AI、機械学習

ChatGPTの企業導入事例を紹介 | 業務を効率化しよう

ChatGPTの企業導入事例を紹介 | 業務を効率化しよう

2023年9月にChatGPTでブラウジング機能の復活や画像対応、音声対応したことをきっかけにChatGPTを本格的に企業に導入する動きが高まっています。

いざ導入を検討してもどのように活用すればいいか分からないといった企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、実際にChatGPTを活用してサービスを展開している企業の事例を紹介していきます。

AIの効果的な活用方法とは? 製造業の未来を支えるテクノロジー

【文書作成AI】ChatGPTとは?

【文書作成AI】ChatGPTとは?

ChatGPTはOpenAIが開発したAIチャットボットで、自然な対話生成が可能な言語モデル、GPTを基盤としています。ユーザーからの質問や指示に対して、自然言語で瞬時に反応し、役立つ返答や文書生成を行います。

2022年の登場以降、その高い回答精度から多くの利用者を魅了し、ビジネス界からも注目を集めています。膨大な量のテキスト情報から学習し、洗練された語彙と表現力を持つChatGPTは、コンテンツ制作やビジネスサポートなど、多岐にわたるシーンで活用されています。

ChatGPTを企業に導入するメリット

ChatGPTを企業に導入するメリット

ChatGPTの導入が企業にもたらすメリットは多岐にわたります。業務の効率化からコスト削減、顧客満足度の向上などについて詳しく解説します。

業務効率化ができる

ChatGPTを企業に導入する最大のメリットは、社内業務の効率化ができることです。
ChatGPTを利用してチャットボットを作成し、AIが顧客対応や情報収集をすることで、従業員の作業負担が減少し生産性が向上します。

また、繰り返しのタスクを自動化し、ヒューマンエラーを軽減することにも役立ちます。これにより、ヒューマンエラーの修正にかけていた時間の削減も可能です。ChatGPTは企業の業務プロセスの効率化や、成長に向けた強力なツールとなります。

コスト削減

コスト削減もChatGPTを企業に導入する大きなメリットとして挙げられます。通常、顧客サポートの体制を整えるには多くの人員とコストが必要ですが、ChatGPTは24時間365日働稼働できるため、人件費やオペレーションコストを大きく削減可能です。

特にビジネス利用では、有料版のChatGPT Plusの導入がおすすめです。月額20ドル(2023年7月時点)という料金は、従業員1人の月給に比べて格段に安価であり、効率化とコスト削減の両面で大きなメリットが期待できます。ChatGPTを活用することで、企業は業務プロセスを効率化し、コストを低減できます。

顧客満足向上につながる

顧客満足向上もChatGPTを企業に導入するメリットの1つです。

具体的な例として、カスタマーサポート部門での活用が挙げられます。ChatGPTを利用することで、顧客からの問い合わせに即座に対応できます。これにより、顧客は待ち時間が少なく、迅速な対応を受けられるため満足度が向上します。

顧客満足度の向上はリピート購入率の増加や口コミでの評判向上につながり、企業の競争力を向上させるでしょう。

翻訳機能で企業のグローバル化が目指せる

ChatGPTの翻訳機能は、グローバル展開を目指す企業をサポートします。

通常、異なる言語のサポートを行うには、それぞれの言語に堪能なオペレーターが必要ですが、ChatGPTならば複数の言語に対応可能。これにより、国境を越えたビジネス展開でも、コミュニケーションの障壁を低減させることができ、多くの顧客とスムーズにコミュニケーションを取る道が開かれます。

ChatGPTは企業のどんな場面で導入されているのか

ChatGPTは企業のどんな場面で導入されているのか

ChatGPTは多様なビジネスシーンで活躍しています。コード作成や文書作成、情報収集、アイデア出しなど、その活用例は多岐にわたります。

プログラミングのコード記述・エラー修正

ChatGPTの導入によって、コード記述や簡単なエラー修正の効率化が可能です。企業やプロジェクトで作業をする多くのプログラマーは、コーディング作業に膨大な時間を費やします。

最近では、ChatGPTにPythonやJavaScriptの言語でエラーが出たときは、ChatGPTを利用するエンジニアが増えています。ChatGPTにエラー箇所のコードを貼り付けて、「このコードを修正して」と入力すると修正後の正しいコードを返してくれるためコードを書いた後のテスト工程の効率化が可能です。

メールやブログなどの文書作成

文書作成は、企業の業務において欠かせない作業ですが、ChatGPTを活用することで、スピーディかつクオリティの高い文書を生成できます。

メールの文章に関しては、誰向けのメールなのか、カジュアルな表現なのか、フォーマルな表現なのか、ChatGPTに指定することも可能です。

指定した通りに、文章や語彙を出力してくれるため、メール作成やブログに多くの時間をかけていた事務や営業の業務効率向上が可能になるでしょう。

Webに上がっている情報の収集

情報収集もChatGPTの得意な領域です。企業の営業戦略や市場調査をする上で、情報収集は欠かせないものです。

ChatGPTが、指定されたテーマやキーワードに関連する情報を迅速に抽出し、整理してくれるため、情報収集の場面でも利用されています。

情報収集作業に多くの時間を割かずとも、必要なデータを効率よく得ることが可能です。この結果、企業は市場動向や競合情報を素早くキャッチし、その情報をもとにした戦略を立てることができます。

ChatGPTを活用してアイデア出しをする

アイデア出しの効率化が可能なこともChatGPTを企業に導入するメリットの1つです。

通常アイデア出しの作業は多くの時間とリソースを消費しますが、ChatGPTを活用することで効率的にアイデアを生成できます。チームはChatGPTにプロジェクトの要件や目標を入力し、大量の異なるアイデアを瞬時に得られます。例えば、新しい製品概念、マーケティング戦略、価格設定戦略などのアイデアなどです。

これにより、アイデアの多様性とクオリティが向上し、競争力のある製品やサービスを開発するための戦略的なアドバンテージを生み出します。また、リソースを節約し、新製品の市場投入までの時間短縮なども可能です。したがって、ChatGPTの導入はアイデア出しのプロセスを効率化し、企業のイノベーション能力を向上させるでしょう。

ChatGPTの企業での活用事例を紹介

ChatGPTの企業での活用事例を紹介

伊藤忠商事|社内版ChatGPTを導入

伊藤忠商事は、幅広い分野で事業を展開する大手総合商社として知られ、その一翼を担う伊藤忠商事は、AI技術の導入に積極的な姿勢を示しています。2023年7月25日、伊藤忠商事は全社員約4200人を対象に、社内版のChatGPTの本格展開をスタートしました。これは、大手商社としては非常に早い段階でAIを活用する取り組みとして注目されています。

ChatGPTの導入背景は、総合商社としての業務効率向上です。ChatGPTは、議事録の作成や一部の調査業務に活用され、社内業務の効率化を図るため、独自のプラグインの開発にも力を入れています。これにより、社内コミュニケーションが向上し、情報共有がスムーズに行われることでしょう。

伊藤忠商事は、ChatGPTの活用を通じて、業務プロセスの最適化と生産性向上を実現し、競争力の強化を目指しています。

参考:BUSINESS INSIDER JAPAN

パナソニック コネクト|ConnectAIを開発

パナソニック子会社のパナソニック コネクトは、生成AIの大規模言語モデルであるChatGPTを積極的に活用する企業の一例です。Microsoftの「Azure OpenAI Service」提供開始に合わせ、独自のシステム「ConnectAI」を開発し、2023年2月には全社への導入を発表しました。さらに、同年中にはChatGPTを社内データに結びつけ、カスタマーサポートでの活用を計画しています。

導入は国内の社員に限定されており、現在1万3400人が利用可能です。3ヵ月のデータによれば、ChatGPTはトータルで26万回以上利用され、1日平均で5800回の利用が行われています。初期導入後、一時的に利用回数が減少したものの、ChatGPTの本格活用は3月半ばから始まり、多くのメディアに取り上げられたことで社内での新たな取り組みとして広く認識されました。

パナソニック コネクトはChatGPTを通じて業務効率向上とカスタマーサポートの強化を図り、AI技術を組織全体に活用する一環としています。
参考:Panasonic

QFINDR|事業概況の要約機能を開発

「QFINDR」は、クレジット・プライシング・コーポレーションが運営する、非上場企業情報検索プラットフォームです。通常、上場企業は豊富な情報が公開されていますが、非上場企業の詳細なデータは得られにくいものです。QFINDRでは、100万社以上の非上場企業情報を網羅しています。

新たにChatGPTを利用した要約機能をリリースし、投資家や金融機関が「非上場の良い会社を探す」際に、重要な情報を高精度で抽出・要約することが可能になりました。これにより、投資判断や融資審査が一層スムーズに行えるようサポートします。
参考:PR TIMES

日本情報通信|ChatGPTを全社展開

日本情報通信は、社員の生産性向上と業務改善を目指し、大規模自然言語処理モデル「ChatGPT」の全社展開を実施しました。この展開には以下の取り組みが含まれています。

まず、社内のGoogleチャットからAPIを活用し、ChatGPTの利用を可能にしました。この方法により、問い合わせ内容をChatGPTの学習データに使用せずに利用できるようになりました。

次に、ChatGPTの利用ガイドラインを策定し、新入社員向けのワークショップを実施しています。今後は全社員対象のワークショップを予定し、適切な問いの設定や利用時の留意点を理解し、業務で積極的に活用できるようサポートしていく予定です。また、アイデアコンテストやプロンプトエンジニアの育成など、利用促進のための取り組みも計画されています。
参考:週刊BCN

ポート|問い合わせ対応にChatGPTを導入

ポート株式会社は、ChatGPTを用いてエネルギー領域と就職領域でのカスタマーサポートを強化しています。エネルギー分野では、ユーザーからの電気やガスに関する問い合わせに対して、土日や深夜でも即時に案内を提供可能にし、ユーザーの離脱を防ぎ、成約率向上を目指しています。

また、就職領域では、キャリアコンサルタントからの音声アドバイスデータをテキスト化し、ChatGPTに学習させることでテキストベースのアドバイスサービスの提供を目指し、検証作業を進めています。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上と業務効率化を図っています。
参考:ポート

Gunosy|Gunosy AI(仮称)を開発

Gunosyが開発した「動画AI要約記事」は、ChatGPTを利用して動画コンテンツから要約文を自動生成し、記事化する機能をβ版として提供します。これまで提供していた数分程度の動画コンテンツに加え、YouTubeなどの長尺動画コンテンツの情報も抽出し、数行の要約記事として配信します。

この技術により、利用者は時間をかけずに動画の要点を把握することが可能となり、コンテンツアクセスの手軽さと情報取得の効率化が向上します。
参考:Gunosy

株式会社サイバーエージェント|ChatGPTオペレーション変革室
を設立

株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業本部において、OpenAI社の「ChatGPT」を駆使し、デジタル広告のオペレーションにかかる作業時間を大幅に削減する「ChatGPTオペレーション変革室」を立ち上げました。

デジタル広告の成功には、細かな広告設定や適切な運用改善、詳細なレポート作成など多岐にわたる作業が必要で、これにより広告オペレーションにかかる総作業時間は月間で約23万時間に達していました。

「ChatGPTオペレーション変革室」は、「ChatGPT」をセキュアかつ適切に活用し、広告オペレーションの作業時間を大幅に削減することを目指しています。初期的には自動回答や国際的なコミュニケーションの支援など、社内コミュニケーションの助けに焦点を当て、月間の総作業時間である約23万時間のうち、約7万時間の削減を目標としています。これにより、広告オペレーションの効率化が実現され、広告効果の最大化が支援されるでしょう。
参考:サイバーエージェント

ベネッセ|Benesse GPTを開発

ベネッセは、社内でAIチャットサービスをイントラネット上で提供し始め、業務効率化と技術検証の支援を行っています。ここで利用されているAI技術は、OpenAIのサービスをもとにしており、Microsoft Azure上で提供されています。重要なのは、直接的にはChatGPTではなく、その開発元であるOpenAIの技術がベースにあるという点です。これにより社員はいつでもAIチャットを通じて必要な情報を得ることが可能となり、業務における迅速な判断やスムーズな作業が実現します。

参考:impress

ChatGPTを企業利用するリスクについて

ChatGPTを企業利用するリスクについて

ChatGPTの企業利用は利点が多い一方で、注意すべきリスクも存在します。詳細を掘り下げ、理解を深めましょう。

ChatGPTの利用を禁止している企業もある

ChatGPTの利用を禁止している企業も存在します。禁止にする理由は、情報漏えいの危険性があるためです。

例えば、ChatGPTに企業の秘密情報を入力してしまうと、その情報が外部に漏れる可能性があります。一度外部に出た情報は取り戻すことができませんし、その情報が競合他社に利用されるリスクも考えられるでしょう。このようなリスクから情報を守るために、一部の企業はChatGPTの利用を控えています。

ChatGPTの利用について独自ルールを設けている企業もある

企業によっては、ChatGPTの利用について独自のルールを設け、その枠内での利用を許可している場合もあります。情報セキュリティを確保しながら、ChatGPTの便利な機能を活かそうとする試みです。

具体例としては、業務用の情報を入力しない、社内での利用は専用のアカウントを使用する、といったルールです。

ChatGPTを企業で利用する際の注意点

ChatGPTを企業で利用する際の注意点

企業がChatGPTを利用する際には、いくつか重要な注意点が存在します。正しく理解し、スムーズな利用を目指しましょう。

情報の正確性に欠けることを理解する

ChatGPTを企業で活用する際の重要な注意点は、情報の正確性に欠ける点を認識することです。このツールは強力である一方で、複雑な質問や専門的なトピックに対して正しい情報を提供できないことがあります。そのため、ChatGPTから得た情報は必ずしも信頼性があるわけではなく、追加の検証が必要です。誤った情報に基づいた判断を避けるためには、信頼性の確認を怠らないようにしましょう。

また、ChatGPTを使用する際には、機密情報や個人情報を入力する場面があるかもしれません。OpenAIは情報の悪用リスクを低く抑えていますが、完全なリスクフリーとはいえません。特に、より詳細な情報を得るためにChatGPTに詳細な指示を与えることが必要な場合、機密情報や個人情報の漏洩リスクが依然として存在します。企業はこの点に注意し、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

最新の情報に対応していないことを理解する

企業がChatGPTを利用する際に理解すべき重要な点は、2021年9月時点の情報を学習させているため、最新の情報に対応していないことです。そのため、急速に変化する市場や法律の変更に追随することが難しい場合があります。

企業はChatGPTを情報源として活用する際に、最新情報を確認するための独自のリサーチや専門家の意見を重視する必要があります。情報の正確性と最新性を両立させるために、ChatGPTを補完的なツールとして活用することが重要です。

機密情報を入力しない

ChatGPTを企業で利用する際は、機密情報を入力しないように注意する必要があります。
機密情報を入力しないことは、オンラインツールやサービスを利用する上での基本的な原則です。

オプションで入力したデータを、学習させないように設定することも可能ですが、入力したデータは、OpenAIのデータベースには蓄積されています。ChatGPT利用のルールを設けていない企業であっても、社外秘情報や機密情報の入力は控えましょう。

セキュリティ意識を持ち、機密情報の適切な取り扱いを確保することは、企業の信頼性と法的コンプライアンスを守るために極めて重要です。

ChatGPTを企業で扱うときはガイドラインを設けること

ChatGPTの企業利用にあたっては、利用ガイドラインを設け、全メンバーに周知することが大切です。これには、どのような場合にChatGPTを利用してよいのか、どのような情報を入力してはいけないのか、そして情報確認の際のチェックポイントなどが含まれます。これにより、企業としてChatGPTを安全かつ効果的に活用することが可能になります。

ChatGPTの2023年9月のアップデートについて

ChatGPTの2023年9月のアップデートについて

ChatGPTが2023年9月に実施したアップデートで、多くの新機能が加わりました。これまで、企業で利用するには物足りないと感じていた方にとってもうれしいアップデートとなっています。詳しい情報を一緒に見ていきましょう。

ChatGPTでWebブラウジング機能が復活

OpenAIは、ChatGPTの「Webブラウジング機能」を再開しました。これにより、有料のChatGPT Plus(月額20ドル)とEnterpriseユーザーは、Web上の最新情報を利用できます。学習データには最新情報は含みませんが、WebブラウジングをONにすると最新情報を回答に組み込めます。

以前、コンテンツ権利の問題から一時停止していましたが、再開時にはrobots.txtとユーザーエージェント識別で制御されています。現在はChatGPT PlusとEnterpriseユーザーのみ対象ですが、近日中に全ユーザーが利用可能になる予定です。設定はGPT-4セレクターで「Browse with Bing」を選択することで有効になります。

【マルチモーダル対応】ChatGPTで画像解析が可能に

ChatGPTの新機能であるGPT-4V(マルチモーダルAI:2種類以上のデータを集めて解析・出力可能なAI)は、新たに音声認識機能と画像対応を搭載し、AIの多用途性を飛躍的に向上させました。音声認識機能により、ユーザーは音声でテキストに変換することができ、ボイスアシスタントとして利用できます。これは会話ベースのタスクや文書作成に大きな便益をもたらします。

また、画像対応の強化により、GPT-4Vはテキストだけでなく、画像にも理解力を発揮します。画像の内容や特徴を認識し、関連するテキスト情報を提供する能力があります。これは視覚情報を含む多様なコンテンツの理解と応用を可能にするため、医療、エンターテインメント、自動運転などの分野での活用が期待されています。GPT-4Vの音声認識と画像対応は、新たなユースケースと機会を創出し、AIの進化を示すものです。

まとめ

ChatGPTは、発表当初から話題性が高く多くの企業で利用されています。今後は、AIを活用していかに効率よく業務を行うか、ビジネスを展開するかが求められてきます。
本記事で紹介した活用事例を参考にして、積極的にAI・ChatGPTを活用していきましょう。
ChatGPTの使い方に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。本記事と併せてご覧ください。

ChatGPTの使い方 | できることや日本語での活用例を紹介

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