CRM/SFA

今さら聞けないSFAとCRMの違い

製品やサービスの問題点を改善し、常に顧客満足度を高めるために新しい情報管理システムが必要なことは理解している。しかし、そのためにSFA(Sales Force Automation:セールス・フォース・オートメーション)とCRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、どちらを導入すべきかが分からない。今回はそんな方に向けて、SFAとCRMの違いをご紹介します。

今さら聞けないSFAとCRMの違い

CRMの利用実態と課題

SFAとCRMの違い

違いが曖昧のように感じるSFAとCRM。実はその生い立ちを知れば、それぞれどんな役割を持っているシステムかが明確に分かります。

SFAとは

SFAが誕生した背景には、流動的な営業活動や顧客情報を資産として管理する目的がありました。米国では古くからキャリアップとしての横展開(転職等)が当たり前の文化があり、顧客情報を管理するセールスパーソンも例外ではありません。多くの企業では、セールスパーソンの転職時にその人が持つ顧客情報まで流れてしまう状況にありました。

そこで登場したのが、各セールスパーソンが持つ顧客情報をシステムに入力させ、企業の情報資産として管理するSFAです。今では営業活動を支援するシステムとして広く導入されていますが、当初は顧客を流出させないための仕組みだったわけです。

時代の流れと共にSFAの役割が見直されていき、今では顧客情報管理を基点としながら営業部署全体での情報共有による組織的な営業活動の支援や、業務効率化機能によるセールスパーソンの営業活動支援などの機能を備えるようになっています。

CRMとは

1990年代は大量生産・大量消費のマスマーケティング時代から、消費者個別のニーズに合わせたOne2Oneマーケティング時代への大きな転換期でした。そこで誕生したのが、顧客1人ひとりと継続的かつ発展的な関係を築くためのCRMです。

企業では常に大量の顧客情報を収集しながら、それらの部署ごとや担当者ごとに分散して管理されているケースが多く見受けられます。顧客情報が分散管理されてしまうと、情報の共有化が進まずに適切なサービスを展開したり、製品改善へのフィードバックが上手くできなかったりと非効率な状態を作り出します。また、顧客にとってはたらい回しにされるなどユーザー体験が損なわれてしまいます。

そこで、組織内に分散していた顧客情報を一か所に集約・統合し、大きな顧客データベースとして活用するのがCRMです。こうすることで、個々の消費者ニーズに沿った製品やサービスの展開や、マーケティング活動、サポート活動の最適化などが行えます。

SFAとCRMの機能

SFAとCRMでは機能面で重複している部分も少なくありません。ただし、営業支援機能と顧客育成機能においての差異が多いため、その点に着目してSFAとCRMの導入可否を判断するのが基本になります。

SFAとCRMで共通する機能

  • 顧客情報管理(ただし、管理できる階層が異なる)
  • 問い合わせ管理
  • メールフォーム作成
  • メール一括送信
  • ToDo管理
  • レポート作成(SFAは売上分析計、CRMは顧客分析系)
  • 外部データインポート

SFAとCRMでは以上の機能で共通している部分が多いものの、細部まで見るとやはり異なる点があります。顧客情報管理では、SFAとCRMとで管理できる階層が異なるのが特徴です。SFAは基本的な顧客情報に加えて案件内容(顧客のニーズや課題、興味を持っている製品やサービスなど)や商談履歴、各顧客に対する行動履歴などの情報を管理します。一方CRMでは、顧客の基本情報から過去の取引履歴や問い合わせ履歴、クレーム内容などを管理します。

作成するレポートに関しても違いがあり、SFAでは売上分析系のレポートが作成できるのに対してCRMは顧客分析系のレポートが作成できます。

SFAに多く見られる機能

  • 営業スケジュール管理
  • 予算実績管理
  • 名詞管理
  • 営業日報作成

SFAは営業活動を支援し、かつ顧客情報を営業部署全体で共有するためのシステムです。そのため、営業スケジュール管理や営業日報作成などセールスパーソンの活動を支援し、かつ上司と部下のコミュニケーションを促進するための機能が備わっています。

SFA運用の初期段階では、セールスパーソンの入力負担が増加するように感じますが、確実に顧客情報を積み上げていきシステムに合わせた営業プロセスへ再編成することで、より効率の高い営業活動を展開できるようになります。

CRMに多く見られる機能

CRMは顧客との関係性を構築する観点から、マーケティングツールとしての機能とコールセンター連携機能を兼ね備えています。もっとも、高度に自動化されたマーケティング活動を展開するにはMA(Marketing Automation:マーケティング・オートメーション)との連携が必要です。

コールセンター連携機能では、カスタマーサポート等で蓄積した顧客情報もCRMに取り込みながら、サービスの最適化やセールスパーソンとの連携なども行います。CRMは顧客満足度向上を目指しながら運用するシステムなので、費用対効果が出るまでに時間がかかることがあります。ただし、長く運用するほどその効果を最大化するため、中長期的目線での運用が大切です。

SFAとCRM、結局どちらを導入すべきなのか?

最近ではSFA機能を備えたCRMが登場しており、両システムの境界線が曖昧になりつつあります。では、どちらを選ぶのが正しいのか?

まず大切なのは、新しい情報管理システムを導入するに至った経緯と目的です。SFAやCRMを導入しようと考えるまでには、「顧客情報管理が難しくなったから」といった抽象的な理由ではなく、もっと具体的な理由があるはずです。例えば、顧客情報がセールスパーソンごとのExcelシートで管理されており、自社ビジネスにとっての顧客全体像が見えないなど。

このように、なぜ新しい情報管理システムで顧客情報を管理しなければいけないのか?という理由から、SFAやCRMが必要になった経緯と目的を明確にすれば、選択はそう難しくありません。以下に例として、SFAとCRMが必要なケースを挙げておきます。

SFAが必要なケース

  • セールスパーソンと共に貴重な顧客情報が流れてしまっている
  • 上司と部下のコミュニケーションが上手く取れていない
  • 帰社後に営業日報を作成するため負担が大きい
  • セールスパーソンごとの売上着地予測が正確に行えていない
  • 予算実績管理が怠られて売上の見通しが立たない

CRMが必要なケース

  • 基本的な活動にあうOne2Oneマーケティングを実現したい
  • カスタマーサポートの応対品質を向上したい
  • 大々的なアンケート調査などを実施して顧客の意見が知りたい
  • 顧客ニーズを商品開発などに反映させたい

このように、ケースに応じて必要な情報管理システムが異なります。SFAとCRMの違いについて知ったら、自社がなぜそれらを必要としているのか?を明確にした上で、SFAとCRMの選定を慎重に行っていきましょう。

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