セキュリティとガバナンス

ナレッジマイニングとは? もたらす価値や活用例、おすすめ製品を紹介

情報通信技術の進歩に比例して、データの検索に要する時間が肥大化しつつあります。そこで重要なキーワードとなるのが「ナレッジマイニング」です。本記事では、ナレッジマイニングの概要や生み出す価値について解説します。併せて「Azure Cognitive Search」についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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ナレッジマイニングとは

「ナレッジマイニング」とは、機械学習や自然言語処理などのAI技術を用いて、組織内に散在している付加価値の高い情報を抽出・分析するプロセスを指します。「Knowledge(ナレッジ)」は「知恵」や「知識」と訳され、ビジネスの領域では付加価値を生み出すデータや知識体系といったニュアンスで用いられる概念です。「mining(マイニング)」は、直訳すると「採掘」や「採鉱」といった意味合いをもつ英単語です。

そして、製造業界の熟練工やIT分野に精通するエンジニア、トップセールスを誇る営業マンなど、高度な人材がもつ知識や技術という暗黙知を形式知へと変換し、共有する管理手法を「ナレッジマネジメント」と呼びます。優れた人材がもつ「知識・技術(暗黙知)」を、言語や数式に落とし込むことで「体系化・マニュアル化(形式知)」し、組織全体で共有して経営基盤の総合的な強化を図ることがナレッジマネジメントの目的です。

ナレッジマネジメントを実行するためには、まず付加価値を生み出すデータを抽出するプロセスが必要です。このような大量のデータ群から有益な情報を抽出するプロセスを「データマイニング」と呼びます。現代では情報通信技術の進歩とともに、企業が取り扱うデータ量は指数関数的に増大しており、組織内に蓄積された非構造化データから必要な情報を抽出するのは容易ではありません。

そこで必要となるのが、機械学習や自然言語処理などのAI技術です。AIを活用することで、非構造化データの中から付加価値の高い重要な情報を抽出し、検索が容易な構造化データとして構成できます。またAIの活用により、ドキュメントに含まれる主要なワードを抽出し、相関関係を可視化するといった分析も容易に実行できます。このように、AIを活用して付加価値の創出につながるデータを採掘し、抽出・分析するプロセスがナレッジマイニングです。

ナレッジマイニングがもたらす価値

ナレッジマイニングが企業にもたらす価値として挙げられるのが、人的資源と情報資源の最適化です。現代は情報爆発時代と呼ばれており、先述したように情報通信技術の進歩に比例して、企業が取り扱うデータの総量は爆発的に増加しています。それと同時に、データやファイルの検索に要する時間の増大も招いており、重要な経営資源である人材を「データの検索」というノンコア業務に割いていることになります。

ナレッジマイニングを経営体制に取り入れることで、データの格納場所とは無関係に、迅速かつ的確に付加価値の高いナレッジを抽出できます。つまり、これまで付加価値の創出につながらなかったデータの検索というプロセスが、ナレッジマイニングの導入によって、社内に眠っている情報資源を効率的に活用する機会を生み出すきっかけとなるのです。

ナレッジマイニングの活用例

ナレッジマイニングの活用例として挙げられるのが、デジタル資産管理の最適化です。事業活動を通じて日々さまざまなデータが蓄積されていくものの、それを事業領域で活用できなければ、システムの容量を圧迫する負債といっても過言ではありません。ナレッジマネジメントを経営体制に取り入れることで、コンテンツやビジネスプロセス、契約に関する書類などを必要に応じて抽出し、事業活動のさまざまなシーンで活用できます。

また、ナレッジマイニングはカスタマーサポートの領域においても欠かせない施策です。たとえば、コンタクトセンターには「VOC(顧客の声)」が日々蓄積されていきます。VOCは経営方針に多大な影響を与える情報資産であり、ナレッジマイニングを活用することで、オペレーターの応対品質の改善点や、製品開発のヒントを発掘できます。また、クレーム発生時にすばやく顧客情報を参照できるため、一人ひとりにパーソナライズされた適切な対応も可能となるでしょう。

Azure Cognitive Search とは

「Azure Cognitive Search」とは、「Azure AI」を活用してさまざまな形式のデータを検索・抽出する、フルマネージド型のクラウド検索サービスです。以前は「Azure Search」という名称の全文検索サービスとして提供されていたソリューションですが、従来の機能にAIを搭載したAzure Cognitive Searchとしてリブランディングされました。

Azure Cognitive Searchは、WordやExcelなどのテキストデータはもちろん、非構造化データでもAIがインデックス情報を取得し、全文検索を可能にするソリューションです。専用コネクターを介して、さまざまなデータソースに接続できるため、組織内のシステムやデータがサイロ化している状態でも、ファイルの格納場所に依存せず必要な情報をAIが抽出します。

また、紙媒体からスキャンされた資料や、画像ファイルに書き込まれた文字、曖昧なキーワードなどもAIが解析するため、もとのデータ形式を問わない情報検索が可能です。OfficeやSharePoint、Boxといった複数のソリューションを対象として全社横断的に情報を検索し、必要なファイルを迅速に取り出せるため、ナレッジマイニングを実行するうえで不可欠なソリューションといえるでしょう。

Azure Cognitive Search の導入メリット

ここでは、Azure Cognitive Searchの導入によって得られるメリットを解説します。具体的なメリットとして挙げられるのは、「検索可能なコンテンツを作成できる」「高度なセキュリティ」「柔軟な価格設定」の3点です。

検索可能なコンテンツを作成できる

Azure Cognitive Searchの最大の特徴は、あらゆる形式のローデータを検索可能なコンテンツに変換できる点にあります。たとえば、ExcelやCSVなどの構造化データだけでなく、音声ファイルや動画ファイルといった非構造化データでも、テキストデータとして抽出できます。英語で書かれたマニュアルや仕様書を日本語で検索することも可能で、これまでデータやファイルの検索に要していた時間という貴重なリソースを、コア業務に投入できるようになります。

高度なセキュリティ

クラウドコンピューティングは、複数のユーザーとパブリック環境でリソースを共有するという性質上、セキュリティリスクを懸念する声が少なくありません。しかし、Microsoft Azureはクラウドセキュリティに関する「ISO/IEC 27017:2015」や、情報セキュリティに関わる「ISO/IEC 27701」など、ISO規格の国際的なセキュリティ認証を得ているサービスです。暗号化通信や仮想ネットワークのサポートにより、強固なセキュリティ体制を構築できます。

柔軟な価格設定

Azure Cognitive Searchには複数のプランが用意されており、自社の要件に合わせて柔軟な価格設定が可能です。プランによって、スケールアウトや抽出するドキュメントの制限に違いはあるものの、基本的には利用状況に応じて課金されるモデルとなっています。そのため、自社の組織体制や事業規模に適したコストモデルでAzure Cognitive Searchを利用できます。

まとめ

組織の生産性を高めるためには、業績向上に直結しないノンコア業務をいかに削減するかが重要課題です。ナレッジマイニングを取り入れることで、データの検索というノンコア業務を大幅に削減し、生産体制の効率化に寄与します。ナレッジマイニングの推進のためにも、Azure Cognitive Searchの導入をぜひご検討ください。

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