建設・ビル管理

「ビルメンテナンスロボット」とは。人材不足の解消となるか?

不動産・ビル管理業界に従事している方の中には、人が行っているビルメンテナンス業務を効率化するために、ビルメンテナスロボットの利用を検討している人もいるでしょう。本記事ではビルメンテナンスロボットとは何か、どのようなことができるかなどを解説します。

「ビルメンテナンスロボット」とは。人材不足の解消となるか?

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ビルメンテナンスロボットとは

ビルメンテナンス業務とは、ビルの清掃管理、衛星管理、設備管理、設備保全などを行うことです。毎日人が行き交うビル内部の床の掃除はもちろん、そのほかの部分を清掃したり、そのビルでお客様が快適に過ごせるように設備を管理したりしています。設備管理としては、電気系統の定期点検業務や空調設備の保守点検業務などが挙げられます。

また、衛生管理とはビル内の衛生状態を清潔に保ち、雑菌や病原菌などの繁殖を防ぐことが目的です。具体的な作業内容としては、貯水槽の清掃や、冷却塔や加湿器が原因となって発生するレジオネラ属菌の繁殖を防ぐための水質管理、ねずみや病害虫の駆除などが挙げられるでしょう。このようなビルメンテナンスの業務は、会社の従業員などが行うことは技術的にも難しく、また、清掃だけでも負担がかかってしまうため、業者に依頼することが多くあります。

ビルメンテナンスロボットとは、上記のようなビルメンテナンス作業を行う専用のロボットです。ビルメンテナンス業界で人材不足が起こっていることを背景に、徐々に普及しています。

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ビルメンロボットの普及を担う「日本ビルメンロボット協議会」の役割

ビルメンテナンスロボットの普及促進を担う組織として「日本ビルメンロボット協議会(JBMRC)」があります。この組織は、2018年7月にビルメンテナンスロボットメーカーを中心にした14社で発足しました。これはビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアムが発展して組織化されたものです。

協議会では、ビルメンテナンスロボットの普及促進に加え、産学協同による研究開発や政策提言、ロボットの実装環境の整備を目的に活動を行っています。ロボットメーカー以外の会員も増えたことで、様々な意見を取り入れながらビルメンテナンスロボットをより普及できる体制を整えています。

同組織ではテーマ別の7つのワーキンググループを設置し、ロボット実装の環境整備に取り組んでいます。ワーキンググループでは普及促進の検討・実践戦略として、たとえば吸引型業務用清掃ロボットの性能評価基準について日本環境管理学会と共に策定を進めたり、会員企業を相手に全国でロボット講習会や実際に操作を体験してもらう場を設けたりもしています。また、国内で開催される展示会にも積極的に参加し、製品の普及に尽力しています。

ビルメンテナンスロボット導入に向けた課題

ビルメンテナンスロボットは長時間動かしていてもパワーが落ちない点が大きな魅力です。また、人が入れないような所や危険な場所にも侵入可能です。そのため、人が事故に巻き込まれるリスクを負うことなく業務を遂行できます。さらに、ロボットが普及することで業界の人材不足の問題をカバーすることが期待されています。

このように、様々なメリットがあるメンテナンスロボットですが、一方で導入に向けた課題もあります。ロボットを導入するためには本体の費用だけでなく、稼働するために必要な電気代やメンテナンス費用などがかかります。人を採用しても人件費や研修費用などのコストはかかりますが、ロボットを導入する場合は人を採用した時にかかるコストと同じか、それ以下でないと手が出しにくいという問題があります。

また、開発面の課題として、清掃ロボットはモップやクロスを手に持ち、それを動かしながらクリーニングするなど、緻密で柔軟な動きが求められます。5本指を活用したり、人と同じ歩行スピードで歩いたりするなど、人に近い動きが必要です。

開発にかかるコストについても、清掃ロボットに必要な部品は自動車を製造する際に必要になる部品数と変わらない程度となっているため、どうしてもコスト高になってしまうという問題があります。しかし開発技術の進歩に伴い、費用は低くなる可能性があるため、生産・導入費用ともに改善が期待できます。

将来のビル清掃はロボットが基本に?

将来的にメンテナンスロボットが普及するようになると、現在人が中心として行っているビルの清掃業務をロボットが中心となって行うようになります。人はロボットの保管や修理、ソフト交換などの作業、緊急クレームの対応などが主な業務になるでしょう。

清掃作業がロボット中心になることで、人の作業時間も減少するため、人手不足の解消が期待されます。作業負担の軽減や危険を伴う作業を回避できる点も魅力です。人でなければできない作業とロボットに任せられる作業を分けることで、より効率的にビルメンテナンスが実施できます。

展示会ではロボットの操作体験ができます。メンテナンス業務に導入しようかと考えている場合は、ぜひ会場に行って説明を聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

ビルメンテナンスロボットの導入には費用面など課題もありますが、人材不足を補うための重要な役割を担っています。24時間作業が可能で生産性が高いのが魅力です。また危険を伴う作業もロボットなら安心です。今後は人が必要な作業とロボットが得意とする作業を分けて行うことで、より効率的なビルメンテナンスを実践できるでしょう。

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