アプリケーション開発・管理・運用

アプリケーションのモダナイズに必要なポイントとは?

企業が自社の老朽化したアプリケーションを最新のIT技術に刷新し、今後のビジネスに活かしていくことを「モダナイズ」と言います。本記事では、アプリケーションのモダナイズが現在重要視されている背景や、モダナイズの実行において必要なポイントについてわかりやすく解説していきます。

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アプリケーションのモダナイズとは

「モダナイズ」とは「現代化すること」を意味します。ITの世界では古くなったIT資産をより新しい技術に刷新し、自社のビジネスに新たな価値を生み出すことを示す言葉です。アプリケーションのモダナイズは、「ITモダナイゼーション」などの呼び名で語られることもあります。

マイグレーションとの違い

モダナイゼーションと混同されがちなものとしては、「マイグレーション」という言葉があります。マイグレーションとは、既存システムやソフトウェア、データなどを新たな環境に移行することを意味する概念です。一見するとモダナイゼーションと似ていますが、この両者の間では実施目的が異なります。

マイグレーションの目的が基本的にTCO(総所有コスト)の削減にあるのに対して、モダナイゼーションの目的は新しいビジネスモデルの展開や拡大にあるのです。例えば業務システムのクラウド化は、テレワークをはじめとする働き方改革や、最新のICT技術への対応を見据えた取り組みとして、モダナイゼーションの典型例として挙げられるでしょう。

アプリケーションのモダナイズが必要な理由

多くの企業がアプリケーションのモダナイズを進めているのは、老朽化したアプリケーション、すなわち「レガシーアプリケーション」が企業の成長の足枷になっている現実があるからです。例えば経済産業省は2018年のDXレポートにおいて「2025年の崖」という言葉で警鐘を鳴らしています。レポートによると、日本企業が抱えている基幹系システムのうち、稼働から21年以上経過したものが2025年までに全体の約6割にもなると試算されているのです。

日進月歩でIT技術が刷新されていく中、時代遅れになったシステムはかえってブラックボックス化が進んでしまい、整備できる人材も限られてしまいます。しかも、こうしたシステムは多くの場合、長い年月の間に幾度もカスタマイズされているせいで、非常に複雑化してしまっているのでなおさらです。

こうした問題は、システムの安定的運用に支障をきたすことはもちろん、貴重なIT人材の労力を余計に消費してしまうので、人的リソースの無駄につながります。そして何よりも、レガシーアプリケーションは最新のAIやIoTなどのIT技術と対応させるのが難しいために、柔軟性の高いITインフラ構築の足かせになってしまいます。

こうした理由から今日では、古いシステムを抜本的に改変するモダナイゼーションへの期待が、高まっているのです。

アプリケーションのモダナイズに必要なポイント

アプリケーションのモダナイズを実行する際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。以下ではモダナイズに必要なポイントについて解説していきます。

堅実な計画を立てる

アプリケーションのモダナイズを進める上では、第一に堅実な計画を立てることが大切です。刷新を急ぐあまり無謀な計画を立ててしまうと、コストや難易度が高まるためプロジェクト失敗の要因になります。必要であれば、後述する「リホスト」を間に挟むなどして段階的に計画を進めることも検討しましょう。

基幹システムの理解を深める

モダナイズを進める前には、自社の既存のシステムも含め、基幹システムに対する理解を深めましょう。日本企業の基幹システムは多くの場合、実際にシステムを使う現場の要望(個別要件)に即して構成されているため、既存のERPパッケージへの置き換えなどの標準化が困難です。それゆえモダナイズを進める際には基幹システムの理解を深めつつ、「現在の基幹システムが、誰に・いつ・どのように、運用されているのか」そして「モダナイズを進める際にはどのような点に変更が必要/不要なのか」といった点を明確にすることで、適切に対処していく必要があります。

モダナイズ実現を支援する「Cloud Adoption Framework」

今後、アプリケーションのモダナイズはますます、企業のIT活用基盤をなしていく取り組みになるでしょう。このモダナイズを適切に進めていくには、入念な計画性と実行能力が欠かせません。

こうしたモダナイズに臨む企業をサポートするのが、株式会社オルターブースの提供する「Cloud Adoption Framework」です。Cloud Adoption Frameworkとは、クラウド導入におけるビジネス・テクノロジー戦略と、実装を支援する実証済みガイダンスです。

このCloud Adoption Frameworkを利用することで、企業は自社のビジネス戦略に即したモダナイズ計画の立案と実行が可能になります。Cloud Adoption Frameworkにおいては、システムのクラウド移行によるモダナイズに必要なプロセスとして「リホスト」「リファクター」「リアーキテクト」「リビルド」「リプレイス」という「5つのR」の必要性を掲げています。以下で、それぞれの内容を見ていきましょう。

リホスト

リホストはコード修正なしにアプリケーションをクラウド(IaaS)に移行させる方法で、5つの中でもっとも手軽にクラウド導入を可能にするものです。ただこのリホストの場合、システム構成自体には手を加えないので、アプリケーションを最新のICT技術に対応させるためにはさらにモダナイズを施していく必要があります。

リファクター

リファクターは、アプリケーションに最小限のコード修正を加えた上で、アプリケーションをPaaSもしくはIaaSのクラウドサービスに移行する方法です。これによって企業は既存のアプリケーションのスケーラビリティを最大化することができます。

リアーキテクト

リアーキテクトにおいては、アプリケーションのコードベースに変更を加え、最新化した後に個別にデプロイできるアーキテクチャーへ分散させます。これによってシステムの外的な挙動を変えずに、内部構造だけを最適化することが可能です。

リビルド

リビルドは、アプリケーションをクラウドネイティブ化するためにゼロから再構築する方法です。これによってすべての機能をPaaSで実現し、フルマネージドサービスとしてクラウドを活用できる点が魅力です。これによって企業はPaaS上でクラウド環境に最適化したアプリケーションをフル活用できます。

リプレイス

リプレイスは、すべてのアプリケーションをクラウドベンダーの提供するパッケージ製品(SaaS)に置き換える手法です。上のリビルドでは、自社用にシステムを0から構築・カスタマイズしていく必要がありますが、こちらのリプレイスなら、既存のパッケージ製品をそのまま自社に流用するため、環境構築にかかる時間や労力をショートカットできます。

まとめ

IT技術活用がますます重要になってきている昨今。レガシー化したアプリケーションを無理して運用し続けることは、かえってIT活用を阻害してしまい、自社に大きな負担を与えることにつながります。それゆえ長期的戦略に立った場合、企業は自社のシステムのモダナイズを実施し、柔軟性のあるIT環境を計画的に構築していくことが重要です。

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