スマホの普及により、今の時代に欠かせない存在となった「アプリ」。近年では、プログラミングの知識がなくてもアプリ開発できるツールが多数提供されており、企業はもちろん個人でも開発のハードルが下がってきています。そこで本記事では、アプリ開発におすすめのツールや、導入時のポイントについてご紹介します。
アプリケーション開発が普及した背景
そもそも「アプリケーション」とは一般的に、特定の作業を行うために開発された「アプリケーションソフトウェア」のことを指します。
世の中にリリースされているアプリの多くは、企業が開発したものですが、最近では個人でもアプリ開発を行いヒットするケースが増えてきました。以下では、企業や個人でアプリ開発が普及した理由について解説していきます。
デバイス端末の普及
まず、PCやスマートフォン、タブレットなどの端末が普及したことが挙げられます。アプリ開発を行うための道具として、基本的にはWindowsやMacのPC、動作確認用のスマートフォンが必要です。最近では、それらの端末が誰でも手に入りやすくなり、またユーザーも何かしらの端末を持つようになったため、必然的にアプリの開発人口が増えてきたといわれています。
インストール型アプリの増加
App storeやGoogle Playから必要なアプリを選択し、ダウンロードして利用する「インストール型アプリ(ネイティブアプリ)」が増加したことも理由のひとつです。アプリの仕様にもよりますが、一度自分の端末へインストールすればオフラインでもサクサク動いてくれるので、ストレスなく利用できることが魅力です。
たとえば、飲食店の紹介や口コミが掲載された、お店探しに役立つ「食べログ」もインストール型アプリを提供しています。今いる場所から近いお店を探したいときに、地図を見ながらスイスイ検索できたり、電話なしでアプリ予約ができたりするなど、ブラウザ版では使えなかった機能が人気となっています。
マーケティング戦略として有効
アプリ開発は、マーケティング戦略の一環として有効性を発揮することも注目されています。初期の開発コストこそかかるものの、有料アプリであれば利益が生まれますし、無料であっても高評価を得られれば、自社商品・サービスの認知度向上や企業のイメージアップにもつながります。
また、ECサイトを手がけている会社が自社アプリをユーザーへ提供すれば、利便性の向上から購買意欲につながったり、常にアプリのアイコンを端末の画面上に表示してもらえることで、継続的な広告効果が生まれたりするメリットもあります。
おすすめのアプリケーション開発ツールとは
アプリケーションの開発と聞くと、「高度なプログラミング知識が必要なのでは?」と不安に思われる方もいるかもしれません。しかし現在では、プログラミング知識がなくてもアプリを開発できるツールが豊富に提供されています。以下では、初めての方でもおすすめのツールをいくつかご紹介します。
Monaca
アシアル株式会社提供の「Monaca」は、Webからクラウドへサインアップし、JavaScriptとHTML5という親しみやすい言語をもって、iOS/Android/PC向けアプリを同時開発できる国産ツールです。
Monaca開発プラットフォームを利用することで、開発コストを抑えられるうえ、技術者不足などの課題も解決できます。技術的なトレーニングから実践的なコーチングまで、開発支援が充実しているのもポイントです。
料金プランについては非商用利用限定の「Free」プランのほか、個人向けの「Pro」、チームなど複数人向けの「Business」、全機能を無制限で使える「Enterprise」の3つが用意されており、それぞれ以下の料金設定となっています。
- Pro:1ユーザー2,000円/月
- Business:基本料金2,000円/月+1ユーザー5,000円/月
- Enterprise:基本料金50,000円/月+1ユーザー10,000円/月
また、全プランで14日間の無料トライアル期間(一部使える機能に制限あり)が提供されているため、使い勝手を確認してから導入できます。
Yappli
株式会社ヤプリ提供の「Yappli」は、アプリ開発から運用、分析まで一貫して行えるプラットフォームです。動画やWebビューなどを盛り込んだリッチで多彩なデザインのiOS/Androidアプリを、ノーコードでスピーディに提供してもらえるのが特徴です。更新作業は直感的な操作で行えるため、誰でも簡単に思いのまま運用できるでしょう。
料金体系は、アプリの企画提案から制作、リリースまでの初期制作費用と、リリース後の運用やOSアップデート対応までしてくれる月額費用の合計となります。要望に応じて最適な料金プランを提案してもらえるため、気になる方はぜひ一度、問い合わせをしてみてください。
Power Apps
「Power Apps」は、2016年11月にMicrosoft社が「Dynamics 365」と一緒に提供した、ローコードアプリを構築できるツールです。用意されたテンプレートの中で、ドラッグ&ドロップなどの直感的なマウス操作でアプリを作成できるため、手軽に共同作業の効率化が実現できます。
以前は開発担当者のみに権限があったAIコンポーネント機能も、従業員全員が使えるようになったことで、利便性が大きく向上しています。プロの開発者向けのビルディングブロックを使えば、プラットフォームの拡張も可能です。
料金プランは、「サブスクリプションプラン」と「従量課金プラン」の2つが用意されています。前者は一度に1つのアプリを実行するか、無制限にアプリ実行のライセンスをユーザーに与えるかを選べるプランで、アプリごとなら月額540円、ユーザーごとなら月額2,170円となっています。
一方、後者は月額1,120円での提供です。その月にユーザーがアプリを実行した場合にのみ、Azureサブスクリプションを通じて支払う形となります。
アプリケーション開発ツール導入前に確認したいポイント
最後に、アプリケーション開発ツールの導入前に確認しておきたいポイントを3つ解説します。
1.導入目的を明確に
まず、「どのようなアプリを作りたいのか」「アプリによって何を実現したいのか」という目的を明確化しておくことが大切です。いかに多機能のツールであっても、目的にそぐわないものを導入しては意味がありません。導入後に使いたい機能が使えなかったり、希望したアプリが作れなかったりといった問題が起きないよう、サービス・機能・料金体系などについて、目的と照らし合わせながらよく比較しておきましょう。
2.作成可能なアプリの種類を確認
アプリには大きく分けて以下の3種類があります。作りたいアプリによって、選ぶべきツールや開発言語も異なってくるので、事前に押さえておきましょう。
Webアプリ
インターネットのブラウザ上でそのまま動くアプリです。代表的なものとしては、「Facebook」などのSNSや「Amazon」などのECサイト、そのほか「Slack」「クックパッド」などがあります。
スマホアプリ
スマートフォン端末にダウンロードして使うアプリです。iPhoneやiPad向けのiOSアプリ、Android端末向けのAndroidアプリに分類され、それぞれ開発言語が異なるので注意が必要です。「LINE」や「PayPay」などの決済アプリや、用途に応じて利用されるゲームアプリ、地図アプリなどが該当します。
ハイブリッドアプリ
Webアプリとスマホアプリの両方の機能を使えるアプリで、ユーザーが自由に選択して利用できるのが特徴です。ハイブリッドアプリは現在、アプリ市場で主流となっており、中でも「YouTube」や「Instagram」などは多くのユーザーを獲得しています。
3.開発手法についてもチェック
ツールを導入する前に、具体的な開発手法についても確認しておく必要があります。たとえば、「プログラミングのスキルはどこまで必要か」「使う言語は何か」といったことが挙げられます。また、開発に行き詰まった場合を想定し、サポート体制も併せてチェックしておくことで、安心して導入できるでしょう。
まとめ
デバイスの普及やインストール型アプリの増加、さらにはマーケティング効果への期待も相まって、個人・法人を問わずアプリ開発への機運が高まっています。アプリ開発をサポートしてくれるツールにはさまざまなものがありますが、今回ご紹介したツールはいずれも使いやすく、人気の高いものばかりです。特にPower Appsは、Dynamics 365やOffice 365と統合して使えることから、ビジネスシーンでの活躍が期待できます。自社に最適なツールを導入できるよう、アプリ開発の目的や用件を明確化したうえで比較検討してみてください。