタルフィードバックループがDXを加速させるというのは、まさにこうした理由によるものです。

まとめ

デジタルフィードバックループとは、マイクロソフト社が提唱するDXを効果的に推進するためのフレームワークです。デジタルフィードバックループはMicrosoft AzureやDynamics 365、Power Appsといった、マイクロソフト社のクラウドソリューションを連携させることで可能になります。デジタルフィードバックループを活用することで、企業は各システムのデータや機能を有機的に連携させ、DXを加速できます。

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