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コンテナ活用でクラウドネイティブを実現する

昨今、システムの開発は「クラウドファースト」から「クラウドネイティブ」へと、考え方が変わってきています。クラウドネイティブの実現に有効な「コンテナ」とはどのようなものかご存知でしょうか。

本記事では、クラウドネイティブとコンテナに関する下記の内容について、メリットや実現方法をわかりやすく解説します。

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クラウドネイティブの実現にはコンテナ活用も有効

クラウドネイティブとは、「クラウドの利点を徹底的に活用するシステム」という意味を持つ言葉です。

クラウドファーストが「システムを構築する際にクラウドを優先的に利用する」という広い考え方なのに対し、クラウドネイティブはより深くクラウドの利用について考えています。つまりクラウドネイティブは、クラウドを利用するということは大前提として、実行するアプリケーションに至るまでクラウドに最適化することで、「クラウドの利点を最大限に活用する」というものです。この考え方のもとでシステムを構築することで、クラウドの利用に最適化されたシステム開発を行うことができます。

このクラウドネイティブの実現には、コンテナと呼ばれる技術を活用することが有効です。コンテナとは、1つのOS上に仮想化した複数の実行環境を設置する技術のことをいいます。

従来のサーバー仮想化技術では、アプリケーションごとの仮想環境上にOSが必要でした。しかしコンテナ技術は、アプリケーションごとの仮想環境をコンテナと呼ばれる入れ物で管理することで実行にOSを必要としないため、リソースや起動速度などの面で優れています。
コンテナの活用は、クラウドネイティブの実現において大きなカギを握っています。

コンテナを活用する3つのメリット

クラウドネイティブの実現においてコンテナを活用することで、下記3つのメリットを得ることができます。

  • サービスごとの開発が可能
  • 可用性の向上
  • ネットワーク機能を幅広く展開可能

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

サービスごとの開発が可能

1つ目のメリットは、「サービスごとの開発が可能」であること。
コンテナ技術では、コンテナごとに1つのアプリケーションを開発します。設定ファイルやライブラリなど、アプリケーションの実行に必要なものはすべてコンテナに格納されています。
しかも、それぞれのサービスが独立して管理、実行されているため、アプリケーションの競合などを意識する必要がなく、サービスごとの開発を行うことができるのです。

またコンテナは、独立して実行されるアプリケーションによって作成できます。各アプリケーションによって、コンテナのもととなるコンテナイメージを作成することで、独立したサービスを開発可能です。
このコンテナイメージはコピーすることができるため、別のサービスを開発する際にコンテナを一から作成する必要がありません。

こうした機能によって、サービスの開発・リリース速度を早めていけるのです。

可用性の向上

2つ目のメリットは、「可用性の向上」です。
クラウドネイティブに限らず、可用性はサービスの開発において欠かせない要素の1つでしょう。

コンテナは、従来のサーバー仮想化に比べて起動が速いという特徴があります。
これは、OSの有無に関係しています。サーバー仮想化がゲストOSによってアプリケーションを起動するのに対し、コンテナは起動にOSを必要としません。そのため、障害やメンテナンスなどによってサービスが一時的に停止した場合でも、起動が速いため素早く復旧することができます。

また、コンテナイメージのコピー機能を利用することで、スケーラビリティの向上にもつながります。サービスの需要が上がることで、システムの規模を大きくしなければいけない場合があるかもしれません。
コンテナの場合、コンテナイメージのコピーによって必要なサービスを簡単に複製でき、素早くシステム規模を増大させていけます。

ネットワーク機能を幅広く展開可能

3つ目のメリットは、「ネットワーク機能を幅広く展開可能」だということ。
コンテナはゲストOSを必要としないため、起動にかかる時間が少なく、リソースも軽量です。
コンテナを利用することで、起動が速く軽量なクラウドネイティブを意識したネットワーク機能を、コンテナ化することができます。
このようなネットワーク機能は、エッジサーバーなどの一時的にネットワークに接続するような場面で活躍するでしょう。

通常エッジサーバーは、ネットワーク負荷を避けるために極力データの送受信を行いません。しかし、必要なデータはネットワークを通じてクラウドなどに集積・管理する必要があります。
一方コンテナ化したネットワーク機能であれば、起動が速く軽量であるためエッジサーバーに負荷をかけずにネットワークに接続することができるでしょう。コンテナによって、このようなネットワーク機能を幅広く展開していけるのです。

コンテナ活用以外のクラウドネイティブ実現方法2選

コンテナを活用する以外にも、クラウドネイティブを実現する方法があります。
ここでは、代表的な下記2つの方法について紹介します。

  • マイクロサービス
  • サービスメッシュ

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

マイクロサービス

マイクロサービスとは、1つのアプリケーションをそれぞれの機能ごとに細かい「サービス」に分解して、それらを連携させる仕組みです。

機能ごとに分解することで、アプリケーション単位ではなくサービス単位で保守やテストを行うことができます。サービス単位のリリースも可能なため、一部のサービスに障害が発生した場合も、影響範囲を局所的に抑えることができるでしょう。そのため、可用性の向上にもつながります。

また、サービスの追加・削除が容易に行えるため、負荷の分散やスケーラビリティを向上、リソースの最適化を図ることが可能です。これらの機能により、クラウドネイティブを実現することができるでしょう。
なお、マイクロサービスは、コンテナのなかで運用されることもあれば、仮想化サーバーで運用されることもあります。

サービスメッシュ

クラウドネイティブの実現には、システムの可用性やスケーラビリティの向上が欠かせません。
可用性やスケーラビリティの向上には、コンテナやマイクロサービスのように、アプリケーションや機能ごとに細かく分解して、それぞれの結びつきを緩めることが効果的です。しかし、それでは「1つのシステムとしての処理が複雑化し過ぎてしまう」という問題が発生します。
「サービスメッシュ」とは、このように複雑になったシステムを効率的に連携させる仕組みのことをいいます。

サービスメッシュによって分解された機能が連携することで、システム内部の動きを把握可能となります。システムの負荷分散なども行えるため、効率的にシステムを稼働させることができるのです。

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まとめ

ここまで、クラウドネイティブの実現におけるコンテナ活用のメリットや、コンテナ以外の実現方法について解説しました。
コンテナにはさまざまなメリットがあり、クラウドネイティブを実現するために有効的な技術です。しかしコンテナ以外にも、マイクロサービスやサービスメッシュなどを活用することで、クラウドネイティブを実現することができます。

今回紹介した、コンテナをはじめとする技術を、一から構築するのは難しいと感じる方もいるしょう。そのようなときは、Microsoftが提供するAzureサービスを利用することも、ぜひ検討してみてください。

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