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プロダクトバック ログとは? 概要と実施方法について解説

本記事では、開発指針として用いられるプロダクトバックログの概要や、チームで仕事を進めるためのフレームワークとなるスクラムについて解説します。また、プロダクトバックログのメリットや実施方法についても紹介します。

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プロダクトバックログとは

プロダクトバックログは、スクラムを開発する上でプロジェクトの指針となるものです。ここではプロダクトバックログの概要や、プロダクトバックログへの理解を深めるためにスクラムについて解説します。

プロダクトバックログの概要

プロダクトバックログとは、プロダクトを進化させる時期や内容に関する活動計画と要件にもとづき、開発チームの作業に優先順位を付けたリストのことを指します。プロダクトバックログは、開発改善に必要な要素へ優先順位を付けて表記したタスクリストともいえます。なお、プロダクトバックログに記されているのは、タスクリストだけではありません。長期目標となるプロダクトの将来像も含まれます。
プロダクトバックログによって、スクラムチームメンバーとステークホルダーの全員でプロダクトの進捗方法や状況などを共有して把握することが可能になります。プロダクトバックログは、開発進行の指標ともなるリストといえます。

スクラムとは

スクラムとは、チームが一丸となって仕事を推進するための枠組み(フレームワーク)のことです。もともとのスクラムは、ソフトウェア開発のプロジェクトを成功させるための仕組みでした。しかし、技術的な要素を取り払って汎用性を持たせたので、現在ではソフトウェア開発以外の開発チームにも、適用できるフレームワークとして利用されています。

スクラムには「リリースプランニング」「スプリント」「スプリントプランニング」「デイリースクラム」「スプリントレビュー」「スプリントレトロスペクティブ」という6つのプロセスがあります。以下ではそれぞれの工程について解説します。

リリースプランニングでは、プロジェクト始動時にチーム全員が協力して、プロダクトの機能における優先順位を考慮した実施計画を立てます。スクラム開発には変更がつきものなので、最初の計画と大きなズレが生じた時点で計画を見直し、その結果をプロダクトバックログで管理します。

スプリントとは、実際の開発フェーズのことを指します。スプリントでは、1週間から4週間程度の定められた反復開発期間(スプリント期間)で、プロダクトゴールの達成に必要なスプリントプランニングからスプリントレトロスペクティブまでの全作業を実施します。

スプリントプランニングでは、プロダクトバックログを参照しながら、今回のスプリントで実現する機能について、チーム全員で話し合って作業計画を定めます。また、必要があれば、プロダクトバックログのリファインメントも実施します。そして、今回のスプリントで実施する、プロダクトバックログから抽出したタスクリストをスプリントバックログとして管理します。

デイリースクラムでは、毎朝短時間のミーティングを開いて、チーム全体の状況や問題点を共有します。

スプリントレビューでは、「スクラムチーム」と「ステークホルダー」が集まって、今回のスプリントで完成したプロダクトについての振り返りを実施します。

スプリントレトロスペクティブでは、各スプリントの終了時にふりかえりを行い、次のスプリントでプロダクトの価値が高まるようにチーム全員で意見を出し合います。

スプリントバックログとは

スプリントバックログとは、スプリントプランニングの際にプロダクトバックログから1~4週間のスプリント期間中に実行する内容を抜き出して作成したチームのタスクリストのことです。スプリントバックログには、スプリントの目的であるスプリントゴールと、達成するための計画についても含まれます。

スプリントバックログは、スプリントで信頼できる唯一の情報源です。そのため開発者に対して取り組む作業アイテムを明確に示し、チームの生産性を上げる大きな効果をもたらします。

プロダクトバックログのメリット

プロダクトバックログのメリットは、作業内容の整理やコラボレーションを改善することで、スクラムチームの運営がスムーズになることです。また、プロダクトバックログは、開発者同士のコミュニケーションにおける中心的なツールとなるため、チーム全員が同じ目標や指示内容を共有して、無駄のない作業を実施できます。さらに、プロダクトバックログによって、プロダクトゴールからの多大な逸脱を防止することが可能なので、やらなくてもよい仕事を強制されることがなくなります。

プロダクトバックログの実施方法

それでは、プロダクトバックログの実施方法について、具体的に説明します。

プロダクトオーナーを決め、ゴール設定を行う

まず、チームメンバーの中からプロダクトオーナーを1人決めます。任命された者は、プロダクトバックログの作成、優先順位付け、管理について最終的な決定権と責任を持ち、どちらともいえない問題が生じても、その都度方針を決定しなければなりません。そして、将来的な目標となるプロダクトゴールを設定することで、プロダクト開発の長期的な指針を明らかにする役割があります。

プロダクトバックログアイテム(PBI)を作成、優先順位を付ける

次に、プロダクトバックログアイテム(PBI)を作成し、優先順位を付けます。プロダクトバックログアイテムとは、プロダクトゴールを実現するための付帯的な施策のことです。明確なプロダクトゴールの設定が完了したら、ユーザーストーリーのテンプレートを用いて、ゴール達成に向けたプロダクトバックログアイテムを作成し、プロダクトバックログに追加します。
プロダクトバックログアイテムの書き方として、よく用いられるのがユーザーストーリーです。例えば、「利用者(誰)」として「達成したいゴール(何)」に辿りつきたいが、それは「価値が得られる(理由)」からなど、利用者の立場で考えるような書き方をします。

プロダクトバックログアイテム作成とプロダクトバックログへの追加が完了すれば、プロダクトバックログアイテムを比較して、優先順位を付けていきます。例えば、経済性に着目するCD3(Cost of Delay Divided by Duration)や、顧客満足度に着目する狩野モデルなどの手法を用います。ただし優先順位を付ける際には、誰もが理解できる基準を明確にすることが重要です。

優先順位が高いPBIを詳細化し、実行する

優先順位を付けた後に、順位に沿って実行します。この場合の詳細化とは、開発期間の短いスプリントで開発者が実行できるようにタスクを細かくすることです。

詳細化については、ストーリーがIndependent(独立している)、Negotiable(交渉できる)、Valuable(価値がある)、Estimable(見積できる)、Small(小さい)、Testable(テストができる)、これらの頭文字を取った「INVEST」に留意することが大切です。さらに、プロダクトオーナーによって作成された受け入れ基準をもとにして実行する際に、併せて完了条件の定義を決めて、スクラムチームのメンバー全員が意味を理解できるように実行しなければなりません。

効果的なプロダクトバックログを行うポイント

ここでは、よい効果を得られるプロダクトバックログを実施するための2つのポイントについて説明します。

プロダクトバックログアイテム(PBI)の見直し

効果的にプロダクトバックログを実施するためには、状況に合わせたプロダクトバックログアイテムの見直しが必要です。見直しの具体的な方法としては、「追加」「更新」「削除」があげられます。なお、プロダクトバックログアイテムの追加時には、必ずチーム内で共有し、更新時には優先度の高い順番で取り組むようにすることが大切です。

優先順位の見直し

さらに、プロダクトオーナーが常時気を配って、責任を持ちながら優先順位の見直しを実施する必要があります。見直しにかける時間に余裕がない場合には、明示化された優先順位に沿って見直し、その変更が影響を与える範囲内で優先順位を修正すると、効率的に見直しができるでしょう。

まとめ

プロダクトバックログは、スクラムチームが指針とする情報源です。さらにプロダクトの改善に必要な要素に優先順位を付けて表記したタスクリストとともに、プロダクトゴールが含まれます。アプリケーション開発の内製化を支援するCloud Native Dojoは、スクラム開発手法の伝授と、Microsoft Azureクラウドネイティブサービスの活用方法を組み合わせたサービスを提供しています。

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