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保全計画とは? 計画書の作り方や項目をわかりやすく紹介

設備や機械を安全かつ効果的に機能させ続けるためには、定期的な設備保全が欠かせません。本記事では、設備保全を適切に実施するための指針となる保全計画の概要や、メリット、設備保全計画書の作り方などを解説します。設備保全の基本や設備保全計画書を作る際のポイントを知りたい方は、ぜひ本記事をご参考ください。

保全計画とは? 計画書の作り方や項目をわかりやすく紹介

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保全計画とは

保全計画とはどのようなものでしょうか。JISが編纂した生産管理用語に関する資料によれば、そもそも設備保全とは以下のように定義されています。

「設備性能を維持するために、設備の劣化防止、劣化測定及び劣化回復の諸機能を担う、日常的又は定期的な計画、点検、検査、調整、修理、取替えなどの諸活動の総称」

保全計画とは、この設備保全業務を適正に実施できるように、必要なポイントをまとめた指針と言えます。保全計画の中には、施設や機械の機能や性能を正常に維持するための点検整備の周期、有寿命部品の交換時期、オーバーホールの時期などの内容が主に盛り込まれます。

保全計画を策定するメリット

保全計画を策定するメリットとしては、主に次のことが挙げられます。

事故発生の可能性を低減

第一のメリットは、事故発生の可能性を抑えられることです。消防庁が毎年公表している「石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所における事故概要」(令和2年版)によれば、設備の維持管理不十分による事故の割合は約10%とされています。

このデータからも分かるように、設備保全を怠れば、その設備・機械を使用する従業員を危険な目に遭わせてしまうかもしれません。また、労働災害の発生は、企業に多額の経済的支出、職場の士気の低下、企業イメージの悪化などの不利益をもたらす可能性があります。保全計画の策定・実施によって、先手を打ってトラブルを予防することで、事故の発生確率を低下させ、様々なリスクから自社を守ることが可能です。

ダウンタイムの回避

第二のメリットは、ダウンタイムの回避です。適切に保全計画が実施されず、トラブルへの対応が遅れることで、設備や機械の故障率が上昇することが予想されます。その時点では小さな保守作業で済んだことが、放置されることでより大きな問題を引き起こすこともあるでしょう。

設備や機械に大きな障害が発生すれば、当然それを利用した業務も停止せざるを得ません。大がかりな修理が必要となれば、修理費用も相当なものになるでしょう。定期的な保全作業による小さな出費や不都合・不便を嫌うことが、より多くの時間とお金を浪費することに繋がってしまうことがあるのです。保全計画の重要性は、このように巨視的な視点から理解せねばなりません。

時間外労働の削減

保全計画の策定・実施は時間外労働の削減にも繋がります。保全計画が適切に実施された結果、予期せぬ故障やトラブルによるスケジュールの乱れや時間外労働の発生頻度が減少することが期待できます。もちろん、修理担当者以外にとっても、修理対応のための時間ロスが減ることは、納期を無理せず守るためにメリットのあることです。

時間外労働の増加は、人件費の増加や、従業員のエンゲージメント低下などの不利益を企業にもたらします。保全計画の実施は、こうしたデメリットの発生を予防する効果もあるのです。

保全計画書の作り方

保全計画を適切に実施するには、その内容をまとめた「保全計画書」または「保全計画表」の作成が必須です。以下では、保全計画書の作り方や、そこで必要となる項目などを解説します。

設備や資産の台帳を準備する

保全計画書を作成する際には、まず前提として設台帳または資産台帳の準備が必要になります。こうした台帳がないと、何の設備にどのような保全業務が必要なのか、管理に漏れが発生してしまうかもしれないからです。この台帳には、設備の種類、導入時期などの基本的情報に加え、必要な点検箇所や点検周期、消耗品の部品番号やその交換時期など、保全活動で役立てられる情報も付記しましょう。

台帳をもとに保全計画書を作る

先の台帳が完成したら、それに基づいて保全計画書を作成していきます。設備ごとに設定された保全サイクルに従って、いつ・誰が・どの設備の保全作業を行うのか具体的な作業指示書を書いていくのです。保全計画書の基本項目としては、たとえば以下のようなものが考えられます。

  • 設備名称
  • 点検内容(点検方法)
  • 点検周期
  • 点検実施日
  • 備考欄

これらの項目を表にしたチェックリストなどを作成することで、保全計画を実施する際の抜けや漏れを防ぐことができるでしょう。

保全業務の進捗管理をする

保全業務を実施したら、担当者は必ずそこで行った作業内容を管理台帳に入力し、保全業務の進捗状況や設備の現状を管理・確認できるようにします。こうした作業記録は保全作業をスケジュール通りに実施したことを示す重要なエビデンスであると同時に、より効率的な保全計画を策定するための参考資料となります。

保全計画を見直す

最後に重要となるのが、保全計画の見直しです。設備や機械が完全に当初の見通し通りに劣化していくとは限りません。実際に点検をしていくうちに、「予想よりも部品の劣化の進みが早い/遅い」といった事態も当然起こりうるでしょう。また、いくら綿密に策定したつもりでも、保全計画に何らかの不備がある可能性も否定できません。したがって「本当に現在の計画保全がベストなのか」「もっと点検すべきところはないか」など、改善点を毎回見直すようにしましょう。

設備保全にはシステム化が必須

設備保全を確実に実施していくためには、システム化が重要です。紙とペンで台帳管理をしていくのは非常に非効率です。Excelは紙よりもデータの整理がしやすいですが、多くの人がファイルにアクセスして編集できるようにすると、最新データの混乱や紛失などが起こる可能性もあります。また、記入ミスや記入漏れなどがあっても、Excelだと発見しづらいというデメリットもあります。要するに、Excelだとヒューマンエラーが発生しやすいのです。

したがって、設備保全の情報管理をする上では専用の設備管理システムを導入するのがおすすめです。たとえば、Microsoft社が提供するクラウドソリューション「Microsoft Dynamics 365」の「フィールドサービス」モジュールを活用すれば、設備保全のスケジュールや作業記録を効率的に管理できます。

Microsoft Dynamics 365はモバイル対応もしているので、保全作業の担当者はモバイル端末を使って、その場で作業内容を確認・記録することも可能です。紙で書いたことを、Excelに後で転記するような方法だと入力忘れや誤入力を招きやすいですが、この方法ならばそうした心配もなく、効率的に設備保全の情報管理を行えます。

まとめ

本記事では保全計画の策定及び実施の重要性やその方法について解説しました。適切かつ計画的な設備保全の実施は、自社の従業員や資産を守り、長期的な視点で企業の利益を守ることに寄与します。
設備保全を適切に実施するには、設備そのものに関する情報はもちろん、それまで実施した一連の作業内容の情報管理も欠かせません。このような膨大なデータを管理するには、紙やExcelではなく、先に紹介した「Microsoft Dynamics365フィールドサービス」など、専用のシステムを使った方が効果的です。
本記事を参考にぜひ適正な保全計画の策定・実施を進めてください。

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