定型業務の自動化により、業務時間短縮や担当者の負担軽減、効率化などさまざまなメリットを得られます。自動化を成功させるにあたっては、ポイントを押さえたうえで取り組むのが近道です。本記事では、定型業務の概要や多くの企業が取り組む理由、自動化の具体的な方法などについて解説します。
定型業務・非定型業務とは
定型業務とは、取り組み方や進める手順などが明確になっている作業を指します。たとえば、給与の計算や報告書の作成、売上の集計といった業務が該当します。手順や取り組み方が明確であるため、誰でも問題なく取り組めるのが特徴です。
一方の非定型業務は、手順や取り組み方などが定まっていない業務全般を指します。たとえば、新規ビジネスの企画やコンサルティング、人財育成や能力開発、商談などが挙げられます。どのように進めるべきか、どうすれば成功するかをその都度考える必要があり、取り組む従業員によって得られる成果が変わるのも特徴です。
非定型業務の中には、幾度となく繰り返し取り組むことでパターン化でき、定型業務になるケースも少なくありません。
定型業務の自動化を多くの企業が取り組む理由
現在、多くの企業が定型業務の自動化に取り組んでいますが、理由は大きく2つ考えられます。働き方改革の推進と労働力不足です。2つの要素から、企業が自動化に取り組むべき理由を見ていきましょう。
働き方改革
国が主導する働き方改革は、労働人口の減少や多様化する労働者のニーズなどの課題解決を目指す取り組みです。労働を希望するすべての人にチャンスを与え、個々のニーズに合った働き方を実現するのに、定型業務の自動化は有効と考えられています。
定型業務を自動化できれば、効率的に業務へ取り組むことができ、労働時間の短縮につながります。労働時間が短くなれば、家庭の事情でフルタイム労働ができない人を従業員として雇用できます。
また、労働時間短縮により従業員への業務負担が軽減されれば、心身の健康向上効果も期待できるでしょう。その結果、より意欲的に業務へ取り組めるようになり、生産性向上につながる可能性もあります。
労働力不足
日本は少子高齢化が進んでおり、労働人口も減少しています。今後も労働人口の減少は進むと考えられており、企業は従来のように人材を確保できなくなる可能性があります。
つまり、企業は今まで以上に既存のリソースを有効活用し、業務に取り組む必要があるのです。誰でも取り組むことができる定型業務に、貴重なリソースを割くのは良策とはいえません。
業務の自動化に成功すれば、それまで定型業務に携わっていた労働力を非定型のコア業務に回せます。利益に直結しやすいコア業務に十分なリソースを投入できるようになり、生産性向上や利益拡大などの効果も期待できるのです。
定型業務を自動化するには
定型業務を自動化する方法として、マクロやRPA、ERPの導入が考えられます。これらのツールを導入すれば、スムーズな業務自動化が可能です。ツールによってできること、できないことがあるため注意は必要です。
マクロを利用する
マクロとは、アプリケーション上の操作を記録して、いつでも呼び出せる機能です。たとえば、Excelにはデフォルトでマクロ機能が実装されており、記録した複数の操作を必要に応じて呼び出すことで業務の自動化を実現できます。
一方で、マクロの導入にはある程度のプログラミングスキルが必要です。また、複雑な処理を実行させるケースでは、アプリケーションの動作が遅くなるデメリットが発生することもあります。さらに、アプリケーションのバージョンがアップデートされると利用できなくなることがあり、再度設定しなくてはなりません。
RPAを利用する
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、コンピューター上での一連の流れをロボットに覚えさせることで、業務を自動化させるツールです。後述するERPやチャットボット、あるいはグループウェアなどとも連携でき、複数ツールを用いる業務の自動化も可能です。
RPAを用いれば、手順が明確な作業を自動化でき、リソースの有効活用につながります。従来3人で取り組んでいた業務を1人で担当することも可能となり、人件費も削減できます。また、ロボットがルールに則って業務を遂行するため、人為的なミスをなくせるのもメリットといえるでしょう。
一方、RPAの設定を誤ると、間違った手順でロボットが業務を進めるリスクが発生します。また、システム障害などでRPAが使えなくなると、途端に業務が停滞してしまう可能性もあるため注意が必要です。
ERP導入
ERPとは、Enterprise Resources Planningの略で、企業が扱うさまざまなリソースを一元管理できるシステムです。予算や販売情報、顧客情報、プロジェクト管理などあらゆる情報をひとつのプラットフォーム上で管理でき、業務効率化を実現できます。
ERP導入でさまざまなシステムを横断した業務環境を構築することにより、それぞれのシステムの連携・自動化が可能になります。一例として、在庫の状況に合わせ自動で発注する、などが挙げられるでしょう。
業務の自動化で重要なポイント
業務の自動化に取り組むのなら、重要なポイントを押さえたうえで進めましょう。大切なのは、自動化する業務をきちんと選定すること、自動化を理解した人材を確保することの2つです。
自動化する業務の選定
自動化する業務を洗い出す前に、自動化ツールごとにできること、できないことを理解するのが大切です。ツールによって得手不得手があるため、業務によっては自動化が難しいケースもあります。それを理解したうえで選定を進めるとよいでしょう。
自動化したい業務により、導入すべきツールが変わります。たとえば、複数のシステムを横断した業務の自動化を狙いたいのならERPが適していますが、単一業務の自動化を図るのならRPAが適しています。また、自動化に適していない業務を無理に自動化しようとすると、かえって非効率になるため注意が必要です。
自動化を理解した人材を確保
業務自動化を進めるにあたり、自動化を理解した人材を確保する必要があります。ツールやシステムをきちんと使いこなすことができ、メンテナンスやトラブル対応もできる人材を確保することで、業務自動化後のスムーズな運用が実現します。
社内に適切な人材がいないのなら、外部からの登用も検討しましょう。社内の人材を育成したいのなら、それを実現できる体制や環境の構築が求められます。また、自動化により取り組む業務がなくなった人材をどのように活用するのかも考えなくてはなりません。
業務効率化にはやはりITが不可欠
業務効率化や自動化を実現するには、ITツールの導入が不可欠です。現在では業務自動化や効率化に役立つさまざまなツールがリリースされていますが、Microsoft Power Platformもそのひとつです。
Microsoft Power Platformは、業務自動化や効率化をサポートする機能を網羅しています。ノーコードでのアプリ開発ができるほか、定型業務の自動化、データ収集と分析、可視化、チャットボットの作成などが可能です。
クラウドで導入できるためすぐ運用を開始でき、office製品やMicrosoft Azure、Microsoft Dynamics 365との連携が可能なのもメリットといえるでしょう。
まとめ
業務自動化を進めることで、業務効率化やリソースの有効活用を実現でき、従業員の負担軽減にもつながります。労働人口の減少が進む中、限られた人材を活用できるようになり、生産性向上が期待できます。この機会に、業務自動化への取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
マクロやRPA、ERPなどさまざまな自動化ツールがありますが、おすすめは本記事で紹介したMicrosoft Power Platformです。業務効率化や自動化に役立つ機能を網羅したツールで、たしかなメリットをもたらしてくれます。