アプリケーション開発・管理・運用

コンテナのメリット・デメリットとは?代表的な3つのツールをご紹介

昨今の開発環境を考える上でコンテナ技術の知識は避けては通れません。本記事ではクラウドコンピューティングにおけるコンテナの重要性やメリットについて詳しく紹介します。Docker、Kubernetes、Rancherといったコンテナ関連ツールについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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コンテナとは

コンテナとはひとつのOS上に仮想化した実行環境を複数配置する技術のことです。1つのコンテナは、小さなマイクロサービスから大規模なアプリケーションまで、あらゆるソフトウェアを実行するために使用できます。

コンテナの中には、必要な実行ファイル・コード・ライブラリ・設定ファイルなどがすべて入っています。ただし、先述のようにコンテナはひとつのホストOSを複数で共有するので、各コンテナの中に個別のOSまで再現されることはありません。そのためコンテナはOSまで仮想的に再現する通常の仮想サーバーと比べて遥かに軽量です。また、システムリソースを節約してオーバーヘッドを防ぎつつ、簡単かつ大量に展開できるという特長があります。

コンテナが注目される背景

コンテナは現代の開発環境において不可欠な技術です。しかし、この技術がそれほど重要視される理由とは何でしょうか。

ソフトウェアは開発の過程で、開発者のパソコン、テスト環境、本番環境…といったようにその実行環境を移行させていきます。しかしこの際、「テスト環境では何も問題がなかったのに、本番環境ではうまく動作しない」といったことが往々にして起こりえます。こうした問題を未然に防ぐためには多くのテストが必要です。仮想化技術を利用することでさまざまな環境を用意し、そこでソフトウェアを稼働させて検証を行います。

従来、このような仮想環境の構築は仮想化ソフトを用いて行われていました。仮想化ソフトを用いることで、ユーザーはひとつの物理マシンに対して、いくつものゲストOSを付与して複数の仮想環境を構築できます。しかし、この仮想化ソフトによる仮想化環境の構築には弱点がありました。というのも、複数のゲストOSを展開させることはシステムリソースを大幅に消費するため、オーバーヘッドが生じやすく、性能劣化等の問題が起きやすくなります。

そこで登場したのが、コンテナ技術です。コンテナもソフトウェアの実行用の独立環境を仮想的に提供するという点では、従来の技術と同じです。ただし、コンテナは各コンテナ間でホストOSを共有できるので、従来と比べてごくわずかなリソースしか消費しません。そのため、開発者はより簡単にソフトウェアの実行環境を移行させられます。コンテナ技術を利用することで、開発者はより効率的に開発作業を遂行できるようになったのです。

コンテナのメリットとは

コンテナを活用することは、開発においてどのようなメリットがあるのでしょうか。以下ではコンテナのメリットについて解説します。

処理速度がはやい

コンテナの1つめのメリットは、処理速度の速さです。コンテナは必要最低限のシステムリソースしか使わないため、コンテナの起動・作成・複製・破棄などを非常に素早く実行可能です。コンテナのこの軽量設計により、開発者は新しいアプリケーションやバグ修正、新機能などのアップグレードを迅速にリリースできます。こうしたコンテナの長所は開発プロセスの迅速化につながるため、運用タスクだけでなく市場投入までの時間も短縮できます。

環境の移動が簡単にできる

コンテナの2つめのメリットはソフトウェアの実行環境の移行が簡単にできる点です。コンテナエンジンが基盤となるオペレーティングシステムをサポートしている限り、コンテナはどこでも実行できます。コンテナはLinuxやWindows、Macなど多くのOS上で実行可能です。
コンテナ環境の作成は比較的簡単で複製も容易です。そのため、さまざまな仮想化環境を簡単に構築し、ソフトウェアの移動も簡単にできます。これによりソフトウェアの動作確認の負担も軽減されます。

少ないコンピューティングリソースで動作する

コンテナの3つめのメリットは、少ないコンピューティングリソースで動作する点です。コンテナはゲストOSを必要としていないため、システムリソースを節約できます。この浮いたリソースを活用すれば、実行環境を効率的に配置することが可能です。処理が軽量で、効率的に利用できる点はコンテナの最大のメリットとも言えます。

コンテナのメリットを最大限に活用する3つのポイント

上記のコンテナのメリットを最大限に活かすには、以下に挙げる3つのポイントを押さえておきましょう。

オーケストレーション

オーケストレーションとは、複数のコンテナを統合して運用・開発・管理するための技術です。コンテナは簡単に作成やコピーをして大規模に展開できますが、数が多くなればその分、運用管理の手間は煩雑になります。
そこでオーケストレーションを行えば、それらの作業を効率化することが可能になるのです。オーケストレーションツールとしてはKubernetesなどが有効です。Kubernetesについては本記事後半で詳しく紹介するのでそちらをご参照ください。

セキュリティ

コンテナを運用する上ではセキュリティ対策もポイントになります。近年、コンテナをターゲットとするサイバー攻撃が増えているため、十分な注意が必要です。
コンテナは従来の物理サーバーや仮想マシンのサーバーの構成とはアーキテクチャがまったく異なるため、これまでとは異なるセキュリティ上の課題が生じる可能性があります。
そのためコンテナを使用する際は、コンテナをターゲットとするサイバー攻撃に備えてセキュリティ対策をする必要があります。その際は、コンテナイメージからクラスター分離まで、階層型のアプローチを行うことが大切です。

DevOps

DevOpsとは、システム導入においてソフトウェア開発と運用が互いに協力し、工数の削減等を通して開発期間を短縮し、高品質な製品を継続的に提供し続けるための考え方です。
コンテナを使用すると、開発者は誰とでもソフトウェアとその依存関係を簡単に共有できるようになります。そのため、DevOps プラクティスとコンテナを組み合わせることにより、コードを効率よく配信できソフトウェア開発サイクルをより短縮できるのです。
DevOpsを実現するためには、迅速化や効率化の要となるコンテナの活用が大事になります。

代表的なコンテナ管理ツール

最後に、コンテナを管理する代表的なツールを紹介します。それぞれの特性を知って、ビジネスの効率化に最適なツールを選びましょう。

Kubernetes(クバネティスまたはクーベネティス)

Kubernetesとは、複数のコンテナの運用を一緒に調和的に管理運用するオーケストレーションを行うためのツールです。Kubernetesを活用することで、複数のホストからなる環境を同一のホスト環境として利用できます。
Kubernetesを導入すると、コンテナのアップデートや監視、自動復旧を管理できるため、コンテナの数を増やしてスケールアウトしていくのも容易になります。
Kubernetesのようなオーケストレーションツールにより、本番環境におけるコンテナベースのワークロードの自動化とスケーリングが可能です。

Docker

Dockerはコンテナそのものを作成するツールであり、前記のKunbernetesのデフォルトともなっている代表的なコンテナツールです。DockerはOSに独立したコンテナを生成することができ、リソース消費量がとても少ない点も特徴です。
Dockerを使うことで、開発者はテスト環境や本番環境など、複数の環境でソフトウェアの実行環境を簡単に構築できます。このように複数の環境で同一のコンテナを使用することで、実行環境の移行に伴うソフトウェアの動作不具合などのリスクを抑制できます。

Rancher

RancherはKubernetesの運用を補助するためのツールです。Kubernetesはたしかにコンテナの管理運用を効率化しますが、Kubernetesの操作自体の難易度が高いという弱点があります。
Rancherは操作に専門的なスキルを必要とするKubernetesを、直感的に利用できるようにするためのツールです。つまり、Dockerの運用をKubernetesがサポートし、Kubernetesの運用をRancherがサポートするというのが、ここで紹介した3つのツールの関係の基本的構図と言えます。

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まとめ

コンテナとはホストOSを共有することで、低リソースで簡単かつ迅速にソフトウェアの実行環境を構築できる仮想化技術です。「Microsoft Azure」では、「Azure Container Instances」などコンテナ関連のサービスも複数提供されています。コンテナを運用する際にはぜひご活用ください。

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