Windows 10 は、用途に応じて4つのエディションから選ぶことができます。そのエディションとは、Home、Pro、Enterprise、Educationの4つです。これらのエディションはそれぞれ搭載している機能が違い、価格も違います。
企業が導入するWindows 10として、賢い選択は果たしてどれでしょうか?今回は、Windows 10各エディションの価格と機能に違いについて紹介します。
商用利用できるエディションは3つだけ
まず、Windows 10各エディションのすみ分けについて説明します。4つのエディションの中で商用利用できるのは、HomeとPro、それとEnterpriseです。Educationは教育機関向けのエディションなので、商用ライセンスがなく、一般企業では導入できないことになっています。
一応、商用利用できるエディションとEducationの違いは次の通りです。
≪商用利用できるエディションとEducationの違い≫
- 商用ライセンスがなく、教育機関や学生しか購入できない
- 他のエディションに比べて低価格に購入できる
このように「違いはほとんどない」と言え、機能面ではHomeやProと変わらないのが特徴です。
商用利用可能な3エディションの価格比較
企業がWindows 10を導入するにあたって、最も気になるのがやはり「価格」ではないかと思います。導入する個数が1つ2つなら気にならないでしょう。しかし、導入個数が数十個や100個以上ともなると、やはり価格は気になるところです。まずは、単純な価格比較をご覧ください。
≪Windows 10商用利用可能なエディション価格比較≫
| エディション | Windows 10 Home | Windows 10 Pro | Windows 10 Enterprise | 
|---|---|---|---|
| 価格 | 19,008円 | 27,864円 | 18,468円※ | 
| 価格差 | ±0円 | +8,856円 | -540円 | 
意外なことに、最も低価格で導入できるのは最も高性能なEnterpriseでした。これは、Enterpriseというエディションが完全企業向けのOSということで、「ソフトウェアアシュアランス」と共に導入されるためです。
ソフトウェアアシュアランスとは、Windows 10のライセンスと共に、適切なツールの導入とトレーニングを支援するもので、ITに対して大きな投資を行っている企業が主に利用するサービスです。
このため、IT技術者を持たない企業や、システム運用をアウトソーシングしている企業はスモール・ミディアムビジネス向けのProを選択するケースが多くなっています。
ちなみにEnterpriseは月額課金制( サブスクリプション )としても導入できるエディションであり、1ユーザーあたり月額760円~でも導入できます。
本記事は、導入するにあたって「Homeか、Proか」で迷われる方が多いことを想定し、2つのエディションの機能差に絞って紹介したいと思います。
HomeとPro、その機能差とは
Homeは一般ユーザー向け、Proはビジネスユーザー及びスモール・ミディアムビジネス向けのエディションということは、皆さんも何となく理解されているかと思います。では、実際にどういった機能差があるのか、まずは一覧で見ていきましょう。
≪HomeとProの機能差≫
| 
 | Windows 10 Home | Windows 10 Pro | 
|---|---|---|
| Windows 10の一般的な機能 | ||
| Continuum for Phones | ✓ | ✓ | 
| Cortana | ✓ | ✓ | 
| Windows Ink | ✓ | ✓ | 
| スタートメニューとライブタイル | ✓ | ✓ | 
| タブレットモード | ✓ | ✓ | 
| 音声、ペン、タッチ、ジェスチャ | ✓ | ✓ | 
| Microsoft Edge | ✓ | ✓ | 
| 管理と展開 | ||
| グループポリシー | 
 | ✓ | 
| ✓ | ✓ | |
| DirectAccess | 
 | ✓ | 
| ビジネス向けWindowsストア | 
 | ✓ | 
| Assigned Access | 
 | ✓ | 
| 動的プロビジョニング | 
 | ✓ | 
| Windows Update | ✓ | ✓ | 
| Windows Update for Business | 
 | ✓ | 
| 共有PC構成 | 
 | ✓ | 
| Take a Test(テスト受験) | 
 | ✓ | 
| セキュリティ | ||
| Windows Hello | ✓ | ✓ | 
| Windows Helloコンパニオンデバイス | ✓ | ✓ | 
| Windows Information Protection | 
 | ✓ | 
| デバイス暗号化 | ✓ | ✓ | 
| BitLocker | 
 | ✓ | 
| トラストブート | ✓ | ✓ | 
| Windowsデバイス正常性構成証明サービス | ✓ | ✓ | 
| ビジネス向け機能 | ||
| ドメイン参加 | 
 | ✓ | 
| クラウドでホストされているアプリにシングルサインオンできるAzure Active Directoryドメイン参加 | 
 | ✓ | 
| エンタープライズモードInternet Explorer(EMIE) | 
 | ✓ | 
| リモートデスクトップ | 
 | ✓ | 
| クライアントHyper-V | 
 | ✓ | 
パッと見てみると、Windows 10 Homeでは一般的な機能は全てカバーしているものの、管理機能やセキュリティ機能など、企業に必要とされる機能に関してはほとんどサポートしてないことが分かります。
やはり「Homeは一般ユーザー向け、Proはビジネスユーザー及びスモール・ミディアムビジネス向け」という認識は、正しいということですね。
重要な機能を抽出して紹介
上記の表を見ただけでは、まだHomeとProの違いは曖昧なままになってしまうでしょう。そこで、重要な機能にのみ絞って、違いを説明していきたいと思います。
グループポリシー
この機能は、Windows 10を使用するポリシーをグループ全体に同時に適用するための機能であり、企業には欠かせない機能です。ニュースで度々「コンプライアンス違反」という言葉を見聞きする中で、企業には信頼を維持するための取り組みが求めらえています。
その最も基本的な活動が、ポリシーの設定と適用でしょう。Windows 10も使い方によってはライセンス条約違反になり、コンプライアンスを侵害する可能性があるのです。
Windows Information Protection(WIP)
これは企業が持つデータを保護する目的で搭載されている機能で、企業としてのセキュリティを維持するために欠かせません。ビジネスシーンではメールやファイルやり取りなど、様々な重要なデータが飛び交っています。
そうしたデータを誤送信してしまったり、誤操作で削除してしまうことは、日常的に起こり得るリスクです。WIPは企業にとって重要なデータを自動的に識別して、保護する機能が備わっています。
クライアントHyper-V
この機能は、クライアント端末に仮想マシンを作成して、仮想環境上でシステム開発を行ったりと様々な活用方法があるものです。従来のクライアント仮想化といえば、OSやアプリケーションといった端末の環境をサーバ側で提供するものでした。しかし、Windows 10のクライアントHyper-Vでは、クライント単位で仮想環境を構築でき、様々なシーンで活用できます。
まとめ
本記事で伝えられたことはほんの一部です。HomeとProには約9,000円ほどの価格差はあるものの、Proには企業にとって重要な機能が詰まっています。今後Windows 10を導入する企業はそのことを儒分に考慮した上で、導入するエディションを選択してください。ボリュームライセンスとして購入すれば、ディスカウントがあることもお忘れなく。
 
   
         
         
      










