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SAPモジュール一覧!主要機能の種類や役割を初心者向けにわかりやすく解説

SAPモジュール一覧!主要機能の種類や役割を初心者向けにわかりやすく解説

SAPは世界トップシェアを誇るERPですが、その機能は「モジュール」と呼ばれる単位で構成されており、種類が多岐にわたるため全体像の把握は容易ではありません。

この記事で分かること

  • SAPモジュールの定義とERPにおける役割
  • FI・CO・SDなど主要モジュールの機能一覧
  • 各モジュール間の連携メリットと業務内容

この記事では、FI(財務会計)やSD(販売管理)といった主要モジュールの役割や連携の仕組みを、初心者にも分かりやすく一覧で解説します。各モジュールの業務内容を理解することは、システム導入の成功やSAPコンサルタントとしてのキャリアアップに不可欠です。基礎知識を体系的に学び、業務効率化への理解を深めましょう。

SAPモジュールとは何か?ERPにおける役割と仕組み

世界中の企業で導入されているSAP ERPシステムですが、その構造を理解する上で欠かせないのが「モジュール」という概念です。SAPシステムは巨大な一つのソフトウェアのように見えますが、実際には特定の業務領域ごとに機能が分割され、それらが密接に連携して動作しています。

ここでは、SAPを学ぶ上で最初に理解しておくべきモジュールの定義や、ERP(Enterprise Resource Planning)としての全体像、そしてデータ連携の仕組みについて解説します。

SAPシステムを構成するモジュールの定義

SAPにおける「モジュール」とは、企業の基幹業務を遂行するために用意された機能の集合体(部品)のことを指します。

SAP ERPは、財務会計、販売管理、在庫購買管理、人事管理など、企業活動に必要なあらゆる業務機能を網羅しています。しかし、すべての企業がすべての機能を必要とするわけではありません。そこでSAPは、業務分野ごとに機能を「モジュール」としてパッケージ化し、企業の業種や規模、抱えている課題に合わせて必要なものを選択・組み合わせて導入できる仕組みを採用しています。

よく例えられるのが「レゴブロック」です。必要なブロック(モジュール)を選んで組み立てることで、自社に最適な基幹システムを構築できる柔軟性がSAPの大きな特徴です。

  • 機能の独立性:各モジュールは特定の業務領域に特化して設計されています。
  • 選択的な導入:全モジュールを一括導入する必要はなく、段階的な導入も可能です。
  • 標準機能の活用:各モジュールには、世界中のベストプラクティス(最良の業務手法)が標準機能として組み込まれています。

業務効率化を実現するモジュールごとの役割分担

各モジュールは、担当する業務範囲が明確に定義されています。それぞれのモジュールが専門的な役割を果たすことで、複雑な企業活動を効率的に管理することが可能になります。

SAPモジュールは大きく分けると「会計系」「ロジスティクス系」「人事系」などに分類されます。それぞれのモジュールがどのような役割を担っているのか、代表的なものを整理しました。

分類 モジュール名(略称) 主な役割と業務内容
会計系 財務会計 (FI) 貸借対照表や損益計算書の作成、外部報告用の決算業務を担当します。
会計系 管理会計 (CO) 部門別損益や原価計算など、社内の意思決定に必要な数値を管理します。
ロジスティクス系 販売管理 (SD) 見積もりから受注、出荷、請求に至るまでの販売プロセスを管理します。
ロジスティクス系 在庫購買管理 (MM) 資材の調達、発注、検収、在庫の受払や棚卸などを管理します。
人事系 人事管理 (HR/HCM) 採用から退職までの従業員データ管理、給与計算、勤怠管理などを行います。

このように役割分担が明確であるため、各部門の担当者は自分の業務に関連するモジュールを集中的に操作・習得することになります。一方で、システム全体としてはこれらのモジュールがバラバラに動くのではなく、一つの巨大なシステムとして機能します。

モジュール同士が連携する統合データベースのメリット

SAPがERPパッケージとして高く評価されている最大の理由は、各モジュールが独立しているのではなく、「統合データベース」を介してリアルタイムに連携している点にあります。

従来の業務システムでは、販売システムと会計システムが分断されていることが多く、販売データを会計システムに反映させるためにデータの二重入力や夜間バッチ処理によるデータ転送が必要でした。しかし、SAPの場合はすべてのモジュールが単一のデータベースを共有しています。

この仕組みにより、以下のようなメリットが生まれます。

  • データの整合性:あるモジュールで入力されたデータは、即座に関連する他のモジュールにも反映されます。
  • 二重入力の排除:一度入力したデータを他部門が再入力する手間がなくなり、入力ミスも防げます。
  • リアルタイムな経営判断:在庫の動きや売上の状況が会計データに即時反映されるため、経営層は常に最新の数字を見て判断を下せます。

例えば、営業担当者が「販売管理(SD)」モジュールで商品の受注登録を行うと、自動的に「在庫購買管理(MM)」モジュールで在庫の引き当てが行われ、出荷時には「財務会計(FI)」モジュールで売上と売掛金が計上されます。このように、モジュール間の壁を越えて業務プロセスが自動でつながることが、SAP導入による業務効率化の核心部分です。

【一覧表】SAPモジュールの主要な種類と分類

SAP(エスエーピー)のシステムは、企業の基幹業務を網羅するために多数の「モジュール(機能群)」で構成されています。これらは単独で機能するだけでなく、相互にデータを連携させることでERP(Enterprise Resource Planning)としての真価を発揮します。

SAPモジュールは、大きく分けて「会計系」「ロジスティクス系」「人事系」「その他(システム基盤)」の4つのカテゴリーに分類されます。まずは、主要なモジュールを一覧表で確認し、全体像を把握しましょう。

分類 略称 モジュール名 主な役割
会計系 FI 財務会計
(Financial Accounting)
貸借対照表や損益計算書などの外部報告用資料を作成する。
CO 管理会計
(Controlling)
部門別損益や原価計算など、社内の意思決定用データを管理する。
ロジスティクス系 SD 販売管理
(Sales and Distribution)
見積、受注、出荷、請求といった販売プロセス全体を管理する。
MM 在庫購買管理
(Materials Management)
資材の調達、検収、在庫評価、請求書照合などを担う。
PP 生産計画
(Production Planning)
製造業における生産計画の立案から製造実績の管理を行う。
人事系 HR (HCM) 人事管理
(Human Resources)
採用から退職までの従業員データ、給与計算、勤怠管理を行う。
その他 Basis ベーシス
(Basis)
SAPシステムが稼働するためのミドルウェアやインフラを管理する。

このように、各モジュールには明確な役割分担があります。企業がSAPを導入する際は、すべてのモジュールを一度に導入するのではなく、自社の業務優先度に合わせて必要なモジュールを選択して導入するケースが一般的です。

財務会計や管理会計を含む会計系モジュール

会計系モジュールは、企業活動における「お金の流れ」を管理する機能群です。SAP導入において最も基本となる部分であり、多くの企業が最初に導入を検討する領域です。

主な会計系モジュールには以下のものがあります。

  • FI(財務会計):株主や税務署など、社外への報告(制度会計)を目的としたモジュール。
  • CO(管理会計):経営層や管理職が意思決定を行うための、社内向け会計(管理会計)を担うモジュール。
  • TR(財務管理):資金繰りやキャッシュフローの管理を行うモジュール。
  • PS(プロジェクト管理):大型プロジェクトごとの収支や進捗を管理するモジュール。

特にFIとCOは密接に連携しており、他モジュール(販売や購買など)で発生した金銭的な動きは、最終的にすべてこの会計モジュールに集約されます。

販売や在庫管理を担うロジスティクス系モジュール

ロジスティクス系モジュールは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の中核を担い、「モノの流れ」を管理します。調達から製造、販売に至るまでの業務プロセスをカバーするため、モジュールの種類が最も多いカテゴリーです。

  • SD(販売管理):顧客からの受注、出荷指示、売上計上など、販売プロセスを管理。
  • MM(在庫購買管理):発注、入庫、在庫数量の管理、仕入先への支払管理などを担当。
  • PP(生産計画):所要量計算(MRP)や生産指図など、工場の製造ラインに関わる管理。
  • QM(品質管理):受入検査や製造工程内での品質チェックデータを管理。
  • PM(プラント保全):工場設備や機械のメンテナンス計画・実績を管理。

ロジスティクス系モジュールの特徴は、在庫の増減やモノの移動が発生した瞬間に、自動的に会計仕訳が生成される(自動仕訳)点にあります。これにより、現場の業務と経理データがリアルタイムに一致します。

人材管理を行う人事系モジュール

人事系モジュールは「ヒト」に関する情報を一元管理します。従来はオンプレミス型の「SAP ERP HCM」が主流でしたが、近年ではクラウド型の「SAP SuccessFactors」への移行も進んでいます。

主な機能は以下の通りです。

  • PA(人事管理):従業員の基本情報、所属、入退社情報の管理。
  • PY(給与計算):基本給、残業代、税金、社会保険料などの計算処理。
  • TM(タイムマネジメント):出退勤時刻、休暇、シフトなどの勤怠管理。
  • PD(人材開発):教育研修、スキル管理、キャリアプランニングなどのタレントマネジメント。

システム基盤を支えるその他モジュール

業務機能を提供するアプリケーションモジュールとは異なり、SAPシステム自体を動かすための技術的な基盤となるモジュールも存在します。

  • Basis(ベーシス)
    OS、データベース、ネットワーク、ミドルウェアの管理を行う、SAPシステムの根幹となる基盤部分です。ユーザー管理や権限設定、システムのパフォーマンス監視などもBasisコンサルタントの役割です。
  • ABAP(アバップ)
    SAP独自のプログラミング言語です。標準機能では対応しきれない帳票の作成や、画面のカスタマイズを行う際に使用される開発機能群を指します。
  • CA(クロスアプリケーション)
    ワークフローやドキュメント管理など、複数のモジュールにまたがって利用される共通機能です。

これらの基盤モジュールは、ユーザーが直接操作することは少ないものの、システムを安定的かつ安全に稼働させるためには不可欠な要素です。

会計系SAPモジュールの機能詳細と業務内容

SAP ERPの中核を担う会計系モジュールは、企業の「お金」に関わる情報を一元管理し、正確な財務報告と迅速な経営判断を支援する役割を持っています。主に外部報告を目的とする「FI(財務会計)」と、内部管理を目的とする「CO(管理会計)」の2つに大別され、これらが密接に連携することで高度な会計業務を実現します。

FI(財務会計)の機能と決算業務への対応

FI(Financial Accounting)は、株主や税務署、銀行といった外部の利害関係者に対して、企業の財政状態や経営成績を報告するための「制度会計」を担うモジュールです。法律や会計基準(IFRSや日本基準など)に準拠した貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)を作成することが主たる目的となります。

FIモジュールは、日々の伝票入力から決算書の作成までをカバーしており、以下の主要なサブコンポーネントで構成されています。

サブモジュール 名称 主な役割と機能
FI-GL 総勘定元帳 すべての会計取引を集約・管理し、財務諸表を作成するための基本となる元帳。
FI-AP 債務管理 仕入先に対する買掛金や未払金の計上、および支払処理を管理する。
FI-AR 債権管理 得意先に対する売掛金の計上、請求書発行、入金消込を管理する。
FI-AA 固定資産管理 資産の取得から減価償却、除却までのライフサイクルを管理する。

FIの最大の特徴は、販売管理(SD)や在庫購買管理(MM)といった他のロジスティクス系モジュールとリアルタイムに連携している点です。例えば、MMモジュールで原材料の入庫処理が行われると同時に、FI側で自動的に在庫の資産計上と債務計上の仕訳が起票されます。

この仕組みにより、経理担当者が手入力で仕訳を起こす手間が大幅に削減されるだけでなく、データ入力ミスや計上漏れを防ぎ、決算早期化を実現できる点が大きなメリットです。

CO(管理会計)の機能と予実管理への活用

CO(Controlling)は、経営者や部門長などの社内管理者に対して、意思決定に必要な情報を提供するための「管理会計」を担うモジュールです。FIが過去の事実を法的に正しく報告するのに対し、COは将来の予測や現状の分析を行い、企業の収益性を高めるために活用されます。

COモジュールでは、費用や収益を部門別、製品別、プロジェクト別など様々な切り口で集計・分析します。主な機能は以下の通りです。

  • 原価センタ会計(CO-OM-CCA): どの部署でどれだけの費用が発生したかを管理し、部門別の経費予算管理を行う。
  • 内部指図書(CO-OM-OPA): 特定のイベントや社内プロジェクト単位で予算と実績を管理する。
  • 製品原価管理(CO-PC): 製品ごとの標準原価を計算し、実際原価との差異(原価差異)を分析する。
  • 収益性分析(CO-PA): 製品別、得意先別、販売チャネル別などで収益性を多角的に分析する。

COはFIで計上された費用データを引き継ぎ、それを「誰が」「何のために」使ったのかという管理会計上の視点で配賦(はいふ)計算などを行います。これにより、単なる赤字・黒字の把握だけでなく、「どの製品が利益を圧迫しているのか」「どの部門の経費が予算を超過しているのか」といった詳細な原因分析が可能になります。

このように、FIとCOは目的こそ異なりますが、同一のデータを異なる視点で活用する表裏一体の関係にあり、両者を適切に運用することがSAP導入効果を最大化する鍵となります。

ロジスティクス系SAPモジュールの機能詳細と業務内容

ロジスティクス系モジュールは、企業のサプライチェーン管理(SCM)の中核を担う重要な要素です。ここでは、製品の販売から原材料の調達、そして製造工程に至るまで、「モノ」の動きを管理する主要なモジュールについて解説します。これらのモジュールは、在庫の増減をリアルタイムで財務会計(FI)や管理会計(CO)に連携させることで、経営資源の最適化を実現します。

SD(販売管理)における受注から出荷までの流れ

SD(Sales and Distribution)モジュールは、顧客への見積作成から受注、製品の出荷、そして請求書の発行に至るまでの一連の販売プロセスを管理します。単に伝票を発行するだけでなく、在庫の引き当て状況や顧客の与信限度額を自動的にチェックする機能を持っています。

一般的な販売業務のフローは以下の通りです。各プロセスで入力されたデータは後続の業務へと引き継がれ、入力の手間とミスを削減します。

  1. 引合・見積管理:顧客からの問い合わせや価格交渉の内容を記録し、見積書を発行します。
  2. 受注管理:注文内容をシステムに入力し、製品の在庫確認や納期の回答を行います。
  3. 出荷・輸送管理:倉庫に対して出庫指示を出し、ピッキングや梱包、配送の手配を行います。この時点で在庫が減少します。
  4. 請求管理:出荷実績に基づき、顧客への請求書を作成します。同時に売上データが会計モジュールへと連携されます。

SDモジュールの最大の特徴は、モノの出荷と同時に売上原価が計上され、会計データが自動更新される点にあります。これにより、経理部門が手動で仕訳を切る作業が不要となり、月次決算の早期化に貢献します。

MM(在庫購買管理)における調達と在庫評価

MM(Material Management)モジュールは、企業活動に必要な資材やサービスの調達業務と、社内の在庫管理を担います。「必要なものを、必要な時に、適切な価格で」調達することを支援し、過剰在庫や欠品のリスクを防ぐ役割があります。

MMモジュールの機能は大きく「購買管理」と「在庫管理」に分類されます。それぞれの主な業務内容は以下の表の通りです。

機能分類 主な業務内容 得られるメリット
購買管理 購買依頼、見積依頼、発注処理、請求書照合 発注価格の適正化や、発注・入庫・請求書の「3点照合」による支払ミスの防止
在庫管理 入庫・出庫処理、在庫移動、棚卸、ロット管理 在庫数量の正確な把握と、移動平均法などによるリアルタイムな在庫評価額の算出

特に製造業においては、生産計画に基づいて必要な原材料を自動的に計算し、購買依頼を作成するMRP(資材所要量計画)機能との連携が重要となります。

PP(生産計画)における製造プロセス管理

PP(Production Planning)モジュールは、製造業における生産計画の立案から製造実行、そして実績管理までをカバーします。市場の需要予測や受注データをもとに、「何を、いつ、どれだけ作るか」を計画し、効率的な生産ラインの稼働を支援します。

PPを効果的に運用するためには、以下のようなマスタデータの整備が不可欠です。

  • 品目マスタ:製品や原材料の基本情報を定義します。
  • BOM(部品表):製品を作るために必要な構成部品とその数量を定義します。
  • 作業手順(ルーティング):どの工程をどの順番で行うか、標準的な作業時間を定義します。
  • ワークセンター:作業を行う機械や場所、担当者の能力を定義します。

製造指図(指図書)が発行されると、現場ではそれに従って生産を行い、完了後に作業時間や完成数量をシステムに入力します。これにより、製品ごとの正確な原価計算が可能となり、管理会計(CO)における予実分析の精度向上につながります。

人事系SAPモジュールとその他の機能詳細

企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ」のうち、会計系モジュールが「カネ」、ロジスティクス系モジュールが「モノ」を管理するのに対し、人事系モジュールは「ヒト」の管理を担います。また、これらの業務アプリケーションが安定して稼働するための土台として、システム管理を担うモジュールも存在します。

ここでは、組織運営に不可欠な人事管理モジュール(HR)と、SAPシステムの根幹を支えるベーシス(Basis)について詳しく解説します。

HR(人事管理)による給与計算と組織管理

SAPにおける人事系モジュールは、一般的に「HR(Human Resources)」または「HCM(Human Capital Management)」と呼ばれます。従業員の採用から退職までのライフサイクル全般を管理し、日本の複雑な給与体系や社会保険制度、頻繁な法改正にも対応可能な柔軟性を持っています。

HRモジュールは、業務の目的に応じてさらに細かいサブモジュール(コンポーネント)に分かれています。主要な機能は以下の通りです。

略称 名称 主な機能と役割
PA Personnel Administration
(人材管理)
氏名、住所、所属、等級などの従業員基本情報を一元管理します。入社、異動、昇格、退職といった人事イベントの履歴管理も行います。
OM Organizational Management
(組織管理)
企業内の組織図を作成・管理します。部署、ポジション(ポスト)、職務記述書などを定義し、人材管理(PA)と連携して「誰がどのポストに就いているか」を紐づけます。
PY Payroll
(給与計算)
月例給与や賞与の計算を行います。基本給、残業代、各種手当、税金、社会保険料などを自動計算し、会計モジュール(FI/CO)へ人件費データを連携します。
TM Time Management
(勤怠管理)
出退勤時刻、休暇、残業時間などを管理します。シフト計画の作成や、給与計算(PY)に必要な勤怠データの集計を担います。
PE Training and Event Management
(育成・イベント管理)
社内研修やセミナーの企画、受講履歴の管理を行い、従業員のスキルアップを支援します。

近年では、従来オンプレミス環境で運用されてきたHRモジュールの機能を、クラウドベースのタレントマネジメントシステムである「SAP SuccessFactors」へと移行・連携させる動きが加速しています。これにより、単なる人事情報の記録にとどまらず、目標管理や評価、後継者育成といった戦略的な人事業務が可能になります。

HRモジュールを導入することで、具体的に以下のような業務改善が期待できます。

  • 従業員情報の一元化による、人事データ検索や更新作業の効率化
  • 組織変更や人事異動発令時のデータ反映の自動化と履歴管理
  • 給与計算結果の会計システムへの自動仕訳連携による、経理部門の負担軽減
  • 法改正(税制や社会保険料率の変更など)への迅速な対応

Basis(ベーシス)によるシステム管理と運用

Basis(ベーシス)は、特定の業務機能を持つモジュールではなく、SAPシステム全体を動かすための「ミドルウェア」や「プラットフォーム」としての役割を担う領域です。正式には「SAP NetWeaver」や「SAP Basis」と呼ばれ、アプリケーション(FI, SD, HRなど)と、データベースやOS(オペレーティングシステム)の間を取り持ちます。

建物に例えるなら、業務モジュールが「部屋や内装」であるのに対し、Basisは「基礎、柱、配管、電気配線」にあたります。Basisが適切に機能していなければ、すべての業務モジュールは動くことができません。

Basisコンサルタントやエンジニアが担当する主な業務は以下の通りです。

  • システムのインストールと構成:サーバー上にSAPシステムを構築し、ネットワークやデータベースとの接続設定を行います。
  • 稼働監視とパフォーマンスチューニング:システムが遅延なく動いているかを24時間体制で監視し、メモリやCPUの調整を行って快適なレスポンスを維持します。
  • ユーザー管理と権限設定:「誰がどの画面を見られるか」「誰がデータを修正できるか」といったセキュリティ設定を細かく制御します。
  • 移送管理(Transport Management):開発環境で作ったプログラムや設定を、検証環境や本番環境へ安全に反映させるための管理を行います。
  • バックアップとリカバリ:システム障害やデータ消失に備え、定期的なバックアップ計画を運用します。

また、Basis領域と密接に関わる要素として、SAP独自のプログラミング言語である「ABAP(Advanced Business Application Programming)」や、異なるシステム間でのデータ連携を担う「CA(Cross Application)」などの機能群があります。Basisエンジニアはこれらの技術基盤を支え、業務モジュールが円滑に連携できる環境を提供しています。

SAPモジュールに関するよくある質問

SAPの学習を進める中で、多くの初心者が抱く疑問や、キャリア形成において気になるポイントをQ&A形式で解説します。モジュールの選び方や将来性、S/4HANA導入による変化など、実務に直結する内容を確認していきましょう。

SAPモジュールの種類が多くて覚えきれませんがコツはありますか?

SAPモジュールは数が多いため、最初からすべてを暗記しようとするのではなく、企業の「モノ」と「カネ」の流れに沿って主要なものから理解するのがコツです。

まずは、企業活動の根幹となる以下の「3大モジュール」の関係性を押さえることから始めましょう。

  • FI(財務会計):外部への報告を行う「カネ」の最終着地点
  • SD(販売管理):顧客への販売を通じて売上を作る「モノ」の出口
  • MM(在庫購買管理):原材料や商品を調達する「モノ」の入り口

この3つを理解すると、それらがどのように連携しているかが見えてきます。例えば、「MMで仕入れた材料をPP(生産計画)で製品にし、SDで販売して、最終的にFIで売上計上する」という一連のストーリーで覚えると、各モジュールの役割が整理しやすくなります。

未経験から学ぶのにおすすめのSAPモジュールはどれですか?

これまでの業務経験やバックグラウンドによっておすすめのモジュールは異なりますが、一般的に求人数が多く、汎用性が高いのは「FI(財務会計)」です。

どのような業種の企業であっても会計業務は必須であり、SAP導入企業のほぼ全てでFIモジュールが利用されているためです。ただし、簿記の知識が必要となるため、苦手意識がある場合はロジスティクス系も検討してください。

自身の経験に合わせて選ぶ場合は、以下を参考にすると良いでしょう。

  • 経理・財務の経験がある方:FI(財務会計)、CO(管理会計)
  • 営業・受発注業務の経験がある方:SD(販売管理)
  • 調達・倉庫管理の経験がある方:MM(在庫購買管理)
  • ITインフラ・サーバー構築の経験がある方:Basis(ベーシス)

SAP S/4HANAへの移行でモジュール構成は変わりますか?

SAP ERP(ECC 6.0)から次世代のSAP S/4HANAへ移行することで、モジュールの基本概念は維持されつつも、データ構造や機能の一部に統合・変更が生じています。

特に大きな変化として、会計領域とロジスティクス領域でのデータ統合が挙げられます。主な変更点は以下の通りです。

領域 主な変更点と影響
会計(FI/CO) 「ユニバーサルジャーナル」の導入により、これまで分かれていた財務会計(FI)と管理会計(CO)のデータテーブルが統合され、リアルタイムでの分析が容易になりました。
顧客・仕入先管理 従来の「得意先マスタ」や「仕入先マスタ」が廃止され、ビジネスパートナー(BP)という単一のマスタで一元管理される仕組みに変更されました。
在庫管理 品目マスタの桁数が拡張されたほか、在庫評価の仕組みがシンプル化され、処理速度が大幅に向上しています。

SAPモジュールコンサルタントの需要は今後も高いですか?

結論から言うと、SAPコンサルタントの需要は今後も非常に高い水準で推移すると予測されます。

その最大の要因は、既存のSAP ERP(ECC 6.0)の保守期限が迫ることに伴う「SAP S/4HANA」への移行プロジェクトが、世界中で急ピッチで進められているためです。これに加え、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、基幹システムの刷新は避けて通れない課題となっています。

特に、単なるモジュール知識だけでなく、業務プロセスとシステムの両方を理解し、業務改革を提案できる人材は市場価値が極めて高い状態が続いています。

異なるモジュール間のデータ連携はどのように行われますか?

SAPの最大の特徴は、あるモジュールで入力されたデータが、即座に他の関連モジュールへ自動的に反映される「リアルタイム連携」にあります。バッチ処理などを待つ必要はありません。

具体的な連携の流れ(販売から会計まで)は以下のようになります。

  1. SD(販売管理)で出荷確定:倉庫から商品が出荷されると、在庫が減ったという情報が作られます。
  2. MM(在庫購買管理)へ連携:在庫数量の減少が自動的に反映され、同時に在庫金額の減少データが生成されます。
  3. FI(財務会計)へ連携:在庫金額の減少に伴い、「売上原価 / 商品」といった会計仕訳が自動で起票され、財務諸表に反映されます。

このように、各部門が個別にデータを入力し直す手間がなくなり、転記ミスやデータの不整合を防ぐことができるのが、統合データベースを持つSAPの強みです。

まとめ

本記事では、SAPシステムを構成する主要なモジュールの種類や役割について解説しました。SAPは業務ごとに専門化されたモジュールが相互に連携することで、強力な業務効率化とデータの一元管理を実現します。

  • SAPモジュールは主に会計系・ロジスティクス系・人事系に分類される
  • 各機能が統合データベースで繋がることで、リアルタイムな経営管理が可能になる
  • S/4HANA時代においても、モジュールの基礎知識はキャリア形成に不可欠である

全体像を把握することは、システム導入やスキルアップの第一歩です。まずは自身の業務に関わるモジュールから理解を深め、SAP活用の検討を始めてみましょう。

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