医療・製薬

QMSとは簡単にどのようなもの? 導入目的や解決できる課題なども解説

QMSとは簡単にどのようなもの? 導入目的や解決できる課題なども解説

製品・サービスの品質を一定水準以上に保つことは、市場における競争力を向上させ、顧客満足度を高めるために企業にとっては不可欠です。高い品質を安定的に確保するためには、品質にフォーカスした組織的な仕組みである「QMS」が必要です。本記事では、QMSの概要や重要性、導入効果などについて解説します。

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QMSとは

QMS(Quality Management System:品質管理システム)とは、企業が製品・サービスの品質をコントロールし、適正に管理するための組織的な仕組みです。「品質マネジメントシステム」とも呼ばれます。

提供する製品・サービスの品質を一定水準以上に安定して維持するためには、企業は明確な品質目標や方針を設定し、目標・方針にもとづいて作業手順や方法、コスト、人員、納期、関連文書などの多数の要素を管理・調整する必要があります。QMSは、こうした複雑な管理を整合的かつ効率的に行うための仕組みやルールのことを指しています。

QMSの導入目的

QMSの一次的な導入目的は、製品・サービスの品質目標を達成することですが、最終的な目的は顧客の求める高品質な製品・サービスの提供によって、顧客満足度を向上させることにあります。そのためには企業全体での品質管理能力を強化する必要があり、この強化を強力に支援してくれる仕組みがQMSです。

現代は、さまざまな製品・サービスが市場に投入され、飽和状況にあります。こうした状況に呼応して顧客のニーズは多様化し、さらに絶えず変化し続けているため、QMSを導入し、当初の品質目標を達成できたからといって、そこで終わりではありません。変わり続ける顧客ニーズに対応し、顧客満足度を維持・向上させるためには、製品・サービスの改善を継続していかなければなりません。そのためにはたとえば、不良品率や歩留まり、納期、顧客からの苦情数、特定の品質規格への対応など、顧客満足度の向上につながるさまざまなKPIを設定し、実現を目指す必要があります。後述するPDCAサイクルは、その手法のひとつです。

QMSの基本となるPDCAサイクル

QMSと密接に関係するフレームワーク(問題解決のための枠組み)にPDCAサイクルがあります。以下では、PDCAサイクルの概要と、QMSでの実施内容について解説します。

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実施)」「Check(測定・評価)」「Act(対策・改善)」の四つのステップを繰り返し行って、品質管理・業務管理を継続的に改善してゆく手法です(ActはActionと解説されている場合もあります)。各ステップでは以下のことを行います。

Plan:目標・目的(KPI)を設定し、達成するための計画を立案します。
Do:立案した計画を実行に移します。
Check:実施結果を評価・検証します。
Act:評価・検証結果から、次に必要な改善策を検討します。

PDCAサイクルでは、この4ステップを繰り返し行うことで、設定した目標・目的を達成し、さらなる改善を図っていきます。

QMSにおけるPDCAサイクル

PDCAサイクルはQMSに適用することが可能です。QMSでは各ステップで以下の施策を実施します。

Plan:自社の課題や顧客からの要望などを考慮し、品質方針や品質目標を決定します。品質方針とは、自社の目指す品質基準や製造・提供姿勢です。品質目標とは、品質方針を測定可能な数値で表現したもので、たとえば「不良品率を5%減少させる」といったことです。決定した品質目標を実現するための行動計画を立てることがこのステップでの取り組み内容です。

Do:Planで立案した行動計画にもとづいて、製品・サービスの企画・設計・開発・製造・提供などを実行します。たとえば、不良品率の改善という目標に対して「新しい生産方式の導入」という行動計画を立案したのであれば、導入するために必要な施策を実施します。このステップで重要なことは、行動計画を実施することはもちろん、誰が・いつ・どこで・何を・どのように行ったのかの活動記録を残すことです。活動を記録することにより、次のステップで行う評価が容易になります。

Check:設定した品質目標をどの程度達成できたのか、計画通りに実施できたのか、実施段階でどのような問題が生じたのかといったことを評価・検証します。たとえば、上述した不良品率の場合では、新しい生産方式の導入が不良品率や生産現場に対してどのような影響を与えたのかを検証します。この際、各担当者へのヒアリングなどの定性的な評価も必要ですが、数値による定量的な評価・検証は欠かせません。

Act:評価の結果を踏まえて、QMSの改善案を立案します。「不良品率5%減が目標だったのに3%減までしか達成できなかった」という場合なら、残り2%を埋めるための具体的な改善策を立案します。当初の目標値を達成できた場合でも、顧客満足度の状況を確認したうえで、さらなる向上を図るための施策を立案・検討していきます。

このようにPDCAサイクルを回していくことは、自社の目指す品質目標や目標を実現するための行動計画を明確にし、効果検証によって柔軟に計画や行動を修正・改善しながら、品質管理・業務管理を強化するのに大きく寄与します。

QMSに関する規格「ISO9001」とは

品質管理の指標となる規格には、食品の安全管理に特化したSQF(Safe Quality Food)などもありますが、世界中で最も普及しているのが「ISO9001」です。以下ではISO9001の概要と、規格にもとづいた取り組みの重要性について解説します。

ISO9001

ISO9001とは、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が定めている品質管理に関する国際規格です。組織が一定品質の製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるために必要なQMSの要件が定められています。要件を満たしていることが認証されれば、製造業、サービス業、ヘルスケア、あるいは政府機関やNPOなどの業界や業態を問わずに取得することが可能です。ISO9001で要求されている事項には「組織状況」「リーダーシップ」「計画」「サポート」「運用」「パフォーマンス評価」「改善」などがあります。

規格にもとづいた取り組みの重要性

ISO9001などの規格にもとづいて取り組みを進めることは、QMSの効果・効率性を実証し、自社の信頼度を向上させるために重要です。

国際的に信頼されている第三者機関であるISOが規定する規格の認証を受けることは、自社のQMSが一定水準以上にあり、提供している製品・サービスの品質も高いものであることの客観的な証明になります。ISO9001の取得は、顧客や取引先からの信頼を獲得するために非常に有効です。

さらに規格にもとづいた取り組みは、自社のQMS改善につながります。ISO9001にはQMSで取り組むべき内容やポイントがまとめられており、ガイドラインとして利用できるからです。

QMSの導入で解決できる課題や効果

QMSを導入することによって、品質マネジメントの課題解決、監査や法令への対応、品質や顧客満足度の向上などが期待できます。

品質マネジメントの課題

品質マネジメントの課題としては、設計時のプロセスが不透明なために、対応の抜け漏れが起こりやすいことが挙げられます。さらに「クレーム対応のプロセスが整備されておらず、根本原因の是正まで追跡管理するのが難しい」「品質教育の計画や管理プロセスが煩雑で、負荷が大きい」といったことも品質マネジメントの課題です。QMSを導入すれば、こうした課題の解決につながることが期待できます。

監査や法令への対応

監査や法令への対応で問題となるのが、取引先の監査、国内の法規制、海外の行政機関による査察などであり、製品・サービスの品質が対外的に問われる場面は多々あります。監査・法令上で求められる品質基準を満たしたり、是正勧告に対応したりすることは企業にとって大きな負担です。QMSの導入によって基準以上の品質管理を行い、製品・サービスを提供できていれば、対応のための負担は大きく軽減されます。

品質や顧客満足度の向上

QMSの導入が品質や顧客満足度の向上につながることは、これまでに述べてきた通りです。さらに、業務プロセスや文書管理、リスク管理、法規制の確認・対応などの方法や手順を体系的に整備し、目標の達成や課題解決に向けて効率的に動きやすくなります。特にITツールを活用してQMSを運用することで、品質管理を可視化し、情報の一元管理や効率的な共有を実現できます。

まとめ

QMSを導入することによって、企業は品質管理の課題を解決し、顧客満足度の向上を図れます。組織の品質管理を改善するシステムとして、MasterControl™の導入がおすすめです。MasterControl™は、文書管理、プロセス管理、トレーニング管理などを総合的に行えるソリューションであり、医薬品や医療機器産業などの規制の強い業界でも広く採用されています。MasterControl™はモジュール単位で導入することが可能で、自社のニーズにあわせて柔軟にカスタマイズできます。効率的かつ柔軟な品質管理システムの導入を検討しているのであれば、ぜひ、MasterControl™を候補のひとつに入れてください。

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