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アフターサービスとは?例や戦略を理解して長期的な顧客関係の構築を

製造業を営む企業が、市場の変容やニーズの多様化に対応し、継続的な発展と成長を実現するには アフターサービスへの注力が不可欠です。適切なアフターサービス戦略の推進により、他者との差別化につながるほか、顧客満足度向上や利益拡大を実現できます。本記事では、アフターサービスの意味や事例、重視される理由などについて解説します。

アフターサービスとは

アフターサービスとは、自社商品やサービスを購入してくれた顧客に対して提供するサービスです。製品を稼働させるのに必要な消耗品の交換や提供、異常の有無をチェックする点検、操作方法の指導などが該当します。

事後保全から予防保全へ変容するカスタマーサポート

製品やサービスを保護する保全には、事後保全と予防保全という考え方があります。顧客が購入した製品に故障や不具合が発生したとき要請に応じて診断や修理をする、一般的なアフターサービスは事後保全に分類されます。一方で、近年は問題が発生した後に行う対応ではなく、トラブルが発生しないように対策する予防保全を重視する企業が増えてきました。

予防保全とは、製品が故障してから対応するのではなく、故障の予兆を検知し、故障やトラブルを未然に防ぐための活動です。予防保全が注目されるようになった理由として、IoTやAI、機械学習といった技術の活用が進み、従来よりも精度の高い予防保全を実現可能になったことが挙げられます。

予防保全を取り入れたカスタマーサポートの具体的な事例が、定期点検や定期メンテナンスです。3ヶ月や6ヶ月に一度といった短いスパンで定期的な点検を行うことにより、製品の状態を正確に把握することや、トラブルの早期発見を実現しています。

予防保全をカスタマーサポートに組み込むことで、製品に不具合が発生する前に対処できるため、顧客満足度の向上につながりやすい点が魅力です。また、製品の品質維持につながるほか、突発的に発生する不具合への対応に、多くのリソースを割かなくても良いことがメリットです。

一般的なアフターサービスの例

アフターサービスの内容は、業種や企業によって大きく異なります。製造業の場合、クレームや問い合わせ対応、返品や修理・交換対応、点検や巡回、取り付け・組み立て、部品や消耗品の交換・補充などがアフターサービスの例として挙げられます。

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アフターサービスが重視される理由

企業の継続的な発展と利益の獲得を実現するには、アフターサービスへの注力が必須です。満足度の高いアフターサービスの提供により、顧客のファン化やリピーター化につながるほか、他社との差別化や収益の拡大も実現できます。

顧客満足度の向上とリピーターの獲得につながる

適切なアフターサービスを提供することで、顧客満足度が高まり、一人の顧客が生涯を通じて自社にどの程度貢献してくれるのかを示す指標である顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)も向上します。

また、各顧客の情報を分析し管理する顧客関係管理(CRM)を実施し、パーソナライズしたアフターサービスを提供することで、リピーターを増やすことができます。

製品が壊れた、部品を交換したい、といった個別のニーズに迅速に対応し、顧客の悩みを解消していくことで、「顧客想いの企業」であると印象づけられます。たとえば、製品の購入から3ヶ月が経過した顧客に対し、点検を促すメールを送る、上位バージョンの製品がリリースされた情報を提供する、といった具合です。

また、充実した保証があれば顧客は安心感を抱くため、購買意欲をかきたてる効果も期待できます。

適切なアフターサービスを行うと、企業イメージがアップし企業や製品のファンが増えるため、既存顧客が、継続的に商品を購入し続けてくれる優良顧客へと変化する効果が見込めます。顧客満足度の向上と、定期的な利益をもたらすリピーターの獲得の鍵となるのがアフターサービスの充実です。

他社との差別化につながる

現代社会でビジネスを営む企業には、積極的な差別化戦略が求められます。なぜなら、ここ20年ほどで企業を取り巻く環境は大幅に変化したためです。インターネットやモバイル端末が普及し、人々はさまざまな情報を自由に取得できるようになりました。

製品の情報も容易に取得できるため、消費者はいくつもの選択肢のなかから製品を選んでいます。よって、消費者から自社製品を選んでもらうため、企業は他社と明確に異なる部分、魅力的なところを積極的にアピールすべきです。

一方、模倣品や低価格な代替品なども普及しているため、製品単体による差別化が難しくなっているのが現状です。

そこで、製品以外の部分で差別化し、売り切り販売中心のビジネスモデルから脱却するための手段として、アフターサービスの充実が重視されるようになりました。

具体的には、アフターサービスの領域は、製品開発などの分野と比べるデジタル化が進んでいないため、他社との差別化の手法として有効です。さまざまな顧客データの収集と蓄積、分析を行える基盤を整え、パーソナライズしたサポートを提供できるようになれば、他社との差別化につながります。

顧客ニーズの理解と収益拡大につながる

適切なアフターサービスを提供することは、顧客ニーズの理解にもつながります。たとえば、顧客からの問い合わせやクレームに対応するたびに、商品やサービスにどういった不満があるのか、何を望んでいるのかといったことをヒアリングできれば、そこから真の顧客ニーズを抽出できます。

顧客からもたらされるこのような情報は、自社製品やサービスの改善に有効です。製品やサービスに対する客観的な評価や感想を把握できるため、効果的な改善を行えます。その結果、顧客が真に求める商品やサービスへと昇華でき、収益拡大につながる点も魅力です。

また、アフターサービスを介して正確に顧客ニーズを把握することは、顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながります。

多くの消費者は、顧客のニーズをきちんとくみ取り、そのうえで商品やサービスの改善を実行してくれる企業にお金を使いたいと考えます。アフターサービスの提供で顧客ニーズを正確に把握できれば、ニーズをしっかりと満たせるためLTVが高まり、継続的に自社商品やサービスを購入してもらえることになります。結果として、企業として収益の改善や事業拡大が実現することに疑いの余地はないはずです。

アフターサービス戦略を成功させる秘訣

アフターサービス戦略を成功させるには、やみくもに取り組むのではなく正しいポイントを踏まえた取り組みが求められます。

顧客理解を深める

適切なアフターサービスを実現するには、顧客理解が不可欠です。顧客が何を求めているのかを理解できなければ、適切なアフターサービスなど提供できません。顧客が製品を購入したあと、どのような悩みを抱く可能性があるのか、どういった行動に出るのかを考えたうえで、提供するサービスを考えることが大切です。

顧客だけでなく、改めて自社商品やサービスへの理解も深めましょう。自社商品やサービスを熟知しない社員がアフターサービスを提供した場合、顧客に不信感を与えかねません。商品に関する詳しい説明を求めて問い合わせをしてきた顧客に対し、適切に回答できなければ、顧客離れにつながる可能性があります。

このようなリスクを回避するため、アフターサービスに当たる社内の全員が自社商品やサービスへの理解を深める努力が必要です。アフターサービス担当部署のオペレーターが対応できないときは、対応可能な部署へスムーズに接続できる環境や体制も構築しなくてはなりません。

よくある質問を抽出し、模範的な回答を整理しておくのも有効です。こうしておけば、オペレーターの習熟度にかかわらずスムーズな回答が可能です。ただ、イレギュラーな質問やクレームを寄せられることもあるため、幅広く対応できる知識が担当者には求められます。

クレームに適切に対応する

顧客から寄せられるクレームのなかには、手厳しく思わず耳を塞ぎたくなるような内容も少なくありません。ときには理不尽なクレームに直面するケースもありますが、こうしたクレームにこそ利益拡大につながるチャンスが隠れています。

クレーム情報を適切に共有し、蓄積することで、顧客のフィードバックにもとづく製品・サービス改善などにつなげられるためです。

蓄積したクレーム内容を分析すると、自社商品やサービスに不足しているものや、改善すべきポイントなどが可視化されます。

また、クレームに適切な対応を行い、「自社はお客様の声をきちんと商品・サービスの改善に活かしています」とアピールするのも、満足度向上の施策として有効です。

従来は、組織の窓口たるコールセンターなどが中心となってクレーム対応をしていました。近年ではコールセンターやコンタクトセンターに高度なデジタル技術を導入する事例も増えており、クレーム情報の共有や蓄積が容易となっています。

顧客体験価値の改善をする

顧客体験価値とは、顧客が自社と関わることで得る体験価値を指します。商品やサービスを購入するときだけでなく、購入前や購入後など、あらゆる顧客接点で体験した価値を示す概念です。

あらゆる市場が成熟化した現代において、消費者から選んでもらうには差別化戦略が欠かせません。顧客体験価値の改善は、他社との差別化に有効であり、うまく取り組めば市場での優位性を確立できます。

顧客体験価値を高めるための取り組みとして、ECサイトを見直すのも有効です。たとえば、アクセスしてきたユーザーの購入履歴などから、おすすめの商品を表示するのも顧客体験向上の一例です。

ほかにも、チャットボットを実装して、消費者がいつでも求める情報を取得できる環境を整える、商品購入や会員登録のフォームへスピーディーに入力できるよう、フォームの最適化を進めるなどもECサイトの顧客体験価値向上の取り組みとしてよく採用されています。

顧客体験価値を改善するには、自社がターゲットとする顧客像はもちろん、どのような顧客体験を求めているのかも正確に把握しなくてはなりません。また、体験価値向上の取り組みを実施したあとも、PDCAサイクルを回しつつ定期的な見直しと改善を進めることも大切です。

フローを明確にし、社内の連携を図る

スムーズかつスピーディーなアフターサービスの提供を実現できるよう、サービス提供フローの明確化に取り組みましょう。業務プロセスが煩雑だと、納期回答や在庫把握、契約確認など顧客対応に関する各業務に膨大な時間を要するため、結果として顧客満足度が大幅に低下してしまうおそれがあります。このようなことがないよう、アフターサービスのフローを見直したうえで、必要に応じて改善することが大切です。

アフターサービスのフローを決めておくことは、前例のないイレギュラーな対応を迫られたときにも有効です。

重大なミスや過去に事例がない問い合わせなど、イレギュラーな事態が発生したときどのように対応するのかを明確にしておけば、よりスムーズな対応ができます。

また、顧客関連部門間の連携や情報共有も怠ってはいけません。

社内の各部署間で連携がとれていない状況では、満足度の高いアフターサービスの提供はおろか、顧客満足度向上も見込めません。ノウハウや知識の他、決定したサービス提供フローなどに関する情報も、漏れなく関係部署間で共有すべきです。

顧客や製品に関する情報を分断しない

顧客や製品に関する情報が、社内に分散していると適切なアフターサービスを提供できないおそれがあります。いわゆる、情報のサイロ化が起きていると、対応漏れや二重対応などの原因になるほか、顧客が求める情報を提供するまでに過度な時間を要すことも珍しくありません。

このような状況を回避するには、顧客や製品に関する情報の一元管理が有効です。情報を一元管理し、いつでも速やかに取得できる環境を整備すれば、スムーズなアフターサービスの実現につながり、顧客満足度や顧客生涯価値(LTV)の向上につながります。

アフターサービスの取り組み例

電子計測器メーカーとして世界的な知名度を誇る「アンリツ株式会社」は、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、新たな販売体制の確立と顧客の利便性向上、業務効率化などを目的とした取り組みを始めました。同社が取り組みとして推進したのは「SAP® Commerce Cloud」の導入です。

同社は、当該ソリューションを導入し、保守部品などの販売を始めました。これによって、顧客が24時間いつでも保守部品を発注できるようになり、社内の業務効率化も実現が期待されます。

まとめ

自社の顧客に対し、商品やサービスの購入後に行うアフターサービスが重視されるようになりました。適切なアフターサービスの提供により、顧客満足度向上やリピーター獲得が見込めるためです。

さらに、アフターサービスの領域はデジタル化が進んでいないため、顧客データの収集と蓄積、分析を行えるシステム基盤を整えることで、他社との差別化も実現できます。効果が高いアフターサービスの提供に向け、システムやソリューションの導入も検討してみましょう。

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