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バックオフィスDXに工数記録が有効な理由とは? 便利ツールもご紹介

バックオフィスDXに工数記録が有効な理由とは? 便利ツールもご紹介

バックオフィスの業務は紙の書類を扱うことが多く、フローも定型化していることが一般的です。そこで、パフォーマンスを向上させるにあたっては、DXの推進による抜本的な業務改善の実施が非常に有効です。ここでは、バックオフィスDXの概要や重要性、業務改善につなげる工数記録の意義と、それに役立つツールなどを解説します。

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バックオフィスDXとは

「バックオフィス」とは、顧客との直接的なやり取りが少ない部署のことを指します。バックオフィスとされる部署は幅広く、人事、経理、法務をはじめ、購買管理生産管理、マーケティング、そしてクリエイティブや情報システムなども含まれます。それに対して、営業やコールセンターなど、顧客と直接関わる部門は「フロントオフィス」と呼ばれます。

そして「バックオフィスDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)」とは、データやICTを利活用して、バックオフィス業務の抜本的な改革を行うことです。デジタル化によりペーパーレスや脱ハンコを実現することは、あくまでバックオフィスDXの過程のひとつであって、目的ではありません。バックオフィスDXの目的は、ICTを活用して定型業務の自動化などを進めて「ムリ・ムラ・ムダ」の3Mを削減し、その分の時間をほかの創造性の高い業務にあてるなどして、新たな付加価値を生み出すことです。

DXを通じて、バックオフィスにおける各部署のパフォーマンスだけでなく、企業としての競争力も高められます。

バックオフィスDXを進める重要性

バックオフィスDXを進める重要性を裏付ける要因は、大きく分けて3つあります。
まず、工数・コストの削減です。バックオフィスでは書類を扱う業務が多く、さらに各業務でプロセス・フローがある程度定まっているのが一般的です。そのため、不確定要素の多いフロントオフィス業務と比較して、各業務のプロセスにICTツールを組み込むことが、より大きな工数・コスト削減につながると期待できます。

例えば、書類のデジタル化によって管理・運用フローの最適化を行えば、部門をまたぐ書類の作成・提出もスムーズになるため、フロントオフィスにも恩恵があります。また、書類を紛失するなどのおそれも少なくなり、セキュリティリスクの減少にもつながります。

次に、テレワークの普及に伴うデジタル化の要請に応えるためです。クラウドや各種オンラインツールを柔軟に組み合わせて導入することで、テレワークやハイブリッドワークなどが安全・快適に行えるようになります。

さらに、これらを通じた企業の競争力の維持・向上も挙げられます。フロントオフィスを支えるバックオフィスの効率化やヒューマンエラーの抑制は、間接的に顧客満足度の向上につながり、企業の競争力を高めます。

工数記録が業務改善につながる?そのメリットや方法とは

バックオフィスDXを行う上で欠かせないのが、各業務・各作業にかかる工数や所要時間の記録を行い、現状を正しく把握することです。そのメリットと方法について解説します。

工数記録のメリット

業務にかかる工数・作業時間を記録するメリットは、実績をなるべく正確にデータ化することによる、それぞれの業務のボトルネックや非効率な部分の特定です。各業務の各作業にどのくらいの人手と時間がかかっているかを把握すれば、「割り当てているリソースが適当なのか」などの客観的な評価も行えます。また、経営者と現場が同じデータと課題を共有することで、「どこに、どういったツールを導入すれば効果的か」という点を検討しやすくなるのもメリットです。

加えて、工数と所要時間を記録しておけば、業務改善の施策を実際に行った後、「作業Aの作業時間が30分から5分に削減できた」などの評価もしやすくなります。各業務・各作業の時間単価による評価も容易です。その後も継続的にデータを収集・活用することで、バックオフィスDXの長期的な効果を測定しやすくなります。

工数記録の方法

工数管理には、主に勤怠管理ツールを用いる方法があります。担当者が各業務・各作業ごとの所要時間を測り、後から勤怠管理ツールに記入するといった方式が一般的です。しかし、この方法による工数記録には、いくつかの課題があります。

勤怠管理ツールによる工数記録の課題

勤怠管理ツールには、業務終了後、退勤の打刻をしてからでないと工数記録を付けられないものも少なくありません。しかし、実際の業務が終わってからまとめて作業をするとなると、各担当者が各業務・各作業の工数や作業時間を正確に思い出すことは困難です。メモを付けていたとしても、改めて入力するのは二度手間となります。何より勤務後に入力を行うのは担当者の負荷になり、退勤の打刻をした後にも作業をしていると正確な勤怠管理はできません。

とはいえ、勤怠管理システムがすでにある場合、工数登録機能が付いた新たな勤怠管理システムを導入するのは、コストの面などからハードルが高くなります。

Power Appsを活用した工数記録ツール作成方法をご紹介

そこで今回ご紹介したいのが、「Power Apps」を使って工数記録に特化したアプリを作成する方法です。「Power Apps」はMicrosoftが提供する、ローコードでアプリを開発できるサービスです。勤怠管理システムとあえて切り離したシンプルなアプリを作成することで、各担当者が負担なく工数記録を行えるようにします。
以下では、Power Appsアプリの作成手順をステップごとに紹介します。

手順1:業務一覧表を作成する

まず、Excelで業務一覧表を作成します。各業務・各作業はなるべく細分化しましょう。たとえ所要時間が1分の作業であったとしても、それが削除・統合できる作業であれば、繰り返すたびにムダな時間が積み重なっていることになります。10回行うと10分、100回行うと100分のロスです。そういった細かいムダも精査するために、まずは業務内容を棚卸しして、各作業をすべてリストアップします。

なお、同ツールではバックオフィス部門のように非プロジェクト型業務の場合は分類を要しますが、フロントオフィス部門の多くに見られるようなプロジェクト型の業務では、分類作業が不要なこともあります。

手順2:マスタ・テーブルを作成する

続いて「SharePoint Online」でテーブルを作成します。項目数が多くなると利用者の手間を増やしてしまうため、項目は最小限で構いません。必要な項目は「データを収集する目的やゴールは何か」「どのような分析をするのか」などの点を明確にした上で決定しましょう。

手順3:Power Appsアプリを作成する

Power Appsの画面左側にあるメニューから「+作成」を選択し、さらに「SharePoint」を選びます。その後、作成済みの工数実績データを用いて工数記録アプリを作成します。同ツールであれば、ある程度の構成は自動で作成できるため、連携設定や項目の調整を行って完成させましょう。

工数記録時のポイントや分析方法のご紹介

工数記録をする際は、各作業の区切りがつくたび、開始時刻と終了時刻を登録するようにしましょう。準備段階として、各業務のプロセスを細分化し、作業の区切りを明確にしておくことも大切です。

そして集まった工数記録を、担当者別・業務分類別で集計します。それぞれの平均を抽出し、各作業において「目立った時間の偏りがないか」「担当者によって大きく所要時間が異なっている作業がないか」などを調べましょう。いずれもボトルネックや業務の偏り、非効率な作業などの特定に役立ちます。Excelなどにエクスポートして分析するのも有効です。

ボトルネックを分析・特定し、それに応じた改善策を実行に移した後は、定期的に効果測定を行い、さらなる改善を図ることが大切です。このPDCAサイクルを継続的に回すことで3Mが改善されていき、属人化の解消・業務の平準化につながります。また、バックオフィス業務の最適化が実現し、それに伴ってパフォーマンスの向上、残業時間の削減、時間的・人的な余裕といった結果も得られるはずです。その知見を生かせば、引き続きフロントオフィスのDXを推進していくことも困難ではありません。

まとめ

工数や作業時間の正確な把握は、バックオフィスの業務改善を進める上で欠かせないステップです。Power Appsを活用すれば、工数記録に特化したアプリを容易に作成できます。

工数記録だけであれば自社のみで行えますが、「バックオフィスBPRコンサルティング」のように、工数記録を業務改革・改善へつなげるサービスを導入するのも有効です。現状の業務を見える化するほか、業務課題の整理、改善策の検討、効果測定・分析などのサポートを行っているため、バックオフィスDXを進める企業にとって心強い味方となります。

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