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Dataverseとは?用途やSharePointとの違いなどを解説

Dataverseとは?用途やSharePointとの違いなどを解説

近年、企業におけるデータ活用がますます重要になっています。その中で注目されているのが、マイクロソフトが提供するクラウド型データプラットフォーム「Dataverse」です。 本記事では、Dataverseの概要、主な用途、AzureSQL DBやSharePointとの違いなどを解説します。Dataverseの導入を検討している方や、DataverseとSharePointの違いを理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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Dataverseとは?

Dataverseとは?

Dataverseは、Microsoftが提供しているDynamics 365、Power Platformのデータ保管に使用されているデータベースです。

まずは全体のイメージを掴むために、そもそもデータベースとはなにか、Power Platform、Dynamics 365とはなにかについて解説します。

データベースとは?

データベースとは、データの集まりを効率的に管理するためのシステムです。

データを保存するだけでなく、素早い検索や、最新の状態への更新複数ユーザー間での共有ができます。また、データを不正アクセスから守るためのセキュリティ強化の用途でも利用されています。

代表的なデータベースは以下の3種類です。

  • リレーショナルデータベース:最も一般的なデータベース。表形式で構造化されたデータを格納。
  • NoSQLデータベース:構造化されていないデータや半構造化されたデータを格納。
  • オブジェクト指向データベース:オブジェクトと呼ばれる単位でデータを格納できるデータベース。

Power Platformとは

Power Platformは、Microsoftが提供するローコード開発プラットフォームです。プログラミング知識がなくても、直感的な操作でアプリの作成、ワークフローの自動化、データ分析を行えます。

以下の5つの主要なサービスで構成されており、それぞれを連携することで、より高度なアプリケーションやシステムを構築できます。

  1.  Power Apps:業務アプリケーションをノーコードで作成
  2.  Power Automate:ワークフローを自動化
  3.  Power BI:データ分析・可視化
  4.  Power Virtual Agents:チャットボットを作成
  5.  Power Pages:Web サイトの設計、構成、公開をローコードで行う
Power Appsで作成したアプリやPower Automateで自動化したワークフローで利用するデータを格納するストレージとして、Dataverseが利用されています。

Dynamics 365とは

Microsoft Dynamics 365は、CRM(顧客関係管理)、ERP(基幹業務システム)、ビジネスインテリジェンス(BI)、コラボレーションなどの機能を統合したクラウド型のビジネスアプリケーションです。

データ分析や自動化の技術を活用して、企業内の業務効率化をサポートしてくれます。さまざまな業種や規模の企業が、顧客との関係構築、業務効率化、意思決定の迅速化などを実現するために利用しています。

Dynamics 365で扱う顧客データや企業データは、Dataverseに格納されています。Dataverseにデータを格納することで、データの一元管理ができ、ポリシー制御、アクセス制限などセキュリティ強化も可能です。

Dataverse用語の更新

変更前

変更後

Entity

Table (テーブル)

Field、

Attribute

Column(列)

Record

Row(行)

Option set、

Picklist

Choice (選択)

2020年11月に、上記表のDataverse内の用語が更新されました。多くのデータベースで利用している用語に変更されたことで、他のデータベースを利用していたユーザーもDataverseを利用しやすくなっています。なお、Dataverseについて解説する書籍、動画で表内の変更前の用語が利用されている場合があるため注意しましょう。

DataverseとAzure SQL DBの違い

DataverseとAzure SQL DBの違い

DataverseとAzure SQL DBは、どちらもデータを管理するためのサービスですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

Microsoft Azureは、Azure SQL DB、SQL Serverといったサービスを提供しています。Azure SQL DBはクラウドのデータベースサービス、SQL Serverはオンプレミスで実行可能なデータベースサービスです。

Dataverseは、Azure SQL DBを基盤として動いているため開発を行う際の機能面に大きな違いはありません。Dataverseは、Microsoft製SaaSのデータ管理を得意としています。そしてデータベースを管理・操作するためのSQL文やNode.js、Pythonなどのプログラム言語をローコードで扱えることがAzure SQL DBと比較した場合のメリットです。ただし、Azure SQL DBに比べて料金が高くなることがDataverseのデメリットとなります。

PaaSサービスや他社SaaSサービスと連携したデータベース管理や高度なクエリ実行(データベース検索など)を行う際は、Azure SQL DBを利用しましょう。

DataverseとSharePointの違い

DataverseとSharePointの違い

DataverseとSharePointは、どちらもMicrosoftが提供するデータを保存するためのクラウドサービスですが、利用用途が異なります。Dataverseは、ローコードのデータベースサービスです。Dynamics 365やPower Platformなど、アプリ開発や顧客管理のためのデータを保存するために利用されます。

一方、SharePointは、ドキュメントやファイルの共有を行うためのサービスです。一般的には、Word、Excel、PowerPointなどのドキュメントや、画像、動画などのファイルを保存して、他のユーザーと共有するために利用されます。また、プロジェクトや企業のメンバー専用サイトを作成して、情報共有やコミュニケーションツールとして利用される場合もあります。

Dataverseのライセンス費用

各Dataverse for Teams環境では、データベースとファイル ストレージを合わせて 2GB の ストレージが用意されています。

Dataverseは、月額制と従量課金制が選択できます。Power Apps Premiumのプランを契約した場合、1ユーザーにつき、250MBのデータベースと2GBのファイル容量が付与されます。このプランの料金は1ユーザーにつき毎月2,998円です。

従量課金制の場合、Power Appsで1つアプリを作成すると、 アクティブユーザー1人につき月額10ドル発生します。Dataverseをデータベース ストレージで利用する場合は、1GBを超えると、1環境ごとに月額48ドルの費用です。ファイルストレージとして利用した場合は1GBあたり2.4ドルになります。さらに監査を使用する場合、ログ1GBにつき月額12ドルとなります。

Dataverseを利用するメリット

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Dataverseは、企業の業務効率化を目的として利用されていますが、その他にもメリットがあります。ここからは主なメリットを5つ紹介します。

ローコードで開発できる

Dataverseの1つ目のメリットは、ローコードでデータベースを扱えることです。

従来のデータベースでは、テーブルを作成したり、データを更新、削除するためにはSQL文またはNode.js・Pythonなどのプログラム言語を記述する必要があります。しかし、Dataverseではコードを書かずにテーブル作成や列、行の追加などができます。

プログラム言語の専門知識がなくてもデータベースの更新、メンテナンスができるため業務の属人化解消や業務効率化が可能です。

さまざまなデータタイプに対応している

Dataverseでは、数値、テキスト、日付はもちろん、画像、添付ファイルなど、あらゆる種類のデータを柔軟に扱えます。さまざまなデータタイプに対応することで、構造化データだけでなく、非構造化データについても格納可能です。

豊富なデータタイプを活用することで、従来のデータベースでは実現できなかった複雑なデータ構造を構築できます。例えば、商品情報と顧客情報、販売履歴を組み合わせた分析や、顧客の行動履歴にもとづいた個別施策の検討など、データの多角的な活用が可能になります。

運用・保守の手間を削減

Dataverseを使用することで、Power Apps・Dynamics 365のデータの収集や管理が効率的に行えます。データを一元化し、必要な情報へ簡単にアクセスできるため、作業効率向上が可能です。例えば、異なるデータソースからのデータを統合し、一貫性のある形で管理できます。これにより、複雑なデータ管理作業を行う必要がなくなります。

また、Dataverseの基盤はMicrosoftが管理しています。データのバックアップやデータベースのセキュリティ対策、アップデートは自動で行われるためユーザーの負担が軽減されるでしょう。

強固なセキュリティ

Dataverseの基盤は、Microsoftが管理するサーバー上に構築されています。先ほども紹介した通り、Microsoftが自動バックアップ、自動アップデートを行っているためセキュリティリスクを軽減できます。

さらに、データベース内のデータに対して権限設定が可能です。ユーザー単位、チーム単位でデータやファイルに対して閲覧権限、操作権限を付与できるため不正アクセスや不正なデータ変更を防げます。また、行ごとの細かな権限設定もでき、セキュリティ事故を未然に防いでいます。

他システム・サービスと連携可能

Dataverseには、Web APIが標準提供されています。Web APIを使ってPower PlatformやDynamics 365のサービス以外との連携も可能です。

自社サービスのデータをDataverse上に格納して、利用するといった用途で活用できます。この連携により、業務のワークフロー作成も容易になります。

Dataverseでできること

Dataverseでできること

Dataverseは、Microsoft Power Platformのクラウドベースデータプラットフォームであり、CRM(顧客関係管理)やエンタープライズアプリケーション構築のための、柔軟で拡張性の高いデータベースサービスです。Dataverseを使うことで、以下の5つのことができます。

データモデルの作成と管理

Dataverseを使用すると、異なるデータソースからのデータを一元化し、効率的に管理できます。複数の形式のデータを統合し、一貫性のあるデータセット作成が可能です。

データは、取得し格納して終わりではありません。時間とともに変化する値も多いため、定期的に更新する必要があります。データの更新もローコードで行えます。データに重複がある場合や整合性が取れないデータは、エラーで表示されるため、修正することで簡単に整合性の取れた一貫性のあるデータベースを作成できます。

ローコードでのアプリケーション開発

Dataverseを使って、ローコードでアプリ開発も可能です。このあと紹介するDataverse for Teamsを使えば、顧客管理のアプリや在庫管理、ワークフロー承認システムの開発もできます。

ローコードで開発しているため、作成後に不具合や修正点があったとしてもコードを修正することなく修正可能です。社内に専門的なエンジニアがいなくても開発できる点は、大きなメリットです。

ワークフローの自動化

ワークフローの自動化とは、手動で行われるタスクをシステムで自動化することです。例えば、顧客からの注文を受けたら自動的に在庫を発注する、稟議書が承認されたら自動的に次のステップへ進む、といったタスクを自動化できます。

Dataverseでワークフローを自動化するには、Power Automateというツールを使用します。顧客からの注文がDataverseに登録されたら、Power Automateでワークフローを起動するといった連携が可能です。社内業務のワークフローを自動化することで、ミスの軽減、作業の効率化が目指せます。

データベースのセキュリティ強化

Dataverseは、データを安全に保護するための包括的なセキュリティ機能を提供しています。データの機密性、整合性、可用性を維持しながら、不正アクセスやデータ漏えいなどのリスクを軽減可能です。

不正アクセスを制御するためのアクセス制御やデータの暗号化、リアルタイムでのデータ監視、脅威検出などさまざまなセキュリティ強化の機能を利用できます。

Dataverse for Teamsとは

Dataverse for Teamsとは

Microsoft Dataverse for Teamsは、Microsoft Teams内に構築された、ローコード開発プラットフォームです。Power Apps、Power Automate、Power Virtual Agentsといったツールをシームレスに連携させ、チームメンバーがローコードでアプリケーション、ワークフロー、チャットボット、ダッシュボードなどを簡単に作成し、共有、利用ができます。

Dataverse for Teamsの使い方

Dataverse for Teamsは、Microsoft Teams上で簡単にアプリを作成できるプラットフォームです。ローコード開発なので、プログラミング知識がなくても、直感的な操作で業務に役立つアプリを作れます。

手順は以下のとおりです。

  1.  TeamsでPower Appsを起動:Teamsの「アプリ」タブから「Power Apps」を検索
  2.  アプリを作成:チームとアプリ名を入力してアプリを作成
  3.  テーブルを作成:まずデータを入れるためのテーブルを作成、各列の名前、データ型、必須項目などを設定
  4.  フォームを作成:テーブルにもとづいて、アプリの画面となるフォームを作成
  5.  レイアウト変更:チームメンバーが見やすいようにレイアウトを整える
  6.  チームメンバーに公開

基本的な作成は上記の手順です。Dataverse for Teamsには、テンプレートやサンプルアプリも用意されていますので、参考にするとよいでしょう。

Dataverse for Teamsの制限や上限について

各Dataverse for Teams環境では、データベースとファイルストレージを合わせて2GBのストレージが用意されています。

Dataverse for Teamsでアプリを作成した際、チームごとにデータ管理やアプリ、フローの保存を目的として環境が作成されます。Dataverse利用ユーザーが20人以下の場合は、5つの環境まで作成できます。それ以上は、20人追加ごとに1つの環境が利用可能です。

まとめ

Dataverseは、CRM、業務アプリケーション、データ分析、コラボレーションなど、さまざまな用途で利用できる柔軟なクラウド型データプラットフォームです。本記事では、Dataverseの概要、主な用途、SharePointとの違いなどを解説しました。

Dynamics 365やPower Appsとの連携は自動的ですが、その他の企業のシステムやアプリ開発でも可能です。ローコードでデータベースを作成、管理していきたいと考えている企業は導入をご検討ください。

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