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ERPでペーパーレス化は可能なのか?ペーパーレス化できないものは?

離行担当者なら誰しも「領収書だけで財布が太った」という経験をお持ちでしょう。一方、オフィス内もデスクの上や引き出しの中、キャビネットに紙の書類がこれでもかというほど積まれており、「どうにか省スペース化できないかなぁ?」と頭を抱える営業マネージャーも多いものです。

ERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入を検討している企業の中には、ERPに期待する効果の一つに「紙書類のペーパーレス化」を挙げる企業がいます。確かに、ERPがある環境では各部署から生成される情報を一元的に管理できるため、書類を紙で管理する必要性が減少します。

それでは果たして、ERPでペーパーレス化は本当に実現するのでしょうか?本稿ではその点に焦点を当てて話を進めていきます。

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紙書類が増え続けるのはなぜ?

企業で紙書類が増え続ける大きな要因は、法律によって保管が義務付けられている書類がいくつも存在することです。これを法定帳票と呼びます。法定帳票は法人税法や会社法によって一定の保存期間が義務付けられており、書類によって保存期間が異なります。これら法定帳票にはERPと密接に関係するものが多く含まれるということをご理解ください。

一般的な法定帳票の種類と保存基幹

保存期間

帳票種類

10年

決算書、総勘定元帳、仕訳帳、B/S、P/L、キャッシュフロー計算書、補助元帳

7年

見積書、発注書、発注請書、請求書、領収書、小切手、有価証券取引に関する書類

5年

監査報告書、会計監査報告書

この他にも多くの法定帳票が存在し、企業はそれらの書類を定められた通りに保存する義務があります。よって、紙書類の増加は避けられず、多くの企業で紙書類の管理課題が顕在化しています。

さらに、法定外帳票と呼ばれる書類も増え続けます。これは、部門別売上や営業担当者別売上、予実対比表など、自社の経営状況を把握するために管理者や経営者に提出する書類です。法定外帳票は上層部が集合する会議にて、紙で印刷した配布することが多いでしょう。その際に、印刷ミスや直前の修正などが発生すると、すでに準備されていた書類を破棄して新しく印刷します。そうすると紙書類の管理が複雑になり、増加する原因になります。

ERPによるペーパーレス化は可能か?

ERPで紙書類のペーパーレス化が可能かどうかの前に、法定帳票を電子データとして保存するにあたり、国が定める電子帳簿保存法の要件を確認してみましょう。

1

真実性の確保

a.

訂正・削除履歴の確保

帳簿に係る電子計算機処理に訂正・削除の履歴が確認できること。

b.

相互関連性の確保

帳簿とその他の帳簿間で、相互の関連性を確認できるようにしておくこと。

c.

関係書類の備付け

帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類(システム概要書、仕様書、捜査マニュアル等)を備え付けること。

2

可視性の確保

a.

見読可能性の確保

電磁的記録をディスプレイ及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力できること。

b.

検索機能の確保

取引年月、勘定科目、金額、その他の項目を検索条件として設定できること。

ERPは、これらの要件を概ね満たすことが可能です。特に「訂正・削除履歴の確保」と「相互関連性の確保」の要件については、会計仕訳の発生元の取引まで追跡可能なので、幅広い要件に対応できます。

法定外帳票の作成においても、ERPはペーパーレス化に対応します。ERPには製造、会計、販売、購買、債権、債務、人事といったあらゆる情報が統合的に管理されているため、金額だけでなく数量や取引詳細などをリンクさせ、様々なデータとして出力して書類作成が可能です。BI(Business Intelligence:ビジネス・インテリジェンス)を備えたERPによって、法定外帳票のペーパーレス化もグッと楽になります。

ペーパーレス化を可能にするには?

企業がペーパーレス化を実現するには、ERPを導入する前に電子帳簿保存法及びe-文書法への準拠が必要です。電子帳簿保存法は1998年に施行され、財務会計システムや販売管理システムなどで作成した国税関係帳簿書類の電子データ保存要件を盛り込んだ法律です。e-文書法は2005年に施行され、電池帳簿保存法の対象外になっていた「取引先と紙で授受する書類のスキャンによる電子データ保存」が可能になりました。2つの法律へ準拠するには、特定の手順に従って国税庁への申請が必要です。

電子帳簿保存法及びe-文書法に準拠する手順

  1. 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書を記入
  2. 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類
  3. 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し)
  4. 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類その他参考書類

紙書類の電子データ保存を申請する企業は、電子データ保存をスタートする日の3ヵ月前までに上記の申請手順を完了させる必要があります。申請せずに電子データ保存をスタートし、原本を破棄してしまった場合には、監査対応が難しくなる危険性があるので十分に注意しましょう。

ペーパーレス化できないシーンでは

ERPを導入することでペーパーレス化の促進に繋がります。全社横断のデータをリアルタイムに確認することが可能であるため、システムがサイロ化されていた時代に比べてExcelワークが極端に削減されるでしょう。そして、それらのリアルタイムデータを活用しながら意思決定を行える点もERPの良さと言えます。

しかし、ペーパーレス化できないものも中にはあります。例えば短な例で言えば見積書や請求書など印刷してお客様の手元に渡す習慣がある企業などです。そのような場合には馴染みのシステムインテグレータに帳票をお願いするケースがほとんどかもしれません。しかし、変化が激しい現代社会に置いて、都度帳票をお願いするのもコストや労力の無駄になりかねません。そのような場合にはERPに対応し、普段使い慣れたExcelライクの帳票作成ツールの採用も検討すると良いでしょう。

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