クラウド移行(インフラ・DB)

Azureのリージョンとは?選び方や確認方法などを詳しく解説

Azureのリージョンとは?選び方や確認方法などを詳しく解説-01

「Azureのリージョンとゾーンはどのように違うのか」「各サービスのリージョンはどこを選ぶべきか」
当記事をお読みのあなたは上記のお悩みをお持ちではないでしょうか。

当記事ではAzureのリージョンとゾーンの違い、リージョンの選び方や日本リージョンの特徴について解説しています。お読みになれば、リージョンとゾーンの違いがわかり、Azure利用に最適なリージョンを選択できるようになりますので、ぜひ参考にしてください。

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Azureのリージョンとは?

Azureのリージョンとは?選び方や確認方法などを詳しく解説-02

Azureのリージョンについて、以下の観点で解説します。

  • Azureのリージョンの概要と重要性
  • Azureのリージョンとゾーンの違い

Azureのリージョンの概要と重要性

Azureのリージョンとは、MicrosoftのクラウドサービスであるAzureのデータセンターが配置されている地理的な領域のことです。ユーザーは自身でサービス利用時にリージョンを選択します。

リージョンの重要性は以下の通りです。

  • パフォーマンスとレイテンシーの最適化
  • データの法的要件の遵守
  • 冗長性と可用性の確保

最適なリージョンを選択することで、パフォーマンスとレイテンシーの最適化が可能です。通信を行う場所からデータセンターが近いことで、アプリケーションやサービスのパフォーマンスが向上し、通信遅延が減少します。

データの法的要件の遵守においても、リージョンの選択は重要です。特定の国や地域には、データの保管や処理に関する法的要件が存在します。適切なリージョンを選択することで、データの所在地における法的要件に従った運用が可能となります。

また、複数のリージョンにデータセンターを配置することで、システムの冗長性と可用性を確保できます。1つのリージョンで障害が発生しても、ほかのリージョンでサービスを継続できるためです。

Azureの概要やメリットについては、下記の記事で解説しています。ぜひ本記事と併せてご覧ください。
Microsoft Azureとは|何ができる?入門内容からわかりやすく解説

Azureのリージョンとゾーンの違い

Azureのリージョンはゾーンの集合体であると考えることで、リージョンとゾーンの違いを理解しやすくなります。
リージョンは、地理的に分散したデータセンターの集合体です。リージョンは特定の地域や国に配置されています。各リージョンは、独自のネットワーク接続、セキュリティ対策を備えた複数のデータセンターで構成されている1つの単位です。

一方でゾーンは、リージョン内にある独立したデータセンターのグループです。ゾーンは、通信遅延の最小化や可用性の向上を目的として配置されます。各ゾーンは独自の電力供給機能や冷却設備を持つため、障害発生時にはそれ以外のゾーンからのサポートによりリージョンとしてのサービス継続が可能です。

ゾーンは複数のデータセンターグループで構成され、リージョンは複数のゾーンで構成されています。最適なリージョンを選択することでユーザーはサービスのパフォーマンス向上が可能です。またサービスを利用するリージョン内でゾーンを分散させることで、より高い冗長性を実現します。

Azureのリージョンペアとは何か

リージョンペアはAzureにおいて、とあるリージョン(メインリージョン)と対応するサブのリージョンの組み合わせを指します。リージョンペアは、災害復旧やデータ冗長性確保が目的です。日本の場合、東日本リージョンと西日本リージョンがリージョンペアとなります。

リージョンペアは、物理的に離れた場所に配置されます。津波、台風などの大規模災害が発生した場合でも、データやサービスの保護、可用性の確保を実現するためです。

リージョンペア同士のリージョンは、高速かつ安全なネットワーク接続がされていて、データの同期やフェイルオーバーに利用できます。万一、メインリージョンで大規模災害や障害が発生しても、ペアとなるサブのリージョンが処理を引き継ぐため、サービスの継続が可能です。

Azureの特殊なリージョン

Azureには以下の特殊なリージョンが用意されています。

  • ソブリンリージョン
  • Azure Government
  • Azure ChinaとAzure Germany

ソブリンリージョン

ソブリンリージョンは、各国の政府や公共機関のために設計された特殊なAzureリージョンです。政府や公共機関のデータ主権を確保することを目的としたリージョンであり、一般ユーザーは利用できません。ソブリンリージョンでは、国などのデータが外部に流出することがないように制御され、ほかのAzureリージョンとは隔離されたネットワークと管理体制が提供されます。

Azure Government

Azure Governmentはアメリカ政府向けのソブリンリージョンです。Azure Governmentを利用すると、アメリカの条例や法律で制定されているセキュリティ要件や、コンプライアンスに準拠できます。アメリカの政府や公共機関のみが利用可能なリージョンです。

Azure ChinaとAzure Germany

Azure ChinaとAzure Germanyは、それぞれ中国とドイツのソブリンリージョンです。なおAzure Chinaのデータセンターは21Vianetという中国企業によって運営されています。

Azureリージョンの選び方

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Azureを利用する際にどのリージョンを選ぶべきかについては、以下4つの判断基準があります。

  • コンプライアンスに合わせて選ぶ
  • データの保存場所で選ぶ
  • 利用可能なサービスに合わせて選ぶ
  • 料金設定で選ぶ

コンプライアンスに合わせて選ぶ

Azureのリージョン選択では、コンプライアンス要件を確認しなければなりません。特定の国や地域にはデータ保管や処理について要件があります。例としては、EUのGDPRや、韓国のPIPAなどです。遵守すべきコンプライアンス要件を満たすためにも適切なリージョンを選択する必要があります。

データの保存場所で選ぶ

データの保存場所は、Azureのリージョンを選択する際に、プライバシー、コンプライアンスを考慮するために重要です。先述の通り、特定の国や地域でデータを保存する必要がある場合、その地域の要件に従わなければなりません。適切なリージョンを選択することで、要件を満たせるようになります。

またデータの保存場所はデータの転送時間にも影響を与えます。データを利用する地域に近いAzureリージョンを選択することで、データの転送時間が短縮されるためです。データが遠くのリージョンに保存されている場合、データの転送にはより長い時間がかかってしまうため、可能な限り利用する地域に近いリージョンを選択すべきでしょう。

利用可能なサービスに合わせて選ぶ

Azureリージョンを選択する際に、利用可能なサービスを確認してリージョンを選択する必要があります。リージョンによっては、利用したいサービスが利用できない場合もあるためです。例として、Azure Cognitive ServicesのSpeaker Recognitionは日本リージョンで利用できません。利用したいサービスについて、希望するリージョンで利用可能かどうかを確認する必要があります。

Azureの公式ドキュメントを確認し、利用したいサービスが提供されているか確認してください。仮にサービスが提供されていない場合は、サービスを提供しているリージョンの中から、別のアプローチでリージョンを選択する必要があります。

料金設定で選ぶ

Azureはリージョンによって料金設定が異なる場合があります。また複数リージョンを利用する場合、リージョン間の通信にかかる料金がリージョンの組み合わせごとに異なります。

料金によるリージョン選択は、上記までの3点と比べると優先度が低いです。ただし「リージョンA,Bのどちらを利用しても問題ないケース」では料金が安い方を選択するとよいでしょう。料金に関する詳細情報はAzureの公式サイトにある料金ページで確認し、最適なリージョンを選択しましょう。またAzureの料金計算ツールを使用することで、リージョンごとの料金の比較や見積もりを行うことも可能です。

Azureの日本リージョンの利用時のポイント

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以下ではAzureで日本リージョンを利用する際のポイントを解説します。またポイントを押さえることで自社が東日本リージョンと西日本リージョンのどちらを選ぶべきか、判断ができるようになるでしょう。

Azureの東日本リージョンと西日本リージョンの違い

東日本リージョンと西日本リージョンの違いは以下の通りです。

  • データセンターの場所
  • リージョン内の可用性オプションの有無
  • 利用できるサービスの違い

東日本リージョンと西日本リージョンは名前の通り、データセンターの位置が異なります。具体的な場所は明記されていませんが、東日本リージョンは東京、埼玉にあり、西日本リージョンは大阪にあります。

東日本リージョンは可用性オプションを利用できますが、西日本リージョンでは利用できません。可用性オプションとは、仮想マシンをリージョン内のゾーン間で複製や退避を実現する機能です。可用性オプションを利用できる方が、ゾーン間の冗長性を高く保てます。

東日本リージョンと西日本リージョンは利用できるサービスにも差分があります。例として西日本のみAzure Container Appsがない、というサービス単位での差分です。また西日本のみVirtual MachinesのA8 – A11 (コンピューティング集中型)がない、というサービス内のオプションにも差分があります。
参考:

東日本リージョンと西日本リージョンはどちらを選ぶべきか

東日本リージョンと西日本リージョンのどちらを選ぶべきなのか、については前項で解説したリージョンの選び方を基準としてください。

  • コンプライアンスに合わせて選ぶ
  • データの保存場所で選ぶ
  • 利用可能なサービスに合わせて選ぶ
  • 料金設定で選ぶ

コンプライアンスは、東日本と西日本で変わりません。データの保存場所は通信環境を考えて、物理的に近い距離のリージョンを選ぶことで通信遅延が軽減されます。利用可能なサービスやオプションは東日本と西日本で差があります。以下を参考に、利用したいサービスの状況を確認してください。西日本リージョンの方が利用できないサービスが多いです。

参考:
東日本リージョンで利用できるサービス
西日本リージョンで利用できるサービス

上記で選択すべきリージョンが決まると思いますが、決めきれない場合は、Azureの公式サイトにある料金ページから料金を比較して安くなるリージョンを選択するとよいでしょう。

Azureリージョンの確認方法

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以下ではAzureのリージョン確認方法を解説します。

  • Azureポータルを使用した確認方法
  • Azure CLIを使用した確認方法

Azureポータルを使用した確認方法

Azureポータルを使用して、組織のリージョンを確認する方法は以下の通りです。

  1. 組織にサインイン (https://dev.azure.com/{your_organization})
  2. 「組織の設定」を選択
  3. 「概要」を選択

上記の手順で、概要ページの下部に自組織のリージョンが表示されます。また各リソースの詳細ページでも、リソースが配置されているリージョンの確認が可能です。

Azure CLIを使用した確認方法

Azure CLIを使用して、各リソースが配置されているリージョンを確認することも可能です。手順の例は以下の通りです。

  1. コマンドラインツール(BashやPowershell)を起動する
  2. curl -sL https://aka.ms/InstallAzureCLIDeb | sudo bash コマンドでAzure CLIをインストール
  3. az loginコマンドでサインイン
  4. az vm list --output jsonコマンドで仮想マシンのリストを表示
    locationのパラメータ部分にリージョン名が記載されています。

Azureリージョンの変更方法

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一度デプロイしたAzureのリソースのリージョンは基本的には変更できません。変更する場合は、リージョン間でリソースを移動させるサービス(例としてAzure Resource Mover)を利用する必要があります。

ただし、Database for MySQL サーバーは例外的にレプリカを作成する形でリージョン移動が可能です。

まとめ

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Azureのリージョンについて解説しました。ゾーンはデータセンターの集合体であり、リージョンはゾーンの集合体と理解することで、リージョンとゾーンの違いを明確に理解できます。またリージョンを選ぶ際には、利用できるサービスやコンプライアンス要件、物理的な距離など、複数の観点から総合的に最適な判断をしてください。

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