まずは、以下2つのグループウェア市場シェアに関するデータをご覧ください。
≪富士キメラ総研≫
- 1位 Office 365
- 2位 G Suite
- 3位 サイボウズ Office
≪ノークリサーチ≫
- 1位 サイボウズ Office
- 2位 Office 365
- 3位 サイボウズ Garoon
これら2つのデータは、いずれもクラウド型(SaaS型)グループウェアを対象として市場シェアを調査したものです。調査対象が変われば調査結果も変わるため少々データの相違はあるものの、国内のグループウェアの市場シェアはOffice 365とサイボウズの「2強体制」にあると言ってよいでしょう。
世界No.1のクラウド型グループウェアとして国内でも市場シェアを着実に拡大しているOffice 365と、国産老舗グループウェアとして中小企業を中心に高いシェアを持つサイボウズ。この2つの製品は、まったく違った特徴を持ちます。
今回は、国内市場シェアトップのクラウド型グループウェア、Office 365とサイボウズを比較していきます。
Office 365とサイボウズそれぞれの特徴とは
Office 365はグループウェアの中でも唯一、Officeライセンスを提供しているグループウェアです。Business PremiumやEnterprise E3など上位プランを契約すれば、多彩なグループウェアと同時にユーザー分のOfficeライセンスが手に入ります。Officeを端末にインストールすれば、常に最新状態で利用できます。これがOffice 365最大の特徴と言えるでしょう。
それに対してサイボウズでは、やはり国産グループウェアという点が多くの企業に受け入れられているようです。1990年代後半から2000年代前半にかけ、Lotus Notesなど海外グループウェアの導入失敗が相次いだことから、国産というポイントを安心感を抱くユーザーが今も多く存在します。
現在では海外製品も日本の商習慣に合わせて運用できますが、国産の安心感というのは大きなアドバンテージでしょう。ただし、中小企業のグローバル化が進む中、日本の商習慣にしか合わせられないことが徐々に問題になっています。
Office 365とサイボウズの機能比較
それではOffice 365、サイボウズ OfficeおよびGaroonの機能について比較します。
≪Office 365、サイボウズ Office&Garoon機能比較≫
|
Office 365 |
サイボウズ Office |
サイボウズ Garoon |
---|---|---|---|
スケジュール調整・共有 |
〇 |
〇 |
〇 |
ビジネスメール |
〇 |
〇 |
〇 |
独自ドメイン |
〇 |
〇 |
〇 |
インスタントメッセージ |
〇 |
〇 |
〇 |
オンライン会議 |
〇 |
× |
× |
ToDo管理 |
〇 |
〇 |
〇 |
在籍確認 |
〇 |
〇 |
〇 |
スマートフォン対応 |
〇 |
〇 |
〇 |
ワークフロー |
△ |
〇 |
〇 |
サイト作成 |
〇 |
× |
〇 |
多言語対応 |
〇 |
× |
〇 |
全文検索 |
〇 |
× |
〇 |
プロジェクト管理 |
〇 |
〇 |
× |
AD連携 |
〇 |
× |
〇 |
シングルサインオン |
〇 |
× |
〇 |
Office |
〇 |
× |
× |
機能面に関してはOffice 365が不足なく対応している一方で、サイボウズ OfficeとGaroonではそれぞれ対応していない機能がいくつかあります。OfficeはMicrosoft独自のサービスだとしても、オンライン会議やプロジェクト管理、AD連携に対応していないのが気になります。
ちなみにサイボウズ OfficeとGaroonのすみ分けとしては、前者がライト版で後者がエンタープライズ版です。どちらもクラウド型とオンプレミス型の提供形態を持ちます。
オンライン会議に関しては経費削減やコミュニケーションの促進といった効果に期待する企業も多いため、残念な点の一つです。以前はV-CUBEというオンライン会議ツールとの連携を可能にしていましたが、同サービスは2018年3月に終了予定なため新規受付はされていません。
対してOffice 365では、Skype for Business Onlineというビジネススタンダードなオンライン会議ツールを標準装備しています。最大250人が一堂に会して会議を開催でき、同ツール内でインスタントメッセージ機能やホワイトボード機能を使用できます。
強いてOffice 365の難点を挙げるならばワークフロー機能でしょう。SharePoint Onlineを利用すれば問題なくワークフローを作成できますが、作成にはスキルが要るため導入パートナーの協力が必要な場合があります。それを除けば、ビジネスに必要なツールはすべて揃っているため、グループウェアとして世界No.1シェア持つことも頷けます。
Office 365とサイボウズの価格比較
気になる価格についても比較していきます。
≪Office 365、サイボウズ Office&Garoon価格比較≫
|
|
価格(月額/1ユーザー) |
---|---|---|
Office 365 |
Business Essentials |
540円 |
Business |
900円 |
|
Business Premium |
1,360円 |
|
ProPlus |
1,310円 |
|
Enterprise E1 |
870円 |
|
Enterprise E3 |
2,180円 |
|
Enterprise E5 |
3,810円 |
|
サイボウズ |
Office スタンダード |
490円 |
Office プレミアム |
783円 |
|
Garoon |
783円~827円 |
ご覧の通り、Office 365ではビジネス向けとして7つのプランを用意しており、価格は540円~3,810円と大きく変動します。これに対して「プランが複雑で分かりにくい」という声をいただくこともありますが、裏を返せば自社環境により最適なプランを選べるということです。
サービスとしての機能が固定的なクラウド型グループウェアでは、いかに自社環境に最適な製品を選ぶかが重要です。環境に適さないグループウェアを導入してしまうと、別途ツール導入費用がかさんでしまったり、一部の情報共有を効率化できないなどの問題が発生します。
Office 365なら、エンドユーザーには最も低コストなBusiness Essentialsを適用して、管理者など重要な機能を必要とするユーザーに上位プランを適用するなど自由な組み合わせが可能です。契約プランと契約数などは管理センターにて一覧で確認できるため、管理が煩雑になることもありません。
一方でサイボウズ Officeスタンダードの月額490円というのは低コストで魅力的です。ただし、オンライン会議ツールの導入が別途必要になることを考慮すると、月間コストは1ユーザーあたり490円では済まないでしょう。
国際標準のグループウェア、Office 365をご検討ください
世界No.1シェアを持つOffice 365が、国内でも首位に立つことは時間の問題でしょう。これまでオンプレミスでExchangeやSharePointを運用していた企業や、Officeライセンスをサブスクリプション(定期契約)として導入したい企業など、続々とOffice 365に移行しています。加えてグループウェアとしても優れていることから、新規導入企業も着実に増加しています。Office 365は今や、国際標準のグループウェアと言ってもよいほどです。皆さんも、グループウェア導入や刷新の際は、Office 365をぜひご検討ください。