「フィールドサービス」とは、機械装置などの設備を「現場(フィールド)」にて設置や保守およびメンテナンスを行うサービスです。
機械装置などの製造企業などにとって、モノを作って売る、だけでは激しい競争を勝ち抜くことはできません。そこでフィールドサービスを展開し、顧客に最良のエクスペリエンス(体験)を提供することで、会社としての価値を高めます。また、保守や点検だけを行うようなサービス企業も存在します。そのような企業においては、以下に保守・点検作業を効率的に近代化していくのかが重要になります。
こうしたサービス全般を管理するのが「フィールドサービスマネジメント(FSM)」です。では、フィールドサービスを管理するとはどういうことなのでしょうか?
今回はそのフィールドサービスマネジメントについて詳しくご紹介します。
フィールドサービスは今や収益化の戦略
フィールドサービスを展開することで顧客ロイヤリティが高まり、それと同時にその会社の価値も高まります。顧客から寄せられる問題や疑問に対して、スピーディに応えられれば競合に負けない企業力が身に付きます。また、フィールドサービスは企業にとって収益化の源泉とも言えます。
そして、最近ではこのフィールドサービスも高度化したものになりつつあります。たとえばIoTを活用した事例では、機械装置に故障などを検知するセンサーを取り付け、それをモニタリングすることで素早いトラブルシューティングを実現したもの。レンタル重機にセンサーを取り付けて同様に素早いトラブルシューティングを実現したものなどがあります。
単なる現場での設置、保守、メンテナンスだけではなく、IoTなどを活用した攻めのフィールドサービスを展開すれば、一つのビジネスモデルとして確立させることも可能ですし、今まで行なっていた作業を大幅に効率化することで利益率を高めることも可能になるでしょう。
従来のフィールドサービスが抱えていた課題
フィールドサービスを展開するにあたって、解決すべき重大な課題が3つあります。それが「持ち込み資料」「リアルタイム報告」「デバイス携帯」です。
課題1.持ち込み資料
現場での迅速なトラブルシューティングのために、フィールドサービスの多くは大量の資料を持ち込みます。設計図面や作業手順、顧客情報が記載された資料など、片手では抱えて持ち込めない場合もあるでしょう。実はこうした大量の資料は、技術者の生産性を下げる大きな原因です。
1秒でも早く問題を解決して欲しい顧客にとって、持ち込み資料の扱いに手間取っている光景はストレスでしかないでしょう。
課題2.リアルタイム報告
フィールドサービスへ出向いた技術者の多くは、1日の終わりにその報告書を作成します。しかし現場作業から数時間以上も経過していると、覚えている限りで顧客の問題やサービス内容を記入するのみになってしまいます。顧客にとってより快適なフィールドサービスを展開するためには、もっと詳細な情報が必要です。
さらに、帰社してからの報告書作成では時間がかかり、残業時間が発生するなどの問題もあります。
課題3.デバイス携帯
フィールドサービスではプリンタやタブレット、ハンディターミナルなど複数のデバイスを携帯することが多々あります。これも、大量の資料持ち込みと同じように生産性を下げる大きな原因です。
フィールドサービスマネジメントによるアプローチ
先述した課題を解決するためには、フィールドサービスマネジメントによる業務最適化が重要です。それには、フィールドサービスを支えるためのITソリューションが欠かせません。たとえばDynamics 365では、次のようなフィールドサービス機能を備えています。
≪リソース最適化≫
スケジューリング自動化
現場に最も近い技術者を自動でスケジューリングすることで、案件数を増やす
在庫管理効率化
初回での修理完了率を高めるため、リアルタイムな在庫情報を同期および追跡する
≪技術者の最適化≫
ナビゲーション
どのデバイスでもリアルタイムで最適なルート、どこで曲がるかの指示、および作業指示の詳細を更新でき、技術者が時間順守できる
顧客情報共有
指定された手順での情報入力によってお客様の選好性や履歴の包括的な情報を取得できる
作業効率向上
技術者はデバイスを通じて技術資料を取得および更新できる
生産性向上
Mixed Realityヘッドセットなどのなどの製品により、技術者のハンズフリーガイダンスを実現する
≪IoT活用≫
情報取得
IoTを活用して顧客が問題を認識する前に、問題の検出および診断を行う
作業指示の自動化
自動的に作業指示を作成し、デバイス上に関連する顧客情報を持たせた技術者をスケジューリングおよび配置する
予兆保守
高コストな計画的メンテナンスではなく、必要なときのみに行われるジャストインタイムの予兆保守、修理、クリーニング、パーツ交換へ移行することでフィールドサービスを収益化する
≪顧客エンゲージメント≫
信頼構築
見積、契約、スケジューリング情報をシームレスに共有することで、透明性と信頼を高める
手軽な利用
カスタマーポータルにより、顧客がサービス活動およびセルフスケジュール予約を追跡しやすい
コミュニケーション
技術者の現在位置追跡や音声およびテキストによる予約リマインダーの自動化によって、サービスを受けられる時間帯の情報を顧客に提供する
≪プラットフォーム構築≫
カスタマイズ
コーディング不要の視覚的に操作できるエディターやツールで、Web アプリやモバイル アプリの構築と展開を簡単に行える
サービス環境結合
Dynamics 36 のアプリケーションとサードパーティのシステムにまたがる一連のプロセスを自動化できる
以上の機能はすべて、Dynamics 365によってフィールドサービスマネジメントを実現するためのものです。大量の資料持ち込みは無くなり、報告書作成はその場で。さらにデバイスを一元化することで、従来のフィールドサービスにあった問題を解決します。
Dynamics 365とは?
Dynamics 365はMicrosoftが提供する、統合されたビジネスアプリケーションです。ERP製品のDynamics AXと、CRM製品のDynamics CRMを統合しさらにブラッシュアップした形になります。
Dynamics 365はフィールドサービスをはじめ、セールス、カスタマーサービス、タレント、ファイナンス&オペレーション、リテール、プロジェクトサービスオートメーション、マーケティング、カスタマーインサイトという9つのビジネスアプリケーションを提供し、組織の業務全体の効率化や生産性向上を実現します。
これらのビジネスアプリケーションを活用することで、フィールドサービスでの収益化を可能にして、今までと違ったビジネスを展開できるのが特長です。
フィールドサービスをビジネスにする
これまでのフィールドサービスといえば「コストがかかる」「負担が大きい」といった、マイナスイメージしか持たれないことが多いものでした。
しかし、現在では、攻めのフィールドサービスを展開することにより、企業価値を高める一つの手段として再注目されています。皆さんもこの機会に、フィールドサービスをこれまでと違った、一つのビジネスモデルとして捉えてみてはいかがでしょうか?その際は、人工知能(AI)やIoTに強いMicrosoft Dynamics 365による最適なフィールドサービスマネジメントをぜひご検討ください。