今さら聞けないSAP HANAとは?その特徴とメリット

今さら聞けないSAP HANAとは?その特徴とメリット

SAP HANAというデータベースが登場してから、もうすぐ10年を迎えようとしています。SAPユーザーの中には、データベースを検討する際にSAP HANAをリストアップする企業もいるのではないでしょうか。SAP HANAは、最近では導入事例を探すのも難しくないほど普及しています。

企業の中には、「SAP HANAは良いと聞いているけれど、具体的に何が良いのかが分からず比較検討できずにいる」と、SAP HANAの全貌をつかめずにいるシステム担当者もいらっしゃるかもしれません。そこで本稿では、「SAP HANAってどんなデータベースなの?」と疑問を持っている方に向けて、その特徴とメリットを解説していきます。

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SAP HANAでいわれる「インメモリデータベース」とは?

それでは早速、SAP HANAについて説明していきます。

SAP HANAは、SAP社が提供するカラムストア型リレーショナルインメモリーデータベースです。狭義にはインメモリデータベース機能のみを指しますが、広義には開発環境なども含めたHANA実行環境全体のプラットフォーム全体を指します。

最初に、SAP HANAのアーキテクチャの根底にあるインメモリデータベースについて説明します。

通常のデータベースというのは、データをHDDやSSDなどのディスク装置に記録します。その上で、データの処理をする際はメインメモリ上にデータを引っ張り出して、それをCPUで処理するというのが一般的な処理の流れです。

一方、インメモリデータベースではHDDやSSDなどのディスク装置を介さず、すべてのデータの記録や処理をメインメモリ上で行うものです。何が変わるかというと、それはもちろん処理速度です。ディスク装置からデータを読み出して処理するよりも、メインメモリ上で直接処理する方が応答速度は圧倒的に高速であることは周知の事実でしょう。つまり、SAP HANAを活用するれば圧倒的に高速なアプリケーションを構築できることを意味します。

SAP HANAの特徴はとにかく高速

それでは、インメモリデータベースの仕組みについてかんたんに理解した上で、SAP HANAの特徴を解説していきます。

まず、SAP HANAはデータの高速処理が保証されており、多方面でその実績が評価されています。

SAP Asia Pacific Japanのデータベースおよびアナリティクス担当シニアバイスプレジデントであるPaul Marriott氏は、SAP HANAについて「唯一、インメモリに特化したHANAは、Oracle Database 12cのインメモリオプションと比べても3倍速い」と言及しており、さらに「HANAはデータベースが得意とする構造化データのほか、地理空間データ、ソーシャルデータなどの非構造化データのすべてが1台に入る。それをリアルタイムで処理することができる。時間や場所、利用者が持つ制約をなくし、リアルタイムビジネスが実現できるのがもう1つの特徴だ」ともコメントしています。

引用:ZDNet Japan『SAPが語るインメモリ--HANAとOracleの違いとは』

さらにSAP HANAの特徴を述べていきますと、揮発性メモリ上にデータを保持するものの、電源断などのシステムクラッシュに対しても「永続化アーキテクチャ」により、データの永続化を可能にしています。

SAP HANAはタイミングやデータの粒度の違いにより、「セーブポイント」「スナップショット」「ロギング」と呼ばれる永続化の仕組みが存在し、これによりコミット済みトランザクションの永続性を保証しています。バックアップもその延長線上にあり、全体/増分/差分のバックアップが可能な「ファイルベース」と、スナップショット機能やログを自動的にバックアップする「ストレージスナップショットベース」があります。

このように、SAP HANAはメインメモリ上のデータ処理を実現しているにもかかわらず、データは揮発せずに従来のデータベースでできることのほとんどを可能にします。

SAP HANAのメリット

従来のデータベースにはない高速処理を手にすることで、企業は何が得られるのか?SAP HANAのメリットを確認していきましょう。

SAP HANAの導入事例として有名なのが世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートです。同社の既存DWHシステムでは、巨大なデータの集合体で明細レベルのデータを保持していなかったため、分析によって深い洞察を得ることとは不可能でした。

これがSAP HANA導入後にどう変化したかというと、2,000億件以上ものPOSデータに対し、リアルタイムでアクセスできるようになり、多種多様な分析が可能になっています。さらに、既存のデータベースサイズが46.5TBだったのに対し、SAP HANAのデータ圧縮機能とインデックス削減等により、わずか5.7TBまで圧縮されたのです。データ容量が今までの9分の1になったことで、データへのアクセス速度が高まったのはもちろん、データ管理コストの削減にもつながっています。

これだけではありません。SAP HANAは単なるデータベースではなく、分析処理やアプリ開発、データアクセスなど幅広い機能を実装した統合的なデータ管理プラットフォームでもあります。予測分析ライブラリをデータベース上で実装しており、「データが存在するところで分析や計算処理を実行する」という設計思想のもと作られています。

SAP HANAは従来のデータベースとは全く異なったコンセプトを持ちます。故に、ビジネスの高速化と最適化をデータベースからアプローチでき、これが多くの企業に選ばれている理由でもあります。

SAP HANAとSAP S4/HANAとの違いについて

少し話はそれますが、SAP HANAの解説に併せてSAP S4/HANAについても簡単に説明しておきます。

SAP S4/HANAは、これまでSAPが培ってきたERPの技術やノウハウをインメモリデータベースであるSAP HANA上で実装したERP製品です。SAPは現在でもERPのリーダーですが、2025年には長年運用してきたSAP ERPのサポート提供に終止符が打たれます。SAPユーザーにとっては移行作業や、システムの刷新作業などが待ち受けていますが、その受け皿になるのがSAP S4/HANAです。

SAP S4/HANAは、SAP HANAを専用のプラットフォームとしていることからデータ処理が非常に高速であり、ERPによるリアルタイムデータ処理の利便性をグンと高められる効果があります。

オンプレミスではもちろん、Azureなどを活用したパブリッククラウドでの動作も保証されているので、SAPユーザーもそうでなくても、SAP S4/HANAによる基幹システム環境を検討する企業が増えています。SAP HANAはインメモリデータベースとして今後も発展していくでしょうし、幅広い活躍が期待されています。この機会に、SAP HANAについてより深く知り、次世代データベースの利用を検討してみてもよいでしょう。

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