クラウド移行(インフラ・DB)

データ活用レベルとは? 企業が自社の現状と目指す方向を把握する方法

自社の「データ活用レベル」を知ることで、現状のデータ活用状況や客観的な立ち位置が理解でき、次のステップに進むために何が必要かを把握できます。この記事では、日本企業のデータ活用状況や課題にも触れながら、3段階のデータ活用レベルについて詳しくご紹介します。

データ活用レベルとは? 企業が自社の現状と目指す方向を把握する方法

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データ活用とは

昨今、あらゆる企業で「データ活用」が重要視されつつあり、耳にする機会が増えてきました。データ活用とは、企業のシステムなどで取得・蓄積したさまざまなデータを、売上や利益といった業績向上を目的に、日々の業務で継続的に活用することを指します。この営みは、現在、世界的に見てもビジネスを成長・発展させるためになくてはならないものとなっています。つまり、データを適切に活用できているか否かが、企業の将来性を左右しているといっても過言ではありません。

日本企業のデータ活用状況

では、日本国内の企業では、どの程度データ活用が進んでいるのでしょうか。2020年に総務省は、「データ収集」「データ蓄積」「(AIの適用を含めた)データ処理」のそれぞれについて導入しているかどうか、企業にヒアリングした状況を発表しました。その結果、日本企業で「導入済み」と回答した割合は、いずれも2割程度にとどまり、全体的にデータ活用があまり進んでいない状況が浮き彫りとなりました。

一方、アメリカ・ドイツの企業を見ると、データ収集については5割強、データ蓄積については4割強、データ処理については3割強が「導入済み」と答えています。このことから、海外企業のほうがデータ活用に積極的に取り組んでいることがわかるでしょう。

データ活用のレベルとは

組織におけるデータの活用状況について、どの程度進んでいるのかを客観的に評価するモデルとなる考え方があります。それは一般的に「データ成熟度」と呼ばれ、自社の立ち位置を理解し、次のフェーズを目指すために必要な行動の検討へとつながります。そして、そのデータ成熟度を診断する指標となるのが「データ活用レベル」です。

データ活用レベルを測る際には、さまざまな診断ツールが用いられます。たとえば、CMMI Instituteの「Data Management Maturity Model(データ管理成熟度)」や、Data Orchardの「Data maturity self assessment tool(データ成熟度自己評価ツール)」などが代表的なツールとして挙げられます。

3段階のデータ活用レベル

データ活用レベルは3段階で定義されています。ここでは、それぞれのレベルの詳細についてご紹介します。

レベル1

データ活用レベルの初期段階であるレベル1は、必要なデータを必要なタイミングで活用できるような環境を整えている状態です。主に社内にあるデータを、進捗状況や成果などの業務確認で利用しているようなイメージを思い浮かべるとよいでしょう。

データ活用という意味では、まだ社内データもフル活用ができていない段階といえますが、後々のために自社の業務について現状認識したり、業務間でのデータ連携やマスタ整備などをしたりしておく必要があります。その際、3M (ムリ・ムダ・ムラ)やバリューチェーンといったフレームワークを使って、大まかにでもビジネスプロセスなどを洗い出しておくとよいでしょう。

レベル2

データの利活用が進み、レベル2になるとデータ戦略が重要視され、「過去」をターゲットにした本格的なデータ分析に着手していきます。BI(Business Intelligence)ツールやDWH(Data Ware House)といったITシステムを導入し、分析結果を可視化して、仮説と検証を繰り返すフェーズといえます。

このレベルになると企業風土の観点から見ても、データを使って意思決定をするのが当然といった考え方が浸透しています。分析業務が増え、それを担う人材も不足してくるため、データサイエンティストなど専門的なスキルをもった人材の確保・育成も検討が進められる段階でしょう。

データ分析には、データのばらつきを見る「記述統計」や、いわゆる多変量解析である「目的型データ分析」「探索型データ分析」などの手法があります。記述統計においては、もし適当なデータの内容がなければ、まずデータから仮説を立てて検証するといった方法も検討して構いません。一方、多変量解析は理解するまでに時間がかかるため、まずは膨大なデータからロジックツリーなども活用しながら現状を可視化し、理解します。そして多くのディスカッションを重ねていくことで、さらなるデータ活用が実現できるでしょう。

レベル3

さまざまな切り口でのデータ分析がさらに進むレベル3では、分析結果をもとに、高度なデータ活用を通じて収益面とビジネス面で成果が現れてきます。レベル2のような「過去」にスポットを当てたデータ活用ではなく、いわゆる「データドリブン経営」として、将来を予測し経営に活かしたり、全社横断的な業務プロセスを効率化したりできるようになります。

ただ、分析やデータドリブン経営はあくまで手段に過ぎず、データ活用によって目指したい姿をイメージし、事業変革やビジネスモデルの創造に役立てていくことが重要です。データを扱う人材についても、ただ分析するだけではなく、ビジネスにどのような価値を生み出せるか意識したうえで業務を行える高度なスキルが求められます。

また、この段階になると社内データのみならず、オープンデータなど社外から幅広く取得した膨大なデータも活用します。そのため、AIや機械学習を取り入れるなどして、試行錯誤を繰り返しながら根気よく進めていくことが大切です。

データ活用レベルが最も高い企業は利益が拡大

これまで、データ成熟度の3つのレベルについてご紹介しましたが、データ活用レベルが最も高い、すなわちレベル3の段階にある企業は、利益が拡大しているということがわかっています。つまり、データ成熟度と企業の業績の間には、高い相関関係があるのです。Splunk社の調査によると、先駆的といえるレベル3相当の企業は、データ活用によって売り上げ総利益を約12.5%向上させているという結果が発表されています。

大量のデータから適切な分析を行い、意思決定に役立てられる企業はそう多くありません。しかし、データ活用の成熟度が向上すると、業務効率化などで収益が上がり、コスト削減にもつながります。周囲を巻き込んだ意思決定もスピードアップするでしょう。また、顧客満足度にもよい影響を与えられ、企業イメージの向上や自社商品・サービスのリピーター獲得も期待できるようになります。

データ活用の注意点:効果はすぐには表れない

データ活用の重要性を理解し、せっかくツールを導入したものの運用がうまくできず、悩みを抱えている企業は多いでしょう。データ活用で期待通りの成果を得るには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

まず、データ活用は往々にして時間がかかります。分析の目的を定めて、必要なデータの収集・加工・分析といった工程を踏む都合、短期間では正しい結果が得られない可能性があるからです。無理に短期間で結果を出そうとすると、データ活用の目的がぶれてしまい、手段が目的化したり、データ量ばかり増えて分析コストを増大させるだけに終わったりしかねません。

さらに分析や利活用には、やってみなければわからない部分も多く、費用対効果の定義が難しい側面もあります。すぐに期待した効果が出ないことを問題視してしまうと、従業員のモチベーションも下がってしまいます。できれば経営層などからトップダウンでデータ活用を推進していくほうが、成功の可能性は高まるでしょう。

まとめ

DXの推進に伴い、企業によるデータ活用はますます重要視されています。データ活用具合を測る成熟度のレベルは、業績や顧客満足度の向上にも直結する重要な指標といえるでしょう。自社のデータ活用について課題をお抱えの際は、パブリッククラウド型プラットフォーム「Microsoft Azure」の導入をぜひご検討ください。

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