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LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?メリットや活用方法をわかりやすく解説

自治体のDX化を推進する上で欠かせないものが、 LGWAN(総合行政ネットワーク)です。本記事では、概要や基本方針、メリットなど、LGWANの詳細について解説します。また、LGWAN環境で利用できるプラットフォームの「R−Cloudサービス」も紹介しているので、自治体のDX化に興味を持つ方は参考にしてみてください。

LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?メリットや活用方法をわかりやすく解説

LGWAN(総合行政ネットワーク)とは

LGWANとは、行政専用のクローズドネットワークのことです。普段利用している、パブリックネットワークとはつながっていません。

地方自治体の庁内LANを、互いに接続する通信基盤として運用されており、自治体間の情報共有やコミュニケーションが従来よりも円滑に行えるようになります。また、高水準なセキュリティの仕組みが実装されているため、電子メールやWebページなどを、セキュアなネット環境で閲覧可能です。

本仕組みが導入される主な目的は、自治体間に生じているIT格差の解消や行政事務の効率化などを行うためです。運営は「J−LIS(地方公共団体情報システム機構)」が行っています。

LGWANの基本方針

基本方針は8つありますが、「政府や自治体など行政共通のネットワーク基盤を構築すること」や「高い水準のセキュリティを確保すること」が主な目的です。また、本仕組みの導入により、地方自治体間における情報共有の円滑化や、設備投資費用の軽減などの意図もあります。

LGWANのセキュリティ対策

主な対策として、「ファイアーウォールによる不正アクセスの防止」や「通信経路の暗号化」「侵入検知機能(IDS)」「専門家による監視(SOCの設置)」「公開鍵暗号方式」などが実施されています。

それぞれの対策を説明すると、ファイアーウォールは外部からの不正アクセスを防御し、LGWANの基幹となるサーバー群を守る役割があります。

通信経路の暗号化は、通信経路を容易にわからないようにする処理を行い、盗聴を防止する技術です。第三者が勝手にデータの中身を閲覧してしまうことを防ぎます。

侵入検知機能(IDS)は、すべての通信をIDSで監視し、不正アクセスを検知する機能です。また、SOCの設置により、専門家が365日・24時間体制でセキュリティ監視を行っています。

公開鍵暗号方式は認証技術を指し、やり取りされる情報の改ざんやなりすまし、事後否認の防止を行う機能です。認証に使用する証明書は、第三者機関として「LGPKI(地方公共団体組織認証基盤)」が発行しています。

以上の入念なセキュリティ対策が実施されているため、行政間の情報通信をより安全な形で行えます。

LGWANで利用できるサービス一覧

本仕組みを導入することで、利用可能になるサービスを紹介します。

LGWANポータルサイト

本仕組みに関する情報が掲載されたサイトです。運用情報をはじめ、障害情報、運営主体からの新着情報・トピックス、計画停止情報、規定文書などを確認できます。

ポータルサイトを閲覧するには、LGWANに接続可能な環境が必須で、パブリックネットワークからは接続できません。

また、2019年4月からは総合窓口として、「LGWAN運用センター」も設置されています。

アプリケーション・サービス

基本的なものとして、情報掲示板やメーリングリスト、LG.JPドメイン名の登録・変更などが提供されています。

情報掲示板は自治体間における情報共有を行う場で、LG.JPドメイン名は自治体が専用で利用できるものです。専用のドメイン名を使用することにより、自治体が正式運営していることを示せるため、住民・企業等は安心してサイトを利用できます。

ASPサービスとしては、「電子申請・届出」や「電子入札システム」「国税連携サービス」などが各関係機関より提供されています。

LGWAN(総合行政ネットワーク)導入のメリット

本仕組みの導入から得られる3つのメリットや、従来と比べて変化する点について解説します。

行政事務の効率化

地方自治体間や政府共通ネットワークとの相互接続によって、広い範囲で情報共有が円滑に果たされるようになります。政府や自治体間が共通の通信基盤で結ばれることで、行政事務にある無駄な工程を圧縮し、事務処理の迅速化が導入メリットのひとつです。

従来では、自治体がそれぞれにシステムを構築して保守運用する手間がありました。しかし、本仕組みが導入されれば、業務サービスはASPが用意したものを利用できるようになります。自治体がLGWAN経由で共通の業務サービスを利用できるため、今まで行っていたシステム開発業務の負担が軽減する形です。

重複投資の抑制

LGWANは、汎用性の高い情報通信基盤として構築されています。したがって、従来の方法と置き換えることにより、自治体のネットワークへの重複した投資の抑制や運営費用の削減が実現します。

従来では、自治体間における共通の通信基盤がなかったため、相手先との通信に個別回線が必要になるなど、効率的ではない方法を行っていました。また、自治体ごとに回線や端末の導入なども求められるので、コストの負担が大きく管理も大変です。

本仕組みを導入すると、自治体が共通の通信基盤を持つ形になります。これまで切り離されていた、自治体のネットワークが相互に接続されるため、従来の煩雑な手続きが不要になり、より円滑なコミュニケーションや情報共有が可能です。また、自治体それぞれで投資する必要があった、さまざまなシステムや設備を一本化できるので、費用の削減にもつながります。

住民サービスの向上

LGWANの導入によって、国と自治体の連携がこれまでよりも一体化し、住民に提供する行政サービスの品質が向上します。例えば、住民が生活する上で必要な、行政情報の提供や申請・届出手続きの電子化などが促進され、より便利になるでしょう。

また、水準の高いセキュリティ体制が確保されるため、重要情報の機密性が高まります。盗聴等よる個人情報などの漏えいが起きる可能性が減少し、信頼性の高い情報基盤のもとで、行政サービスの提供が可能です。

さらに、LGWANの通信システムを支えるデータセンターは、耐災害と物理セキュリティに優れた環境で管理されているため、地震などの災害トラブルがあった場合でも、業務の継続性が保たれます。

「R−Cloudサービス」とは、自治体の業務対応や情報活用を目的とした、LGWANを最大限活用できる環境を提供するクラウド基盤サービスです。

PaaS基盤の拡張メリットを活かし、他のクラウドや民間サービスとの連携・組み合わせを可能にすることで、SaaS開発におけるコスト削減や開発時間の短縮に貢献します。それにより、従来の自治体業務の課題解決や業務のDX化推進に期待が膨らみます。

R−Cloudサービスの特徴

セキュアなLGWAN環境を利用可能に

自治体では多くの個人情報を扱うため、外部クラウドサービスへのアクセスでは、セキュリティ面に懸念がありました。しかし、R−Cloudサービスは、セキュアなLGWAN回線を利用した特有の基盤サービス(PaaS)なので、安全性を維持しながら業務を進められます。

LGWAN環境を基盤サービスで提供

R-Cloudサービスは、プラットフォームを提供するPaaSで、「認証基盤ポータル」や「電子申請」など、SaaS開発に利用できる機能を多数備えている点が特徴です。

R−Cloudサービスを利用すれば、LGWANとPaaSの双方のメリットにより、情報ガバナンスをキープしつつ、ニーズに適したソリューションや新たな価値を提供できます。また、クラウド基盤の利用における強みは、システムの効率化やサービスの成長につなげられることです。

住民との双方向アプリ

R−Cloudシリーズのひとつである「住民生活総合支援アプリ i−Blend」は、プッシュ型の情報発信が実現する、スマートフォン用アプリ基盤です。災害時などに必要な情報をリアルタイムで知らせます。

イベントカレンダーや簡易予約管理、アンケートなどの多様な機能を組み合わせて、簡単にカスタマイズが可能です。従来、自治体による情報提供は一方的な発信が主流でしたが、スタンプラリーやポイント管理などの機能が備わることで、住民との関係性の構築をフォローします。

他にも、来庁の事前予約のデジタル化や、地域イベント・子育て行政サービスの情報発信にも活用できます。投稿やアンケートなどの機能を付加すれば、住民は自治体に対して声や反応を伝えやすくなるでしょう。

kintoneを効率的に利用

サイボウズ社の「kintone」は、業務改善を目指すためのアプリを簡単に作成・運用できる、クラウド型のプラットフォームです。関係者間のコミュニケーションや業務にまつわる情報を一元化できるので、業務内容の見える化が図れます。

「R−Cloud Proxy」では、kintoneとの連携サービスも提供しており、外部連携や帳票出力などの機能を、より安全・便利な利用が可能です。また、添付されたkintone内のファイルは、無害化処理を行うため、LGWAN環境でのダウンロードも問題ありません。セキュアな環境で拡張機能を利用できることから、より顧客のニーズや課題に沿った形で進められます。

R-Cloudサービスが解決できる課題

R−Cloudサービスは、これまでデジタル化に踏み切れなかった、自治体の課題を解決に導きます。ここからはどのような課題について、どのように解決できるのかを詳しく紹介します。

ビジネスを展開するノウハウがない

自治体でもDX化が進む昨今、デジタル技術を扱う企業では、公共団体向けにさまざまなビジネスを展開していくことが予想されます。しかし、民間企業や個人と比べ、公共団体は情報管理の制約が多く、自社のノウハウやセキュリティ面に不安が募る企業は少なくありません。

R−Cloudサービスは、LGWANにより安全性の高いプラットフォームを提供するため、高額な費用をかけて自社でセキュリティ対策を講じなくとも、自治体にセキュアなサービスを提案できます。クラウドサービスとLGWANの組み合わせをもとに、これまでにない新しいビジネスも実現するでしょう。

デジタル技術を活用したいがノウハウがない

デジタル技術を活用すれば、自治体はこれまでの仕組みや業務のあり方を変革できるので、住民サービスの大幅な向上に貢献します。しかし、これまでに前例がないことやIT人材の不足により、何から始めたらよいかわからず、DX化に取り組めていない自治体もあるのが現状です。

革新的な業務効率化やサービスの向上を実現するためには、必要に応じて、外部のパブリッククラウドサービスを利用すると効果的です。とはいえ、自治体が扱う情報は機密性が高いものも多く、すべての業務を他社とサーバーを共有するパブリッククラウドサービスで行えるわけではありません。

その解決策のひとつとして提案したいものが、「ハイブリッドクラウド」です。ハイブリッドクラウドとは、自社専用のサーバーであるプライベートクラウドとパブリッククラウド、オンプレミスを組み合わせたもので、情報の機密性などに応じて、サーバーを使い分けられます。

ハイブリッドクラウドの利用を目的とするR−Cloudでは、機密性や用途に応じた使い分けを実現できる、各種自社サービスも紹介しています。

情報発信したいがノウハウがない

これまで自治体からの情報発信は、広報誌やWebサイトに情報を掲載するプル型がメインでした。しかし、それでは住民が自主的に情報を収集しなければならず、必要な人が求める情報が届かない可能性があります。より的確に情報を伝えるためには、プッシュ型の積極的な情報発信が必要ですが、これまでとは違う広報形態であるため、ノウハウがない自治体が多いことでしょう。

R−Cloudなら、ノウハウがなくても簡単にスマートフォンのアプリを活用し、防災や子育て、観光などの情報を住民に直接届けられます。また、属性や関心の高いキーワードごとに区分しておけば、それに応じた配信も行えます。

R−Cloudサービスの活用事例

ここからは、R−Cloudサービスを活用して、どのようなことが可能になるのか、具体的な活用事例を紹介します。

住民サービスのオンライン化

これまで窓口で行っていた住民サービスのオンライン化や、部署間の情報共有を行うには、外部のパブリッククラウドサービスの力が必要とされる場合があります。しかし、住民の個人情報を扱うので、どのようにセキュリティを確保するかが課題となっていました。

R−Cloudサービスでは、LGWAN経由で接続すれば、閉域網で高い安全性を保ちつつ、パブリッククラウドサービスを利用できます。それにより、各種申請のオンライン化や部署間の情報共有、集計、分析などが可能です。

LGWAN環境でのOfficeのクラウド利用

Microsoft 365は、事務作業でよく扱われるWordやExcelなどのアプリケーションを網羅した、サブスクリプション型のサービスです。現在、多くの企業で導入が進んでおり、コスト削減や生産性向上に貢献しています。

Microsoft 365を利用する場合、通常のLGWAN環境では、ネットワーク上のライセンス認証サーバーへアクセスできません。一方、R−Cloudサービスでは、自治体から直接ネットワークに接続せず、LGWANの閉域網を経由して認証サーバーへアクセスするため、セキュアな環境で作業を行えます。

まとめ

LGWAN(総合行政ネットワーク)は、パブリックネットワークから切り離された、行政専用のクローズドネットワークです。これを導入することにより、高度なセキュリティ環境で情報通信が行える他、業務の効率化や費用の削減、住民サービスの向上効果が望めます。

さらに、LGWAN環境で提供されるプラットフォーム「R−Cloudサービス」を利用すれば、セキュアに外部サービスと連携できるなど、デジタル化により可能になる範囲が広がります。

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