小売業

未来に向けて抑えておきたい小売業界の最新トレンドを紹介!

新型コロナウイルス感染症の影響により、消費者の行動や意識は大きく変わりました。実店舗の来客減、衣料品・装飾品の購入減など、小売業も大きな打撃を受けています。企業のこれからの進みに対して、本記事では小売業界の実際の動向を紹介した後、未来に向けて押さえておきたいトレンドを5つ紹介します。

未来に向けて抑えておきたい小売業界の最新トレンドを紹介!

小売業におけるAI活用の最新グローバルトレンドは?

コロナ渦が与えた小売業界への影響

新型コロナウイルス感染症対策の特別措置法に基づき、2020年4月には全国に緊急事態宣言が発出されました。期間中は外出自粛や休業要請といった行動制限が行われたことに加え、それ以降も不要不急の外出を控える動きが広がったことで、小売業は来客激減、売上減少などの影響を受けました。

特にホテル・航空会社をはじめとした観光関連業、レストランなどの飲食業、対面販売を行う百貨店やアパレル業などは、実店舗の売り上げが激減するなど大きな打撃を受けています。

一方で家電量販店、スーパー、ドラッグストア、ホームセンターといった業界は、巣ごもり需要によって販売額増でした。

また、実店舗に足を運ばなくなった分、オンラインで商品を購入するという人が増え、ECの売り上げは大幅に増加しました。経済産業省の発表によると、2020年の国内物販系EC市場(BtoC)は約12.2兆円で前年比21.7%増と大幅に伸長しました。特に「書籍、映像・音楽ソフト」「衣類・服装雑貨等」では、市場に対するEC比率を表すEC化率が伸びており、従来実店舗で購入していたものがオンラインで購入するようになってきたことがわかります。

未来に向けて抑えておきたい小売業界のトレンド予測

未来に向けて企業が発展し続けるためには、新型コロナウイルスの影響はもとより、地球環境や社会情勢の変化、デジタル技術の進展といった世の中の潮流に柔軟に変化に対応していくことが必要です。

ここからは、未来に向けて小売業が特に注目したいトピックを5つに絞って紹介します。

メタバース

メタバースはUniverse(宇宙)とmeta(超越する)を組み合わせた造語で、インターネット上の3次元仮想世界を指します。ユーザーは自分の代わりとなるアバターを用いてコミュニケーション、買い物、イベント参加といった体験が可能です。

最近では渋谷区公認のバーチャル渋谷をはじめ、メタバース上に現実世界の都市を再現する動きも活発化しており、新たな経済圏として注目を集めています。

小売業界でもメタバース上にショップを出店し、アバターが購入した商品は実際に宅配されるようなサービスも実験的に行われています。このところTVやネットニュースで取り扱われる頻度も増えるなど、ぜひ注目したいトレンドのひとつです。

AI需要予測

AI需要予測とは、人工知能(AI)を活用して将来の需要・販売状況を予測することです。例えばスーパーで卵や牛乳といったデイリー商品に対して需要予測を行うことで、在庫を適正にし、販売ロスを最小限にします。

従来はこのような予測は人の経験やカンが頼りでした。しかし過去の売り上げデータに加えて天候、イベントなどさまざまな要因を組み合わせてAIが分析することで、高精度の予測を立てることができます。

商品の無駄をなくすという点では、消費者にとっても販売者にとってもメリットになる取り組みです。また、販売者側は業務効率化によるコスト削減や、人員の有効配置につながるのもポイントです。

ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングとは、需要と供給のバランスによって価格を変更する値付けのしくみです。もともとホテル予約や飛行機の航空券の販売で導入されていましたが、近年はコンサートチケットや小売、テーマパークの入場料など、幅広い分野で導入されています。身近なところではスーパーで夜遅くなると値下げするのもこれに当たります。

近年、電子ペーパーを使った電子値札の導入やRFIDタグの価格低下による普及により、店頭の商品価格変更を効率化できるようになりました。また、AIによるアルゴリズムの価格計算を用いる企業も増えています。スーパーでもこれらを活用すれば、1日に何度も価格を変更するといったことも可能になります。

今後はさらなる手法の進展によって、価格変動をよりリアルタイムで消費者に伝えることが可能となるでしょう。

顔認証決済

顔認証決済とは、貨幣やクレジットカードで決済しなくても、AIにより顔認証で商品が購入できる技術を指します。これにより手ぶらの状態でも買い物が可能です。

まだ日本では顔認証決済は普及していませんが、さまざまな企業が実用化を推し進めており、かなり近い将来に顔認証決済が普及していく可能性があります。

その第一歩として期待される取り組みが、九州に本拠を置くトライアルホールディングスが手掛けるスマート店舗です。これは同社が2022年4月に官民連携の新型店舗としてオープンしたもので、AIやIoTなどの最新技術が取り入れられています。会計時にはセルフレジで決済でき、また従来酒類販売時に提示を求めていた身分証明書の代わりとなる、自動年齢確認機能を備えた24時間顔認証決済を導入しているのが大きな特徴です。まだ地元関係者のみが利用できる機能ですが、今後は利用可能な範囲が拡大していくと予想されます。

なお小売業界のデジタル化が先行している中国では、Alipayを展開する大手EC企業のアリババが2018年に顔認証による決済サービス「チン・ティン(トンボの意味)」を、WeChat Payを展開するテンセントが2019年に「チン・ワン(カエルの意味)」をそれぞれリリースしています。これはアプリで自分の顔を事前登録しておくと、店舗に設置したカメラ付き端末で認証して決済ができるというものです。

サステナビリティ

サステナビリティ(sustainability)とは持続可能性と訳され、企業の立場で言うなら利益にばかり目を向けるのではなく、自然環境を破壊しないように配慮したり、フェアトレードのような適正なビジネスを行い社会に貢献したりする活動を指します。

かつては価格や品質が消費者にとって最大の関心事であり、企業にとっては「良い消費を安く提供すること」が重要でした。しかし現在は、地球温暖化などの問題意識を背景に消費者意識が変化しています。そのため企業に対しても、環境に配慮した素材を使用する、二酸化炭素排出量を削減する、事業を運営していくうえで国際的に大きな流れである人権尊重に対して配慮するなど、サステナビリティへの取り組みを求めるようになっています。

ファストファッション大手のH&Mでは、すべての商品をリサイクル可能な原料、またはサステナビリティに則って調達した原料を用いて製造することを目標にしています。また、H&M Japanでは不良品をアップサイクル(新しい品物にアップグレード)して店舗の什器として使用するなど、積極的にサステナビリティに取り組んでいます。

これらの取り組みはブランドイメージを向上し、消費者を惹きつけるのに役立っているのです。

まとめ

新型コロナウイルス感染症が小売業界に与えた影響と、小売業界が未来に向けて押さえておくべきトレンドを紹介しました。企業は地球環境や社会情勢の変化、顧客層の意識とニーズの移り変わり、デジタル技術の進展といった最新の要素に常に注目し、状況に応じて積極的に取り入れていくことが大切と言えます。

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