「ChatGPTと同時にOpen AIって聞くけど何のことだろう」「Open AIはChatGPTの他にどんなサービスを扱っているのだろう」
当記事をお読みの方は上記の疑問をお持ちではないでしょうか。当記事ではOpen AIの概要や歴史、ChatGPTやそのほかのサービスについて解説します。また今後Open AIがもたらすであろう影響についても考察しているので、ぜひ最後までお読みになってください。
Open AI(オープンAI)とは
「Open AI(オープンAI)」とは人工知能の研究・開発を行う、2015年に設立された非営利団体です。注目を集めている「ChatGPT」をはじめ、AIを利用したサービスを提供しています。
イーロン・マスクが関わるOpen AIの創設
Open AIは「AI技術を高め、人類に貢献し、よりよい世界としていくこと」を目的としている団体です。世界中のAIに関連する技術者や研究者が集まって日々研究開発を進めています。2015年の創立当初には、2023年現在TeslaやSpaceXを率いているイーロン・マスク氏が関わっていました。なお、2018年2月にマスク氏はOpen AIを辞任しています。
Open AIが注目される理由とは
Open AIが注目を集めている理由は、大きく以下の2つがあります。
- 進み続けるAIの研究とサービスリリース
- オープンソースとして利用できるプラットフォームの公開
先述の通り、Open AIには世界中の技術者や研究者が集まり、日々研究開発を進めています。Open AIは設立以降、AI分野の発展に大きく貢献し、ChatGPTをはじめとする数々のAIサービスをリリースしてきました。AIの進化は目覚ましく「現在の仕事の多くは、近い将来AIに取って代わられるだろう」といわれています。
またOpen AIは、オープンソースとして利用できる「Open AI Gym」というプラットフォームも公開しています。誰でも利用できるため、より多くの人がAIの研究開発に関わりやすくなりました。
Microsoftとの連携:Azure Open AI
MicrosoftはこれまでOpen AIに対して多額の投資をしています。投資の目的は、Open AIがリリースしているサービスや研究開発を進めてきたAIを、自社のサービスに活用するためです。2023年5月現在、Microsoftが提供する検索エンジンのBingは、ChatGPTを活用する「Bing AI」としても利用が開始されています。
また、MicrosoftのクラウドサービスのAzureでは、「Azure OpenAI Service」がリリースされました。これにより、Azure内で後述するDALL・E 2やCodexをAzure利用できます。Azure OpenAI Serviceは、ChatGPTも2023年3月に利用が開始されました。
Open AIの株価
ここまで読んで「ChatGPTの利用者は増え続けているし、AIの発展は続きそうだ。今後も増収が見込めそうだからOpen AIの株を買って投資したい」と考えた方もいるのではないでしょうか。しかし残念ながら2023年5月現在、Open AIは上場していないため、現状では株を買うことはできません。
Open AI ChatGPTとは
Open AIのサービスと聞いて、2023年5月現在、最も有名なサービスはChatGPTでしょう。この章ではChatGPTについて以下の内容を解説します。
- 開発経緯
- 機能と特徴
- 使い方
- 活用事例
- APIの利用方法
ChatGPTの開発経緯
ChatGPTがリリース直後の利用者急増で話題になっていますが、従来は「AIが人間のように言語を扱うことは難しい」とされてきました。理由は、文章の曖昧さや感情など、人間でないと分からない要素が多く含まれているためです。
しかし、大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)が2018年に登場し、状況が変わりました。大規模言語モデルは、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデルです。大規模言語モデルの登場以降、AIによる自然言語処理は目覚ましい進化を続け、大規模言語モデルを搭載したChatGPTが登場しました。
ChatGPTの機能と特徴
ChatGPTの特徴や、できることは以下の3点です。
- さまざまなタスクへの対応
- 自然言語処理
- 継続性がある対話ができる
インターネット上にあるさまざまテキストデータを学習し、質問対応や文章の要約など幅広いタスクへの対応が可能です。ChatGPTが一度に扱える文章は1文や1行だけではなく、長文も含みます(上限あり)。
ChatGPTの特徴は、自然言語処理を行うことです。自然言語処理とは、文章を人間と同様の解釈をできるように処理させる技術です。ChatGPTは自然言語処理を行うことで、さまざまなタスクに人間と同様の対応ができます。
また、ChatGPTは継続性がある対話ができる点も特徴の1つです。例えばChatGPTに質問をして、回答後に「同じ質問に別の回答をしてください」とメッセージを送ると、別の回答が返ってきます。対話の内容を上書きしているため、継続性がある会話が可能です。
より詳しい解説を以下の記事で取り上げているので、併せてご覧ください。
ChatGPTの使い方 | できることや日本語での活用例を紹介
ChatGPTの使い方
ChatGPTは以下の流れで利用できるようになります。
- Open AIのアカウントを作成する(GoogleやMicrosoftのアカウントも利用可能)
- ログインする
- ChatGPTにメッセージを送る
基本的な流れは上記のみです。無料でアカウントを作成でき、パソコンだけでなくスマートフォンでも利用が可能です。
より詳しい使い方は以下の記事で画像付きで解説しているので、併せてご覧ください。
ChatGPTの使い方 | できることや日本語での活用例を紹介
ChatGPTの活用事例
ChatGPTがリリースされてから、すでに多くの活用がされ、ビジネスにおいてもChatGPTを利用した多くのサービスがリリースされてきました。例えば、以下のサービスです。
ChatGPTは自然言語処理によって質問対応や文章の要約に対応できます。よって企業が扱っているチャットボットや、公開されている文章の予約などのサービスに相性がよいといえます。今後も、ChatGPTを活用した多くのサービスが展開されていくでしょう。
Chat GPTのAPIの利用方法
ChatGPTはAPIの利用が可能です。APIの利用で、コマンドベースでのChatGPT利用や、プログラミングのコードとして組み込むことができます。利用のためにはAPI Keyが必要です。OpenAI API Keyにアクセスし、「Open AI API Key」を取得してください(取得にはOpen AIアカウントが必要です)。
Keyの取得後は、curlコマンドのヘッダーにKeyを埋め込んで実行したり、Pythonのrequestメソッドを利用してAPIを実行したりすることできます。
より詳しい使い方を以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。
ChatGPTの使い方 | できることや日本語での活用例を紹介
Chat GPT以外のOpen AIの4つのサービス
Open AIにはChat GPT以外にもAIサービスがあります。以下の4つのサービスを紹介します。
- Open AI Gym
- Whisper
- DALL・E 2
- Open AI Codex
Open AIのサービス1| Open AI Gym
「Open AI Gym」は、Open AIが提供するプラットフォームサービスです。Open AI Gymを用いることで、強化学習のシミュレーションができます。
強化学習とは、ある環境においてエージェント(行動者)が目的を達成するために行動を繰り返す学習方法です。行動によって得られる報酬を多くすることや、目的達成までの時間を早くするために、初期値や行動を見直すことで、最適化を目指します。
Open AI Gymでは強化学習のシミュレーションとして、ブロック崩しや迷路などのゲームが用意されています。Pythonの環境下での実行を想定しているため、pip installコマンドでインストールして利用が可能です。
Open AIのサービス2|Whisper
「Whisper」はOpen AIが提供する音声認識モデルです。Whisperの利用で、音声データをテキストデータに変換できます。音声認識では、音声を学習済みモデルに与えることでテキストデータに変換し、別のアウトプットをもたらすことができます。
例えばスマートスピーカーに話しかける際は人間の音声→テキストに変換→解釈→音声で返答、のように音声認識を行い、新しい行動に移します。
Whisperは日本語にも対応しており、日本語の音声データも日本語テキストに置き換えが可能です。またAPIも用意され、多くのサービスへ活用できます。
Open AIのサービス3|DALL・E 2
「DALL・E 2」はOpen AIが提供する画像生成モデルです。DALL・E 2にメッセージを与えることで、メッセージの指示に従ったイメージ画像の作成ができます。
1文に対して、1つの画像ではなく複数の同様な画像を用意してくれるため、気に入ったものを生成しやすいです。またテキストは日本語にも対応しており、英語が得意でなくても求めている画像を生成できます。
Open AIアカウントでログインすると、DALL・E 2に使える無料クレジットがもらえます。クレジットがあるうちは無料での利用が可能です。クレジットがなくなってしまったら、購入するか翌月の配布まで待つ必要があります。
Open AIのサービス4|Open AI Codex
「Open AI Codex」はOpen AIが提供するプログラミングに用いるソースコード生成モデルです。コーディングを行いたいファイルに対してコメントでやりたいことを記載しておくと、Codexがコーディングを行ってくれます。
Codexは、自然言語処理と数十億行のコードで学習をされており、コメントに対してのコーディングを実現しました。Pythonのコーディングを最も得意としていますが、JavaScriptやGoなど12のプログラミング言語に対応しています。
ただし、Codexは日本語での利用ができません。コーディングの指示出しは英語で行う必要があります。利用料金は無料です。
Open AIの影響と今後の展望
Open AIの設立から現在までの経緯、実績を見てきました。さらなるAIの発展への貢献が期待されるOpen AI。この章では、以下の観点から、Open AIの現在と今後の展望について考察しました。
- Open AIによる社会へのインパクト
- AI技術の発展とOpen AIの将来
- AI業界全体の将来
Open AIによる社会へのインパクト
現在、Open AIが研究開発してきたAI分野において社会に大きなインパクトを与えています。例えば業務の効率化です。人間にとって危険な作業や難易度が高い作業をAIに担当させることで、業務を効率化しています。
またCodexのように、人間が頭を使って行う作業(プログラミング)についても自動化できるようになりました。このことからAIが担当できる業務の幅が大きくなっていることが分かります。
自動化による生産性向上が進む一方で、人間が職を失う可能性が高まっていることが懸念されています。
このようにOpen AIによるAI発展の貢献は、社会にプラスとマイナスの変化をもたらしているのです。
AI技術の発展とOpen AIの将来
Open AIがAI技術発展に貢献してきたことは、これまで述べてきた通りです。今後もOpen AIがAI技術発展に貢献し、Open AIのサービスがより多くの分野に活用されることが期待されています。また新しいサービスや技術の開発にも注力し、既存サービスの精度向上や新たなサービスが登場するでしょう。
AI業界全体の将来
AI業界はこれまでもブームがたびたび起こっていましたが、現在のAIブームは今までよりも大きなブームになっている状態です。Open AIのサービスの発展により競合他社も開発に乗り出し、AI業界全体で切磋琢磨(せっさたくま)されていくことが予想できます。
現在、AIの急速な発展から各国の政府が法整備に乗り出しているため、法規制によって発展のスピードが異なってくることも考えられます。
また「シンギュラリティを迎えるのは2045年」と提唱されています。シンギュラリティとは、AIが人類よりも賢くなる時点のことです。シンギュラリティを迎えると、AIが自身でさらに発展することが考えられるため、AIによる人間の支配が実現してしまう可能性がゼロではありません。このような事態を防ぐためにも、シンギュラリティを起こさない程度の発展が続いていくのではないでしょうか。
シンギュラリティはさておき、AIの発展が人間社会に大きな変化をもたらすことは間違いないでしょう。よりよい社会生活のために、どのようにAIと人間が共存していくのか、考えるべき時代となっています。
まとめ
Open AIはAIの研究開発を行う非営利団体です。昨今ブームとなっているChatGPTをはじめ、WhisperやDALL・E 2などほかにも面白いサービスを提供しています。AIが今後も発展し、人間社会に大きなインパクトをもたらすことが予想されていますが、Open AIもさらなるAIの発展に貢献すると考えられるでしょう。