新型コロナウイルスがビジネスの在り方を大きく変えたことで、新しい営業スタイルの確立に奮闘されている営業マネージャーや企業経営者は多いでしょう。営業担当者の行動はリアルとデジタルの両方を跨ぐことが多くなりましたし、非接触型ビジネスが推奨されつつあります。今は大きな変革の時と言えるでしょう。
実際に組織に変革をもたらすには、営業全体のマインドチェンジだけでは不十分です。なぜなら現代社会において営業プロセスの多くはシステムに依存しており、システムにもまた変化を起こさなければならないからです。
本稿でご紹介するのは、Microsoftが提供するSFA/CRM機能を提供するDynamics 365を営業部門向けにカスタマイズすると、どれほど便利になるかです。クラウドサービスなので導入のしやすさが魅力ですし、営業組織改革に伴いシステム面から営業プロセスを支援する新しいソリューションとして検討していただけたらと思います。
カスタマイズ以前の使いづらさ
昨今のIT市場を鑑みるに、従来のように必要な機能をフルスクラッチでゼロから開発するようなプロジェクトは見かけることが少なくなりました。市場には魅力的な製品で溢れており、どれも高性能かつカスタマイズが可能なので、フルスクラッチに比べてコストを抑えての導入ができるからです。
Microsoft Dynamics 365では、カスタマイズに関しては様々な方法が提供されており、組織が求めている要件を満たすための手段があります。では、カスタマイズする以前にはどのような課題があったのか?Sky株式会社の例を挙げてみましょう。
Sky株式会社、自社営業部門における課題(改善要望)
- 課題① 標準の検索機能では柔軟に検索ができないため、必要な情報が探しづらい
- 課題② 同じリードを過去に登録済みか、取引先担当者に存在するかを確認したい
- 課題③ 登録した訪問結果から日報を簡単に作成したい
- 課題④ 大量の企業リストの顧客情報や活動情報を調査したい
- 課題⑤ 顧客情報が未入力の未取引の顧客に、営業活動を行うときに簡単にデータを登録したい
<その他の改善要望>
- 顧客との打ち合わせ後、案件掘り起こしや受注確度を上げるための次のアクションの予定を登録できるようにしたい
- 外出先や移動中の隙間時間に、顧客情報や案件、営業活動情報を確認したい
- 注力する顧客に定期的に訪問し、営業アプローチができているかを簡単にチェックしたい
- リードデータで、取引先企業や担当者に「見込みあり」と評価する時、営業データや取引先企業データが自動で作成されてしまう。必要のないデータは作成されないようにしてほしい
各課題に対するカスタマイズと改善の効果
上記のような課題は、Dynamics 365を活用しているどの営業組織でも起こりうることです。あるいは、現在使用しているレガシーなSFA/CRMでも同じような課題を抱えつつも、カスタマイズ性の低さから上手く対応できていないケースもあるでしょう。Dynamics 365ではカスタマイズを行うことで、これらの課題を次のように解決できます。
課題① 標準の検索機能では柔軟に検索ができないため、必要な情報が探しづらい
カスタマイズ:複数の検索キーワードを使った、and / orによる検索を可能に
複数の検索キーワードを使った検索を可能にするカスタマイズを加えることで、標準の検索機能では利用者の要望を満たせない場合に、柔軟な検索を可能にします。また、コマンドバーに検索ボタンを追加できるため、結果として必要な情報へ素早くアクセスできます。
課題② 同じリードを過去に登録済みか、取引先担当者に存在するかを確認したい
カスタマイズ:リード・取引先担当者の重複データがあるかどうかを自動で表示
営業担当者が過去に同じ人物をリードとして登録済みか、それとも取引先担当者に存在するかを確認できるように、リード・取引先担当者の両方のエンティティにまたがってフォーム状に登録済みの顧客レコードを自動表示することができます。結果として確認の手間を省き、効率的な営業活動をサポートします。
課題③ 登録した訪問結果から日報を簡単に作成したい
カスタマイズ:営業担当者が訪問結果から自動で日報を作成する機能を追加
営業担当者が入力した訪問結果から日報を自動作成する機能です。1日の複数の予定をコピー・は礼付けして日報のフォーマットを整形していたものが、数回のボタンクリックの簡単操作で日報送信のメールを自動作成できます。入力の手間を省くだけでなく入力漏れもなくせるため正確な日報をもとに営業マネージャが営業担当者をコントロールできます。
課題④ 大量の企業リストの顧客情報や活動情報を調査したい
カスタマイズ:Excelファイルのインポート/エクスポートによって、手作業で行っている確認作業を一括で行える機能を追加
大量の企業リストの顧客情報や活動情報を調査したい場合に活用される機能です。これまで手作業で一件ずつ時間をかけて検索していた操作が、Excelをインポート/エクスポートするだけで必要な情報を抜き出せるようになります。大量のデータを一括で確認できるので効率性アップします。
課題⑤ 顧客情報が未入力の未取引の顧客に、営業活動を行うときに簡単にデータを登録したい
カスタマイズ:名刺管理サービスから、必要な情報を新規登録・更新する機能を追加
取引先企業や担当者情報など手作業で入力していた操作を、名刺管理サービスと連携することで、簡単な操作で新規登録、登録済みの顧客情報に最新の名刺情報を上書き・未入力の情報を補完できる機能を追加します。データ登録にかかる時間が削減され、営業のコア業務に集中できる時間を生み出します。
他社製SFA/CRMからDynamics 365への移行
以上のような課題に対するカスタマイズは大変魅力的ですが、皆さんが日頃から使用しているSFA/CRMからDynamics 365へ移行すると具体的に何が変わるのでしょうか?他社製SFA/CRMからDynamics 365へ移行する企業ではよく、次のような思いを持っています。
- SFA/CRMを長年運用してきたが、ツールをもっと有効活用して、案件管理や案件受注に役立てたい
- システムを入れ替えるタイミングで、これまで諦めていたことを解決したい(顧客情報の整理、リードの運用、名刺クラウドサービス連携、案件受注予定日の変更履歴管理)
- SFAやCRMだけでなく経理や財務、フィールドサービス、生産管理などとの業務連携をさせたい
こうした思いを持った企業の中でDynamics 365を採用する場合、次のような理由から採用を決定することが多いでしょう。
- Microsoft Office製品との親和性が高く、Outlook連携やExcel帳票出力が低コストで実現できる
- Dynamics 365の標準機能でシステムを構築できるので短納期が可能
- ライセンス費用のコスト削減(一部のSFA/CRMを運用している場合)
- ERPなどあらゆる業務システムが提供されているため業務効率の向上が可能
Dynamics 365は昨今変化の大きなビジネス、営業組織において様々なカスタマイズによって新しい営業スタイルを生み出すソリューションです。自社特有の課題で解決がなかなか難しいという場合も、Dynamics 365ならその可能性を大きく広げてくれます。営業の新時代を、Dynamics 365と共に切り抜けてみてはいかがでしょうか?