運輸・物流

物流業界の最新技術トレンド

顧客ニーズの多様化や慢性的な人材不足など多くの課題を抱えている物流業界は、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けています。本記事では、物流業界のコロナ禍における影響や各課題を解説し、それらに対するDXソリューションについて詳しく紹介していきます。

物流業界の最新技術トレンド

MicrosoftのSmart Logisticsの取り組みの紹介

物流業界のコロナでの影響

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界中が未曾有の危機に直面しています。日本も例外ではなく、人々の日常はさまざまな制約を受け、経済や教育、学術研究、文化発信など広い範囲で多大な影響が生じました。そのような状況の中、物流業界も大きな経済的打撃を被ったのです。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって世界貿易が停滞し、物流が遅滞・停止するといった事態が散発的に起こりました。海外からの資材輸入が停滞することで、さまざまな分野のサプライチェーンに影響を及ぼしたのです。また、多くの店舗や宿泊施設が営業自粛を余儀なくされました。さらには、休業要請や外出自粛傾向などにより、利用客の大幅な減少も相まって、外食産業や観光業の業績は記録的な落ち込みを見せました。そして、こうした産業との取引のある事業者を中心に物流需要も連鎖的な影響を受けたのです。

物流業界の課題

物流業界はサプライチェーンを構成する重要な要素です。したがって、恒久的な需要が見込めるため、業界全体の将来性は高いといえるでしょう。しかし、一方で大きな課題を抱えている業界でもあります。物流業界が抱える課題として、主に「慢性的な人手不足・高齢化」と「労働環境の悪化」の2つが挙げられます。

慢性的な人手不足・高齢化

近年、日本は少子高齢化による人口減少によって、慢性的な人材不足に悩まされています。その傾向が特に顕著なのが物流業界です。厚生労働省による2020年8月の「労働経済動向調査」によると、物流業界に携わる約57%もの企業が正社員等労働者を「不足」と回答しています。

国土交通省がまとめた資料によると、約6割の企業がトラックドライバー不足に陥っているというデータもあります。また、就業者の高齢化も無視できない問題です。トラック業界で働く人の約45%は40~50歳であり、29再以下の若年層は全体の10%以下となっています。


このように、物流業界は慢性的な人手不足と、就業者の高齢化という大きな課題を抱えているのです。このような状況を補うためにも、AIやIoTといった情報通信技術の活用が求められます。ITシステムを導入することで、業務効率の向上と省人化を実現できるでしょう。

労働環境の悪化

物流業界は慢性的な人手不足によって、労働環境の悪化も招いています。サプライチェーンの重要な要素である物流は、たとえどれだけ人材が不足していたとしても、需要に対応していく必要があります。高い需要があるにもかかわらず、人手が足りないことにより、過酷な労働を強いられているのが物流業界の実情です。

2019年4月に「働き方改革関連法」が順次施行され、従業員が仕事と私生活を最適化するワーク・ライフ・バランスの実現をはじめとする労働環境の抜本的な改革が企業には求められています。過酷な労働環境を是正するためには、やはりITシステムの導入は欠かせません。物流業界でも、データやデジタル技術を活用し、サービスや業務を変革させるDXが求められています。

たとえば、情報をデジタル管理することで業務データが可視化され、取り組むべき課題が具体的に見えてきます。また、受注や発注業務をシステム管理することで、大幅な業務効率化が見込めるでしょう。多くの問題や課題を抱える物流業界の変革は、DXソリューションなくして成し遂げるのは困難といえます。

物流業界に求められる最新デジタルトレンドとは

物流業界は他の業種と比較すると、情報通信技術の導入が遅れている業界です。しかし、最新のデジタル技術を導入することで業務効率向上を実現している企業もあります。また、今後どのようなITシステムの活用が見込まれるのかも、押さえておきたいポイントです。そこで、物流業界に求められる最新デジタルトレンドについて解説します。

3PLの活用

3PL(サードパーティーロジスティクス)とは、物流専門事業者が荷主企業に物流の戦略やシステム構築などを提案し、包括的に受託する業務形態を指します。近年、事業戦略における物流業務の分野で注目を浴びている概念です。3PL導入の目的は、荷主企業が物流業務を外部委託することで、企業のもつリソースをより重要度の高い中核業務に集中させることにあります。

企業にとって物流ルートの開拓は莫大なリソースを必要とします。たとえば、トラックや人材、荷物を保管する倉庫など、多くのコストと時間がかかるでしょう。そこで物流業務を3PL企業へ委託することで、製品の企画や開発、販売といった企業価値の中核を成す業務に多くのリソースを投入できるのです。

現場支援の効率化

AR」や「VR」といった技術の導入も今後加速していくと予測されます。こうしたバーチャル技術を事業戦略に応用することで、業務効率化や生産性向上、働き方改革の実現に貢献するでしょう。たとえば、ARデバイスがあれば紙媒体のマニュアルや作業指示書などが不要になり、ハンズフリーで作業に取り組めます。これによりトラックの整備や管理業務が大幅に効率化されるため、従業員一人あたりの労働生産性の最大化に繋がります。

また、VRデバイスで実際の現場と同様の環境を作り出すことで、運転や整備の実践的トレーニングが可能です。こうした技術を導入することで、従業員の教育にかかるコストを削減しながら、運転技術の向上や現場支援の効率化を実現します。

車両管理・ドライバー支援

ITシステムを導入することで、車両管理やドライバー支援といった業務の効率化につながります。情報をデジタル管理することで、車両の位置情報や走行履歴、燃料コストなどの一元管理が可能になります。こうした情報のデジタル管理は車両を最適な状態に管理するだけでなく、運転管理にも役立ちます。たとえば、運転プロセスを監視することで、速度超過や危険運転の感知が可能です。運転管理によって事故の未然防止やドライバー支援などの労働環境改善と共に、輸送品質の向上にもつながるでしょう。

利用者サービスの顧客満足度向上

近年、ECサイトの普及によって小口の物流量が増えたこともあり、ドローンによる宅配が注目を集めています。世界最大手の小売企業Amazonがドローンによる宅配認可を取得したとして話題になりました。物流業界のドライバー不足と高齢化なども重なり、今後はドローン宅配が物流のスタンダードとなる日がくるかもしれません。

こうしたDXがもたらすのは、従来ではあり得なかったUX(ユーザーエクスペリエンス)の提供による顧客満足度向上です。小口宅配や過疎地への迅速な宅配が可能になり、より多くの人々に宅配サービスを提供できるでしょう。また、ドローン配送はラストワンマイル問題を解決へと導き、配送コストの大幅な削減が期待できます。もちろん、現状においては課題が山積みであり、本格的な実用化はまだ先の話です。しかし、物流業界に大きな変革をもたらす日はそう遠くないでしょう。

LMSの活用

LMSとは「Logistics Management System」の略称で、統合物流管理システムと訳されます。LMSの目的は多岐にわたり、AIやビッグデータの活用による需要予測や配車計画の最適化を実現します。輸配送管理システムや販売システムとの連携、業務の自動化など、物流を包括的にサポートするシステムといえます。全拠点の在庫情報の共有や、リアルタイムの配送進捗管理など、複数拠点間のデータを一元管理することで、業務効率の大幅な向上につながるでしょう。

まとめ

物流業界はサプライチェーンを構築する重要な要素です。今後も大きな需要が見込める業界ではあるものの、大きな課題や問題が多数存在しています。こうした状況を打破するためには、DXソリューションの導入が必須でしょう。ぜひ、本記事を参考にして自社の事業戦略に応用してください。

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