放送業界

放送事業者の課題とは。マイクロソフトによる解決の実例を紹介

メディア・放送業界では、新たなコンテンツプロバイダーの台頭で市場競争が活発化しています。差別化を図るには、大量の映像コンテンツをユーザーの求める時に提供するための、データ処理システムやAIの活用が重要です。そこで本記事では、Microsoft Azureのコンテンツクリエイター向けサービスの概要を説明します。

放送事業者の課題とは。マイクロソフトによる解決の実例を紹介

放送業界が抱える映像コンテンツ製作における課題

マルチデバイス環境の拡大を受けて、映像業界でも長年の経営課題の解決と新しいビジネスモデルの創出に対する期待が高まっています。

一方で、映像コンテンツ製作の分野では先進ITを取り込んだプロセスの最適化が行われていない部分もしばしばみられます。ITによるソリューションが見込める放送業界の課題として考えられるのは、大きく分けて次の3つです。

膨大な数の映像コンテンツ管理工数の増加

映像コンテンツの制作においては、ベースとして膨大な量の動画データをストレージしなければなりません。そのなかからムービーやサウンドなど必要な情報をすぐに取り出せる状態で管理することは、とても重要であると同時に困難な作業でもあります。

動画データを検索する際にはメタデータを割り振りますが、多くの現場ではこの入力を手作業で行っています。そのためコンテンツの管理工数が増大して非効率になるだけでなく、情報の入力ミスや見過ごしといった単純な過失が起きる可能性も高まります。

映像コンテンツを適切に抽出する必要性

多数の動画から見たい映像コンテンツにいかにスムーズにたどり着けるかという問題は、動画の編集者やクリエイターだけでなく、エンドユーザーである視聴者にとっても重要です。良質なメタデータがそろっていないと、リコメンデーションエンジンでの検索も期待通りの効果を発揮できません。

動画や音声など膨大な情報からなる映像コンテンツにおいては、より高度なソリューションが求められます。コンテンツ抽出の精度と速度が向上すれば、複数の編集を同時並行で行うといったことも可能となり、映像制作プロセスのさらなる効率化も図れます。

リアルタイム放送に伴うストリーミング再生の遅延

スポーツ中継やゲームのシナリオプレイイングなど、リアルタイムでのマルチスクリーン配信やグローバル規模でのストリーミングは、同時実行数に合わせて接続時間が長くなり、ときには遅延の原因となります。待機時間の増加はユーザーのQoE(quality of experience)を低下させ、コンテンツそのものに対する評価を下げる結果につながりかねません。

また、コンテンツ配信の遅延の可能性をあらかじめ考慮に入れるとなると、スケーラビリティも制限され、コンテンツ開発に大きなコストと時間を割かなければならなくなります。顧客とのエンゲージ戦略の設計においても、大きな足かせとなります。

放送業界課題のマイクロソフト支援実例

上述の放送業界の課題に対し、マイクロソフトが実際に提供しているソリューションを、とくに「Microsoft Azure」に着目して紹介します。Microsoft Azureは映像コンテンツにおけるメディアバリューチェーン全体をサポートするソリューションサービスです。その機能の多くをクラウド上で利用できるのも大きな魅力です。これにより、必要なときに必要なスケーラビリティのシステムを構築すれば、大容量ストレージや高性能デバイスを用意しなくても映像コンテンツを編集することが可能です。

AIによる映像コンテンツのインデックスを効率化

放送業界においても、AI機能の有用性と可能性が認知されています。Microsoft Azureサービスの1つ「AI for Media」では、映像メディアと人工知能テクノロジーを融合させ、より効率的なデータ利用と実用的な解析による新たなコンテンツ制作のソリューションを提供します。

とくに、映像内のモノやヒト、音声、文字情報(字幕など)、感情分析といった膨大なデータを即時的に抽出できるのはAIの大きな強みです。これらの情報のインデックス付けも行ってくれることで、クリエイターが必要なデータの簡単検索が可能となりました。

抽出したデータは、たとえばキャラクターなら表情や感情、文字起こしであれば言語やトピックなどのメタデータとして管理できます。グループ化やタグ付けも自動検出できます。またインデックス作成やリコメンデーション機能を通じ、ユーザーの関心や好みにより密着したコンテンツ制作へと導いてくれます。顧客ごとの時間指定メタデータを活用すれば、広告などもより効果的に認知させることができるでしょう。

リアルタイム撮影する映像の同時編集が可能に

Microsoft Azureを通じて動画データをクラウドストレージに保存すれば、リアルタイムで撮影を続けながら、遠く離れた場所でその動画を同時進行で編集することも可能です。またデータのインデックス化も合わせて行うこともできます。そうすることで、たとえばテレビなどの映像コンテンツ制作で特定の公開禁止用語を検出したり、プライバシー保護のためにその場でモザイク処理などのコンプライアンス対策を施したりすることもできます。

クラウドコンピューティングに必要なリソースもあらかじめ用意されています。大量のデータを転送しながらAzure上で同時に作業しても、ワークロードに過剰な負荷がかかる心配もありません。撮影チームと編集チームがまったく別の場所にいたとしても、ノンストレスでシームレスに映像データの編集作業を進められます。このようにMicrosoft Azureは、映像制作のプロセスをより進化させ、新たな価値を与えてくれます。

現地に作業用PCやスピーカー、ストレージなどの機材を持ち込んだり、編集者が赴いたりする必要がないことから、時間だけでなくコストの大幅削減効果も認められます。かといって、ワークフローをすべてクラウドに移行させるのは、多大なコストや時間がかかるため現実的とは言えません。Microsoft Azureは、オンプレミス(自社運用)とクラウドの両立に対して親和性が高いのも大きな利点です。

まとめ

これからのコンテンツ制作は映像配信媒体の多様化や大容量化により、膨大なデータの分類・管理・移行が課題となります。クラウドベースのMicrosoft Azureを利用すれば、映像データ編集の作業効率化やコスト削減が可能です。AIなど先進ITを駆使し、今後もさらに実用性が向上することでしょう。

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