効率の良い営業プロセスを作ることでどんな効果があるのか?売上増加、 生産性向上 、商談件数と成約率の上昇、新規獲得案件増加、 営業力 の底上げと営業育成の強化などなど、実にさまざまな効果があります。では、どうすれば効率的な営業プロセスを作ることができるのか?本記事ではその方法をご紹介します。
非効率な営業プロセスが出来上がる原因
現在の営業プロセスに対して、「非効率な作業が多いな…」と感じているセールスマンは多いでしょう。営業という仕事はクリエイティブ性が重要なので、常に時間との闘いです。営業本来の役割である、顧客との商談のための時間をいかに創出できるかが、営業実績を左右します。
しかし、提案書を作成することや顧客先へ訪問することばかりがメインになってしまい、顧客との商談時間に十分な時間を割けていないと感じていませんか?そうした場合、やはりどこかに非効率が隠れており、営業本来の役割を阻害していることが考えられます。
多くの営業部署で今でもよくある問題が、リスト作成やアポイントの1日ごとのノルマを決められていることです。そうした目標を決めることは営業活動の初期段階として必要なことではあるものの、リスト作成やアポイントそのものが目的化してしまうと、 営業効率 が下がる可能性があります。
それはつまり、精神論ばかりが先行してしまい、合理的かつ論理的なアプローチによる営業活動が展開できていない状況だと言えます。効率の良い営業プロセスを展開するには、確度の高い見込み客に精度の高いアプローチをかけることが肝要です。このため、1日〇〇件のリスト作成やアポイントという目標を達成することに気を取られると、効率的な営業プロセスのチャンスをみすみす逃すことになってしまいます。
営業プロセスを見直してみましょう
効率の良い営業プロセスを作成するためにはまず、現在の営業プロセスを疑うことから始めます。今の営業プロセスは効率的に見えて実はそうではないのかもしれない、顧客視点で営業活動を展開していたつもりが自己中心的になっていたかもしれない、そうした疑いを持つことで営業プロセス効率化の第一歩になります。
それでは、実際に営業プロセスを見直してみましょう。方法は簡単です。過去に受注のあった顧客に対する営業活動において、初めてコンタクトを取った時から契約に至るまでの流れを大まかに分類します。多くの場合は、次のように営業プロセスが進んだのではないでしょうか?
リスト作成・抽出⇒電話⇒アポイント獲得⇒訪問⇒ヒアリング⇒提案⇒商談⇒クロージング⇒契約
もちろん、企業や商材によって営業プロセスは変わります。ですので、自社独自の営業プロセス可視化をぜひ行ってみてください。次にすべきことは、問題点の抽出です。一見、普通そうに見える営業プロセスの中にはさまざまな問題が隠れています。その問題を抽出するために、「そのプロセスは合理的かつ論理的か?標準化されたものか?」という視点が考えてみてください。
例えば、前述のように1日〇〇件のリスト作成やアポイントが義務化され、それを達成すること自体が目標になっている場合は明らかに合理的でも論理的でもありません。少しでも精神論が先行するような場合は、問題として抽出するのがよいでしょう。
また、標準化されておらずセールスマン独自に展開している営業プロセスがある場合、営業組織として案件情報を統合的に管理しづらい原因になります。セールスマンには各人のスタイルがありますが、明らかに営業プロセスの本来あるべき姿から遠ざかっているような場合は、それも問題として抽出しておきます。
営業プロセスの標準化を目指しましょう
効率の良い営業プロセスというのは必ず標準化されています。つまり、どのセールスマンが営業活動を行っても同じように営業プロセスを辿り、合理的に顧客へアプローチできる環境が整っています。標準化すると、セールスマンごとに行動の差異が少なくなり、均質化された質の高い営業プロセスを全体的に実施できるだけでなく、営業プロセスから生まれる情報の粒度も揃うようになるので、情報分析が容易に行えるようになります。
それでは、営業プロセスの標準化を図るにはどうすればよいのか?まずはスタンダードと言うべき営業プロセスを定義して、現場とのズレを無くします。営業プロセスを定義したら、各プロセスにおける具体的な行動を明確にしていきます。
例えば、ヒアリングのプロセスにおいて「ヒアリングを行う」と説明されても、その時に取る行動はセールスパーソンごとに違います。そこで、「課題や現状をヒアリングした後に、セールスポイントを訴求する」といったように明確な行動を示し、セールスマンごとに認識にズレが発生しないよう注意します。もちろんヒアリング内容も事前に決めておくと良いでしょう。
このように営業プロセスごとの行動を具体的にすることで、セールスマン同士の誤認も生まれずに、個々に取るべき行動を明確にできます。
営業プロセスの可視化・共有・分析を行う
営業プロセスを標準化するだけでも、営業効率がアップされます。ただしもっと重要なことは、各セールスマンが取り組む営業プロセスを可視化し、共有し、分析することです。アポイント数、訪問数、受注数などの情報はもちろんのこと、商談内容や顧客情報などの可視化も欠かせません。
ここで活躍するのが SFA (Sales Force Automation:セールス・フォース・オートメーション)です。SFAは本来、流動的なセールスマンが保有している顧客情報を資産として蓄積・管理するためのシステムとして登場しました。今では、営業プロセスの効率化と組織的な営業活動のための機能が多数搭載されています。
今までExcel等で管理してきた顧客情報の管理基盤を、SFAに移行することでセールスマンごとの営業プロセスから誕生するあらゆる情報を一元的に蓄積・管理できます。もちろん、共有も分析も可能です。
営業プロセスの可視化・共有・分析がなぜ重要かというと、セールスマンごとの営業プロセス分析を実施した上で、改善点を積極的に抽出してより効率的な営業プロセスを作成するためです。標準化した営業プロセスも完璧ではなく、改善の余地は十分にあります。
つまりは継続的な改善サイクルを生み出すために、SFAによる営業プロセスの可視化・共有・分析が重要になるというわけです。
ベストプラクティスの適用時は要注意!
最後に、SFAを活用するとトップセールスマンの営業プロセスが明らかになり、効率良く受注するためのベストプラクティスを発見できます。しかし、それを営業組織全体に適用する際は十分に注意してください。トップセールスマンには、SFAに管理されている営業プロセス情報から読み取れない細かい暗黙知が必ずあります。それを明らかにしない限り、効率的かつ成約率の高い営業プロセスは完成しません。ですので、ベストプラクティスの抽出は想像以上に難しい取り組みなので、慎重さを持って取り組んでいただきたいと思います。また、プロセスをまわしてみてから、必ず評価を行うことも重要です。本記事が、みなさんの効率的な営業プロセスの手助けになれば幸いです。