小売業

小売業の現状と課題を徹底解説|業種ごとの現在と今後の動向も紹介

新型コロナウイルスや離職者の増加、応募数の減少など人手不足を課題としている小売業は少なくありません。さらに、コロナの影響やインターネットの普及により消費者はECサイトでの購入をする人が増え、店舗は厳しい状況となるなど、小売業界は岐路に立たされています。本記事では、小売業の現状や課題を説明していきます。

小売業の現状と課題を徹底解説|業種ごとの現在と今後の動向も紹介

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小売業界「モノが売れない時代」は本当?

現代は「モノが売れない時代」と称されることが少なくありません。しかし、実際にはモノが売れないというよりも簡単にモノが売れなくなっているというべきでしょう。小売業が苦戦している背景について理解すれば、経営戦略に生かせるはずです。

「モノが売れない」といわれる理由

まず、「品質の高い商品が増えた」のは、モノが売れなくなっている大きな原因です。時代と共に、あらゆるジャンルの商品は改良を重ねられていきます。その結果、過去の欠点を克服した新商品が次々と開発されています。一度買うと長く続けられる商品も少なくありません。つまり、消費者は頻繁にモノを買い替える必要がなく、ひとつのモノを長く使い続ける時代に突入しているのです。

「トレンドの移り変わり」も原因でしょう。インターネットの定着によって、現代では消費者が収集できる情報量が急増しました。消費者がトレンドに敏感な反応を示すようになると、流行のサイクルはどんどん短くなっていきます。かつての人気商品があっという間に廃れる現象も珍しくなくなりました。トレンドから外れた商品は、再び人気が出る可能性は低く、市場から消え去っていきます。そして、消費者はまた新しいトレンドへと移行していきます。そのサイクルはますます加速するばかりです。モノが売れないのではなく、ひとつのモノを変わらずに売り続けるのが難しくなっているといえるでしょう。

時代と共に変化する消費者のニーズ

小売業にとっては、時代と共に変わっていくニーズに応えられるかどうかも重要な課題となっています。たとえば、モノを所有することから「共有」が当たり前になってきているのは、現代社会の大きな特徴でしょう。 デフレ経済や老後不安など、消費者が高い買い物をすることへの不安を抱える要因は数多く存在します。

そこで、インターネット上で優れたサービスを比較的安価に共有する傾向が強まっていったと考えられるのです。 そういった中で、サブスプリクション型のサービスが台頭してきました。定額制によって、与えられるサービスを使い放題にできる仕組みです。これらのサービスが増えたことで、ますます消費者から「モノを買う」という発想が薄まってきました。

ソフトを購入せずに、動画やアプリケーションの配信を利用するなどの消費行動は典型的な例でしょう。必要なときに必要なだけの商品、サービスを利用できるシステムこそが、現代の主流になりつつあります。

リアル店舗のショールーム化

中国などでは、ネットショップやECサイトの成長率が高まってきています。日本の小売業界でもインターネットで顧客を集めようとする動きが起こっています。ただし、消費の中心がインターネットになったことで、リアル店舗のショールーム化にも拍車がかかりました。

これまで、スーパーマーケットなどのリアル店舗では、顧客が来店して商品を購入するのが当然の流れでした。しかし、現代の顧客は店舗で商品仕様を確認したうえで、ネットにアクセスし、より安く販売しているサイトを探すようになっているのです。 つまり、店舗まで顧客を誘導することは可能でも、そこから競合他社に奪われてしまう可能性が大きくなっています。

せっかく集客に成功したにもかかわらず、売上に影響がないまま宣伝イベントが終わってしまうことも珍しくありません。小売業が生存するには、オンラインとオフラインのどちらの発想も持ちながら、最終的にはしっかり収益に導くような構造を確立することが必須だといえるでしょう。

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小売業全体に差し迫る現状と課題

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小売業界においては、慢性的な人手不足が続いています。さらに、コロナ禍の影響によりどのような影響が小売業界にはあるのでしょうか。現状と課題について説明していきます。

慢性的な人手不足とその対策のため生じている瀬戸際の人員配置

小売業においては、少子高齢化による慢性的な人手不足が大きな課題となっています。さらに、新型コロナウイルスに見舞われる以前より、離職率の高さや応募数の少なさに悩まされてきました。小売業が人材不足となる大きな要因として、ブラック企業として悪いイメージを持たれている点があります。

総務省統計局が発表している人口推計では、日本の人口は2008年以降少子高齢化の影響で年々減少しています。このため、今後さらに人手不足が加速することが予想され小売業界においても労働生産性の改善が必要です。

一方で、人手不足対策のために働き方改革に取り組むことにより、さらにぎりぎりの人員配置となる店舗が多く、持ちこたえられないことが要因で廃業となる店舗は少なくありません。

コロナ禍・コロナ後がもたらした影響とその対応

コロナ禍の影響でまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発せられたことにより、小売業では感染予防対策が必要になったほか、営業時間の短縮に取り組む必要がありました。このため、現場の業務が増える一方でなおかつ営業時間が短くなったことから売り上げが減った店舗は少なくありません。

業務負担が増えたことから、コロナ禍以前よりも人出不足における問題が深刻化しています。コロナの影響で外出を避けるようになったことによりネットショップやECサイトで購入する消費者が増えた点も、小売業にとってはより厳しい状況となっているのです。

小売業がコロナ禍の中で生き残るためには、変化する消費のトレンドを把握し実店舗ならではの特徴を活かすことが求められます。

業態別 小売業界の現状と課題

経済産業省は例年小売業の動向に関する統計データを発表しています。日本における小売業の課題を業態ごとに探るために、「2021年小売業販売を振り返る」という資料で数字を追っていきましょう。

百貨店

2021年の百貨店全体の販売額は4兆9030億円でした。そのうち、もっとも売上に貢献していたジャンルは「飲食料品」です。次に、「婦人服・子供服・洋品」が売上の多くを占めており、百貨店における主戦力だったことが分かります。一方で、「紳士服」は「婦人服・子供服・洋品」の3分の1以下の売上にしかなっていません。

百貨店業界の傾向として、ブランドイメージなどに後押しされ、百貨店全体の顧客数が急激に失われることは考えにくいでしょう。ただし、変化がないわけではなく、大手と中小企業の差が明確になっていくことが予想されます。

オンラインショップに対抗できるほどの知名度や宣伝力を持った大手が有利な立場にあるのは変わりません。さらに、外国人の顧客も増えている中、今は日本人にしか通用しないブランドであっても、これから国際的に高めていくことは大きな課題です。

スーパー

2021年、スーパーマーケット業界全体では15兆41億円の販売額が記録されました。依然として、日本人の消費生活の中心にはスーパーがあります。中でも、10兆円以上は飲食品の売上でした。

安くて新鮮な食材が簡単に手に入るスーパーは、食生活に欠かせない存在となっています。ただし、衣服や日用品などの売上は飛び抜けたものがありませんでした。 スーパーマーケットの顧客は、調理の手間を惜しまない高齢者が中心になっている可能性があります。「料理は家でするもの」という考えが浸透している高齢者は、肉や魚、野菜を買って持ち帰ることが当たり前になっています。一方、若者世代にはそもそも「自分で料理をしなくてはいけない」という発想が必ずしもありません。

そのため、若者世代を顧客にすることはスーパーにとって今後の課題です。 「ブランド化」の促進もスーパーに求められているテーマでしょう。単純な価格競争になってしまうことが多い業界なので、商品そのもののクオリティが語られる機会がそれほどありませんでした。しかし、顧客の世代交代を進めていくには、安さだけでない魅力をどこまで訴求できるかが鍵でしょう。

コンビニエンスストア

2021年、コンビニエンスストア業界は11兆7601億円もの販売価格を記録しました。内訳としては、日配食品、加工食品、非食品のバランスがとれているのが特徴です。

幅広い顧客が通いやすい立地にあり、多種多様な需要に応えられるだけの品ぞろえがあるのは、コンビニエンスストアの強みといえるでしょう。各メーカーがオリジナルの商品、サービスを展開して特色を押し出しているのも、業界全体の活性化につながっています。

ただし、あまりにも店舗数が増えすぎて市場が頭打ちになっているのは課題です。新規店を増やして売上を伸ばすのがコンビニエンスストア戦略の基本だったものの、同じメーカーの店舗同士が顧客を奪い合うという事態を招いてしまいました。成長率という点で、コンビニエンスストア業界は停滞しています。

今後は、「気軽さ」を押し出すだけでなく、より深いニーズに応えられる店舗となっていけるかが重要でしょう。

家電大型店

2021年度、家電大型店は4兆6867億円でした。

特に、生活家電は半分に近い販売額を記録しました。次いで、情報家電が売上の多くの割合を占めています。このデータは、パソコンやスマホが当たり前になった世の中を象徴するものです。それぞれ単価が高い商品であることも、売上の伸びに反映されています。

ただし、家電業界全体としては、市場が縮小傾向にあります。大きな要因として、パソコンの浸透によりテレビやラジオといった製品を買う必要がなくなったことが挙げられるでしょう。

パソコンが家庭にあれば多くの家電の機能を代用できてしまうので、他の製品を買う必要性が薄れたのです。そして、大手家電量販店が市場を独占し、中小企業は苦戦を強いられています。規模の小さい店舗ほど、オンラインを意識して宣伝戦略を立てられるかどうかが課題となっていくでしょう。

ドラッグストア

日本ではドラッグストア業界も大きな市場を持っています。外国人観光客の「爆買い」と呼ばれる消費行動では、しばしばドラッグストアの商品が人気を集めてきました。コロナの影響で外国人観光客は激減しましたが、前年比ではほぼ横ばい、コロナ前と比べても売上はそれほど減少していません。2021年度には、前年比0.3%プラスの7兆3066億円の販売額を記録しています。

そのうち、特に食品や家庭用品、ビューティー用品などは大きな売上となってきました。ドラッグストアで取り扱われている商品が、さまざまなバリエーションを見せるようになったことを象徴しています。

ドラッグストア業界の成長には、インバウンドマーケティングが貢献しています。国内のみならず国外の消費者にも目を向けたことが功を奏して安定した市場を手にすることができました。しかしながら、同業界では低価格競争がし烈を極めてきています。決して利益率は高くないだけに、今後はどのようにして売上と利益を両立させていくかが課題でしょう。

ホームセンター

家庭用品やDIY用品を購入する場所として、ホームセンターは重宝されてきました。そのほか、園芸用品やペット用品なども人気です。2021年のホームセンター市場の販売額は3兆3905億円にものぼりました。

日本におけるホームセンター業界は、郊外を中心として店舗を展開していき、地方の顧客を掴むことで成り立ってきました。しかし、近年では少しずつ市場規模が縮小してきています。 ホームセンター業界にとって向かい風となったのは、店舗数が増えすぎたことによる競争の激化でした。また、戸建て住宅の着工件数が徐々に減少してきたこともあり、家庭用品の需要そのものが少なくなっています。

どの企業も飲食品を増やすなどの工夫をして対応しているものの、決定的な効果には結びついていません。一方で、他社を吸収合併しながらさまざまな事業展開を図る企業も出てきました。郊外以外のエリアで、どれだけ顧客を集められるかがホームセンター業界に課されている試練です。

その他(自動車小売店や専門販売店)

衣服など、そのほかの専門販売店は、年々苦境に追い込まれています。全体の売上が急落こそしていないものの、部分的にはゆるやかな下降の傾向が表れているといえるでしょう。消費者のライフスタイルの移り変わりは市場に影響を与えました。かつて、衣服といえば「紳士服」「婦人服」というように、明確なジャンル分けがなされていました。だからこそ、ブランドの商品が愛され、固定ファンを生み出していたのです。

しかし、現代では低価格の「ファミリー服」で満足する消費者も少なくありません。 全体的に価格重視の消費活動が目立つ中、リアル店舗での売上が伸びているといえるのが自動車販売です。自動車は信頼できるディーラーから直接話を聞いて購入したいという層も根強く存在するので、オンラインショップの台頭も店舗を脅かすまでにはなっていません。

そのかわり、車の周辺機器などはネットで購入する顧客が増えています。 ただし、車を買う消費者自体は減っていなくても、日本メーカーも安心は禁物です。海外メーカーの情報を集めやすくなった時代では、「安くて耐久力がある」日本車の魅力が絶対的なアドバンテージにならなくなりました。

そして、デザインやブランド力で車を選ぶ傾向が強くなることも考えられます。アパレルや自動車では純粋なものづくりの視点に立ち返ることが、今後も存続していく条件になりえるでしょう。

小売業は今後なくなるのか?

小売業の現状と課題を徹底解説|業種ごとの現在と今後の動向も紹介2

小売業は今後なくなってしまうのでしょうか。決してそんなことはありません。ネットショップやECサイトでは提供できないような、実店舗ならではの強みがあるのです。

例えば服飾を扱う店舗であれば、実物を見ないとWeb上で見える色や形が違う場合があり試着できないとサイズもわかりづらい場合があります。服飾以外にも直接商品を見てから購入したいと思うことは少なくありません。

このように、消費者のニーズを掴める実店舗はこれからも存続するでしょう。そのためには、適切なマーケティングが求められます。実店舗を存続させるにはこのような課題解決が求められるのです。

小売業が生き残るためにできること

小売業の現状と課題を徹底解説|業種ごとの現在と今後の動向も紹介3

東京商工リサーチの調査によると2020年、小売業の倒産数は前年比14.3%減の1,054件となっています。この数値は、1991年からの30年間で最小です。

倒産数が減少した要因として、不要不急の外出を避けるために外食をやめて自炊をしたり総菜を買ったりする人が増えた点が挙げられます。さらに、生活用品や日常に必要な食品を扱っている薬局やスーパーなどにおいては売り上げが増えています。

このように小売業界で営業を続けるためには、消費者のリアルタイムなニーズをつかむことが重要です。そこで、小売業界においてもDXを導入することによって売り上げ向上や業務効率化などにつなげられます。

例えば、DXを導入することによってOMO(オンラインをオフラインと融合すること)を活用し実店舗とECサイトの両方を運用できます。さらに、レジにおいてのPOSデータを活用することによって消費者一人ひとりの購入履歴や属性などのデータを累積してデータ活用につなげられます。

まとめ

小売業は離職率の高さや応募率の低さ、多くの消費者がECサイトを活用するなど厳しい状況にありました。さらに、新型コロナウイルスの影響により営業時間短縮や感染対策など店舗の負担が増えています。

しかし、実店舗の強みを活かしてしっかりとしたマーケティングを行うことで売り上げを増やしている場合もあります。小売業においてもDXを導入しデータを活用することで、効果的なマーケティングにつなげられるのです。

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