クラウド移行(インフラ・DB)

クラウド環境のパフォーマンスが低下する原因と最適化する方法を解説

様々なクラウドサービスが普及するなか、使用している端末の動作や読み込みが遅くなってしまい、不便な思いをした経験は誰もがあるのではないでしょうか。このようなクラウド環境でのパフォーマンス低下は様々な要因が考えられるため、闇雲にチューニングする方法では原因を特定するまでに時間がかかってしまいます。そのため、ボトルネックを特定して1つ1つ改善していくべきですが、効率的に行うためには監視ツールやアドバイザーツールの活用が有効です。本記事では、クラウド環境でパフォーマンスが低下する原因と最適化する方法、最適化に役立つAzureのツールについて解説します。

クラウド環境のパフォーマンスが低下する原因と最適化する方法を解説

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クラウド環境のパフォーマンスが低下する主な原因

クラウド環境のパフォーマンスが低下する原因は様々です。考えられる4つの原因について解説していきます。

ネットワーク

規定の帯域幅を超えていることが考えられます。この場合は、ネットワーク上のデータ転送の量(アプリ⇔アプリ、アプリ⇔データベースなど)を確認して、規定のネットワークの帯域幅を超えないように対応します。また、VPNによって暗号化された通信が増加した影響によって、ネットワークに高い負荷がかかり、速度が遅くなっている可能性もあります。VPNはデータを暗号化して通信を行う仕組みです。暗号化の処理自体に負荷がかかることに加えて、ユーザーが同時に同じ回線を利用するため、サーバーへの負荷増加にも繋がります。

データベース

削除しなくてはいけないデータを、そのまま放置した状態で管理していることが原因として考えられます。常日頃からデータベースの管理を適切に行わないと、データの検索の処理に時間がかかってしまい、アプリの処理にも影響を与えるため注意しなければなりません。データベースとアプリケーションの処理は連動している部分が多いため、このつながりの箇所を定期的に監視する必要があります。またSQLステートメントが遅いために、ページの読み込みが遅くなっているケースも考えられます。

サーバー

トラフィックの増加によりスペック(メモリ・CPUなど)が不足して、サーバーの処理速度が遅くなっていることが考えられます。トラフィックが過負荷の状態になると、ユーザー側のアプリケーションの応答速度も遅くなり、接続できずにタイムアウトになる事象が発生してしまいます。また、サーバーの負荷分散構成が適切にされていなかった場合や、非効率な状態になっていた場合も、サーバーの速度低下が起こりやすくなります。

アプリケーション

不適切なコードによって、アプリ自体のデッドロックや遅延が発生して、その結果パフォーマンスが低下してしまうケースが考えられます。古いアプリケーションからコードを再利用する場合は、事前にそのコードが現在の環境でも適切に利用できるかを確認しなければなりません。そのほか、アプリ内で最適化されていない画像があるために、読み込みが遅くなっている可能性もあります。

クラウド環境のパフォーマンスを最適化する方法

クラウド環境のパフォーマンスを最適化する基本的な流れについて解説します。

パフォーマンス低下の要因は様々である

上述した通り、パフォーマンスの低下は複数の要因が絡み合っているケースが多いです。そのため、闇雲にチューニングしていても適切な効果を得ることはできません。

ボトルネックを特定して1つ1つ改善していくのが基本的な流れ

パフォーマンスを最適化するためには、ボトルネックを特定して1つ1つ改善していく方法が基本です。ただし、確実にボトルネックの特定ができる一方で、原因を特定するまでに時間がかかってしまうおそれがあります。

ボトルネックの特定には、監視ツールやアドバイザーツールの利用が有効

ボトルネックの特定を円滑に行うためには、監視ツールやアドバイザーツールの利用が有効です。利用状況の監視をはじめ、原因の特定や解決方法のアドバイスなどをツールで行うことで、スムーズにパフォーマンスの最適化を実現できます。

Azure MonitorとAzure Adviserとは

ここでは、クラウド環境の監視やパフォーマンスの改善を可能にするAzureのサービスを2つ紹介します。Azure Monitorはシステム監視や分析を行うことができ、Azure Adviserはリソースの構成や利用状況の分析、最適な解決方法のアドバイスを行います。

Azure Monitor

Azure Monitorとは、オンプレミス・クラウドどちらの環境下でも、システム監視や分析を行うことができるAzureの「総合監視ソリューション」です。Azureのサービス上で動作している仮想マシンや、オンプレミス環境で動作しているアプリケーションの監視、インフラの統計情報の収集から分析・対処まで統合的に行います。Azure Monitor は監視のために、「メトリック」と「ログ」の2つのデータ収集と分析を行っていきます。「メトリック」のデータには、マシンの使用状況やネットワークのトラフィック状況などの情報が含まれており、「ログ」のデータには、システム内部で発生したイベントのログ、パフォーマンスのログなどの情報が含まれています。

また、Azure Monitorは、Insight(洞察)・Visualize(可視化)・Analyze(分析)・Respond(対応)・Integrate(統合)という5つの基本機能を搭載しており、これらの機能によってリソースの使用状況の把握やパフォーマンスの監視、他のAzureサービスとの連携や統合を可能にしています。Azure Monitorは従量課金の料金体系になっている点も特徴の一つです。取り込んだデータ量ごとに課金が行われる仕組みで、Log Analyticsのデータエクスポートの機能やAzure Monitorが提供している機能の利用状況によって料金が加算されていきます。

Azure Adviser

Azure Adviserとは、利用者の使用状況などを把握・解析した上で、コストを最適な状態で管理するための「クラウドコンサルタント」です。リソースの構成や利用状況を分析して、最適な解決方法や有効な設定などを案内してくれます。Azure Adviserは、「信頼性」「セキュリティ」「パフォーマンス」「コスト」「オペレーショナル エクセレンス」の5つの観点から現在のリソース状況を解析し、最適な状態で管理するための方法を「推奨事項」として提案する仕組みです。また推奨した提案事項を実行すると、コストがどの程度削減できるかが表示されます。他にもAzure Adviserは 、Azure のアプリケーションのパフォーマンス向上や、SQL Database Advisor と統合することでデータベースのパフォーマンス向上にも役立ちます。

まとめ

クラウド環境でのパフォーマンス低下は様々な要因が考えられるため、闇雲にチューニングする方法ではなく、ボトルネックを特定して1つ1つ改善していくやり方が基本となります。その作業を効率的に行うためには、監視ツールやアドバイザーツールの活用が有効です。Azure Monitorは、オンプレミス・クラウドどちらの環境でもシステム監視や分析を行うことができます。Azure Adviserは、リソースの構成や利用状況を分析して、最適な解決方法や有効な設定方法を案内するツールです。パフォーマンスの低下に対して、スピーディーに原因の特定や改善を行うためにも、ぜひこれらのツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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