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業務標準化とは?向いていない業務には逆効果!具体的な進め方を解説

「業務の進め方が煩雑で品質が維持できない」「特定の人に仕事が偏ってしまって効率が上がらない」……このような課題を抱えている企業の担当者は多いのではないでしょうか。作業の手順や業務フローが定まっていなければ、手を動かす従業員の効率は上がらず、成果物の品質にばらつきが出たり、重大な欠陥を招いたりしてしまうリスクが高まります。
本記事では、属人化を解消して生産性や業務効率の向上・品質の均一化が期待できる「業務の標準化」手法について、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

業務標準化とは?向いていない業務には逆効果!具体的な進め方を解説

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業務標準化とは?

業務の標準化とは、誰が作業しても同じように進められ、一定の品質の成果を出せるように、業務手順を最適化することです。

つまり、業務を標準化できている状態とは「担当者がマニュアルや業務フローを見ながら進めていけば、迷わず作業ができて一定の品質の成果を出せる状態」と言えるでしょう。

業務標準化が重要な理由

業務の標準化が重要とされる理由は2つあります。

理由1.生産性が上がらない


業務が標準化されていないと、特定の人しかできない仕事がある状態になり「属人化」の傾向が強くなります。業務の属人化は、業務全体のボトルネックを発生させる要因のひとつです。

たとえば、異動や休職などの理由で担当者がいなくなった際に、作業が滞って生産性低下につながるリスクがあります。このような事態を防ぐためにも、業務の標準化は重要です。

理由2.品質が均一化できない

能力や習熟度には個人差があるため、担当者が変わると成果物の品質に多少のばらつきが発生してしまうのは仕方ありません。しかし、誰がいつ作業しても安定した品質を維持するのが望ましい状態です。

そのためには、作業のやり方や順番・判断基準を統一し、成果物の品質を一定に保つ仕組みとして「業務の標準化」が必要でしょう。

業務標準化のメリット3選

業務標準化のメリットを3つ解説します。

メリット1.生産性が向上する

何度も行う作業の手順や業務フローが整備されていれば、作業者の準備や調査が不要になります。手順書の作成や確認の手間がなくなると、作業全体の工数も減らせるでしょう。

また、異動によって担当者が変わっても、マニュアルや作業プロセスが標準化されていれば、誰でも容易に作業を進められます。その結果、担当者の教育にかかる工数も削減できます。

メリット2.品質が担保される

成果物の品質を一定に保てるのも、業務標準化のメリットのひとつです。
明確な判断基準を定めておけば、作業中に担当者の判断を求められる場面でも、品質にばらつきが出にくくなります。品質を左右する判断基準を統一するだけでも、効果につながるでしょう。

メリット3.従業員の業務負担が軽減される

業務の標準化が進めば、属人化を防げます。
誰でも同じ作業ができる状態であれば、担当者が不在でもすぐに他のメンバーがサポート可能です。
また、業務プロセスが全社的に標準化されていれば、メンバーが異動しても同じプロセスで業務を進めていけるでしょう。その結果、異動先でもすぐに仕事にとりかかることができ、教育にかかる時間や異動したメンバーの心理的な負担が軽減されます。

業務標準化のデメリット

業務を標準化すれば生産性の向上や品質の均一化のようなメリットがある一方、逆効果となる場合もあるため注意が必要です。

デメリット1.業務標準化に向いていない業務もある

高度な専門性を有する業務は、標準化に向いていない場合があります。
専門的な知識・スキルが必要で難易度が高い作業は、誰もができる作業まで標準化するのが難しいためです。

また、標準化を検討している業務の影響範囲が局所的であったり、業務内容が変化するスピードが早かったりする作業にも適していません。
これらの業務は標準化したとしても効果が薄く、すぐに形骸化してしまう恐れがあります。

デメリット2.従業員のモチベーション低下につながる場合がある

誰でもできる標準化された作業は、創造性がなく単純な作業になりやすいです。その結果、従業員のモチベーションを削いでしまう恐れがあることを理解しておきましょう。

業務標準化の進め方を4ステップで解説

業務の標準化を進めていくための具体的な方法を、4つのステップで詳しく解説します。

ステップ1.業務を定量的に把握する

まず作業の洗い出しを行い、業務を見える化しましょう。
各業務の頻度・回数・工数・難易度を定量化することで、業務を標準化した時の影響度が見えてきます。
熟練作業者だけが把握している判断基準や事前作業が存在している場合もあるため、実作業に抜け漏れがないよう現場でのヒアリングも必要です。

ステップ2.標準化する業務選びと改善

すべての業務を一度に標準化することはできません。優先度と重要度を決めて、段階的に標準化を進めましょう。
影響範囲が大きい業務を優先して標準化を進めていくと、効果を享受しやすいです。
また、品質を先に改善したい場合や業務効率を優先したい場合など、業務のなかで重要な指標があれば、それらを優先して検討します。

業務に必要な実施タスクや順番の共有や、使用するフォーマットの統一など、業務担当者と意見交換をしながら見直していきましょう。

ステップ3.ドキュメントの整備

業務の流れや実施内容を、業務フローやマニュアルに落とし込みましょう。
業務標準化のゴールは、誰がどんな状況においても業務フローとマニュアルを見れば作業ができる仕組みをつくることです。

ドキュメントに落とし込む際には、あいまいな表現を避け、明確な判断基準の記載を心がけましょう。
たとえば「Aの作業が完了していること」では、「完了している状態」が作業者にとってどのような状態か分かりません。「Aの作業後にBというメッセージが画面に表示されていること」のように、具体的に画面の表示内容まで伝えるのが適切です。

ステップ4.定例的な見直しと横展開

標準化した業務は、定期的な見直しが大切です。
最初から適切な範囲・粒度・内容で業務を標準化できるわけではありません。どれほど効率化できたのか・品質水準が向上したのかを継続的に評価して、改善を加えていくとよいでしょう。

また標準化した改善内容は、社内に広く共有することで多くの事例が分かるため、より効果が高まります。

業務の標準化の事例

総務省では、自治体業務の標準化の進め方を提示しています。
各自治体が同じような業務をしている場合が多く、業務を標準化して効率を高める取り組みが行われています。自治体を1つの部署と捉えると、企業の業務標準化をイメージしやすいでしょう。

たとえば、複数の自治体で共通に行われている業務を標準化し、まとめて外部へアウトソーシングしたり、共同でシステムを導入したりすることで、業務の効率化を目指しています。

総務省の「業務標準化のアプローチ」では、自治体業務を業務の種類や状況に応じて分類し、具体的な標準化事例を掲載しているため、参考にしてみてください。

まとめ

今回は、業務の生産性アップや品質向上につながる業務標準化の重要性や進め方を解説しました。業務を標準化していくと、複雑な業務がシンプルかつ定型的な業務に近づきます。シンプルでルールが明確となった作業はシステム化がしやすいため、ERPRPAなどを導入するハードルが下がります。ERPやRPAを活用すれば、企業全体のデータ・リソースの効率化や、業務の自動化を実現でき、生産性の向上につながるでしょう。

Power Platformは、普段使用しているMicrosoft製品との相性がよく、ERPやRPAを実現できるソリューションを提供しています。Power Automateを利用すれば、定型業務を自動化でき、生産性・業務効率の向上や品質の均一化が図れます。業務標準化の施策として、ぜひ検討してみてください。

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