カスタマーサービス/顧客満足

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

日本は世界的に見てもモノやサービスで溢れている国です。消費者からすれば非常に恵まれた環境ですが、ビジネス視点で考えると「簡単にはモノやサービスが売れない国」と捉えられます。高品質低価格なものが溢れていますし、消費者は同様のモノやサービスの中で、より安いものを選びぬくための選球眼に、日に日に磨きがかかっています。

そうしたビジネス環境の中で「物質的価値」だけで勝負をするようなことは、企業としてあってはならないことです。今の時代、「カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)」を踏まえたビジネス設計が無いと、あっという間に競合に飲まれてしまいます。

カスタマーエクスペリエンスとはモノやサービスを購入することで顧客が得る物質的価値ではなく、モノやサービスを通じて顧客が得られる「体験的価値」を意味します。今回はこのカスタマーエクスペリエンスについて概説しますので、ぜひこれからのビジネスに取り入れてみてください。

一歩先行く顧客対応!

カスタマーエクスペリエンスとは?

直訳すると「顧客体験」ですが、意味としては「モノやサービスを通じて顧客が得られる特別な体験」を指します。モノやサービスの物質的、金銭的な価値だけではなく、モノやサービスの購入前のプロモーションや、購入後のサポートなど、モノやサービスに関連するすべての顧客体験がカスタマーエクスペリエンスです。

たとえば、カスタマーエクスペリエンスの高い製品としてここで「Jeep Wrangler(ジープ ラングラー)」を取り上げたいと思います。

Jeep社は1941年に米国陸軍をサポートするために誕生した自動車メーカーであり、Jeepの歴史的モデルを踏襲し、一般販売モデルとした高い人気を集めている車種がWranglerです。このWranglerは2018年11月に約10年振りとなるフルモデルチェンジを迎え、乗りやすさがより追求されたモデルへと進化しました。旧式となるモデルでは、お世辞にも「乗り心地が良い」とは言えないものです。

しかし、旧型Wranglerは5年落ちかつ走行距離が3万㎞を超えるものでも定価の約8割程度で取引されているという、リセールバリュー(再販価値)が非常に高い車種でもあります。それはやはり、Wranglerが高いカスタマーエクスペリエンスを持っている製品だからでしょう。

Wranglerの特徴は、乗り心地は別として国産車には見られないモダンな4×4スタイルと、強靭な車体、それとカスタマイズ性の高いオプションと、何よりも「Wranglerを乗っているという体験的価値」です。

国産車に比べて「小回りが利かない」「税金が高い」「雨漏りする」などWranglerのデメリットをあげると切りがないですが、それでもWranglerが高い人気を集めている理由は、その高いカスタマーエクスペリエンスによってWranglerというブランドが確立しているためでしょう。従って、Wranglerを乗るドライバーの中にはその運転のしづらさにさえ価値を見出している人がいるほどです。

このように、物質的価値で考えると国産車に劣るWranglerは、高いカスタマーエクスペリエンスによってJeep社の大きな収益源となっています。

カスタマーエクスペリエンスが高いと何が良い?

企業がカスタマーエクスペリエンスを含めたビジネス設計を行い、モノやサービスが持つ体験的価値を高めることにはどういったメリットがあるのでしょうか?

Merit1. 高いリピート率を獲得する

カスタマーエクスペリエンスを含めてビジネス設計ができているモノやサービスというのは、消費者の期待を大きく上回る可能性が非常に高くあります。もしも消費者が想定している価値を上回れば、その消費者がリピーターになる確率はおおきく上がるでしょう。一度リピーターとして定着すれば、ビジネスの安定性に繋げられるだけでなく、ブランド確立に大きく貢献します。

Merit2. 口コミによる波及効果が狙える

高いカスタマーエクスペリエンスを持っておりリピート率の高いモノやサービスというのは、その評判が口コミによって広がります。人は自分が愛着心を持っているブランドを他人に勧めたがるものなので、リピーターの数だけインフルエンサー(拡散する人)がいると考えてよいでしょう。ちなみに新規顧客獲得のためには既存顧客の5倍のコストがかかるといいますから、口コミ効果により新規顧客獲得は馬鹿にできません。

Merit3. ブランド乗り換えのリスク低減

消費者の長く愛され続けるモノやサービスは必ず高いカスタマーエクスペリエンスを持っています。そういったモノやサービスはブランド乗り換えのリスクも非常に低いという傾向があるのです。前述したJeep Wranglerに関しても、一度ファン化した消費者は、なかなか他の車種に乗り換えないという特長があります。

カスタマーエクスペリエンスの分類

カスタマーエクスペリエンスは「モノやサービスを通じて顧客が得られる特別な体験」と簡単に説明できますが、その体験的価値について掘り下げて考えると、5つの価値に分類することができます。

Sense(感覚的体験価値)

互換を通じて得ることができる体験価値です。たとえばカフェならば、レイアウトや家具、BGMやそこで感じる香など、消費者の五感を刺激することで与えられる体験価値まで設計することで、高いカスタマーエクスペリエンスを提供できます。どんなモノやサービスにも感覚的な体験価値があるため、それを整理し、改善することが大切です。

Feel(情緒的体験価値)

スタッフの丁寧な接客や気配りなどによって、消費者の勘定に働きかけて生み出される体験価値を指します。「あのスタッフの接客が丁寧だったからまたあのお店に行きたい」など、人間は勘定に左右されやすいものです。接客レベルの高い企業や店舗は、それだけで高いカスタマーエクスペリエンスを提供していると言えます。

Think(創造的体験価値)

モノやサービス、あるいは企業が持つコンセプトを全面的に押し出すことで、消費者の知的好奇心や探求心を刺激して生み出される体験価値です。たとえば最新技術を搭載したパソコンの場合、消費者は最新機能によって快適なパソコン作業という物質的価値を手に入れたと同時に「最先端技術を体感している」という感覚を味わうことができます。前述したJeep Wranglerは、この創造的体験価値を究極に高めたブランドだと言えるでしょう。モノやサービスが持つコンセプトや機能によって、どれだけ消費者の好奇心をくすぐれるかが勝負となります。

Act(ライフスタイル的体験価値)

日々のライフスタイルに変化を起こすことで生まれる体験価値を指します。たとえば電車での通勤時間を利用して、スマートフォンで簡単に文書作成ができるアプリがあった場合、消費者はその「時間を効率的に使う」というライフスタイル的体験価値を受け取ることができます。消費者のライフスタイルにマッチし、それを改善するモノやサービスならばリピーターになる確率はかなり高いでしょう。

Relate(準拠集団や文化との関連付け)

集団に対する帰属意識に関連して生み出される体験価値を指します。つまりファンクブラクラブやグッズが典型的なパターンです。たとえばディズニーのファンクラブに入会することで「自分はディズニーフリークだ」という意識の証明になり、そこで特別なグッズ等を購入すればその意識はさらに強まります。こうした体験価値を提供できれば、ブランド乗り換えのリスクはかなり低減されます。

カスタマーエクスペリエンスを意識しよう!

いかがでしょうか?カスタマーエクスペリエンスを含めてビジネス設計にマイナスはありません。ぜひ、この機会にカスタマーエクスペリエンスを意識したビジネス設計により、モノやサービスが持つ物質的価値だけではなく、体験的価値も高めてみてください。

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